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節税としての海外不動産

海外不動産投資は、法人税の圧縮効果を持つ減価償却を通じて、節税戦略の重要な一環として活用されています。

特に法人名義で海外不動産を所有する場合、2020年の税制改正後も減価償却を利用した節税が可能であるため、多くの法人投資家にとって有効な選択肢となっています。

減価償却を活用した法人の海外不動産投資の魅力

  1. 法人税の圧縮
    減価償却は、購入した建物の価値を耐用年数に応じて分割計上することで、毎年の利益を圧縮できます。これにより、法人税負担を抑えつつ、資金繰りの余裕を確保することが可能です。たとえば、建物比率が高いアメリカの不動産は、短期間での減価償却が可能なため、特に注目されています。
  2. 課税の繰り延べ
    減価償却は課税を完全に免除するわけではなく、税金を将来に繰り延べる仕組みです。しかし、これにより法人は資金を効率的に運用でき、収益性の高い他の事業や資産への再投資を実現できます。
  3. 資産保有の多様性
    海外不動産は法人の資産として計上され、ドル建ての資産として為替リスクの分散や資産の安定化にも寄与します。インフレに強い不動産資産を保有することで、法人全体の資産ポートフォリオのリスク分散も図れます。

法人名義の海外不動産投資が注目される背景

  1. 税制改正の影響
    2020年の税制改正により、個人の海外不動産投資における減価償却の利用が制限されましたが、法人には適用外です。この改正は、法人による海外不動産投資の優位性を際立たせました。
  2. キャッシュフローの安定化
    減価償却を活用することで、法人の年間キャッシュフローを安定化させることができます。これにより、運転資金の確保や事業拡大に必要な資金の調達が容易になります。
  3. 海外市場の成長機会
    アメリカや新興国など、成長が期待できる市場での不動産投資は、利回りの向上や将来的なキャピタルゲインの獲得も見込めます。これらの市場における法人投資は、減価償却以外にも多くの利点をもたらします。

法人による海外不動産投資は、節税のみならず、資産分散や経営戦略の一環としても魅力的な選択肢です。

特に、適切な物件選定や税務戦略を取り入れることで、より効果的に節税効果を享受できるでしょう。

2020年税制改正の概要:海外不動産における減価償却制度の変更

2020年に施行された税制改正は、個人が海外不動産投資を通じて節税を行う際のルールに大きな変更をもたらしました。

この改正により、特に国外中古建物を対象とした減価償却費の計上方法に制限が設けられ、個人による海外不動産投資の節税効果が大幅に削減されました。

改正のポイント

国外中古建物の減価償却費が損益通算に利用できなくなった

  • 改正前:個人は、国外中古建物の減価償却費を計上することで、不動産所得を赤字にし、その赤字を給与所得や事業所得と損益通算することが可能でした。これにより所得税や住民税の負担が軽減されていました。
  • 改正後:2021年以降、国外中古建物における減価償却費については、不動産所得の赤字が生じた場合でも他の所得(給与所得や事業所得など)との損益通算が認められなくなりました。 影響:個人の減価償却による節税スキームがほぼ封じられ、節税効果が著しく低下しました。

個人への制限であり、法人には影響がない

  • この改正は、個人が国外不動産を対象とした場合にのみ適用され、法人による国外不動産投資には適用されません。
  • 法人は、引き続き減価償却費を計上して損益通算が可能であり、節税効果を得ることができます。

改正対象の具体的内容

総務省の「令和2年度税制改正の大綱」では、次のように明記されています。

個人が国外中古建物を対象とする場合、その減価償却費に相当する部分については、所得税に関する法令の適用において、生じなかったものとみなす。

解釈:国外中古建物に対する減価償却費は、不動産所得の計算には含められますが、その赤字部分を他の所得と相殺することはできなくなりました。

税制改正の背景

  • 過剰な節税スキームの抑制
    改正前、個人投資家は国外中古建物を購入して大きな減価償却費を計上し、不動産所得を赤字化することで所得税や住民税を軽減していました。このスキームが多用され、税収が減少していることが問題視されました。
  • 公平性の確保
    国内不動産と国外不動産で異なる扱いがされていたことが改正の要因の一つです。国外不動産が税制上有利であったことが不公平とされ、是正が求められました。

