「税金が高い国はどこか」を調べると、資料によって順位がまるで違います。北欧が上位に来るものもあれば、アフリカや中東の国が上位に並ぶものもある。理由は単純で、何を「税金の高さ」と呼ぶかが資料ごとに違うからです。税率を並べたものと、実際に集まった税収の重さを並べたものは別の指標です。ここではOECDが毎年公表している税収統計と、日本の財務省が公表している税率の国際比較を並べ、どちらの物差しで何が言えるのかを整理します。

この記事の要点

  • OECDの税収統計では、加盟38か国の税収のGDP比(tax-to-GDP ratio)の平均は2024年に34.1%。2021年以来はじめて前年から上昇し、統計上もっとも高い平均になりました。
  • いちばん高いのはデンマークの45.2%で2年連続の首位。フランス43.5%、オーストリア43.4%と続き、いちばん低いのはメキシコの18.3%です。
  • 日本は2024年の暫定値を提出できておらず、2023年の33.7%が最新値。38か国中25位の位置に置かれています。
  • 税率で見ると別の顔になります。法人実効税率は日本29.74%で、ドイツ30.14%に次ぐ2番目(2026年1月現在、財務省の7か国比較)。
  • 一方、付加価値税(消費税)の標準税率10%はOECD37か国中34位。下から4番目です。「日本は税金が高い」と「日本は消費税が安い」は、どちらも同時に成り立ちます。

「税金が高い」には3つの物差しがある

比較の前に、指標の違いを押さえておく必要があります。ニュースや個人のまとめ記事が食い違うのは、次の3つを混ぜて語っているからです。

税収のGDP比

その国で1年間に集まった税と社会保険料の合計が、経済規模に対してどれくらいか。実際に取られた総量を測る指標です。OECDのRevenue Statisticsがこれにあたります。

法定税率・実効税率

法人所得や個人所得に何%かかると法律で決まっているか。財務省が公表している法人実効税率の国際比較はこちらです。稼ぐ人にとっての限界的な負担を示します。

付加価値税(消費税)の税率

買い物のたびに乗る税率。生活コストに直結しますが、税収全体に占める割合は国によってかなり違います。

移住を考える人が知りたいのは2つめと3つめであることが多く、国の財政を語るときに使われるのは1つめです。同じ「税金が高い国ランキング」という言葉でも、指している中身が違うわけです。

税収のGDP比は2024年に平均34.1%まで上がった

OECDの『Revenue Statistics 2025』は、2024年の暫定値として加盟国の税収GDP比の平均を34.1%と示しています。2023年から0.3ポイントの上昇で、38か国を収録するこの統計で記録上もっとも高い平均です。上昇したのは2021年以来はじめてです。

OECDのRevenue Statistics 2025の章ページの画面。2024年の税収GDP比の平均が34.1%であることと、税の分類の定義が英語で書かれている
出典:OECD「Revenue Statistics 2025 – Tax revenue trends 1965-2024」

データがそろった36か国のうち、比率が上がったのは22か国、下がったのは13か国、横ばいが1か国でした。上げ幅が大きかったのはラトビア(2.4ポイント)、スロベニア(1.9ポイント)、ポーランドとルクセンブルク(ともに1.7ポイント)、エストニア(1.6ポイント)。下げ幅ではコロンビアが2.2ポイントと最大で、韓国が1.5ポイント、ノルウェーが1.4ポイント下がっています。

位置国税収のGDP比(2024年)
1位デンマーク45.2%(2年連続の首位)
2位フランス43.5%
3位オーストリア43.4%
平均OECD38か国34.1%
25位日本33.7%(2023年の値。2024年の暫定値は未提出)
38位メキシコ18.3%

日本とオーストラリアは2024年の暫定データを提出していません。OECDの国別ノートは、この2か国について2023年の値をそのまま並べていると断ったうえで順位を示しています。他国と同じ年で比べた数字ではない点に注意してください。

日本の推移を見ると、2000年の25.3%から2023年の33.7%まで上がっています。直近では2022年の34.5%から0.8ポイント下がって33.7%になりました。統計がさかのぼれる範囲でもっとも低かったのは2003年の24.1%です。

