結論から

米国エネルギー情報局(EIA)の2025年データで並べると、原油生産量の上位3か国はアメリカ・ロシア・サウジアラビアで、この3か国だけで世界の39.1%を占めます。産油国というとOPECを思い浮かべますが、上位3か国のうちOPEC加盟国はサウジアラビアだけです。

OPEC加盟12か国をすべて足しても35.7%で、上位3か国の合計に届きません。カタール、アンゴラ、エクアドル、インドネシアのように、脱退や加盟停止のあとも大きな生産量を保っている国があるためです。

もうひとつ、数字を比べる前に確かめたいのが何を「石油」と呼んでいるかです。このランキングは「原油+リースコンデンセート」で、天然ガス処理プラントで作られる液体は含みません。「石油・その他液体燃料」で並べた表とは順位も数値も変わります。

単位は万バレル/日で、年間の総生産量ではありません。1位のアメリカが1,358.6万バレル/日というのは、その年に1日あたり平均でそれだけ生産したという意味です。

上位3か国で39.1%。うちOPECはサウジアラビアだけ

まず上から10か国を並べます。数値はEIAの2025年データで、単位は万バレル/日です。

表1 原油生産量の上位10か国(EIA 2025年データ・単位は万バレル/日)
順位 国・地域 生産量 世界シェア OPEC
1 アメリカ 1,358.6 16.1% 加盟していない
2 ロシア 988.5 11.7% 加盟していない
3 サウジアラビア 955.6 11.3% 加盟国
4 カナダ 496.4 5.9% 加盟していない
5 イラク 438.8 5.2% 加盟国
6 中国 432.5 5.1% 加盟していない
7 イラン 405.1 4.8% 加盟国
8 アラブ首長国連邦 377.1 4.5% 加盟国
9 ブラジル 376.9 4.5% 加盟していない
10 クウェート 258.4 3.1% 加盟国

上位10か国のうちOPEC加盟国は5か国で、シェアの合計は28.9%。非加盟の5か国(アメリカ・ロシア・カナダ・中国・ブラジル)の合計は43.3%になります。上位の顔ぶれだけを見ると、非OPECのほうが大きいという形です。

1位と2位の差にも注目してください。アメリカ1,358.6に対してロシアは988.5で、開きは370万バレル/日。これはブラジル1か国ぶん(376.9)に近い差です。順位の上下だけを追うと見落としますが、上位はそれぞれの間隔が大きく、ちょっとした増減では入れ替わりません。

OPEC12か国を足しても35.7%にとどまる

OPEC(石油輸出国機構)は1960年9月にイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5か国によってバグダッドで設立されました。その後の加盟と脱退を経て、OPEC自身が公表している現在の加盟国は12か国です。

OPEC公式サイトの加盟国ページ。左に加盟12か国の一覧、右に設立の経緯と、エクアドルが2020年、カタールが2019年、アンゴラが2024年に脱退したこと、現在の加盟国は12か国であることが書かれている
出典:OPEC「Member Countries」(2026年9月27日確認)

この12か国を、同じEIAの2025年データで足し合わせると次のようになります。

表2 OPEC加盟12か国の原油生産量(EIA 2025年データ・単位は万バレル/日)
国 世界順位 生産量 世界シェア
サウジアラビア 3 955.6 11.3%
イラク 5 438.8 5.2%
イラン 7 405.1 4.8%
アラブ首長国連邦 8 377.1 4.5%
クウェート 10 258.4 3.1%
ナイジェリア 14 160.5 1.9%
リビア 15 136.3 1.6%
アルジェリア 17 114.3 1.4%
ベネズエラ 20 97.3 1.2%
コンゴ共和国 32 24.1 0.3%
ガボン 33 23.9 0.3%
赤道ギニア 46 7.6 0.1%
12か国の合計 — 2,999.0 35.7%

