エジプト不動産
エジプト不動産 最新動向
マクロ環境・金利・為替
- 成長率は5%、インフレは7月に14.9%
エジプト中央銀行は、2026年1~3月期の実質GDP成長率を前年同期比5.0%、2025/26年度平均を約5.0%と見込んでいます。総合インフレ率は2026年6月の14.3%から7月に14.9%へ上昇しましたが、7月の前月比は0.0%でした。中央銀行は7~9月期にベース効果で前年比が上がる可能性を示す一方、従来予測より上昇ペースは緩やかとしています。出典:エジプト中央銀行・2026年8月20日金融政策決定 - 政策金利は非常に高い水準
中央銀行は2026年8月20日、翌日物預金金利19.0%、翌日物貸出金利20.0%、主要オペ金利19.5%を据え置きました。住宅ローンや開発資金の負担が重いため、新築販売ではデベロッパー分割の総支払額を現金価格と分けて確認する必要があります。頭金率や支払年数は案件ごとに異なり、長期分割価格には金融コストが含まれる可能性があります。出典:エジプト中央銀行・政策金利据え置き - ポンド建て上昇と外貨収益は別問題
2026年8月初めの為替は1ドル約51エジプト・ポンドです。物件価格はインフレと建設費上昇で高止まりしていますが、ポンド安が進めば、円やドル換算の資産価値は目減りします。現地通貨では値上がりしても、外貨ベースでは横ばいまたは下落となる可能性があります。
住宅・分譲市場
- 供給増加と大手への集中
2026年1~3月期に約8,000戸が完成し、カイロの住宅ストックは約33万3,500戸となりました。2026年中にはさらに約4万2,000戸が供給予定です。新規案件は大手企業や共同事業に偏り、中小デベロッパーは資金繰り、建設費、引渡し能力の面で厳しくなっています。 - 一次販売は強いが、中古転売は鈍化
賃貸需要は底堅い一方、再販市場では取引量と価格上昇率が鈍化しています。完成前物件を分割購入し、引渡し前後に転売する投資では、買い手が見つかるまで時間がかかるケースが増えています。広告価格だけでなく、実際の成約価格、残債引継ぎ、名義変更手数料の確認が必要です。 - 東カイロが最大市場
2026年初めの主要デベロッパー販売では、東カイロが約1,300億ポンド、ノースコースト約500億ポンド、アイン・ソフナ約400億ポンド、西カイロ約300億ポンドでした。ニューカイロ、第五地区、新行政首都では複合開発への需要が強い一方、新行政首都は居住人口や商業稼働が追いつかない街区もあり、区画差が大きいです。 - 西カイロは実需、沿岸部は投資・別荘型
シェイク・ザイード、6th of October、ニューギザは学校や商業施設が整い、家族世帯の実需が比較的安定しています。ノースコーストとラス・エル・ヘクマは湾岸資本、ホテル、マリーナを組み合わせた通年型高級リゾートへ転換中です。アイン・ソフナではカイロからの近さを生かし、週末住宅とホテルレジデンスが増えています。
賃貸市場
- 管理良好な新築物件が優位
ニューカイロ、シェイク・ザイード、マアディ、ザマレクでは、外国企業勤務者、外交関係者、富裕層向けの家具付き住宅需要があります。警備、駐車場、電力、通信、共用施設が整った物件ほど選ばれ、管理状態が悪い物件は賃料を上げても空室が長期化しやすいです。カイロ全体でも賃貸需要は引き続き強い状態です。 - 旧家賃制度の終了が都心部を変える
2025年施行の制度により、1996年以前の旧家賃契約は住宅7年、非住宅5年の移行期間後に終了します。対象物件は地域区分に応じて賃料が10倍または20倍に再計算され、その後は年15%上昇します。家主の修繕・再開発採算は改善しますが、立退き、用途転換、建替え、家賃上昇も進む可能性があります。
オフィス
- 供給の中心はニューカイロ
2026年1~3月期にA・Bグレード合計で10万平方メートル超が完成し、今後の供給もニューカイロに集中しています。サービスオフィスやコワーキングも拡大しています。多国籍企業は電力、通信、駐車場、セキュリティが安定した新築を優先し、旧市街の老朽ビルは設備更新や用途変更が必要です。
リテール・商業施設
- 大型供給と購買力低下が併存
2026年1~3月期に約8万9,000平方メートルが完成し、カイロの商業施設ストックは330万平方メートル超となりました。年内にはさらに約33万1,300平方メートルが供給予定です。通貨安と運営費上昇で賃料引上げが意識されますが、消費者の購買力低下が制約になります。飲食、娯楽、食品、医療、教育を組み合わせた複合型施設が優位です。
ホテル・観光不動産
- 観光は主要な成長分野
2026年上半期の外国人旅行者は約900万人で、前年同期比数%増えました。2025年は約1,900万人と過去最高水準です。大エジプト博物館、航空路線の拡充、カイロ・ギザ・ルクソール・アスワンの周遊需要が都市型・高級ホテルを支えています。 - ブランド化と複合開発が進行
