海外の不動産を買うとき、代金をどの銀行から送るかで費用と手間が変わります。三菱UFJ銀行はインターネットバンキングの送金手数料を2,500円からに設定していて、国内のメガバンクのなかでは低い部類です。ところが、その安い経路は1回300万円までしか使えません。この記事では、三菱UFJ銀行が公式ページに掲げている手数料・限度額・取扱通貨・国別の制約を読み、不動産の決済に使えるのはどの経路かを整理します。金額と条件は2026年10月6日に公式ページで表示されていた内容です。

先に答え:買付代金は店頭窓口7,000円の経路になる

三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)の送金手数料は、当行の本支店・現地法人あてが2,500円、他行あてが3,000円です。店頭窓口は宛先を問わず7,000円で、差は4,000円から4,500円あります。

ただしインターネットの上限は1回300万円相当額以下、1日の合算も300万円相当額以下、1か月の合算が500万円相当額以下です。物件価格が数千万円になる買付代金はこの枠に入らないため、窓口の7,000円を選ぶことになります。

円建てで送る場合、または外貨預金から同じ通貨で送る場合は、送金手数料とは別に送金金額の1/20%(最低2,500円)の取扱手数料が上乗せされます。1/20%は0.05%ですから、1,000万円なら5,000円です。

送金手数料は2,500円・3,000円・7,000円の3本立て

三菱UFJ銀行の外国送金ページには、海外向け仕向送金手数料の表が掲げられています。消費税はかかりません。

三菱UFJ銀行の外国送金ページの公式画面キャプチャ
出典:三菱UFJ銀行「外国送金」。海外向け仕向送金手数料が、三菱UFJダイレクトで2,500円・3,000円、店頭窓口で7,000円と表示されている(2026年10月6日取得)
三菱UFJ銀行の海外向け仕向送金手数料(表の時点:2026年10月6日)
送金先 三菱UFJダイレクト 店頭窓口(外国送金Webサポート+) 差額
当行の本支店・現地法人あて 2,500円 7,000円 4,500円
他行あて 3,000円 7,000円 4,000円

当行の本支店・現地法人あてというのは、受取口座が三菱UFJ銀行の海外支店や現地法人にある場合です。このときは支払銀行手数料の負担区分が「受取人負担」のみになると注記されています。送り手が全額を負担する形は選べません。

見落としやすいのが、送金手数料の下に小さく書かれている取扱手数料です。円建てで送る場合、または外貨預金から同じ通貨で送る場合には、送金金額の1/20%(最低2,500円)が別途かかります。1/20%は0.05%のことです。送金額が500万円のときにちょうど2,500円になるので、500万円以下はすべて最低額の2,500円、それを超えると金額に比例して増えます。3,000万円なら15,000円です。

円建てで送る意味はよく考えてください。円建て送金は、円のまま海外へ出して現地で両替する形です。取扱手数料が上乗せされるうえ、現地での両替レートは自分では選べません。外貨に替えてから送るほうが、どのレートで替えたかを自分で確かめられます。

インターネットの上限は1回300万円。不動産の決済には足りない

手数料が安いのはインターネットですが、使える金額に枠があります。公式ページの受付時間および上限金額の表は次のとおりです。

三菱UFJダイレクトの外国送金の受付時間と上限(手数料を除く金額・表の時点:2026年10月6日)
項目 内容
受付時間 24時間
1回あたり 300万円相当額以下
1日あたり 合算で300万円相当額以下
1か月あたり 合算で500万円相当額以下

1日の枠と1回の枠が同じ300万円なので、同じ日に分けて送っても合計は増えません。月をまたいでも500万円で止まります。手付金や諸費用なら収まることもありますが、物件そのものの代金を分割で送ろうとすると、何か月もかかる計算になります。

