海外の物件を買うと決めたあと、最初に現実として立ちはだかるのが送金です。取引銀行が三井住友銀行なら、窓口とSMBCダイレクトのどちらから送るかで、1件あたりの送金手数料が4,000円変わります。さらに送金手数料のほかに3種類の費用が乗る場合があり、総額は「いくら送るか」と「誰が経由銀行の費用を持つか」で動きます。この記事では、三井住友銀行が公表している手数料表と外国送金サービスの案内をもとに、実際にかかる費用と、決済までに要する準備を整理します。金額は2026年9月30日に同行のページとPDFで表示されていたものです。
この記事の要点
- SMBCダイレクトからの海外送金は当行海外支店・現地法人・連携銀行あて3,000円/件、海外他行あて3,500円/件です。
- 同じ送金を店頭窓口で頼むと7,000円/件・7,500円/件。差は一律4,000円です。
- 送金手数料とは別に、関係銀行手数料2,500円が依頼人負担のときにかかります。
- 同一通貨で払い込むとリフティングチャージ(送金金額の0.05%・最低2,500円または25米ドル)が加わります。
- 2024年11月17日以前に登録した送金先口座は使えなくなっており、再登録が必要です。登録処理に1〜2週間かかることがあります。
- 2019年6月3日以降、同行に口座がない人の仕向外国送金は受け付けていません。
窓口とSMBCダイレクトで、送金手数料が4,000円違う
三井住友銀行の「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」のページには、個人向けの海外送金手数料が次のように掲載されています。
| 送金先 | SMBCダイレクト | 店頭窓口 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 当行海外支店/現地法人/連携銀行あて | 3,000円/件 | 7,000円/件 | 4,000円 |
| 海外他行あて | 3,500円/件 | 7,500円/件 | 4,000円 |

同行の外国送金サービスのページも「送金手数料が窓口よりも4,000円おトク」と明示しています。海外不動産の決済では、手付金・残代金・諸費用と複数回に分けて送ることが珍しくないので、3回送れば1万2,000円の差になります。ネットから送れる状態を先に作っておくことが、そのまま費用の削減になります。
ただし窓口が不要になるわけではありません。同行は2025年4月21日から外為関連業務の受付拠点をさらに集約しており、窓口で頼む場合は「仕向外国送金取扱店舗一覧」に載っている店舗へ行く必要があります。近所の支店で受け付けてもらえるとは限らない点に注意してください。
送金手数料だけでは終わらない。加算される3つの費用
海外送金の総額を見誤る原因は、送金手数料以外の費用です。三井住友銀行が公表している「外国関係手数料のご案内」(2026年2月)には、仕向外国送金にかかる費用が項目ごとに整理されています。
| 費用 | かかる条件 | 金額 |
|---|---|---|
| 関係銀行手数料 | 受取人取引銀行や経由銀行で発生する手数料を依頼人負担とした場合 | 送金取組時 2,500円/件 |
| 関係銀行手数料 | 手数料を受取人負担とした場合 | 発生せず |
| リフティングチャージ | 外貨建て送金の代わり金を同じ外貨で支払う場合 | 送金金額の0.05% (最低2,500円または25米ドル) |
| 円為替取扱手数料 | 円建て送金の場合 | 送金金額の0.05% (最低2,500円) |
リフティングチャージと円為替取扱手数料は定率です。0.05%なので、1,000万円を円建てで送ると5,000円、3,000万円なら1万5,000円になります。送金手数料が3,500円であることを考えると、金額が大きいほど定率の費用のほうが重くなります。

費用の内訳がなぜ複数に分かれるのかは、海外送金の手数料は何にいくらかかるのかを先に読むと理解が早くなります。
関係銀行手数料は「誰が払うか」で金額そのものが変わる
表2でいちばん誤解されやすいのが関係銀行手数料です。同行の案内は、依頼人負担にしたときの扱いをこう説明しています。「関係銀行手数料を依頼人負担とした場合、送金取組時に関係銀行手数料(2,500円)をお支払いいただきます。受取人取引銀行や経由銀行からの請求が4,000円を超えた場合、2,500円との差額を後日追加でお支払いいただきます」。
つまり、2,500円は確定額ではなく一次的な預かりです。実際の請求が4,000円を超えれば追加が来ます。同行は「追加のご請求がある場合、お取組みの時点では金額や時期は確定しません。複数回にわたりご請求させていただくことがあります」とも書いています。
図1|関係銀行手数料を誰が持つかで、何が変わるか
受取人負担にする