合計は約3,000万バレル/日、世界シェアで35.7%。アメリカ・ロシア・サウジアラビアの3か国(39.1%)に届きません。ただしOPECの影響力を生産量のシェアだけで測るのは早計です。OPECは2016年12月10日に非加盟の産油国との間で「協調宣言(Declaration of Cooperation)」をまとめ、2019年には常設の枠組みである「協力憲章(Charter of Cooperation)」を設けています。2020年の需要急減時には、この枠組みで日量970万バレルの生産調整が実施されました。

脱退・加盟停止の履歴も、数字の読み方に効きます。現在OPECに入っていない国のうち、カタール(16位・129.7)は2019年1月1日に脱退、アンゴラ(18位・103.1)は2024年1月1日に脱退、エクアドル(30位・44.1)は2020年1月1日に脱退、インドネシア(25位・58.2)は2016年11月30日の総会で加盟を停止しました。この4か国だけで世界の3.9%にあたります。「OPEC=中東の産油国全体」という理解では、この動きを追えません。

産油量の大きさが、そのまま国の豊かさの順位になるわけでもありません。1人あたりで見たときにどの国が上に来るかは世界の金持ち国ランキングで別に整理しています。産油国に所得税や消費税の負担が軽い国が多いことは、世界の税金が高い国ランキングの裏返しとして見ると分かりやすくなります。

「産油量」には3通りの数え方がある

国際比較でつまずきやすいのが定義です。EIAの国際データでは、液体燃料の生産が「原油・リースコンデンセート」「天然ガスプラント液」「その他の液体燃料」「製油所処理増加分」といった別々の項目に分かれています。このランキングが使っているのは最初のひとつだけです。

図1 同じ「石油の生産量」でも中身が違う

原油・リースコンデンセート

このランキングが使う項目。地下の貯留層から出て、地上の分離設備を通ったあとも常圧で液体のままの炭化水素

天然ガスプラント液(NGPL)

天然ガス処理プラントで回収されるエタン・プロパン・ブタンなど。EIAの原油の定義からは明確に除かれている

その他の液体燃料

バイオ燃料や合成燃料など。産油国とは別の産業構造から出てくる

石油・その他液体燃料(合計)

上の3つを足した数字。ニュースで「産油量世界一」と言うときはこちらを指していることがある

EIAの用語集は、原油(Crude oil)を「地下の自然の貯留層に液相で存在し、地上の分離設備を通過したあとも常圧で液体のままである炭化水素の混合物」と定義しています。天然ガス井の分離設備で液体として回収され、その後に原油の流れへ混ぜられたリースコンデンセートも含むこと、そして天然ガス処理プラントで作られる液体は除かれることが明記されています。

EIA用語集のCrude oilの定義の画面。地下の貯留層に液相で存在し地上の分離設備を通過したあとも常圧で液体である炭化水素の混合物であること、リースコンデンセートを原油の流れに混ぜたものを含むこと、天然ガス処理プラントで生産される液体は除かれることが書かれている
出典:U.S. Energy Information Administration「Glossary – Crude oil」(2026年9月27日確認)

だから、このランキングは厳密な「原油だけ」の順位ではなく、「原油+リースコンデンセート」の順位です。別の資料と数字が合わないときは、順位を疑う前にまず項目名を見比べてください。

単位は「万バレル/日」。年間の総生産量ではない

EIAの元データは1日あたりの平均生産量で公表されています。このページではそれを万バレル/日に換算して表示しています。

図2 数字を読むときに押さえる4点

  • 1日あたりの平均。年間の総量ではありません。1,358.6万バレル/日は、その年に1日平均でそれだけ生産したという意味です
  • 年次データを使っています。月次では季節や事故で振れるため、年ごとの比較には年次が向きます
  • 世界シェアは集計対象の合計に対する割合です。集計から漏れた国・地域がある年は、分母が変わります
  • 対象年(データ年)を必ず確認してください。EIAで新しい年のデータが出そろっていない場合、更新しても数値が変わらないことがあります

参考までに、日本もこのランキングに載っています。順位は81位、生産量は0.3万バレル/日、世界シェアは0.0%です。国内でもわずかに原油を産出していますが、統計上は誤差の範囲に収まる規模です。