カイロでは2026年1~3月期に約280室が加わり、総客室数は約2万9,000室となりました。独立系ホテルの国際ブランド転換や改装余地が大きく、紅海側ではアイン・ソフナの約10億ドル規模のマリーナ・ホテル・住宅複合計画などが進んでいます。
物流・工業
- カイロ東部、アレクサンドリア、スエズが中心
EC、食品、医薬品、3PL、輸出製造業により、高天井、荷捌き場、安定電力、幹線道路接続を備えたグレードA倉庫の需要があります。スエズ運河経済特区では、港湾、工業団地、物流、再生可能エネルギーを組み合わせた投資が進んでいます。ただし、紅海・スエズ周辺の緊張は海運保険料、港湾稼働、観光心理に影響します。
不動産ファンド・制度
- ファンド市場は拡大途上
2026年5月時点で当局は23本の新しい不動産ファンドを審査しており、既存市場の評価額は約90億ポンドです。ただし、上場REIT市場としての流動性や情報開示はまだ限定的です。 - 外国人購入には制限があります
原則として外国人個人は2物件まで、各4,000平方メートル以下で、政府の審査・承認が必要です。農地、シナイ半島、国境・軍事関連地域などには厳しい制限があります。商業・工業用不動産は、エジプト法人を通じた取得が一般的です。
投資家が確認すべき点
- 完成確度と権利関係
権利証、土地登記、建築許可、売主の土地取得根拠、工事進捗、遅延時の補償を確認します。デベロッパーの規模だけでなく、過去の引渡し実績、完成後の管理品質、契約上の引渡し猶予期間まで調べる必要があります。 - 総支払額と出口
分割払い総額、引渡し時の追加費用、管理費、内装・家具費、名義変更条件、残債、転売制限まで含めて比較します。エジプトでは半完成状態で引き渡される物件もあるため、表示価格だけでは総投資額を判断できません。
まとめ
2026年9月時点で確認できる最新の中央銀行公表では、実質GDP成長率は5%前後へ回復する一方、インフレ率14.9%、政策金利19~20%という高インフレ・高金利環境が続いています。ニューカイロや沿岸開発の販売価格だけで判断せず、完成確度、実際の賃貸需要、分割払いの総額、ポンド安を含む外貨換算後の収益を確認する必要があります。中古転売や完成前転売では、広告価格ではなく実成約と名義変更条件を優先します。
有望なのは、完成または完成に近い大手デベロッパー物件、実際の居住・賃貸需要がある街区、管理品質が高い住宅、観光需要と接続したホテル・沿岸物件、幹線道路と港湾に近い物流施設です。最大のリスクは、ポンド安、実質価格の下落、工事遅延、供給過剰、旧家賃制度改革による混乱、地域情勢です。短期転売よりも、賃貸需要、完成確度、外貨換算後の収益を重視する判断が必要です。
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フィリピン不動産
フィリピン不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 利下げ局面から再利上げ局面へ転換
2026年初めまでは金融緩和が進みましたが、中東情勢に伴う原油・肥料価格の上昇、ペソ安、食品価格への波及を受け、フィリピン中央銀行は4月と6月に連続利上げを実施しました。フィリピン中央銀行(BSP)は2026年8月27日、政策金利を0.25ポイント引き上げ、5.00%としました。フィリピン統計庁(PSA)による7月の消費者物価上昇率は前年同月比6.2%で、6月の6.4%から小幅に鈍化しましたが、中央銀行の目標上限を上回っています。住宅購入者にとっては、2025年に期待された住宅ローン金利低下がいったん止まり、返済負担が再び重くなっています。 - 景気減速が不動産需要を抑制
PSAが2026年8月7日に公表した国民経済計算では、2026年4~6月期の実質GDP成長率は前年同期比2.3%へ低下しました。総固定資本形成を含む総資本形成は前年同期比9.2%減で、企業の拠点拡張、富裕層の投資購入、中間所得層の住宅取得はいずれも慎重化しやすい環境です。不動産市場は「金利上昇と景気減速が同時進行する局面」に入っています。 - 住宅ローンの実務感
銀行の住宅ローンは優良顧客向けキャンペーンで年6%台前半が出る例もありますが、一般の商品では固定期間や審査条件によって年7%台以上になることもあります。一方、Pag-IBIGは通常住宅融資の上限を1,000万ペソへ引き上げ、社会住宅・4PH対象の適格者には当初5年間年3%の優遇金利を維持しています。低価格住宅と民間コンドミニアムでは資金調達環境の差が拡大しています。
住宅・コンドミニアム
- 価格指数は上昇、実際の販売市場は買い手優位
