海外の物件を売った代金、現地の家賃、海外で働いた報酬。日本の口座で受け取る側に回ると、送る側とはまったく別の費用がかかります。しかもその金額は送る人の画面には表示されません。受取人が気づくのは、通帳に入った額が「聞いていた金額より少ない」ときです。ここでは、日本の主要行が公表している被仕向送金の手数料と、2026年12月に予定されている改定内容を並べて、受け取り側で何がどれだけ引かれるのかを整理します。
この記事の要点
- 受け取り側で引かれるのは主に被仕向送金取扱手数料と円為替取扱手数料の2つ。銀行によって名称と条件が違う。
- 三菱UFJ銀行は海外からの送金を円口座で受け取る場合、8,000円以上で被仕向送金取扱手数料1,500円。外貨口座で受け取る場合は無料。
- 三井住友銀行の被仕向送金手数料は1,500円、円為替取扱手数料は送金額の0.05%(最低2,500円)。
- 三菱UFJ銀行は2026年12月14日以降到着分から、8,000円未満の受け取りの料率を変更すると公表している。個人が円口座で受け取ると合計で送金金額の50%になる。
- 中継銀行が差し引く分は届く前に確定しない。受取額が合わない原因はたいていここにある。
- 外為手数料には消費税がかからないと三菱UFJ銀行が明記している。
受け取り側で引かれるものは3種類ある
まず、お金がどこを通ってくるのかを押さえます。海外からの入金は、送金銀行を出てから自分の口座に着くまでに、いくつかの銀行を通過します。手数料はその途中と最後で引かれます。

日本の銀行が受け取り側で徴収する手数料は、名称こそ違いますが次の3つに整理できます。
| 手数料 | 何に対してかかるか | 避けられるか |
|---|---|---|
| 被仕向送金取扱手数料 | 海外から送金を受け取る取引そのもの。送金銀行の指示で手数料が受取人負担となる場合、あるいは負担の指示がない場合に発生する | 銀行と受け取り方によっては無料になる |
| 円為替取扱手数料 | 円建てのまま受け取る場合。同じ通貨のまま動かすことに対してかかる | 円建てで送らないという選択で避けられることがある |
| 外貨取扱手数料 | 外貨建てのまま外貨口座で受け取る場合 | 個人は無料としている銀行がある |
ここに、外貨を円に替えるときの為替レート差(TTB)が加わります。レート差は手数料の欄には出てこないので、明細だけを見ていると気づきません。送る側の費用構造については海外送金の手数料の内訳にまとめています。
送る人に伝える情報を、先に用意しておく
受け取りでいちばん多いつまずきは、情報の不足や表記違いで送金が止まることです。海外の銀行の入力欄はアルファベットしか受け付けないことが多く、口座名義のローマ字表記が1文字でも違うと組戻しになります。
| 伝える項目 | 中身 | 三井住友銀行の場合の例 |
|---|---|---|
| 銀行名(英字) | 正式な英語名。略称は使わない | SUMITOMO MITSUI BANKING CORPORATION |
| SWIFTコード(BICコード) | 銀行を特定する8桁または11桁のコード | SMBCJPJT(8桁)/SMBCJPJTXXX(11桁) |
| 支店名・支店番号 | 口座のある支店 | 支店番号3桁を口座番号の前に付ける形式 |
| 口座番号 | 自分の口座 | 支店番号(3桁)+口座番号(7桁) |
| 受取人名 | 通帳と一致するローマ字表記 | 口座名義と同一の表記 |
| 受取人住所 | 英字表記の住所 | 別途記載が必要 |