金額帯ごとに現実的な経路

〜300万円

三菱UFJダイレクトで1回に送れる。手数料は2,500円または3,000円。24時間受け付ける。

手付金・諸費用・管理費の送金はここに入ることが多い。

300万円超〜500万円

1回の枠を超えるので、月内に分けて送ることになる。月の合算500万円が天井。

決済日が決まっているなら、分割は現実的ではない。

500万円超

店頭窓口の一択。手数料7,000円。送金依頼書を外国送金Webサポート+で作り、来店予約を取る。

受付日から送金実行日まで3営業日程度かかると案内されている。

窓口は予約制。依頼書を先に作ってから行く

窓口に行けばその場で送れる、という作りにはなっていません。公式ページは3段階の手順を示しています。

店頭窓口で外国送金を頼むまでの流れ

  1. 来店予約を取る。外国送金取扱店を選んで予約する。予約がない場合は後日の案内になることがあると書かれている。
  2. 送金依頼書を作る。「外国送金Webサポート+(プラス)」で事前に作成する。印刷できない場合は受付番号(3桁-12桁)を窓口で伝える。手書きで修正した依頼書や加工した依頼書は使えない。
  3. 来店する。作成した依頼書は指定した取扱日(来店予約日)から2週間有効。期限を過ぎたら作り直しになる。

そして、受付日から送金実行日まで3営業日程度かかると明記されています。海外の決済日から逆算するなら、来店予約の枠が取れるかどうかも含めて、2週間前には動き始めたいところです。

取扱通貨は12。買いたい国の通貨があるとは限らない

三菱UFJダイレクトで扱える通貨は12種類です。日本円、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、香港ドル、シンガポールドル、スイスフラン、タイバーツ、フィリピンペソが並びます。

三菱UFJダイレクトの取扱通貨12種類と、海外不動産の主な市場(表の時点:2026年10月6日)
通貨 主な仕向先 現地通貨で送れるか
米ドル アメリカ、ドバイ・UAE(米ドル建て決済が多い) ○
ユーロ ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、キプロス、オランダ ○
英ポンド イギリス ○
豪ドル・NZドル・カナダドル オーストラリア、ニュージーランド、カナダ ○
香港ドル・シンガポールドル・スイスフラン 香港、シンガポール、スイス ○
タイバーツ タイ ○(ただし不動産取得は資料の事前提出が要る)
フィリピンペソ フィリピン 送金はできるが現地で受け取れない
日本円 全般 ○(取扱手数料が別途かかる)
一覧に無い通貨 ベトナム、カンボジア、インドネシア、マレーシア、トルコ、インドなど 米ドルなどに替えて送ることになる

東南アジアや中東の物件を買う場合、現地通貨で送れないことのほうが多くなります。米ドル建てで送って現地で両替する形になるため、両替のレートと手数料は現地の銀行しだいです。見積もりの段階で、受取側がどの通貨を望んでいるかを確かめてください。

国ごとに追加の申告が要る。公式が挙げているのは14か国

三菱UFJ銀行は「外国送金ご依頼時のご留意事項」という別ページを持っていて、そこに仕向国別の注意が並んでいます。2026年10月6日時点で名前が挙がっているのは14か国です。

三菱UFJ銀行の外国送金ご依頼時のご留意事項ページの公式画面キャプチャ
出典:三菱UFJ銀行「外国送金ご依頼時のご留意事項」。SWIFTコード・受取人情報・送金目的・IBANの記載方法に続いて、仕向国別の留意事項が並ぶ(2026年10月6日取得)
仕向国別ご留意事項に名前が挙がっている14か国(表の時点:2026年10月6日)
国 公式が挙げている制約
バーレーン 送金目的に応じた3桁の送金目的コードの通知が必要
中国 人民元建ては外国送金Webサポート+では扱えない。外貨口座が「貿易代金」「貿易外代金」「資本取引」の3種類に分かれており、目的に合った口座番号を指定しないと入金遅延や返却の可能性がある
キプロス CONTRACT NO.とCONTRACT DATE(またはINVOICE NO.とDATE)の通知が必要
ハンガリー フォリント建ては補助通貨のない整数で依頼する
インド 資本金など投資にかかる送金は当局の許認可等が必要になる場合がある。インドルピー建ては現地で受け取れない
インドネシア インドネシアルピア建ては中銀の外為規制のため原則取扱いできない
ヨルダン 送金目的コードの通知が必要
メキシコ 受取人の口座番号として18桁のCLABE Account Numberが必要
ミャンマー 4桁のITRSコードの通知が必要
パキスタン パキスタンルピー建ての取扱いに規制がある
パレスチナ 2桁の送金目的コードの通知が必要
フィリピン 中央銀行の規制により、現地でフィリピンペソ建ての送金を受け取れない。実行後に組戻しを依頼しても対応できない
タイ タイバーツ建てで、資本金・貸付金・不動産取得が目的の場合は、目的が確認できる資料の事前提出が必要。証券やその他金融商品への投資は中銀の規制により原則取扱いできない
UAE(アラブ首長国連邦) 3桁の送金目的コードの通知が必要

