「ニュージーランド不動産って買えるですか?」
「ニュージーランド不動産投資ってどうなんですか?」

ニュージーランド不動産の購入、ニュージーランド不動産投資を検討している方もいるかと思います。今回は、ニュージーランド不動産投資、ニュージーランド不動産の買い方・メリットデメリット・リスク・利回り・税金まで、徹底的に検証したいと思います。

目次

そもそも、ニュージーランド不動産は、日本在住の日本人が買えるの?

条件付きですが、条件をクリアできる物件であれば、買えます。

海外投資法(Overseas Investment Act)

ニュージーランドでは、不動産購入に関して海外からの投資家に対して一定の制限があります。

主なポイントは以下の通りです。

居住用不動産(住宅)

2018年以降、ニュージーランド国外の居住者が既存の住宅を購入することは原則禁止されています。ただし、例外として特定の条件を満たす場合(例えば、開発用の土地を購入して新しい住宅を建設する場合)には許可が下りる可能性があります。

ニュージーランドの中古住宅購入規制について

2018年8月22日、ニュージーランドで「海外投資法改正法2018(Overseas Investment Amendment Act 2018)」が成立し、2018年10月22日から施行されました。

法律のポイント:非居住外国人による中古住宅の購入禁止

ニュージーランド国民または永住権保持者以外の人が、中古住宅を購入することができなくなります。ワークビザや学生ビザで滞在している人も購入禁止の対象です。

ただし、ニュージーランド国民やシンガポール国民は、自由貿易協定(FTA)の特例により、この規制の対象外です。

ニュージーランド政府は、住宅価格の高騰が国民の住宅購入を困難にしていると判断しました。この法律は、住宅市場を国際市場ではなく国内市場として管理することで、国民が住宅を購入しやすくすることを目指しています。

元々の海外投資法では、水源や広大な土地の購入、または外国人投資が1億ニュージーランドドル(約74億円)を超える場合に、国土情報省の海外投資局(OIO)による審査が必要でした。今回の改正により、中古住宅も審査対象に含まれることになりました。

非居住外国人による中古住宅購入が禁止されることで、ニュージーランド国民が住宅を購入しやすい環境を作ることを目的としています。規制は一部の自由貿易協定加盟国(ニュージーランド、シンガポール)には適用されません。

一方で、外国人による住宅購入の割合は全体の3.3%程度と少なく、野党は法律の実効性に疑問を呈しています。この法律は、住宅市場の安定化と国民の住宅所有を促進する一方で、外国からの投資を制限する新たな規制として注目されています。

商業用不動産や農地

商業用不動産や農地などは、別途許可が必要な場合がありますが、居住用不動産に比べ規制は緩やかです。

つまり

  • ニュージーランド在住の日本人 → 居住用不動産の購入が可能
  • ニュージーランド非在住の日本人 → 居住用不動産の購入が不可

ということです。

しかし、この「海外投資法」は、商業用不動産や農地は非対応です。

例えば、短期滞在用の宿泊施設として購入できる物件であれば、ニュージーランド非在住の日本人でも、ニュージーランド不動産を購入することができるのです。

ニュージーランド不動産を購入したいニュージーランド非在住の投資ニーズに合わせて、商業用で売買できる物件のニーズがニュージーランドでは高まっています。

ニュージーランドという国とは?

概要

投資先ニュージーランド不動産
国名ニュージーランド
面積(k㎡)270,467k㎡
日本との比較0.7倍
人口5,005,882人
日本との比較0.04倍
首都ウェリントン
民族
言語英語、マオリ語
宗教キリスト教32.3%、無宗教51.5%
通貨ニュージーランドドル(NZD)
政策立憲君主国
主要産業乳製品、肉類、木材・木製品、果実類、水産品、ワイン、羊毛類
日本からの移動時間10.5時間
為替変動相場制
格付けS&P AA
フィッチ AA
ムーディーズ Aaa

ニュージーランドは、オセアニアに位置する島国で、南西太平洋に浮かぶ北島と南島、そして多くの小さな島々から成り立っています。首都はウェリントンで、最大の都市はオークランドです。豊かな自然環境と温暖な気候に恵まれ、観光や農業が盛んな国です。

日本人からすれば「羊」「ラグビー」「ロード・オブ・ザ・リング」などのイメージが強く、雄大な自然やアウトドアアクティビティが楽しめる国という印象があります。世界的にも、治安の良さや教育水準の高さ、自然景観の美しさから、観光地や移住先として人気があります。