改正後の影響と対策

個人

  • 節税目的での国外中古不動産購入のメリットが減少。
  • 節税効果を求める場合は、法人を利用した不動産投資が主流に。

法人

  • 法人による海外不動産の減価償却は引き続き可能。
  • 法人税の圧縮や資金繰りの調整に減価償却が活用されています。

新たな投資戦略の必要性

  • 個人が減価償却を利用する場合、国内不動産や他の資産クラスへの投資が検討されています。
  • 法人化や他の節税スキームの活用を含む新たな投資戦略が重要。

2020年の税制改正は、個人による海外不動産投資の減価償却を活用した節税スキームを制限するものでした。この改正により、海外不動産投資は節税以外のメリット(資産分散や高利回りなど)を重視する必要が出てきました。一方で、法人による海外不動産投資は引き続き減価償却を活用できるため、節税効果を最大化する手段として有効です。

減価償却の基本と法人での適用方法

減価償却の仕組みと計算方法

減価償却とは、建物や設備といった固定資産の購入費用を、耐用年数に応じて毎年分割して費用計上する会計処理です。

法人が海外不動産を所有する場合、この減価償却を活用して利益を圧縮し、法人税を軽減することが可能です。

減価償却の基本構造

  • 対象となる資産
    減価償却が適用されるのは建物や建物附属設備などの消耗する資産です。一方、土地や骨董品など、価値が減少しない資産は対象外です。
    例: 海外不動産購入時の土地と建物の価格を区分し、建物部分のみを減価償却対象とします。
  • 計算方法
    法人の場合、建物に対しては主に「定額法」が用いられます。具体的な計算式は以下の通りです:
  • 定額法
    取得金額 × 償却率
    償却率は耐用年数に応じて税法で定められており、例えば木造建物の耐用年数が22年の場合、償却率は0.046です。

海外不動産に特化した計算

中古不動産の場合、購入時点で経過した年数を考慮した「簡便法」による耐用年数の算定が可能です。

  • 耐用年数計算例: 法定耐用年数が22年の木造建物で築30年の場合、耐用年数は「22年×20%=4年」となります。

法人名義での減価償却のメリットと注意点

主なメリット

  1. 法人税負担の圧縮
    減価償却を活用することで、計上される利益を抑制し、法人税の軽減が期待できます。
    例: 毎年1,000万円の減価償却を計上することで、法人税実効税率33%の場合、330万円の税金が抑えられます。
  2. 資金繰りの改善
    減価償却による課税の繰延効果により、運転資金の確保が容易になります。この資金を他の事業に再投資することで、法人全体の成長を支援できます。
  3. 長期的な資産保有のメリット
    海外不動産の減価償却は法人税を繰り延べる形で運用されますが、資産価値が維持されている限り、収益安定やリスク分散に貢献します。

注意点

  1. 課税の繰延に過ぎない
    減価償却は課税免除ではなく、将来的な課税を繰り延べる仕組みです。物件売却時には法人税が一律適用され、売却益が発生した場合の負担が大きくなる点に留意が必要です。
  2. 適切な税務処理の重要性
    減価償却に関する税務処理の誤りは、税務調査で問題視されるリスクがあります。特に、土地と建物の価格区分の妥当性や減価償却計上の計算方法には細心の注意が求められます。
  3. 国ごとの耐用年数の違い
    減価償却の適用条件は国ごとに異なります。物件の所在地に応じた税制や耐用年数を十分に調査する必要があります。例: アメリカでは建物の減価償却期間が日本よりも短いため、税効果が大きくなりやすい。

法人での海外不動産投資を成功させるには、減価償却の基本を正確に理解しつつ、適切な税務処理を行うことが鍵となります。また、減価償却を活用した節税効果を最大化するには、専門家との連携が不可欠です。

減価償却の方法の比較表

項目簡便法定額法
適用対象中古資産新築資産および中古資産
計算方法耐用年数を短縮して計算(法定耐用年数の一部を過ぎている場合や、法定耐用年数を超えている場合)耐用年数に基づき、毎年一定額を計上
特徴・短期間で多額の減価償却が可能
・中古資産特有の方法
・計上額が一定で安定
・法定耐用年数に応じて償却
計算式– 法定耐用年数の一部を過ぎている場合:
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
– 法定耐用年数を超えている場合:
法定耐用年数×20%
取得金額 × 償却率
メリット・短期間で費用計上が可能
・税負担を早期に圧縮できる
・計上額が毎年一定で計画が立てやすい
・新築物件でも利用可能
デメリット・短期的な税効果に留まる
・中古資産に限定
・長期間にわたり税効果が分散される
・計上額が変動しない
例(木造住宅)築30年の木造住宅(法定耐用年数22年)
耐用年数 = 22年×20% = 4年
新築木造住宅(法定耐用年数22年)
償却率 = 0.046
適用場面中古物件の節税を目的とする法人投資新築・中古問わず長期的な運用を視野に入れる法人投資