依頼人には関係銀行手数料がかからない。
そのぶん、受取人の口座に着金する金額が経由銀行の手数料だけ目減りする。
売主に「満額で着金させる」約束をしているなら選べない。
依頼人負担にする
送金取組時に2,500円を支払う。
実際の請求が4,000円を超えたら差額を後日追加で支払う。
それでも受取人取引銀行が入金時に別途手数料を請求することがある、と同行は注記している。
海外の不動産取引では、売主やデベロッパーが「指定額が満額で着金すること」を条件にしていることがあります。その場合は依頼人負担を選ぶことになりますが、依頼人負担にしても受取人側で別途手数料を引かれる可能性は残ると同行が明記している点は、契約前に相手方へ確認しておく価値があります。
送れる通貨は7つ。カナダドルは店頭のみ
SMBCダイレクトの外国送金は「外貨6通貨および円建ての外国送金が可能」と案内されており、サービスページのバナーには円・米ドル・ユーロ・英ポンド・スイスフラン・オーストラリアドル・ニュージーランドドルが並んでいます。SMBCダイレクトで取り扱っている外貨預金の全通貨に対応し、送金資金を外貨口座から出金することもできると書かれています。
一方で「各種お手続」のページに載っている取扱可能な主要通貨にはカナダドルが「店頭のみ」という注記付きで挙げられています。買いたい国の通貨がネットで送れるかどうかは、契約前に確かめておく項目です。
| 通貨 | SMBCダイレクト | 店頭窓口 |
|---|---|---|
| 日本円(円建て送金) | 可 | 可 |
| 米ドル | 可 | 可 |
| ユーロ | 可 | 可 |
| 英ポンド | 可 | 可 |
| スイスフラン | 可 | 可 |
| オーストラリアドル/ニュージーランドドル | サービスページのバナーに掲載 | 記載なし |
| カナダドル | 記載なし | 可(「店頭のみ」と注記) |
外貨建て送金を円貨で払い込む場合、適用されるのは当日の公表為替レート(TTS)だと同行は説明しています。手数料は為替レートの中にも含まれているため、手数料表の金額だけを合計しても総コストにはなりません。同じ金額を送っても、どの日のどのレートで換算されたかで円建ての負担は変わります。
2024年11月17日以前に登録した送金先は、もう使えない
見落とすと決済が止まるのが、送金先口座の登録です。外国送金サービスのページの冒頭には、次の告知が赤字で掲げられています。
「外国送金フォーマットについて、国際標準フォーマット(ISO20022書式)への切り替えを制度上求められています。これに伴い、2024年11月17日以前にご登録の送金先口座情報を利用した送金は終了しました。今後利用予定の送金先口座については、再登録を行ってください。また、再登録に限らず銀行での送金先口座事前登録処理に1〜2週間要する可能性がございます」。

受取人口座は200件まで登録でき、過去24か月分の外国送金明細をパソコンで照会できます。ただし同行は「入力内容の点検は形式点検ですので、振込先の確認をするものではございません」と明記しています。口座名義や銀行コードが正しいかどうかは、自分と相手方で確かめるしかありません。
決済日から逆算する。準備にかかる日数を足し合わせる
海外不動産の決済日が決まっているなら、逆算で準備を組みます。三井住友銀行が案内している所要日数を並べると、次のようになります。
図2|SMBCダイレクトで海外送金できる状態になるまで
- 外国送金サービスの申込/SMBCダイレクト、郵送または店頭で申し込む。申込にはマイナンバーの告知が必要。通常は翌営業日中に完了するが、最大5営業日ほどかかる場合があると同行は書いている。
- 送金先口座の事前登録/SMBCセーフティパスの登録またはワンタイムパスワードの入力が必要。ISO20022書式への切り替えに伴い、1〜2週間かかる可能性がある。
- 送金の申込/24時間申込可。ただし日曜21:00〜月曜7:00は利用できない。送金内容によっては取組までに時間を要する。
- 着金/経由銀行の数と相手国によって変わる。SMBCダイレクトでは関係銀行(経由銀行を含む)を指定できないと同行は明記している。
1と2を足すと、条件によっては3週間近くを見込むことになります。決済日の直前に口座を作って送ろうとすると間に合いません。着金までの日数の考え方は海外送金は何日かかるかで銀行別に整理しています。
窓口で送る場合はさらに注意が必要です。同行は「各種規制の強化や国際情勢等を受けて、送金内容の確認を十分に行うため、店頭での仕向外国送金については翌営業日以降の取組となる可能性がございます」と案内しています。また2019年6月3日以降、同行に口座を持たない人の仕向外国送金は受け付けておらず、現金での手続きもできません。
窓口で頼むときに持っていくもの、事前に集める情報