国土は日本の約70%の面積ですが、人口は約500万人と少なく、都市部よりも自然豊かな地域が広がっています。特に、南島は雄大な山脈や氷河湖があり、北島には活火山や温泉地が点在しています。地震が多い地域でもありますが、自然と共生するライフスタイルが特徴です。

気候は地域によって異なりますが、概ね温暖で過ごしやすく、夏の平均気温は20~25℃、冬は10℃前後です。四季があるものの、日本ほどの寒暖差は少なく、過ごしやすい気候です。

経済

ニュージーランドの経済は農業、畜産業、観光業が中心です。特に乳製品(粉ミルクやバター)、羊毛、肉類、ワインなどの農産物が主要な輸出品です。自由貿易を積極的に推進しており、オーストラリアや中国、日本などと自由貿易協定(FTA)を結んでいます。

観光業も経済の重要な柱であり、美しい自然環境を求めて世界中から多くの観光客が訪れます。映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『ホビット』のロケ地としても有名で、映画ツーリズムも盛んです。

経済は安定しており、政治的にも安定した民主主義国家で、ビジネス環境も整備されています。透明性の高い経済システムや法制度が整っており、外国人投資家にとっても安心して投資できる環境が整っています。

ニュージーランドの名目GDPは、2023年時点で約2500億ドルで、世界ランキングでは50位前後です。人口規模に対して安定した経済成長を遂げており、1人当たりのGDPは比較的高い水準を維持しています。

ニュージーランド不動産最新動向

ニュージーランドの不動産市場は、2025年1月時点で以下の動向が見られます。

住宅市場

  • 価格上昇予測: ニュージーランド準備銀行(RBNZ)の低金利政策の影響で、住宅市場は回復基調にあり、2025年には住宅価格が6%上昇すると予測されています。
  • オークランドの宅地造成: 人口増加に伴い、オークランドでは宅地造成が加速しており、売り手市場への転換が期待されています。

オフィス市場

  • 需要の変化: リモートワークの普及や企業の働き方改革により、オフィス需要の再評価が進んでいます。一部地域では空室率の上昇が見られるものの、都市部では引き続き安定した需要が維持されています。

商業不動産市場

  • 小売業の回復: 観光業の再開や消費者信頼感の向上により、主要都市のショッピングモールや小売施設の活気が戻りつつあります。特に観光地では小売業の回復が顕著です。
  • 物流施設への需要増: eコマースの成長に伴い、物流施設や倉庫物件への需要が拡大しています。主要都市周辺では新規の倉庫開発が進行中です。

経済成長と影響

  • GDP成長率: ニュージーランド経済は堅調な成長を続けており、2025年のGDP成長率は3.5%と予測されています。これは不動産市場にも好影響を与えると期待されています。
  • インフレと金利: 高インフレと高金利の影響で、住宅ローンの申請数に減少が見られます。しかし、RBNZの金利引き下げにより、今後の改善が期待されています。

法規制の変更

  • 外国人投資家への規制: 2018年の海外投資法改正により、非居住外国人による中古住宅の購入が禁止されています。これにより、国内居住者の住宅購入が促進されています。

外国人投資家への影響

  • 商業用不動産への関心: 居住用不動産の購入規制により、外国人投資家は商業用不動産や開発プロジェクトへの投資に関心を移しています。これらの分野では引き続き投資機会が存在します。

全体的な展望

ニュージーランドの不動産市場は、経済成長や人口増加を背景に、住宅や商業物件への需要が高まっています。一方で、政策や規制の影響もあり、市場動向を注視する必要があります。

ニュージーランド不動産が不動産投資で注目される理由・メリット

1.人口は緩やかながら増加傾向

ニュージーランドの人口は、500万人強と多くはないものの、ニュージーランドは移民や留学生の増加により、人口は緩やかに増加しており、経済が成長している国の中では、安定している点が魅力と言えます。

特にオークランドやウェリントンなどの都市部では賃貸物件の需要が非常に高いです。

ニュージーランドの総人口推移

出典:United Nations 2024

2.GDPも緩やかながら増加傾向

ニュージーランドは「乳製品の輸出」「農業および畜産業」「観光業」が主な主要産業となっています。同時に、ニュージーランドは移民政策を緩和しており、特に技能労働者を対象とした移民が増加しています。結果として、GDPも、波があるものの、長期的には順調に増加しています。