計算例

  • 簡便法(木造住宅、築30年)
    購入額:3,000万円 → 耐用年数:4年
    毎年の減価償却費:3,000万円 ÷ 4年 = 750万円
  • 定額法(木造住宅、新築)
    購入額:3,000万円 → 耐用年数:22年 → 償却率:0.046
    毎年の減価償却費:3,000万円 × 0.046 = 138万円

比較表を参考に、それぞれの方法を目的に応じて適切に選択することが、法人投資における減価償却効果を最大化するポイントです。

減価償却できるものとできないものの比較表(個人と法人)

項目減価償却できるもの減価償却できないもの
共通(個人・法人)建物(海外不動産の場合も対象)
建物付属設備(照明、空調など)
構築物(フェンス、駐車場など)
無形資産(ソフトウェアなど)
土地(経年劣化しないため)
骨董品(価値が減少しないため)
消耗品(使用期間が1年未満または取得価額が10万円未満)
個人の場合– 国内・海外問わず住宅物件(建物部分)のみ
– 築年数に応じた耐用年数の計算が必要
– 主に定額法で計算
国外中古建物(2020年税制改正後、減価償却費を損益通算に利用できない)
– 減価償却以外に所得の損益通算が難しい場合あり
法人の場合国内および国外の建物(建物部分)
建物付属設備(照明、空調、エレベーターなど)
中古資産(簡便法も適用可能)
– 築年数にかかわらず土地部分
設備の一部(修繕費に該当する場合)
– 長期間使用目的ではない資産(例:消耗品、短期使用品)
主な違い(個人 vs 法人)– 法人は国外不動産(中古含む)の減価償却が可能
簡便法を利用して短期間で減価償却を計上できる
– 個人は国外中古建物の減価償却費を損益通算できない
– 法人の節税は一部課税の繰延効果となり、完全な税免除ではない

個人と法人の適用例

ケース個人法人
日本国内の中古住宅を購入減価償却費を計上可能
耐用年数は築年数を考慮して計算
減価償却費を計上可能
簡便法を利用して短期間で償却可能
アメリカの中古住宅を購入減価償却費を計上不可(2020年税制改正後)減価償却費を計上可能
法人税の圧縮に利用可能
新興国のコンドミニアムを購入建物部分のみ減価償却可能
損益通算は不可
建物部分の減価償却可能
節税効果あり
土地と建物のセットを購入建物部分のみ減価償却可能
土地部分は対象外
建物部分のみ減価償却可能
土地部分は対象外
建物付属設備(エアコンや照明)を設置設置時の費用を減価償却可能(耐用年数に応じて計上)設置時の費用を減価償却可能(建物付属設備として計上可能)

比較表を活用して、投資目的や適用ルールに応じた最適な減価償却計画を立てることが重要です。法人の場合、特に海外不動産では柔軟な戦略が可能であり、税制を最大限に活用できます。

節税効果を高める減価償却の活用例

1. 法人によるアメリカ不動産の短期減価償却

アメリカ不動産は、建物比率が高く、中古物件の法定耐用年数を簡便法で短縮することで、多額の減価償却費を短期間で計上できます。例えば、築30年の木造住宅(法定耐用年数22年)を法人で購入した場合、耐用年数は「22年×20%=4年」となり、以下の効果が得られます:

  • 短期での税負担軽減:3,000万円の物件購入時、毎年750万円を減価償却費として計上可能。
  • 法人税の圧縮:750万円×法人税率33%=247.5万円の税負担軽減。