税金が高い(税収のGDP比が大きい)国ランキング

以下の表は、OECDが公表している国別の税収GDP比を、負担の重い順に並べたものです。列見出しをクリックすると並べ替えられます。

国総税負担率(GDP比)所得・法人税負担率(GDP比)社会保険料負担率(GDP比)財産課税負担率(GDP比)給与税負担率(GDP比)消費関連税負担率(GDP比)その他の税負担率(GDP比)
メキシコ17.8%7.9%2.4%0.3%0.5%6.2%0.4%
チリ20.6%7.3%1.2%1.3%0.0%11.2%-0.3%
アイルランド21.9%11.6%3.4%1.0%0.2%5.7%0.0%
コロンビア22.2%8.9%1.6%1.7%0.3%8.8%1.0%
トルコ23.5%5.6%6.2%0.7%0.0%10.7%0.2%
コスタリカ24.9%5.3%8.9%0.5%1.5%8.3%0.5%
アメリカ25.2%12.1%6.1%2.8%0.0%4.2%0.0%
スイス27.1%12.7%6.7%2.2%0.0%5.4%0.2%
韓国28.9%9.9%8.4%3.3%0.1%6.5%0.6%
オーストラリア29.4%18.3%0.0%2.7%1.4%7.0%0.0%
イスラエル29.8%11.1%5.0%3.2%0.9%9.6%0.0%
ラトビア31.9%7.6%10.2%0.7%0.0%13.4%0.0%
リトアニア32.6%10.6%10.4%0.3%0.0%11.3%0.0%
エストニア33.5%8.1%12.0%0.2%0.0%13.2%0.0%
チェコ33.7%8.0%15.2%0.2%0.0%10.4%0.0%
OECD33.9%12.3%8.7%1.8%0.5%10.6%0.2%
ニュージーランド34.0%19.9%0.0%2.0%0.0%12.1%0.0%
ハンガリー34.2%7.5%9.6%0.7%0.6%15.6%0.2%
日本34.4%10.4%13.3%2.6%0.0%6.9%0.1%
カナダ34.8%17.9%5.2%3.4%0.8%7.5%0.0%
ポーランド35.1%6.9%13.4%1.1%0.6%11.0%2.1%
イギリス35.3%14.2%6.7%3.7%0.1%10.6%0.0%
スロバキア35.5%7.7%15.1%0.4%0.0%12.4%0.0%
ポルトガル35.8%10.4%10.4%1.4%0.0%13.3%0.2%
アイスランド35.9%18.7%3.0%2.0%0.3%11.6%0.4%
スロベニア36.9%7.5%15.8%0.6%0.0%12.9%0.0%
スペイン37.3%12.1%13.0%2.3%0.0%10.0%0.0%
ドイツ38.1%12.4%14.7%0.9%0.0%10.1%0.0%
オランダ38.5%13.8%12.1%1.2%0.0%11.3%0.1%
ギリシャ39.8%9.5%11.5%2.8%0.0%16.0%0.0%
ルクセンブルク40.9%16.6%11.5%3.5%0.0%9.3%0.0%
ノルウェー41.4%21.4%9.2%1.2%0.1%9.6%0.0%
スウェーデン41.4%14.6%8.9%0.8%5.3%11.8%0.0%
フィンランド42.5%15.5%12.3%1.4%0.0%13.2%0.0%
ベルギー42.6%15.8%13.2%3.2%0.0%10.5%0.0%
オーストリア42.7%12.9%14.8%0.5%2.7%11.6%0.2%
イタリア42.8%14.7%12.7%2.3%0.0%11.9%1.4%
デンマーク43.4%29.0%0.1%1.7%0.3%12.3%0.1%
フランス43.8%11.7%14.6%3.5%1.9%11.3%0.9%
出典:OECD(経済協力開発機構)(Global Revenue Statistics Database)

税金が安い(税収のGDP比が小さい)国ランキング

同じデータを、負担の軽い順に並べ替えたものです。低い側には、資源収入や観光収入の比重が大きい国、あるいは税の徴収体制がまだ整っていない国が混ざります。数字が小さいことがそのまま「住みやすい」を意味するわけではありません。