ニュージーランド GDP


3.透明性の高い不動産市場

ニュージーランドは「グローバル不動産透明性指数(Global Real Estate Transparency Index)」で、毎年10位前後に位置する、不動産投資の透明性の高い市場となっています。

不動産取得手続きが迅速で、登記がしやすい点と、法的枠組みの透明性、詐欺リスクが低い点が高く評価されているため、不動産投資家にとっては、安心して投資できるメリットがあります。

ニュージーランドは「ビジネスのしやすさランキング(Ease of Doing Business)」でも、毎年上位にランクインしています。

4.都市部で高まる賃貸需要

ニュージーランドは移民や留学生の増加により、住宅需要が高まっています。特にオークランドやウェリントンなどの都市部では賃貸物件の需要が非常に高いです。

ニュージーランドの賃貸市場は好調で、家賃収入が安定して得られる環境が整っています。

  • 高い利回り: 賃貸利回りが比較的高い地域が多い。
  • 需要供給のバランス: 住宅供給が需要に追いついていない状況が続いている。

その理由として、以下が挙げられます。

安全で安定した生活環境

ニュージーランドは、政治的に安定し、犯罪率が比較的低いため、安全で暮らしやすい国として評価されています。

  • 世界平和度指数(Global Peace Index): 常に上位にランクイン。
  • 自然災害への対応力: 高い防災意識とインフラの整備。

ニュージーランドの教育機関は世界的に高い評価を受けている

  • 大学の国際ランキング: オークランド大学やオタゴ大学などが上位にランクイン
  • 移民政策と教育の連携: 留学後の就労ビザや移住への道が整備されている

魅力的な移民政策がある

  • スキル移民カテゴリー(Skilled Migrant Category): 特定の職種における専門スキルを持つ移民を優遇。
  • 就労ビザの柔軟性: 留学生や一時的な労働者が永住権を取得しやすい。

5.治安の良い国

ニュージーランドは、世界平和度指数(Global Peace Index)で、常に上位にランクインするほど治安の良い国です。暮らしやすい街であることは、富裕層などを引き付ける大きな要因となります。