もう1つ、日本側で必ず求められるのがマイナンバーの確認です。三井住友銀行は海外送金の受け取りにマイナンバーの確認が必要だと案内しています。マネーロンダリング対策や制裁対象者の確認も行われ、確認に1か月以上を要する場合があるとも書かれています。不動産の決済など期日のある入金では、この確認期間を工程に入れておかないと間に合いません。
銀行別に見る、受け取り時の手数料
各行が公表している金額を並べます。海外から個人の口座に送金が届く場合を想定しています。
| 銀行 | 被仕向送金取扱手数料 | 円為替取扱手数料 | 外貨口座で受け取る場合 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行(外貨建を円口座で受け取る) | 3,000円未満は送金金額の半額、3,000円以上は1,500円 | — | 無料 |
| 三菱UFJ銀行(円建を円口座で受け取る) | 3,000円未満は送金金額の半額、3,000円〜8,000円未満は1,500円、8,000円以上は送金金額の0.050%(最低2,500円) | 上記に含む | — |
| 三井住友銀行 | 1,500円 | 送金額の0.05%(最低2,500円) | — |
三菱UFJ銀行は「在日他行経由で受領した場合、上記の手数料に加え、別途他行から請求される手数料がかかることがあります」とも書いています。国内の別の銀行を経由してから自分の口座へ届く経路では、日本国内でもう一段引かれることがあるということです。

三菱UFJ銀行は同じページで「外為手数料には消費税はかかりません」と明記しています。受け取り側の費用を計算するときに、消費税を上乗せする必要はありません。
2026年12月14日から、少額の受け取りが大きく変わる
ここがいま押さえておくべき変更点です。三菱UFJ銀行は2026年3月2日付で「外為手数料(被仕向送金)一部改定のお知らせ」を出しました。改定の理由として、マネーロンダリングおよびテロ資金供与の防止の重要性が高まっていること、ISO20022(国際標準規格に準拠した送金フォーマット)への移行を経て外国送金の取引環境が大きく変化していることが挙げられています。
適用開始は2段階です。2026年10月1日以降入金分から法人向けの外貨取扱手数料の扱いが変わり、2026年12月14日以降到着分から、送金金額8,000円未満の場合の手数料が変更されます。あわせて、円為替取扱手数料と外貨取扱手数料の表記が分数から小数(1/20%→0.050%)へ改められ、手数料算出の際に通貨単位未満の端数が出た場合は四捨五入すると明記されました。

個人が海外から円口座に受け取る場合の改定後の料率は、送金金額8,000円未満で被仕向送金取扱手数料が送金金額の18.75%、円為替取扱手数料が送金金額の31.25%です。合計すると送金金額の50%になります。8,000円以上であれば被仕向送金取扱手数料は1,500円、円為替取扱手数料は0.050%(最低2,500円)です。