2. 新興国不動産の資産分散と節税効果

東南アジアや中南米などの新興国では、建物価格が安価で利回りの高い物件が多いため、法人での減価償却と合わせて資産分散が可能です。

  • 事例:法人がタイのコンドミニアム(購入額2,000万円、建物比率70%)を購入した場合。
    • 減価償却対象:建物部分=2,000万円×70%=1,400万円。
    • 耐用年数(RC造で40年):毎年の減価償却費=1,400万円÷40年=35万円。
  • 利点:日本の法人税率より高い利回りを得つつ、税金を繰り延べ。

3. 法人による設備投資の節税効果

海外不動産購入時に建物付属設備(照明、空調など)を別途計上することで、より短期間での減価償却が可能です。

  • :法人がアメリカの物件にエアコン設備(300万円、耐用年数6年)を設置。
    • 毎年の減価償却費:300万円÷6年=50万円。
    • 減価償却費を建物分と合わせて計上することで、税負担をさらに軽減。

4. 減価償却費を活用したキャッシュフローの安定化

減価償却による課税の繰延効果を活用し、法人のキャッシュフローを安定化させる戦略が効果的です。

  • 事例:法人が年間減価償却費500万円を計上し、税金負担を軽減。
    • 節税で浮いた資金を新規投資に回すことで、事業の成長と収益向上を同時に実現。

5. 売却時期を戦略的に設定

減価償却を活用して得た税金繰り延べ効果を、物件売却時の譲渡益と相殺する方法です。

  • :減価償却で法人のキャッシュフローを確保しつつ、物件価値が最大化するタイミングで売却。
    • 売却益を退職金や大規模投資と同時に計上することで、税負担を最小限に抑制。

これらの活用例を参考に、法人投資家は海外不動産の減価償却を最大限に活用し、節税効果と資産の成長を両立させることが可能です。

海外不動産の減価償却におけるリスク

1. 税務調査による指摘リスク

海外不動産の減価償却を適用する際、税務調査で問題視される可能性があります。特に、以下の点に注意が必要です。

  • 土地と建物の価格区分の妥当性
    海外不動産の購入価格を土地と建物に適切に区分しなければ、減価償却の基礎計算が誤りとされるリスクがあります。特に建物比率を高く設定しすぎると、税務当局から指摘を受ける可能性があります。
  • 耐用年数の計算ミス
    法定耐用年数の算定に誤りがある場合、減価償却費が過大または過少になるリスクがあります。現地の法令と日本の税制を正しく理解し、計算方法を慎重に検討する必要があります。

2. 課税の繰延による将来的な税負担

減価償却は課税の繰延効果をもたらしますが、物件売却時に売却益に対する法人税が一括で課されるため、以下のリスクが伴います。

  • 売却益に対する高額課税
    減価償却費を計上することで保有期間中の法人税を軽減できますが、物件売却時にキャピタルゲインが発生すると、売却益に対して法人税が一律課されます。このため、物件売却時に資金繰りが悪化する可能性があります。
  • 税効果の相殺
    減価償却による節税効果が、売却時の課税で相殺される場合があります。特に、利益確定のタイミングを誤ると、当初の節税目的が十分に果たされないリスクがあります。

3. 現地税制の変更リスク

海外不動産の減価償却に関わる税制が変化するリスクも考慮する必要があります。以下の点に注意してください。

  • 減価償却率や耐用年数の変更
    国ごとに税制が変更されることがあり、減価償却費の計上に影響を与える場合があります。特に、投資先の国で耐用年数が短縮された場合、節税効果が限定的になる可能性があります。
  • 二重課税のリスク
    投資先の国と日本での課税が重複する場合、二重課税となるリスクがあります。この場合、租税条約を活用して適切に処理しなければ、利益が圧縮される可能性があります。

4. 物件の資産価値リスク

減価償却を活用する前提として、物件の資産価値が維持されることが重要です。しかし、以下のリスクがあります。

  • 市場価値の下落
    購入時には高額であっても、経済状況や地域の不動産市場の変化により、資産価値が大幅に下落するリスクがあります。
  • 保有コストの増加
    固定資産税や維持管理費などの保有コストが予想以上に増加し、投資利益が圧縮される可能性があります。

5. コンプライアンスのリスク

現地法規や国際規制への適合が不十分な場合、以下のリスクが生じます。

  • 違法取引や契約不履行
    現地の法規制に基づいて購入手続きを進めなければ、違法取引とみなされるリスクがあります。また、不十分な契約内容による不履行が投資に悪影響を及ぼす可能性もあります。
  • 現地税務当局とのトラブル
    減価償却の適用や税務申告の際に、現地税務当局との解釈が異なる場合、罰金や課徴金が科されるリスクがあります。