将来的な不動産価格の上昇も見込めるポイントと言えます。

6.経済的な安定性・労働市場の安定

ニュージーランドは経済が安定しており、労働市場も比較的強い状態が続いています。

  • 低失業率: 移民にとって仕事を見つけやすい環境。
  • 移民による需要拡大: 経済成長を支える要素にもなっている。

経済が大きく伸びることも考えにくいですが、大きく減速することも考えにくく、安定性の高さが魅力です。

7.厳しい建築基準。自然災害に強い建築基準

ニュージーランドは地震の多い国ですが、建築基準が厳格で、不動産の耐久性が高いです。これは日本の不動産に似ています。

  • 地震対策: 現代的な建築規則により耐震性が向上。
  • 保険システムの充実: 災害に備えた保険制度が整備されている。

8.税制の優位性

ニュージーランドにはキャピタルゲイン税(譲渡益税)が基本的に存在しません。ただし、短期売却の場合など例外もあるため注意が必要です。

  • 税負担の軽減: 長期投資において有利な税制。
  • シンプルな税制: 税務手続きがわかりやすい。

9.長期的な成長ポテンシャル

ニュージーランドは持続可能な成長を目指しており、不動産市場も長期的な上昇が期待されています。

  • 人口増加: 移民政策や高い出生率が住宅需要を支える。
  • 観光業の拡大: 海外からの訪問者増加が地域経済を活性化。

10.外国人投資家の投資制限によって、投資価格が抑えられている

2018年以降、ニュージーランド国外の居住者が既存の住宅を購入することは原則禁止されています。

当然、投資をする方が減るため、投資価格の高騰が抑えられていて、投資条件さえクリアできれば、他の国よりは、低価格で不動産を購入することができます。

ニュージーランド不動産の不動産投資におけるデメリット・リスク

1.外国人投資規制がある

ニュージーランド不動産では、「外国人投資規制」が導入されているため、海外に居住する外国人は、自由な投資ができません。

抜け道として、商業不動産投資(例えば、ホテル・一等アパートメント)などに投資することができますが、一般的な住居への投資ができません。

当然、住居への投資ができないため

  • 投資する選択肢が少なくなる
  • 流動性が低い

というデメリットがありますが、

  • 投資する人が制限される = 不動産価格の上昇が限定される

というデメリットも出てきてしまいます。

2.すでに一定レベルの成熟市場である

ニュージーランドは、経済的にある程度成熟した国であるため

  • 不動産投資の安定感や透明性はある一方で、急激なキャピタルゲインは期待しにくい

というデメリットがあります。

物価の変動を見ても、直線的な上昇ではなく、上下動を伴う上昇になっています。

ニュージーランド 消費者物価指数


3.都心部の不動産は、すでに一定レベルの価格帯になっている

ニュージーランドは、すでに発展している国であるため

  • 不動産価格は、一定レベルの高価格帯になっている

というデメリットがあります。

ニュージーランド、特にオークランドやウェリントンの不動産市場は価格が非常に高く、初期投資額が大きいです。市場が過熱している時期に購入すると、価格調整で損失を被るリスクがあります。

4.税金は高めの国

ニュージーランドは、キャピタルゲイン税はないものの、所得税や付加価値税など、税金は高めの設定の国です。

日本と同等のレベルの税金になってしまうため、税金面のメリットは手薄となっています。

また、不動産に関連する税制(例: キャピタルゲイン課税、印紙税など)が変更される可能性があり、投資の収益性に影響を及ぼすことがあります。

5.自然災害の影響がある

ニュージーランドは地震活動が活発な地域であり、特にウェリントンなどでは地震のリスクが高いです。また、一部地域では洪水や火山活動のリスクもあります。自然災害は物件の価値や保険費用に直接的な影響を与える可能性があります。

また、ニュージーランドの住宅は、特に耐久性や断熱性能が課題となる場合があり、修繕やメンテナンスに予想外のコストがかかることがあります。

6.賃貸規制が強い

ニュージーランドでは、借主保護が強化されており、賃貸契約の解約や家賃の引き上げが制限される場合があります。

7.為替リスクがある

不動産取引や収益がニュージーランドドル建てで行われるため、為替相場の変動が投資収益に影響を与える可能性があります。母国の通貨がニュージーランドドルに対して弱くなると、実質的な利益が減少する可能性があります。

ニュージーランドの為替「NZD/JPY」

ニュージーランドの為替「NZD/USD」

ニュージーランド不動産価格推移

ニュージーランド(全国)住宅価格指数推移

全住宅(2003年第4四半期=100)


出典:Global Property Guide 2025年7月最新データ

ニュージーランド(全国)住宅価格指数推移変動率

全住宅(2003年第4四半期=100)


出典:Global Property Guide 2025年7月最新データ

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ニュージーランドの物価(給料・家賃・不動産価格・住宅ローン金利)

ニュージーランド不動産に投資するうえでは、ニュージーランドの物価を抑えておく必要があります。

ニュージーランド物価の中でも、水・レストラン・家賃・不動産価格などを東京と比較しています。また、物価ではありませんが、平均給料・住宅ローン金利の数値も東京と比較しました。

ニュージーランド(オークランド)と日本(東京)の物価比較

都市/国東京/日本オークランド/ニュージーランドオークランド/ニュージーランド
通貨NZDNZD
データ計測日時2025/112025/112025/11
データ計測時点の為替1円88.09円88.09円
物価平均平均(円換算)比率(対東京)
安いレストランでの食事1,200円2,202円184%
一般的なレストラン・2名・3コース6,600円11,452円174%
マクドナルドのバリューセット750円1,409円188%
国産生ビール(0.5リットル)600円1,057円176%
水・ボトル(1.5リットル)129円176円137%
タクシー 1km(通常料金)500円264円53%
ガソリン(1リットル)178円264円148%
シティセンターのアパートメント (1 ベッドルーム)158,384円192,212円121%
アパートメント (1 ベッドルーム) センター外93,938円167,371円178%
市内中心部のアパート購入の平方メートルあたりの価格1,618,828円1,124,469円69%
センター外のアパート購入の平方メートルあたりの価格792,363円910,851円115%
平均月給(税引後)386,814円474,453円123%
住宅ローン金利 (%)、年間、20 年間固定金利1.63%6.33%394%

ニュージーランド不動産の買い方

ニュージーランド不動産に強い日本人スタッフがいる、日本人が運営する不動産会社に依頼するのが一番確実な方法です。

ニュージーランド不動産は、多くの日本人の不動産会社が進出しています。だからこそ、買い手側(投資家側)のニーズをくみ取って、物件を紹介し、不安を払しょくしてくれる、信頼できる不動産会社を見つける必要があります。