ただし例外が明記されています。お知らせの注記には「個人のお客さまが外貨口座で受け取る場合、被仕向送金取扱手数料は無料のまま変更はございません」とあります。外貨のまま受け取れる口座を持っているかどうかで、負担がまったく変わるということです。少額の入金が定期的にある人ほど、外貨口座を用意しておく意味が大きくなります。
また、改定後は「他行手数料の有無にかかわらず、当行に到着した送金金額で手数料を算出します」とされています。中継銀行にいくら引かれたあとであっても、着いた金額を基準に計算するという意味です。
円で送ってもらうか、外貨で送ってもらうか
受け取り側の負担は、送金の通貨と受け取る口座の組み合わせで決まります。整理すると次のようになります。
| 送金の通貨 | 受け取る口座 | 受け取り側で起きること |
|---|---|---|
| 外貨建て | 外貨口座 | 両替が発生しない。三菱UFJ銀行は被仕向送金取扱手数料を無料としている |
| 外貨建て | 円口座 | 被仕向送金取扱手数料に加え、円に替えるためのレート差(TTB)が乗る |
| 円建て | 円口座 | 両替は起きないが、円為替取扱手数料の対象になる |
「円で送ってもらえば為替の心配がない」と考えて円建てを指定する人は多いのですが、受け取り側では円建てのほうが不利になることがあります。三菱UFJ銀行の場合、円建てを円口座で受け取ると8,000円以上で送金金額の0.050%(最低2,500円)がかかるのに対し、外貨建てを外貨口座で受け取れば被仕向送金取扱手数料は無料です。「為替リスクを避ける」ことと「手数料を抑える」ことは、受け取り側では両立しません。どちらを優先するかを先に決めてから、送る人に通貨を伝えてください。
受け取り額を減らさないための手順
- 自分の口座の受け取り条件を先に調べる。取引銀行の外為手数料のページで、被仕向送金と円為替取扱手数料の金額を確認します。ページによっては改定の予告が冒頭に置かれています。
- 外貨口座を作れるかを確認する。外貨のまま受け取れると被仕向送金取扱手数料が無料になる銀行があります。口座開設には時間がかかるので、入金予定より前に動きます。
- 手数料の負担者を送金時に決めてもらう。送金銀行の指示で受取人負担とされた場合、あるいは指示がない場合に受け取り側の手数料が発生します。送る人と事前にすり合わせておきます。
- 少額を分けずに、まとめて送ってもらう。定額の手数料は回数分かかります。8,000円未満の入金は改定後にとくに不利になります。
- ローマ字表記を1文字ずつ確認する。口座名義、支店番号、SWIFTコードを、通帳やキャッシュカードと突き合わせて送る人へ渡します。
- マイナンバーと確認期間を見込む。受け取りにはマイナンバーの確認が必要です。制裁対象者の確認などで1か月以上かかる場合があると案内されています。
海外不動産の売却代金のように金額が大きい入金では、定額の手数料そのものは相対的に小さくなります。むしろ効いてくるのは為替レートと中継銀行です。決済の設計については海外不動産購入代金の支払い方法もあわせて読んでください。
よくある質問
受け取るだけなのに手数料がかかるのはなぜですか
受け取る取引そのものに対してかかる手数料だからです。三菱UFJ銀行は改定のお知らせで、対象となる取引を「当行で外国送金を受け取る取引(被仕向送金)」と定義し、「送金銀行の指示により手数料が受取人負担となる場合、あるいは手数料負担について指示がない場合に発生します」と説明しています。
送られた金額と入金額が合いません
中継銀行が差し引いている可能性が高いです。中継銀行の手数料は送金前に確定せず、経由する銀行の数も通貨や経路によって変わります。受取銀行の明細には差し引き後の金額しか現れないため、内訳を追うには送金銀行側の記録が必要になります。
外為手数料に消費税はかかりますか
三菱UFJ銀行は外為手数料のページと改定のお知らせの両方で「外為手数料には消費税はかかりません」と明記しています。
8,000円未満の受け取りは本当に半分になるのですか
三菱UFJ銀行の改定後の表では、個人が海外からの送金を円口座で受け取る場合、8,000円未満だと被仕向送金取扱手数料が送金金額の18.75%、円為替取扱手数料が送金金額の31.25%です。合計で50%になります。適用は2026年12月14日以降到着分からです。外貨口座で受け取る場合は被仕向送金取扱手数料が無料のまま変わらないと注記されています。
受け取りにどのくらい日数がかかりますか
通常の日数は経路と通貨で変わるため一律には言えません。三井住友銀行は、マネーロンダリング対策や制裁対象者の確認などの法的確認を行うため、確認に1か月以上を要する場合があると案内しています。期日のある入金では余裕をみてください。
ネット銀行のほうが安いですか
本記事では三菱UFJ銀行と三井住友銀行の公表値のみを確認しました。ネット銀行や送金サービスの受け取り条件は各社の公表資料を個別に確認する必要があり、ここでは比較していません。
参照した公式情報
- 三菱UFJ銀行「外為手数料」
- 三菱UFJ銀行「外為手数料(被仕向送金)一部改定のお知らせ」(2026年3月2日現在)
- 三井住友銀行「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」
