「海外不動産を購入すると節税できますか?」
「海外不動産投資での節税方法を教えてください。」
海外不動産投資の節税方法にはどういったものがあるでしょうか?今回は、海外不動産投資の節税方法について解説します。
海外不動産投資の節税方法
方法1.「中古不動産による減価償却費計上」による節税
海外不動産投資の節税方法の最も有名な方法は「価償却費計上による節税」です。
減価償却費計上による節税スキーム
減価償却費とは
固定資産の取得にかかった費用の全額をその年の費用とせず、耐用年数に応じて配分しその期に相当する金額を費用に計上すること
を言います。
日本の不動産の場合は、中古の木造住宅の場合は、耐用年数が4年ですので、建物の価値の4分の1を減価償却費として、損金計上できることになります。
海外不動産の場合も、以前は、同様の計算手法で減価償却費を計上できました。
海外不動産は、土地建物の割合で、建物の割合が8割程度と大きく、かつ、築100年を超えても、資産価値が落ちないため、海外不動産を購入して、減価償却費を計上することで、給与所得と損益通算し、所得税・住民税を抑える節税スキームが可能だったのです。
この手法は、税制改正によって使えなくなりました。
国外中古建物の不動産所得の損益通算等の特例
令和3年以後の各年において、国外中古建物の不動産所得を有する場合において、その年分の不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合、そのうち、耐用年数を「簡便法」により計算した国外中古建物の減価償却費に相当する部分の金額については、生じなかったものとみなされます。
つまり、
- 海外不動産の減価償却費はなかったものとなり、計上できない
- 損益通算ができない
ということを意味しています。
結果として、現在は
- 個人 → 減価償却費による節税スキームを利用できない
- 法人 → 減価償却費による節税スキームを利用できる
ということになっています。
ただし、法人の場合は、減価償却費が計上できて利益の圧縮ができたとしても、不動産を売却する際には減価償却産の使用可能期間を分割
した価格を簿価として、売却価格との差分に対し譲渡所得税が発生するため、その時に大きく課税されてしまうのです。
一気に損失が大きくなるタイミングで、譲渡所得税と当てられれば、十分に節税になりますが、何も調整しないと、税の繰り延べ効果としての節税にしかならないので注意が必要です。
方法2.海外移住による節税
海外移住による節税は、直接的に海外不動産による節税ではないのですが、セットで考えることで大きなメリットがある節税と言えます。
海外不動産を、日本在住の日本人が購入した場合
- 家賃収入からは所得税
- 売却時には、譲渡所得税
- 保有時には、固定資産税(現地)
が発生します。
本来、海外不動産の税金というのは、かなり安い税率が用意されています。
ドバイであれば
- 所得税:0.0%
- 譲渡所得税:0.0%
- 固定資産税:0.0%
ですから、まったく税金がかからずに海外不動産を購入できるのです。
しかし、日本在住になってしまうと
結局、日本の国内不動産と同じ税金が発生してしまうのです。
これでは、税金が安い意味がありません。
これを回避する方法は
- ドバイ移住 + ドバイ不動産の購入
という形で、不動産の購入と同時に移住をする(日本の居住者ではなくなる)必要があります。
海外不動産での節税の最も良い方法は
移住 + 海外不動産の購入
なのです。
まとめ
現状は、海外不動産による節税スキームは、もっとも簡単な「中古不動産による減価償却費計上」が使えなくなってしまいました。
法人であれば使えるものの、効果は限定的という形で、実質的に機能しなくなっていると言えます。
やるのであれば、実行のハードルは高くても「移住+海外不動産購入」という組み合わせでの節税が有効です。日本にいる状態では、なかなか税金の安い国の不動産を買っても、税金面では意味がないのです。