UAE(アラブ首長国連邦)の国営鉄道が「エティハド鉄道(Etihad Rail)」です。
エティハド鉄道とは?
エティハド鉄道は、UAE(アラブ首長国連邦)の国内貨物および旅客鉄道ネットワークで、UAE(アラブ首長国連邦)に建設中の1,200kmの鉄道インフラプロジェクトです。エティハド鉄道(旧ユニオン鉄道会社)は、鉄道インフラの開発、建設、運営を目的として設立されました。アブダビ政府(70%) と UAE連邦政府(30%) が所有しています。
すべての人にとって手頃で公平なアクセスを提供し、経済発展と人間の幸福をサポートすることを目的としています。
計画としては「UAEビジョン2021」と「アブダビ経済ビジョン2030」に沿ったものであり、「Dubai 2040 Urban Master Plan(ドバイ・都市マスタープラン 2040)」とも密接に関連づけられる計画です。
日本で言えば、JRのようなもので、UAEの主要な産業と人口の中心地を結び、これらの中心地を湾岸協力会議(GCC)の他の鉄道と結びつけることを目的としています。
UAE(アラブ首長国連邦)は、7つの首長国により構成される連邦国家です。
連邦を構成する7首長国
- アブダビ
- ドバイ
- シャールジャ
- アジュマーン
- ウンム・アル=カイワイン
- フジャイラ
- ラアス・アル=ハイマ
エティハド鉄道は、UAE(アラブ首長国連邦)の7つの首長国を結ぶ、国内の鉄道ネットーワークです。
その上で、湾岸協力会議(GCC)の他国の鉄道とも連結させる計画があります。
湾岸協力会議(GCC)は、
- アラブ首長国連邦
- バーレーン
- クウェート
- オマーン
- カタール
- サウジアラビア
が加盟しており
- 加盟国間の経済・金融・貿易・通関・観光・立法・行政における共通規制の確立
- 鉱工業・農業・水利・畜産資源の科学技術的進歩
- 科学研究センターの設立
- ジョイントベンチャー(共同企業体)の設立
- 民間部門の協力推進
- 人的交流の強化推進
- 湾岸共通通貨「ハリージー(Khaleeji)」の導入
などを目的としている組織です。
つまり、湾岸の主要国の鉄道を連結させて、中東各国と行き来ができる鉄道ネットワークを作るという計画なのです。
エティハド鉄道のプロジェクト
ステージ1
- SHAM駅(シャー)~TARIF駅(タリフ)~RUWAIS駅(ツワイ)
- 長さ:264km
- 運航開始:2016年1月
ステージ2
- サウジアラビア国境のGHWEIFAT駅(グライファト)~GFUJAIRAH駅(フジャイラ)
- 長さ:605km
- 運航開始:2023年2月28日
- 運営者:エティハド鉄道DB(エティハド鉄道とドイツ鉄道の合弁会社)
グウェイファトのサウジアラビア国境から延び、アブダビ、ハリファ港、キザド、ドバイ、ラス・アル・ハイマ、ジェベル・アリ港、シャルジャ、東海岸のフジャイラを経由して首長国連邦を結びます。
ネットワーク上の旅客サービスは、11の都市を接続することにより、UAE内の移動を早くしてくれます。
- アブダビ~ドバイ間の所要時間は50分
- アブダビ~フジャイラ間の所要時間は100分
- ドバイ~フジャイラ間の所要時間は50分
- アブダビ~アル・ルワイ間の所要時間は70分
に短縮されます。
乗客数は、2030年までに年間3,650 万人以上に達すると予想されています。
将来のステージ
- 湾岸協力会議(GCC)の他国との連結
- 長さ:1,200km
- 運営完了:2024年
エティハド鉄道の効果
エティハド鉄道のウェブサイトの試算では
- 輸送コストの削減、輸送時間の短縮、排出ガスの影響の削減、観光客の増加などの要素を考慮して、40年間で1,860億ディルハムの経済効果。
- 貨物は、インターモーダル、バルク、ブレークバルクのいずれであっても、多くの場合、他の輸送手段よりも競争力のある料金で鉄道で輸送できる。
- 鉄道駅周辺地域の地価の上昇は、潜在的な住宅、商業、産業開発の賃貸収入につながり、今後50年間で地価が230億ディルハムに上昇する可能性がある。
- エティハド鉄道は、同社の鉄道が40年間で推定210億ディルハムの観光収入を生み出す。
- エティハド鉄道はまた、同社の鉄道により道路を経由する旅行が減り、道路維持の必要性が減り、その結果、道路維持費が40年間で70億ディルハム削減される。
と言われています。
エティハド鉄道とドバイ不動産の相関性
ドバイとの接続
当然、アブダビやフジャイラなどのUAEの都市とドバイ、またはサウジアラビアやオマーン、カタールなどの隣国とドバイへの交通網が整備されれば
- ドバイの観光客数が増える
- ドバイの物流網の整備により経済が発展する
ことが容易に想像できます。
また、ドバイと接続される駅は、日本でいう「ターミナル駅」ですから、周辺の地価は上昇すること間違えないと言っても過言ではありません。
まだまだ、ドバイでは、車での交通が主力ですが、東京のような小さい都市ですので、駅や鉄道の発展にともない、電車中心の経済圏になる可能性は秘めています。
今後も、主要な駅の計画は、抑えておくことと良いでしょう。