ドバイの物件は、竣工済みでも建設中でも売れます。手続きの中心にあるのはドバイ土地局(Dubai Land Department、以下DLD)の「Property Sale Registration」という登録サービスで、手順も費用も所要時間もDLDが公表しています。売主が負担する登録手数料は売買価格の2%。ここを知らないまま話を進めると、手取りの見積もりが大きくずれます。DLDの公表内容をもとに、売却の流れと費用を整理します。

先に要点

  • 売買の登録手数料は売主が売買価格の2%、買主も売買価格の2%。DLDがService Feesとして公表している金額です。
  • 権利証の発行手数料は250ディルハム。図面は種類によって100〜250ディルハム、ほかに知識料とイノベーション料が各10ディルハムかかります。
  • 登録代行の窓口(Service Partner)の手数料は、売買価格が50万ディルハム以上で4,000ディルハム+VAT、50万ディルハム未満で2,000ディルハム+VATです。
  • 必要書類は売主・買主の身分証(非居住の外国人は有効なパスポート)と、フリーホールド区域ではデベロッパーのe-NOC(異議なし証明書)です。
  • 窓口での手続きの所要時間は25分と公表されています。時間がかかるのは、買い手を見つけて書類をそろえるまでの段階です。
  • 建設中の物件(オフプラン)は、デベロッパーごとに「支払割合が一定に達するまで転売不可」といった制限が付くことがあります。

竣工済みでも建設中でも売れる

ドバイの不動産は、日本の不動産と同じように中古で売買できます。竣工済みの物件はもちろん、まだ建っていないオフプラン(プレビルド)物件も、権利を第三者へ移す形で売れます。この建設中物件の転売は「セカンダリー」と呼ばれます。

海外不動産では、竣工の数年前に契約するオフプランでの購入が広く行われています。ドバイでは販売開始が竣工の数年前という物件も珍しくありません。その間に、買った人の事情もドバイの市況も変わります。売却を考えるきっかけの多くは、この時間差から生まれます。

オフプランの転売には制限が付くことがある

デベロッパーは、契約直後の転売が繰り返されて価格だけが吊り上がる状態を避けたいと考えています。そのため、物件ごとに次のような条件が設定されることがあります。

よく見かける制限 何が起きるか
支払割合が一定に達するまで転売不可 デベロッパーが定めた割合まで支払わないと、買い手がいても売れない
購入から一定期間は転売不可 「購入後◯か月」といった期間の縛りが付く
e-NOCの発行が前提 デベロッパーが異議なし証明書を出さない限り、DLDでの登録に進めない

制限の内容と割合は物件ごとに違い、まとめて公表されているものではありません。売る前に、購入時のSPA(売買契約書)と、そのデベロッパーが示している転売条件を個別に確認してください。条件を満たしていなければ、買い手が決まっても登録まで進めません。

DLDの「Property Sale Registration」が本体

DLDはこのサービスを、土地・物件・完成した不動産ユニットの購入について、契約当事者である売主と買主、またはその法的な代理人が売買取引(全部または一部)の登録を申請できるサービスだと説明しています。窓口での所要時間は25分と公表されています。

ドバイ土地局のProperty Sale Registrationサービスの公式ページ画面。Service Proceduresタブに手続きの手順が表示されている

DLDが公表しているService Procedures(サービスセンター経由の場合)は次のとおりです。

1
サービスセンター(Real Estate Registration Trusteeのオフィス)へ出向き、必要書類を担当職員に提出して確認を受ける。不足があればその場で指摘され、対応する。必要書類はすべてデジタルボールト経由でアップロードされる。
2
担当職員が取引データをシステムへ入力し、監査を行う。
3
手数料を支払い、支払いの領収書を受け取る。出力はメールで送られる。
4
買主の情報をEmirates IDまたはパスポートで入力し、送信する。
5
申請の作成が完了する。
DLD「Property Sale Registration」のService Procedures(サービスセンター経由)を訳出したもの。ここに至る前に、買い手を決めてe-NOCを取得しておく必要があります。

窓口に行く前にそろえるもの

DLDが個人向けの必要書類として挙げているのは2点です。

必要書類 DLDの記載
売主・買主の身分証 売主と買主のEmirates ID(本人確認のためだけに使用し、写しは取らない)。非居住の外国人は有効なパスポートで代えられる
e-NOC(異議なし証明書) フリーホールド区域では、デベロッパーが発行する電子の異議なし証明書が必要。Dubai REST アプリ経由で取得する

法人が売主になる場合は、DLDのService Termsに「会社は会社登録の申請を提出して登録されている必要がある」と記載があります。個人名義とは別の準備が要るので、法人で保有しているなら早めに窓口へ確認してください。

売却にかかる費用

DLDがService Feesとして公表している金額です。売主と買主がそれぞれ負担します。

費目 金額 区分
売買登録手数料(売主) 売買価格の2% Service Fees
売買登録手数料(買主) 売買価格の2% Service Fees
権利証の発行手数料 250ディルハム 追加費用
統合図面(ドバイ市自治体の管轄) 225ディルハム 追加費用
図面(自治体の管轄外の土地) 100ディルハム 追加費用
図面(ヴィラ・アパートメント) 250ディルハム 追加費用
知識料 10ディルハム 追加費用
イノベーション料 10ディルハム 追加費用
登録代行窓口(Service Partner)の手数料 売買価格50万ディルハム以上:4,000ディルハム+VAT
50万ディルハム未満:2,000ディルハム+VAT
Service Partner Fees