世界の産油国ランキング

以下のランキングは、EIAが公表している各国・地域の「原油・リースコンデンセート生産量」をもとに作成しています。国名で検索でき、列見出しを押すと並べ替えられます。

産油国ランキング

データ年:2025年 単位:万バレル/日
順位 国・地域名
日本語
国・地域名
英語
生産量
万バレル/日
世界シェア
概算
1 アメリカ United States 1,358.6 16.1%
2 ロシア Russia 988.5 11.7%
3 サウジアラビア Saudi Arabia 955.6 11.3%
4 カナダ Canada 496.4 5.9%
5 イラク Iraq 438.8 5.2%
6 中国 China 432.5 5.1%
7 イラン Iran 405.1 4.8%
8 アラブ首長国連邦 United Arab Emirates 377.1 4.5%
9 ブラジル Brazil 376.9 4.5%
10 クウェート Kuwait 258.4 3.1%
11 カザフスタン Kazakhstan 204.7 2.4%
12 ノルウェー Norway 185.8 2.2%
13 メキシコ Mexico 172.6 2.0%
14 ナイジェリア Nigeria 160.5 1.9%
15 リビア Libya 136.3 1.6%
16 カタール Qatar 129.7 1.5%
17 アルジェリア Algeria 114.3 1.4%
18 アンゴラ Angola 103.1 1.2%
19 オマーン Oman 100.2 1.2%
20 ベネズエラ Venezuela 97.3 1.2%
21 アルゼンチン Argentina 79.4 0.9%
22 ガイアナ Guyana 74.7 0.9%
23 コロンビア Colombia 74.6 0.9%
24 イギリス United Kingdom 61.6 0.7%
25 インドネシア Indonesia 58.2 0.7%
26 インド India 58.1 0.7%
27 アゼルバイジャン Azerbaijan 56.1 0.7%
28 マレーシア Malaysia 51.3 0.6%
29 エジプト Egypt 50.5 0.6%
30 エクアドル Ecuador 44.1 0.5%
31 オーストラリア Australia 24.6 0.3%
32 コンゴ共和国 Republic of the Congo 24.1 0.3%
33 ガボン Gabon 23.9 0.3%
34 トルクメニスタン Turkmenistan 19.1 0.2%
35 ガーナ Ghana 18.3 0.2%
36 バーレーン Bahrain 17.6 0.2%
37 ベトナム Vietnam 16.5 0.2%
38 タイ Thailand 16.2 0.2%
39 チャド Chad 12.6 0.1%
40 トルコ Türkiye 12.5 0.1%
41 南スーダン South Sudan 11.3 0.1%
42 ニジェール Niger 10.1 0.1%
43 ブルネイ Brunei 10.1 0.1%
44 セネガル Senegal 10.0 0.1%
45 イタリア Italy 8.4 0.1%
46 赤道ギニア Equatorial Guinea 7.6 0.1%
47 シリア Syria 7.5 0.1%
48 デンマーク Denmark 7.2 0.1%
49 カメルーン Cameroon 5.9 0.1%
50 パキスタン Pakistan 5.8 0.1%
51 コートジボワール Côte d’Ivoire 5.5 0.1%
52 ルーマニア Romania 5.2 0.1%
53 トリニダード・トバゴ Trinidad & Tobago 5.1 0.1%
54 ペルー Peru 4.4 0.1%
55 ドイツ Germany 3.2 0.0%
56 パプアニューギニア Papua New Guinea 3.2 0.0%
57 ウクライナ Ukraine 3.1 0.0%
58 スーダン Sudan 3.0 0.0%
59 ウズベキスタン Uzbekistan 3.0 0.0%
60 ベラルーシ Belarus 2.6 0.0%
61 キューバ Cuba 2.5 0.0%
62 チュニジア Tunisia 2.5 0.0%
63 ハンガリー Hungary 2.3 0.0%
64 オランダ Netherlands 2.1 0.0%
65 イスラエル Israel 2.0 0.0%
66 ボリビア Bolivia 1.8 0.0%
67 ポーランド Poland 1.7 0.0%
68 コンゴ民主共和国 Democratic Republic of the Congo 1.6 0.0%
69 イエメン Yemen 1.5 0.0%
70 モンゴル Mongolia 1.4 0.0%
71 アルバニア Albania 1.2 0.0%
72 スリナム Suriname 1.2 0.0%
73 セルビア Serbia 1.1 0.0%
74 フランス France 1.0 0.0%
75 クロアチア Croatia 0.9 0.0%
76 オーストリア Austria 0.9 0.0%
77 ニュージーランド New Zealand 0.8 0.0%
78 ミャンマー Myanmar 0.6 0.0%
79 キルギス Kyrgyzstan 0.6 0.0%
80 グアテマラ Guatemala 0.5 0.0%
81 日本 Japan 0.3 0.0%
82 バングラデシュ Bangladesh 0.3 0.0%
83 東ティモール Timor-Leste 0.2 0.0%
84 チリ Chile 0.2 0.0%
85 ギリシャ Greece 0.1 0.0%
86 チェコ Czechia 0.1 0.0%
87 バルバドス Barbados 0.1 0.0%
88 ブルガリア Bulgaria 0.1 0.0%
89 ベリーズ Belize 0.1 0.0%
90 リトアニア Lithuania 0.1 0.0%
91 フィリピン Philippines 0.1 0.0%
92 南アフリカ South Africa 0.0 0.0%
93 タジキスタン Tajikistan 0.0 0.0%
94 ジョージア Georgia 0.0 0.0%
95 台湾 Taiwan 0.0 0.0%
96 スペイン Spain 0.0 0.0%
97 モロッコ Morocco 0.0 0.0%
98 ヨルダン Jordan 0.0 0.0%
99 スロバキア Slovakia 0.0 0.0%