国総税負担率(GDP比)所得・法人税負担率(GDP比)社会保険料負担率(GDP比)財産課税負担率(GDP比)給与税負担率(GDP比)消費関連税負担率(GDP比)その他の税負担率(GDP比)
フランス43.8%11.7%14.6%3.5%1.9%11.3%0.9%
デンマーク43.4%29.0%0.1%1.7%0.3%12.3%0.1%
イタリア42.8%14.7%12.7%2.3%0.0%11.9%1.4%
オーストリア42.7%12.9%14.8%0.5%2.7%11.6%0.2%
ベルギー42.6%15.8%13.2%3.2%0.0%10.5%0.0%
フィンランド42.5%15.5%12.3%1.4%0.0%13.2%0.0%
ノルウェー41.4%21.4%9.2%1.2%0.1%9.6%0.0%
スウェーデン41.4%14.6%8.9%0.8%5.3%11.8%0.0%
ルクセンブルク40.9%16.6%11.5%3.5%0.0%9.3%0.0%
ギリシャ39.8%9.5%11.5%2.8%0.0%16.0%0.0%
オランダ38.5%13.8%12.1%1.2%0.0%11.3%0.1%
ドイツ38.1%12.4%14.7%0.9%0.0%10.1%0.0%
スペイン37.3%12.1%13.0%2.3%0.0%10.0%0.0%
スロベニア36.9%7.5%15.8%0.6%0.0%12.9%0.0%
アイスランド35.9%18.7%3.0%2.0%0.3%11.6%0.4%
ポルトガル35.8%10.4%10.4%1.4%0.0%13.3%0.2%
スロバキア35.5%7.7%15.1%0.4%0.0%12.4%0.0%
イギリス35.3%14.2%6.7%3.7%0.1%10.6%0.0%
ポーランド35.1%6.9%13.4%1.1%0.6%11.0%2.1%
カナダ34.8%17.9%5.2%3.4%0.8%7.5%0.0%
日本34.4%10.4%13.3%2.6%0.0%6.9%0.1%
ハンガリー34.2%7.5%9.6%0.7%0.6%15.6%0.2%
ニュージーランド34.0%19.9%0.0%2.0%0.0%12.1%0.0%
OECD33.9%12.3%8.7%1.8%0.5%10.6%0.2%
チェコ33.7%8.0%15.2%0.2%0.0%10.4%0.0%
エストニア33.5%8.1%12.0%0.2%0.0%13.2%0.0%
リトアニア32.6%10.6%10.4%0.3%0.0%11.3%0.0%
ラトビア31.9%7.6%10.2%0.7%0.0%13.4%0.0%
イスラエル29.8%11.1%5.0%3.2%0.9%9.6%0.0%
オーストラリア29.4%18.3%0.0%2.7%1.4%7.0%0.0%
韓国28.9%9.9%8.4%3.3%0.1%6.5%0.6%
スイス27.1%12.7%6.7%2.2%0.0%5.4%0.2%
アメリカ25.2%12.1%6.1%2.8%0.0%4.2%0.0%
コスタリカ24.9%5.3%8.9%0.5%1.5%8.3%0.5%
トルコ23.5%5.6%6.2%0.7%0.0%10.7%0.2%
コロンビア22.2%8.9%1.6%1.7%0.3%8.8%1.0%
アイルランド21.9%11.6%3.4%1.0%0.2%5.7%0.0%
チリ20.6%7.3%1.2%1.3%0.0%11.2%-0.3%
メキシコ17.8%7.9%2.4%0.3%0.5%6.2%0.4%
出典:OECD(経済協力開発機構)(Global Revenue Statistics Database)

日本の中身は社会保険料に偏っている

合計だけを見ると日本はOECD平均をわずかに下回ります。ところが内訳に入ると、平均とはかなり違う形をしています。OECDの日本の国別ノートが示す2023年の構成比は次のとおりです。

税目日本(税収全体に占める割合)OECD平均差
社会保険料39.1%25.5%+13.6ポイント
個人所得課税18.3%23.7%−5.4ポイント
付加価値税(消費税)14.7%20.5%−5.8ポイント
法人所得課税13.9%11.9%+2.0ポイント
財産課税8.2%5.1%+3.1ポイント
消費課税(付加価値税を除く)5.6%10.8%−5.2ポイント

社会保険料の比重が13.6ポイントも高く、OECDの中で4位。逆に付加価値税と個人所得課税の比重は平均より低く、それぞれ34位、28位です。OECD自身も日本の特徴として「社会保険料の収入が際立って多く、法人所得課税と財産課税も平均より多い」「個人所得課税と付加価値税、付加価値税以外の消費課税は平均より少ない」と要約しています。

移住を検討する人にとって、この偏りは実務的な意味を持ちます。社会保険料は所得税と違って控除や損益通算が効きにくく、所得が同じでも手取りに与える影響が国ごとに大きく変わるからです。税率だけを比べても、負担の全体像はつかめません。

法人実効税率で並べると、日本は7か国中2番目

税率で見るとまた違う絵になります。財務省が公表している主要7か国の法人実効税率の比較(2026年1月現在)では、日本は29.74%で、ドイツの30.14%に次ぐ2番目の高さです。

財務省の資料にある諸外国における法人実効税率の比較の図。ドイツ30.14%、日本29.74%、米国27.98%、カナダ26.50%、フランス25.00%、英国25.00%、イタリア24.00%と並んでいる
出典:財務省「法人課税に関する基本的な資料」諸外国における法人実効税率の比較(2026年1月現在)
国法人実効税率財務省の注記
ドイツ30.14%地方税は全国平均(2024年)
日本29.74%地方税は標準税率。2018年度から据え置き
米国27.98%地方税はカリフォルニア州の標準税率
カナダ26.50%地方税はオンタリオ州の標準税率
フランス25.00%―
英国25.00%―
イタリア24.00%―