多くの選択肢がある反面、ニュージーランドで不動産会社が儲かると思って、出てきた新しい会社も少なくありません。ネットワークが少ないと、デメリットも多いので注意が必要です。

おすすめのニュージーランド不動産物件情報

ニュージーランド不動産最新動向/2025年12月時点

マクロ環境・金利

  • 景気とインフレ
    ニュージーランド経済は、2024年以降の金融引き締めの影響を受けて、直近5四半期のうち3四半期がマイナス成長と、実質的なリセッション局面を経験しました。住宅価格下落による「逆資産効果」で個人消費が冷え込んでおり、成長ペースは依然として鈍い状態です。
    物価はピークからは落ち着きつつあり、中央銀行(RBNZ)は2026年半ばにインフレ率を2%目標近辺に収れんさせるシナリオをベースケースとしています。
  • 政策金利(OCR)
    2025年11月の会合で、RBNZはオフィシャル・キャッシュレート(OCR)を2.25%へ0.25%引き下げました。これは約3年ぶりの低水準で、2024年8月以降の累計利下げ幅は3.25%ポイントに達します。一方で、RBNZは「利下げサイクルの終盤」にあるとの認識を示し、2026年までは概ね横ばい圏で推移させるガイダンスを出しています。
  • 住宅ローン金利の実務感
    OCRの引き下げを受け、主要銀行の優遇固定金利(1年)は4%台半ば、2〜3年固定も4%台半ば〜後半が目安です。変動金利は5%台後半〜6%前後が一般的な水準となっています。
    かつての6〜7%台からみると借入負担は軽くなりましたが、家計の所得伸び悩みと住宅価格水準の高さを踏まえると、「劇的に買いやすくなった」というほどではなく、慎重な見方が多いです。

住宅(分譲・賃貸)

  • 価格水準とトレンド
    ・パンデミック期(〜2021年末)に住宅価格は全国平均で約40%上昇した後、その反動で下落に転じ、ピークから最大30%下落した地域もあり、全国平均ではピーク比約15%安の水準にあります。
    ・REINZ統計では、2025年6月時点の全国中央値は約77万NZドルで前年比ほぼ横ばい。オークランドは約99万NZドルで前年比マイナス3%台、オークランドを除く全国は+1〜2%程度の小幅高です。
    ・2025年通年の価格予測は、民間銀行・調査機関で+2〜4%程度の「小幅上昇」がコンセンサスで、「かつてのような二桁上昇は期待しづらい」との見方が大勢です。
  • 取引ボリュームと需要層
    ・売買件数は長期平均付近に戻りつつあるものの、勢いは強くないという評価です。利下げと移民回復で需要はじわり戻る一方、売却を急ぐ投資家や高齢所有者の売りも一定程度あり、需給は拮抗気味です。
    ・自宅取得層では、共働き世帯+高頭金(20%超)を用意できる層が主役で、LVR制限(低頭金ローン規制)は若干緩和されつつも「フルローンでの投資目的購入」は通りにくい環境です。
  • 賃貸市場の動き
    ・2025年に入り、賃貸供給が増加しています。新規賃貸募集件数は前年比+10〜20%程度増え、在庫も2割前後積み上がっているとの民間データがあります。
    ・その結果、全国平均の募集家賃は横ばい〜わずかに下落の局面で、生活コスト全般が上がる中で「家賃だけは落ち着いている」という珍しい状況です。ただし、
  • オークランド:2ベッドで週600〜950NZドルと依然高水準
  • クライストチャーチ:週380〜580NZドルと相対的に割安
    と、地域差はかなり大きいです。
    ・政府は2025年10月にメタンフェタミン汚染に関する新基準と管理ルールを導入し、賃貸住宅の安全性・品質管理の強化を進めています。
  • 資金調達と審査
    ・RBNZのLVR規制(高LTVローン制限)は緩和方向ですが、銀行は返済能力(DTI)・雇用の安定・他債務を厳格にチェックする姿勢を維持しています。
    ・利下げにより返済額は軽くなったものの、インフレ期に比べて可処分所得が圧迫されている家計も多く、銀行はストレステスト金利をある程度高めに設定して審査を行っています。