売買価格が200万ディルハムなら、売主の登録手数料だけで4万ディルハムです。これに登録代行窓口の手数料4,000ディルハム+VATと、仲介した不動産会社への手数料が乗ります。手取りを見積もるときは、売買価格をそのまま使わず、数%を差し引いて考えてください。

ここに挙げたのはDLDの登録手続きにかかる費用です。日本側で発生する税や、代金を日本へ持ち帰るときの送金コストは別に見ておく必要があります。送金にいくらかかるかは海外送金の手数料は何にいくらかかる?5つの費用の内訳と、銀行・Wiseで変わるところで整理しています。

依頼先とライセンスの確かめ方

ドバイで不動産の業務を行う事業者には、DLDが発行するライセンスと許可証があります。DLDは「Verify License and Permits」というオンラインサービスを公開しており、その説明は「ドバイ首長国で不動産関連の業務を行う事業者に対して土地局が発行したライセンスおよび許可証の電子版を、Trakheesiシステムを通じて確認できるサービス」です。提示された書面が本物かどうかを、自分で照らし合わせられます。

依頼前に見ておく点 理由
ライセンス・許可証の電子版 DLDのVerify License and Permitsで、提示されたものが土地局発行のものかどうかを確認できる
セカンダリー(転売)の取り扱い オフプランの転売はデベロッパーとのe-NOCのやり取りが入るため、竣工済み物件の売買とは段取りが違う
日本語で話せる担当がいるか 契約書は英語が基本。内容を確認しきれないまま署名する事態を避けられる
手数料の負担の取り決め 登録代行窓口の手数料をどちらが持つかを含め、書面で確認しておく

会社の良し悪しは、面談してみないと分かりません。オンラインでも対面でも、契約の前に必ず担当者と話し、こちらの質問に具体的な数字で答えるかどうかを見てください。この記事では特定の会社の評価や口コミは扱いません。

売る・売らないをどう決めるか

価格の当たりを付けたいとき、DLDには「Property Valuation」というサービスがあります。ただしこれは相場を無料で閲覧するツールではなく、更地(住宅用・商業用・工業用)、住宅ユニット、ヴィラなど各種の不動産について評価を申請するサービスです。DLDが示す評価額がほしい場合はこちらを使うことになります。売り出し価格の水準そのものは、同じ広さ・同じベッド数の物件を複数の媒体で見比べて把握するしかありません。

判断の軸

  • 資金が先に必要なら、相場の高低にかかわらず売る判断になります。見るべきは「いつ現金化できるか」です。
  • 利益を確保したいなら、売買価格から登録手数料2%・仲介手数料・送金コストを引いた手取りが目標に届くかどうかで決めます。
  • オフプランで転売制限が残っているなら、制限が外れる時期まで待つという選択肢もあります。
  • 保有を続けるなら、ドバイ側の制度が影響します。居住や滞在の条件はドバイ移住の全要点。税金メリット・不動産投資・生活費・ビザ条件を徹底整理にまとめています。

ドバイに限らない一般的な流れやタイミングの考え方は海外不動産売却の方法・手順・タイミング・注意点まとめを、日本側で必要になる報告や調書は海外不動産の規制とは?日本側で必要な報告・調書の4つを外為法と国税庁の資料で整理を参照してください。

よくある質問

売主が払う手数料はいくらですか

DLDが公表しているService Feesでは、売主が売買価格の2%、買主も売買価格の2%です。これに権利証の発行手数料250ディルハム、図面の手数料(100〜250ディルハム)、知識料とイノベーション料が各10ディルハム加わります。登録代行窓口の手数料は、売買価格が50万ディルハム以上なら4,000ディルハム+VAT、50万ディルハム未満なら2,000ディルハム+VATです。

非居住の日本人でも売れますか

DLDの必要書類には「売主と買主のEmirates ID(本人確認のためだけに使用し、写しは取らない)、または非居住の外国人には有効なパスポート」と記載されています。非居住であることを理由に手続きができないという記載は、このページには見当たりませんでした。

e-NOCとは何ですか

デベロッパーが発行する電子の異議なし証明書です。DLDの必要書類に「フリーホールド区域のデベロッパーからの異議なし電子証明書(e-NOC)、Dubai REST アプリ経由」と記載されています。

手続きにはどのくらい時間がかかりますか

DLDはこのサービスのService Timeを25分と公表しています。これは窓口での処理時間です。買い手を見つけ、e-NOCを取得し、書類をそろえるまでにどれだけかかるかは、このページには記載がありません。

売却益に税金はかかりますか

UAE側の課税関係は今回の確認範囲に含めていないため、この記事では扱いません。日本の居住者であれば日本側での申告が必要になるので、取引の前に税理士へ確認してください。

あわせて読みたい

参考にした公式ページ

  • Dubai Land Department|Property Sale Registration Service Procedures(サービスセンター経由の手順)、Required Documents(Emirates IDまたはパスポート、フリーホールド区域のe-NOC)、Service Fees(売主2%・買主2%、権利証250ディルハム、図面100〜250ディルハム、知識料・イノベーション料 各10ディルハム、Service Partner Fees 4,000/2,000ディルハム+VAT)、Service Time(25分)、Service Terms(会社は会社登録の申請が必要)
  • Dubai Land Department|Verify License and Permits 土地局が発行した不動産業務のライセンス・許可証の電子版をTrakheesiシステムで確認するサービス
  • Dubai Land Department|Property Valuation 更地(住宅用・商業用・工業用)、住宅ユニット、ヴィラなどの評価を申請するサービス
X

お問い合わせ・資料請求・ご相談

サインイン

新規登録

パスワードをリセット

ユーザー名またはメールアドレスを入力してください。新規パスワードを発行するためのリンクをメールで送ります。