日本のこの水準は、2015年度と2016年度の法人税改革で段階的に下げた結果です。財務省の注記によれば、2014年度(改革前)の34.62%から32.11%(2015年度)、29.97%(2016・2017年度)を経て、2018年度以降は29.74%になっています。

ただし、防衛特別法人税(2026年4月施行)の課税対象に当たる場合、日本の法人実効税率は30.64%になります。財務省は国際比較の観点から、上の図には一般的に広く課される税率を載せていると注記しています。海外と比べるときは、どちらの数字を使っているかを確認してください。

消費税の10%はOECD37か国中34位

付加価値税(日本の消費税に相当)の標準税率では、日本の位置づけがひっくり返ります。財務省がOECD加盟37か国を並べた資料(2026年1月現在)によると、日本の標準税率10%は34位、下から4番目です。

財務省の消費税に関する基本的な資料のページの画面。消費税の概要として税率7.8%(地方消費税と合わせて10%)などが表で示されている
出典:財務省「消費税に関する基本的な資料」
国標準税率食料品への適用税率
ハンガリー27%27%
デンマーク25%25%
スウェーデン25%12%
フランス20%5.5%
英国20%0%(ゼロ税率)
ドイツ19%7%
日本10%8%
韓国10%非課税
スイス8.1%2.6%

37か国の食料品に対する適用税率の平均は8.3%です。標準税率が20%を超える国でも、食料品はゼロ税率や大幅な軽減税率になっていることが多く、生活必需品の負担は数字の印象ほど重くありません。英国のように食料品がゼロ税率の国もあります。

なお日本の場合、標準税率10%のうち2.2%、軽減税率8%のうち1.76%は地方消費税です。EU域内ではEC指令により標準税率を15%以上にすることが求められており、下限が制度として決まっている点も日本とは違います。

3つの物差しを重ねて読む

ここまでの数字をまとめると、日本という国は次のような形をしています。

物差し日本の位置読み取れること
税収のGDP比33.7%(OECD平均34.1%をわずかに下回る)総量としては平均的
内訳(社会保険料)39.1%でOECD4位働く人の負担が保険料の形で重い
法人実効税率29.74%で主要7か国中2位企業の負担は主要国の中で高い側
付加価値税の標準税率10%で37か国中34位消費への課税は低い側

「日本は税金が高い」という話も「日本は税金が安い」という話も、どちらも特定の物差しの上では正しくなります。移住先や法人設立先を比べるときは、自分の収入がどの税目にかかるのかを先に決めてから、その税目の数字だけを国際比較するのが確実です。給与所得者、法人オーナー、不動産の賃料収入がある人では、効いてくる指標がまったく違います。

日本を出たあとに何が変わるかは海外移住で税金はどう変わるかに、海外の物件から収入が出たときの申告は海外不動産の確定申告の手引きにまとめています。

よくある質問

税収のGDP比には社会保険料も入りますか

入ります。OECDの分類では、一般政府または超国家機関に対する強制的で反対給付のない支払いを「税」と扱い、強制的な社会保障拠出(分類2000)も含めています。日本の数字が国際的に見て高めに出る一因はここにあります。

日本の2024年の数字はなぜ出ていないのですか

OECDの国別ノートは、日本とオーストラリアが2024年の暫定データを提出できていないため、2023年の値を掲載していると明記しています。理由そのものは示されていません。

ランキング表の数字はいつのものですか

表の下に表示される説明欄に、出典と対象年を記載しています。OECDの統計は最終値が2023年まで、2024年は暫定値という構成です。

税率が低い国に法人を作れば節税になりますか

税率の低さだけで判断はできません。日本の居住者や内国法人には、外国子会社合算税制など国外に置いた所得を日本で課税する仕組みがあります。移転する前に、日本側でどの規定が適用されるかを確認する必要があります。

付加価値税がない国はありますか

米国には連邦レベルの付加価値税がありません。ただし州などの地方税として、小売段階で課税する小売売上税がある場合があります。財務省の資料はニューヨーク市の8.875%を例として挙げています。

法人実効税率の比較に日本の地方税は入っていますか

入っています。財務省の比較は国税と地方税を合わせた税率で、日本は標準税率、ドイツは全国平均、米国はカリフォルニア州、カナダはオンタリオ州の標準税率を用いています。

この記事で参照した一次情報

世界の国ランキング

X

お問い合わせ・資料請求・ご相談

サインイン

新規登録

パスワードをリセット

ユーザー名またはメールアドレスを入力してください。新規パスワードを発行するためのリンクをメールで送ります。