オフィス

  • 空室率と「フライト・トゥ・クオリティ」
    オークランドCBDのオフィス空室率は2025年前半で約16〜17%と、コロナ前比で高水準が続いています。プライムオフィスの空室率が約13%、セカンダリー(Bグレード)では20%超と二極化が鮮明です。
    ・ウェリントンCBDも、H1 2025時点で空室率18%(前年14.3%)へ上昇。特に古いBグレードの空室増が目立つ一方、耐震性能や設備に優れたプライムビルは比較的良好に保たれています。
  • 賃料とテナント動向
    ・グレードの高いビルでは、ESG対応・耐震・空調などのスペックを重視した移転が続いており、ハイブリッドワーク前提で面積縮小+質の向上を図るテナントが多いです。
    ・一方、古いビルはフロアの細分化、共用部リニューアル、サービスオフィス化などによる再ポジショニングをしないと入居付けに苦戦する状況です。

リテール・商業

  • CBDと郊外での明暗
    ・オークランドCBDのストリートリテール空室率は11〜13%台と、テレワーク定着・観光回復の遅れなどを背景に高止まりしています。
    ・一方で、郊外の近隣型ショッピングセンターや地方都市のメインストリートでは、生活関連サービス・飲食・医療などを中心に稼働率が安定〜改善。コロナ期に進んだ「住む・働く・買い物を近場で完結」するトレンドが追い風です。
  • 賃料と投資妙味
    ・CBD一等地のプライム路面区画は依然としてブランドテナント中心に指名性が強く、賃料は横ばい〜わずかに下落にとどまっています。
    ・二等立地や観光客依存度の高いエリアでは、売上連動賃料(%レント)やインセンティブ(フリーレント・内装支援)を組み合わせてテナントを誘致するケースが増加しています。

物流・工業

  • 依然として最もタイトなアセットクラス
    ・工業・物流セクターはここ数年、NZで最もパフォーマンスの良い不動産セクターであり、主要工業エリアの空室率は歴史的低水準のまま推移してきました。
    ・2025年に入り、一部地域で空室がじわり増加しているものの、それでも他セクターに比べればタイトで、テナントからの選択肢が増えた「小休止」程度という評価が多いです。
  • 賃料・土地と投資環境
    ・ここ数年の供給不足とEコマース拡大を背景に、工業賃料は大きく上昇してきましたが、2025年は上げ一服〜小幅高の局面です。
    ・主要都市近郊では工業用地の供給制約が続き、土地価格・開発コストは高止まり。初期利回りは圧縮されているものの、長期の安定賃貸とリース構造を評価する長期投資家の需要は底堅いです。

ホテル・観光関連不動産

  • 観光回復と地域差
    ・2025年時点で、国際観光客数はコロナ前(2019年)の約86〜92%まで戻り、観光支出はむしろ過去最高を更新しています。
    ・パフォーマンスは地域差が大きく、
  • クイーンズタウン・ロトルア・クライストチャーチ:レジャー需要が強く、RevPAR・稼働率とも好調
  • オークランド・ウェリントン:企業出張・MICEの回復が遅れ、供給増もあって競争が激しい
    という構図です。
  • パイプライン
    ・コロナ後に計画された新規供給は最終段階に入りつつあり、今後数年は大規模な新規ホテル開発は限定的とみられます。既存ホテルの改装・ブランド転換など、質の向上に投資余地がシフトしています。

REIT・資本市場(上場不動産)

  • 価格とパフォーマンス
    ・2025年は、前半に金利高と景気懸念で弱含んだ後、利下げ期待を背景にREIT指数が反発。S&P/NZX不動産指数は2025年9月時点で年初来+17〜18%程度と、株価指数(S&P/NZX50)を大きく上回るリターンとなっています。
  • 配当利回り
    ・セクター平均では、税引前の分配利回りでおおむね5〜7%、39%税率投資家ベースで換算した「実質インカム利回り」は8%超との試算もあります。
    ・個別には、倉庫中心のトラストは利回りがやや低めな代わりに成長期待が高く、リテール・オフィス比率の高い銘柄ほど利回りが高い傾向があります。

制度・規制トピック

  • ブライトライン・テスト(短期売却益課税)の短縮
    ・2024年7月1日以降に売却される住宅用地については、ブライトライン期間が最大10年から2年に短縮されました。2年以内の転売益は依然として課税対象ですが、期間短縮により短期保有の税負担は軽くなり、投資家の流動性は高まりやすい環境になっています。
  • 利息控除ルールの見直し
    ・投資用住宅ローン金利の税務上の扱い(利息控除)については、近年の段階的な制限から一部緩和方向への修正が進められており、特に新築供給を促す枠組みが議論されています。
  • 外国人の住宅取得規制
    ・従来通り、非居住外国人による「住宅・ライフスタイル用途ゾーニング土地」の取得は原則として敏感資産扱いとなり、海外投資審査局(OIO)の承認が必要な枠組みが続いています。完全な撤廃ではなく、規制の簡素化・見直しオプションが政府内で検討されている段階です。

