アジア人差別が多い国ランキングとは

アジア人差別が多い国ランキングとは、各国で報告されたヘイト事案のうち、アジア系住民やアジア系と推定される人々に関連する差別リスクを、公開データから比較したランキングです。

ただし、このランキングは、「実際にアジア人差別が最も多い国」を断定するものではありません。差別やヘイトクライムは、国によって記録方法や通報率が大きく異なります。たとえば、被害者が警察に通報しないケース、警察が人種差別として記録しないケース、市民団体による報告体制が弱いケースなどがあります。

そのため、本ランキングでは、OSCE ODIHRの2024年ヘイト事案データをもとに、比較しやすい複数の要素を使って、アジア系ヘイト関連リスクをスコア化しています。

本ランキングで使う主な指標

本ランキングでは、以下の6つの指標を使います。

指標内容評価の意味
アジア系関連候補件数説明文にアジア系関連語が含まれる事案数アジア系ヘイトを直接示す可能性がある
アジア系関連候補比率人種差別・外国人嫌悪件数に占めるアジア系関連候補の割合その国の人種差別事案の中でアジア系関連が目立つか
人種差別・外国人嫌悪件数Racist and xenophobic hate crimeの件数アジア系ワードがなくても、人種差別リスクを補足する
対人暴力件数暴行など人に対する攻撃の件数被害の深刻度を見る
脅迫・ハラスメント件数脅迫、嫌がらせ、威嚇などの件数日常生活での差別リスクを見る
財産への攻撃件数店舗、住宅、施設、公共物などへの攻撃件数社会的な敵意の表れを見る

アジア系関連候補とは

アジア系関連候補とは、ODIHRデータ内の説明文に、以下のようなアジア関連語が含まれる事案を指します。

  • Asian
  • anti-Asian
  • Chinese
  • Japanese
  • Korean
  • Taiwanese
  • Vietnamese
  • Filipino
  • Indian
  • Pakistani
  • Bangladeshi
  • Sri Lankan
  • Nepalese
  • Afghan
  • Uzbek
  • Kazakh
  • Kyrgyz
  • Tajik
  • Turkmen

ただし、これらは機械的に抽出した候補です。

たとえば、説明文に「Asian」という語が含まれていても、それが被害者の属性を示しているとは限りません。逆に、アジア系住民が被害を受けていても、説明文に国籍や民族名が書かれていなければ抽出されません。

そのため、アジア系関連候補が0件の国でも、アジア人差別が少ないとは限りません。

評価基準

本ランキングでは、各国の件数をそのまま足し合わせるのではなく、各指標をスコア化してから合成します。

スコアの重み

分類指標重み評価の考え方
直接指標アジア系関連候補件数35%アジア系に関連する可能性がある事案数を評価
直接指標アジア系関連候補比率20%人種差別事案の中でアジア系関連がどれだけ目立つかを評価
補助指標人種差別・外国人嫌悪件数25%アジア系ワードがなくても、人種差別全体が多い国は加点
深刻度対人暴力件数10%身体的被害を伴うリスクを評価
生活リスク脅迫・ハラスメント件数5%日常的な嫌がらせや威嚇の多さを評価
社会的敵意財産への攻撃件数5%店舗や施設などへの攻撃を評価

アジア系関連候補件数と候補比率を合計55%にしているのは、このランキングの主目的がアジア系に関する差別リスクを見ることにあるためです。

一方で、アジア系ワードが記録されていない国でも、アジア人差別が少ないとは限りません。そのため、人種差別・外国人嫌悪件数にも25%の重みを置き、広い意味での人種差別リスクも反映しています。また、対人暴力、脅迫・ハラスメント、財産への攻撃を合計20%入れることで、単なる報告件数だけではなく、被害の深刻度や生活上の不安も反映する設計にしています。

スコアの見方

スコア解釈
80点以上ODIHRデータ上、アジア系ヘイト関連リスクがかなり高く出ている
60〜79点アジア系関連候補、または人種差別・外国人嫌悪事案が多い
40〜59点人種差別・外国人嫌悪の報告が一定数あり、アジア系住民も影響を受ける可能性がある
20〜39点報告件数は中程度または限定的
0〜19点ODIHRデータ上は低く出ているが、実際に差別が少ないとは限らない

ランキングを見るときは、以下の点に注意が必要です。

  • 報告件数は、実際の発生件数と同じではありません。
  • 国ごとに警察の記録制度や通報制度が異なります。
  • 市民団体の活動が活発な国ほど、件数が多く出やすくなります。
  • アジア系人口が多い国ほど、件数が増えやすい可能性があります。
  • 人口比や在住アジア系人口比では補正していません。
  • アジア系関連候補はキーワード抽出であり、公式のAnti-Asian統計ではありません。
  • アジア系関連候補が0件でも、アジア人差別が少ないとは限りません。

アジア人差別が多い国ランキング

スコアが高い国ほど、OSCE ODIHRに報告されたデータ上で、アジア系関連候補、人種差別・外国人嫌悪、対人暴力、脅迫・ハラスメント、財産への攻撃などが総合的に目立つ国と評価しています。ただし、このスコアはあくまで公開データをもとにした相対評価です。実際の差別発生率、人口比、在住アジア系人口の規模、旅行者数、通報率、警察の記録制度、報告団体の活動量などは十分に反映できていません。

国名(日本語)アジア人ヘイトスコア報告事案件数人種差別・外国人嫌悪アジア系関連候補対人暴力脅迫・ハラスメント財産への攻撃
ロシア連邦83.82121971524911
英国79.88591487162374323
イタリア72.22525456843141
オーストリア70.4154635404272
チェコ66.39545441459
クロアチア65.922114949
ドイツ61.430645311362131
カナダ57.871463193814
スイス52.8202482808735
フランス52.7333103253143137
ギリシャ50.687462462021
キプロス50.613921012
アメリカ合衆国39.8172277702312811210
スロバキア34.0731340
タジキスタン32.8511230
ボスニア・ヘルツェゴビナ23.688630201751
トルコ22.979420361231
ポーランド19.71521902029103
スペイン19.0127150242380
セルビア14.2633027306
アルメニア13.9493027211
ウクライナ13.0971061288
カザフスタン12.0621035270
ノルウェー11.41150542
ウズベキスタン9.2590032270
北マケドニア9.2840314
ブルガリア8.71130254
ハンガリー8.5920711
ベルギー8.31820369
オランダ8.317205210
モルドバ8.114101121
アイスランド7.11510627
デンマーク6.91310445
アゼルバイジャン6.5430103
ジョージア5.81700791
ベラルーシ5.41400842
アイルランド5.11010307
キルギス4.61100461
スウェーデン4.11210057
ルーマニア3.1500311
リトアニア2.614002111
スロベニア2.5700304
トルクメニスタン1.3100100
ラトビア0.614000113
モンテネグロ0.6100010
フィンランド0.0300003
ポルトガル0.0200002

出典:OSCE ODIHR「Hate Crime Reporting Website」2024年インシデントデータ、および「ODIHR’s 2024 Hate Crime Report」をもとに作成

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