これらのリスクを最小化するためには、事前の調査や適切な専門家の助言を得ることが不可欠です。

また、減価償却を節税戦略として活用する際は、長期的な視点で税務リスクと収益性を慎重に検討する必要があります。

減価償却を最大限に活用するコツ

1. 信頼できる専門家と連携する

海外不動産投資において、減価償却の正確な適用やリスク回避には、税理士や会計士、不動産コンサルタントといった専門家との連携が不可欠です。特に以下の点を確認できる専門家を選びましょう。

  • 国ごとの税制や耐用年数の違いに詳しい
    減価償却率や耐用年数は国によって異なるため、投資対象国の税制に精通した専門家のサポートが重要です。
  • 土地と建物の区分価格評価の適切性を検証できる
    土地と建物の価格を正確に分けることで、減価償却の適用範囲を明確にできます。

2. 投資戦略の明確化

減価償却を活用する際には、長期的な投資戦略を明確にすることが重要です。以下の戦略を検討してください。

  • キャッシュフローの確保
    短期間で大きな減価償却を計上する場合、税金の繰延効果で浮いた資金を運転資金や新たな投資に活用します。
  • 売却タイミングの計画
    物件売却によるキャピタルゲインと減価償却の繰延税金のバランスを考慮し、最適なタイミングで売却を行います。

3. 物件選びにおけるポイント

減価償却の効果を最大化するには、適切な物件を選ぶことが重要です。

  • 建物比率が高い物件を選定
    建物部分の価格が高い物件は減価償却費を多く計上できるため、節税効果が大きくなります。
  • 耐用年数が短い中古物件
    簡便法を適用することで、短期間で大きな減価償却が可能です。

4. 国ごとの税制を活用する

投資先の国によって減価償却制度や税制が異なるため、それぞれの特性を活用しましょう。

  • アメリカの不動産
    建物比率が高く、中古市場が成熟しているため、減価償却効果が高い。
  • 新興国の不動産
    建物価格が低くても利回りが高いため、法人全体の収益性を高めることが可能。

5. 減価償却の計画を柔軟に調整する

法人の財務状況に応じて減価償却計画を調整することで、税負担を最適化できます。

  • 年間の減価償却費を調整
    売上や利益が減少した年には、減価償却費を増やすことで税負担を軽減。
  • 青色申告による繰越欠損金の活用
    法人の赤字を翌年度以降に繰り越し、将来的な税金負担を減らす戦略を採用します。

6. リスク管理を徹底する

減価償却を適用する際のリスクを軽減するために、以下を実施しましょう。

  • 土地と建物の区分を適切に処理
    購入時に土地と建物の価格を正確に評価し、減価償却対象を明確にします。
  • 現地税制や規制の変化を把握
    投資先の税制が変わる可能性があるため、定期的に最新情報を確認します。

これらのコツを活用することで、法人による海外不動産の減価償却を効果的に活用し、節税効果を最大化することが可能です。

まとめ

法人が海外不動産の減価償却を活用することは、税務上の負担を軽減し、キャッシュフローを改善する有力な方法です。特に、2020年の税制改正後も法人名義であれば、減価償却を通じた節税スキームを引き続き利用できるため、個人投資家とは異なる優位性を持っています。

効果的な減価償却を実現するためには、以下の点が重要です。

  • 適切な物件選定:建物比率が高く、耐用年数が短い物件は、減価償却費を多く計上できるため、節税効果が高まります。
  • 国ごとの税制の活用:アメリカや新興国など、減価償却制度に強みを持つ国を選ぶことで、法人税負担の圧縮が可能です。
  • 専門家との連携:信頼できる税理士や不動産コンサルタントとの連携により、リスクを回避しつつ、税務戦略を最適化できます。

一方で、課税の繰延は将来的な税負担を伴うため、売却時のキャピタルゲインや現地税制の変更リスクを考慮する必要があります。適切な計画と管理を行うことで、節税効果を最大化しながら法人の経営基盤を強化することができるでしょう。

海外不動産投資を検討する際は、減価償却のメリットを最大限に活用しつつ、リスクを最小化するための準備を怠らないことが成功の鍵となります。

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