投資家への示唆(セグメント別)

  • 住宅
    ・住宅価格はピークから大きく調整済みで、現状は「横ばい〜緩やかな持ち直し」局面です。
    ・自宅取得を検討する層にとっては、
  • 金利が4〜5%台と以前より低下
  • 価格がピーク比15%程度下がった
    ことで、「長期保有前提なら、過去数年より入りやすいタイミング」といえます。一方で、短期転売益狙いの投資には向きにくい環境です。
  • 賃貸住宅(投資用)
    ・賃料が頭打ち〜若干軟化する中で、固定資産税・維持費・金利の負担は依然重く、レバレッジを高く取った投資は収益が出にくい局面です。
    ・一方、好立地・高品質な賃貸住宅では、空室リスクが低く長期入居者がつきやすいため、キャッシュフロー重視の長期保有戦略であれば検討余地があります。
  • オフィス
    ・CBDオフィスは空室率15〜18%と厳しく、Bグレード中心のビルはリースアップ・CAPEX負担を織り込んだ慎重な評価が必要です。
    ・ESG・耐震性能・立地に優れたプライムビルは相対的に底堅く、「フライト・トゥ・クオリティ」の受け皿として中長期的には安定した需要が見込まれます。
  • リテール
    ・地方都市・郊外の生活密着型リテールは、緩やかな経済成長と人口動態に連動した安定収益源となりやすい一方、CBDリテールはテナント入替リスクが高く、賃料減額やインセンティブを前提とした保守的な収支シナリオが必要です。
  • 物流・工業
    ・需給はやや緩みつつあるものの、依然としてNZの中で最も構造的に強いセクターです。港湾・高速道路アクセス、天井高、ヤード容量などを精査したうえで、長期リースのテナント付き物件は中期的な安定キャッシュフロー源として魅力があります。
  • REIT・上場不動産
    ・利下げ環境・不動産市場のボトムアウト期待を背景に、2025年は価格リバウンド+高配当の両取りができた年でした。
    ・今後は値上がり期待はやや落ち着く一方、配当利回り(5〜7%)とインフレヘッジ機能が評価されやすく、コア資産としての位置づけが強まっています。

リスク・留意点

  • 住宅価格の再下落リスク
    ・すでに大きく調整したとはいえ、景気が再び悪化した場合や失業率が上振れした場合には、住宅価格がもう一段下押しされるリスクがあります。
  • 金利の再上昇・政策変更
    ・RBNZは当面の据え置きを示唆していますが、世界的なインフレ再燃や通貨安が進めば、金利再引き上げの可能性もゼロではありません。
  • オフィス・リテールの構造変化
    ・リモートワークとECの定着により、オフィス・リテールの需要構造はコロナ前には戻らないと見る向きが多数です。立地や用途転換余地をしっかり評価しないと、長期空室・賃料下落に直面するリスクがあります。
  • 規制・税制の不確実性
    ・ブライトラインテストや利息控除ルール、外国人取得規制などは、政権交代や財政事情により再度見直される可能性があります。中長期投資では、税務・法務面のアップデートを継続的にフォローする必要があります。

まとめ

2025年末のニュージーランド不動産市場は、

  • 住宅:ピークからの大幅調整後、横ばい〜緩やかな回復局面
  • 賃貸:供給増で家賃は抑えられ、借り手に有利な環境
  • オフィス:CBD・セカンダリーの空室率が高く、フライト・トゥ・クオリティが顕著
  • リテール:CBDと郊外で明暗。生活密着型中心に安定
  • 物流・工業:構造的に強く、依然として有望セクター
  • ホテル・観光:訪日客はほぼコロナ前水準、観光地中心に堅調
  • REIT:高配当+利下げ期待で2025年は強いパフォーマンス

という全体像です。

かつての「買っておけば必ず上がる住宅市場」から、セグメント・立地・物件の質で明確に選別されるマーケットへと移行しており、今後は「どこを・何を・どんな資金計画で保有するか」をより丁寧に設計することが求められる局面になっていると言えます。

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