店頭で送金する場合に必要なものは、同行のページに一覧で示されています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証、パスポート(住所の記載があるもの)、個人番号カード、在留カード等のいずれか原本。顔写真付きがない場合は2点必要 |
| 口座関係 | 出金口座の通帳と届出印(Web通帳の場合は口座番号がわかるもの) |
| マイナンバー | 通知カード、マイナンバーカード、マイナンバー記載の住民票の写し(発行6か月以内)のいずれか |
| 取引の詳細を確認する書類 | 原資(通帳・給与明細・契約書)、送金目的(商業送り状・請求書)、受取人との関係(親族なら戸籍謄本・婚姻証明書等) |
| 受取人の情報 | 国名、住所(北米・中南米は郵便番号を含む全住所)、電話番号、口座番号、口座名義 |
| 受取人取引銀行の情報 | 銀行名、支店名、所在地(国名・都市名・州名・省名) |
| 特定の国・地域で必要なコード | SWIFT(BIC)、IBAN、ABA No. 等 |
不動産の決済では「送金目的」と「原資」を示す書類が要になります。売買契約書と、資金の出どころが分かる通帳を用意しておくと手続きが止まりにくくなります。海外不動産の購入代金をどう払うかの全体像は、海外不動産購入代金の支払い・海外送金はどうするのがベストかでまとめています。
三井住友銀行の海外送金についてよくある質問
- SMBCダイレクトの外国送金サービス自体に利用料はかかりますか。
- 同行の手数料ページでは、外国送金(SMBCダイレクト)のサービス利用料は「無料」と記載されています。ただし「送金の際は、所定の手数料が必要です」と注記されており、表1の送金手数料と表2の加算費用は別にかかります。
- 送金小切手で送ることはできますか。
- できません。同行は「2020年8月31日(月)をもちまして、外国送金における送金小切手の受付は終了しております」と案内しており、現在は電信送金のみの取り扱いです。SMBCダイレクトでも電信送金のみです。
- 三井住友銀行に口座がなくても窓口から送れますか。
- 送れません。同行は2019年6月3日から、口座を持たない人の仕向外国送金等の受付を停止しています。口座がある場合でも現金での手続きは受け付けておらず、本人名義の口座からの振替で扱うとされています。
- 経由銀行を指定して手数料を抑えることはできますか。
- SMBCダイレクトではできません。同行は「支払指図の伝達手段は、当行が適当と認めるものを利用します。その際、関係銀行を経由する場合もございます。SMBCダイレクト外国送金サービスでは関係銀行(経由銀行を含む)を指定出来ません」と明記しています。
- アジア向けの送金に割引はありますか。
- 同行のページには「アジアの一部提携先銀行宛の送金については、手数料の優遇がございます」という案内があります。対象となる提携先銀行と優遇内容は別ページに示されているため、送金先が該当するかは事前に確認してください。この記事では対象行の一覧までは確認していません。
- 海外から日本の三井住友銀行の口座で受け取る場合はいくらかかりますか。
- 同じページに被仕向送金の条件が掲載されており、被仕向送金手数料は1,500円です。外貨建てで送られて外貨預金で受け取る場合はリフティングチャージ(送金金額の0.05%、最低2,500円または25米ドル)が、円貨建てで送られて円預金で受け取る場合は円為替取扱手数料(送金金額の0.05%、最低2,500円)が加わります。受け取り側の手続き全般は海外からの送金を日本の口座で受け取る方法で扱っています。
この記事で確認した一次情報
- 三井住友銀行「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」https://www.smbc.co.jp/kojin/otetsuduki/sonota/kaigai/(2026年9月30日確認)
- 三井住友銀行「外国送金サービス(SMBCダイレクト)」https://www.smbc.co.jp/kojin/kaigaiservice/gaikokusoukin/(2026年9月30日確認)
- 三井住友銀行「外国関係手数料のご案内」2026年2月(PDF)https://www.smbc.co.jp/kojin/fee/resources/pdf/fee_gaikoku.pdf(2026年9月30日確認)
- 三井住友銀行「インターネットバンキング(SMBCダイレクト)手数料」https://www.smbc.co.jp/kojin/direct/tesuryo/(2026年9月30日確認)
- 三井住友銀行「外国送金・外貨両替」https://www.smbc.co.jp/kojin/kaigaiservice/(2026年9月30日確認)