出典:U.S. Energy Information Administration(EIA)International Energy Statistics。原油にはリースコンデンセートを含みます。世界シェアはEIAの世界合計値、取得できない年は掲載国合計を基準に算出しています。

調査方法

データ出典

米国エネルギー情報局(U.S. Energy Information Administration、以下EIA)が公表している国際エネルギーデータを使用しています。対象は「原油生産量(リースコンデンセートを含む)」です。EIAは国・地域別の生産量を年次および月次で公開しています。

集計期間と対象

国別データが十分に公開されている最新年を使用します。年ごとの比較がしやすいよう、月次ではなく年次データを採用しています。掲載時点の対象年は2025年で、集計されている国・地域は99です。

順位の計算方法

各国・地域の年間平均生産量(万バレル/日)が多い順に順位を付けています。世界シェアは、集計対象の生産量合計に占める割合です。生産量が同じ場合は、EIAの元データの並び順に従います。

よくある質問

なぜアメリカが1位なのですか

EIAの2025年データで、アメリカの原油・リースコンデンセート生産量が1,358.6万バレル/日と最も多いためです。世界シェアは16.1%で、2位のロシア(988.5)とは370万バレル/日の差があります。

OPECのシェアはどれくらいですか

加盟12か国の合計は約2,999.0万バレル/日で、世界シェアは35.7%です(EIA 2025年データを合算)。上位3か国の合計39.1%には届きません。

埋蔵量が多い国のランキングとは違いますか

違います。このランキングはその年にどれだけ生産したかの順位で、地下にどれだけ残っているかの順位ではありません。生産量が少なくても埋蔵量が大きい国、逆に埋蔵量の割に生産量が多い国があります。

ほかの資料と数字が合いません

多くの場合、比べている項目が違います。EIAの国際データでは「原油・リースコンデンセート」「天然ガスプラント液」「その他の液体燃料」が別の項目で、それらを足した「石油・その他液体燃料」で並べると順位も数値も変わります。まず項目名と対象年をそろえてください。

ランキングはいつ更新されますか

EIAの公開状況を定期的に確認し、新しい年のデータが出そろった時点で反映します。EIA側で更新がない期間は、順位や数値が変わりません。

参照した一次情報

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