海外不動産の買い手にとって重いのはタイとフィリピンです。タイは不動産取得を目的にタイバーツ建てで送るなら、資料を先に出す必要があります。フィリピンはペソ建てで受け取れないため、米ドルで送って現地で替える前提になります。インドネシアもルピア建てが原則不可です。

所定の申告欄に情報が入りきらない場合には、電文発信手数料が別にかかります。1件につき海外の当行支店・現地法人あてが1,000円、海外他行あてが1,500円です。こちらも消費税はかかりません。

SWIFTコード(BIC)の入力を誤ると、着金遅延・経由銀行での追加手数料・手数料を差し引かれての資金返却が起きる可能性があると公式が明記しています。受取人の口座店のコードと、送金を処理する部署のコードが違うことがあるため、必ず受取人に確認してから入力してください。IBAN採用国へ送るのにIBANを書かなかった場合も、手数料を引かれて返却される可能性があるとされています。

他のメガバンクと比べてどうか

当サイトでこれまで確認してきた各行の手数料と並べると、位置がはっきりします。いずれも公式ページの表示で、確認した日は行ごとに異なります。

各行の海外送金手数料(オンライン/窓口)の比較
銀行 オンライン 窓口 オンラインの1回の上限
三菱UFJ銀行 2,500円/3,000円 7,000円 300万円相当額
三井住友銀行 3,000円 7,000円 当サイトの該当記事を参照
みずほ銀行 5,000円(アプリ一律) 8,000円から 300万円
ゆうちょ銀行 3,000円(Web専用) 窓口での取扱いなし 公式ページを参照
楽天銀行 750円(外貨建て) 店舗なし 公式ページを参照

オンラインの額面だけ見れば楽天銀行が最も安く、三菱UFJ銀行はメガバンク3行のなかでは最も安い部類です。ただし不動産の決済額になると、どの銀行でもオンラインの枠を超えて窓口の料金が効いてきます。窓口の7,000円は、みずほ銀行の8,000円からという水準より低く設定されています。

よくある質問

三菱UFJダイレクトから数千万円を送れますか。
送れません。1回300万円相当額以下、1日の合算も300万円相当額以下、1か月の合算が500万円相当額以下という枠が公式ページに示されています。それを超える金額は店頭窓口で手続きします。
円建てで送ると損をしますか。
円建て送金と、外貨預金から同じ通貨で送る送金には、送金手数料とは別に送金金額の1/20%(最低2,500円)の取扱手数料がかかります。損かどうかは現地の両替条件しだいですが、費用がひとつ増えるのは確かです。
タイの不動産を買う代金を送るとき、特別な準備は要りますか。
タイバーツ建てで送る場合、送金目的が不動産取得であれば、目的を確認できる資料の事前提出が必要と公式が案内しています。売買契約書など、何を出せばよいかは取扱店に先に確認してください。
フィリピンの物件代金をペソで送れますか。
送金自体はできますが、フィリピン中央銀行の規制により現地でフィリピンペソ建ての送金を受け取れないと明記されています。実行後の組戻しにも対応できないとされているため、受取人にどの通貨で受け取れるかを先に確認してください。
窓口に行けば当日中に送金できますか。
できません。受付日から送金実行日まで3営業日程度かかると公式が案内しています。さらに来店は予約制で、送金依頼書も事前に作成する必要があります。

この記事で確認した一次情報

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