2026年1~3月期の全国住宅価格指数は前年同期比4.5%上昇、前期比5.6%上昇しました。ただし、これは銀行融資を利用した成約価格を基礎とする全国指数であり、マニラ首都圏の大量在庫や値引き販売をそのまま示すものではありません。表面上の価格は上昇していても、実際の新築販売では頭金軽減、支払期間延長、家具・家電付与、諸費用負担、賃貸保証など、実質的な値引きが広がっています。 - 首都圏の売れ残りは過去最高水準
2026年上期のメトロマニラの未販売住宅は約8万2,900戸で、約34か月分の供給に相当します。上期の販売・予約取得は前期比6%増の約1万4,500戸まで改善しましたが、新規発売は約4,900戸に抑えられました。開発会社は新規案件を急ぐより、完成在庫と既存プレセール物件の販売を優先しています。2025年以降に約10件、2023年以降では約17件の住宅計画が保留・延期されたとの集計もあります。 - プレセール回復は低価格帯とRFOが中心
2026年1~3月期のプレセール純販売は前年同期比で765%増となりましたが、回復を牽引したのはエコノミー・アフォーダブル住宅と、すぐ入居できるRFO物件です。売れ残り在庫の消化年数も、2025年半ばの13.4年から6.8年へ短縮しました。もっとも、投資家が完成前物件を値上がり期待だけで購入する市場ではなく、完成状況、実際の賃料、管理費、引渡し後の資金計画を確認して選ぶ市場へ変わっています。 - 空室率はさらに悪化する可能性
メトロマニラでは2026年に約1万3,000戸のコンドミニアム完成が見込まれ、年末の空室率は25.6%まで上昇する予測があります。特に旧POGO需要への依存が大きかったベイエリアは、空室率が60%近くに達する可能性があります。マカティ、BGC、ロックウェルなどでも物件ごとの差が大きく、駅・職場・学校へのアクセス、築年数、管理状態、間取りの使いやすさが稼働率を左右します。 - 賃料は横ばい、値上がり回復は先送り
2026年のコンドミニアム賃料は全体として横ばいが見込まれています。主要業務地区のうち、コロナ前の賃料水準まで明確に戻ったのはBGC・タギッグの一部に限られます。築古物件や狭小スタジオは、内装更新や賃料調整をしなければ長期空室になりやすい状況です。売却時も開発会社の新築在庫と競合するため、短期転売より長期保有を前提にした資金計画が必要です。
オフィス
- 空室率は改善しても依然高水準
2026年1~3月期のメトロマニラのオフィス空室率は19.0%へわずかに改善しました。新規完成がなかったことと、退去面積が落ち着いたことが主因です。一方、2026年上期のオフィス需要は約48万8,000平方メートルで、前年同期比では32%減少しました。取引件数は確保されても、一社当たりの契約面積が小さくなっています。 - 需要の中心が変化
取引の約67%を法律、建設、エンジニアリング、政府機関などの一般企業が占め、IT-BPMやシェアードサービスも需要を支えています。大規模な一括賃借より、増床を段階的に行う企業や、サービスオフィスを併用する企業が増えています。マカティCBDとBGCの高品質ビルは底堅い一方、ベイエリア、アラバン、周辺立地の築古ビルは賃料免除期間や内装負担などの条件競争が続きます。 - 年後半は新規供給に注意
2026年通年では約50万5,000平方メートルの新規供給が見込まれます。交通利便性、PEZA対応、非常用電源、通信回線、環境認証を備えたビルへ需要が集中し、二級物件は改修、床の小口化、コワーキング導入が必要です。
リテール・商業施設
- モール空室率は回復
2026年1~3月期のメトロマニラの小売施設空室率は10.8%まで低下し、2020年初め以来の低水準となりました。飲食、衣料・靴、海外ブランドが主要な出店主体です。ただし、インフレで消費者の可処分所得が圧迫されているため、賃料は2026年を通じておおむね横ばいが見込まれます。 - 新設より改装が中心
大手モール運営会社は大型新設を抑え、既存施設の改装、テナント入替、飲食・ウェルネス・娯楽・イベントの拡充を進めています。単純な物販区画より、滞在時間を伸ばせる体験型施設が優位です。セブ、パンパンガ、バコロド、ダバオなど地方主要都市への展開も継続しています。
ホテル・観光
- 稼働率と客室単価は小幅改善
2026年1~5月の外国人旅行者は約274万人で、ホテル平均稼働率は66%、平均客室単価は約6,000ペソでした。前年同期の稼働率65%、客室単価5,800ペソから小幅に改善しています。国内旅行、MICE、企業イベントが下支えする一方、燃料高、航空運賃上昇、主要国からの旅行需要の変動が重荷です。 - 供給増で施設間競争が強まる
2026年にはメトロマニラで3,000室超の新規客室が見込まれ、マカティとベイエリアが供給の中心です。高級ホテルはブランド力とMICE需要、ミッドスケールは価格と立地、リゾートは航空アクセスと季節変動への対応力が収益を分けます。
物流・工業用不動産
- 最も構造的な成長余地が大きい分野
中部ルソンでは2026~2028年に約870ヘクタールの工業団地供給が計画され、南部ルソンを大きく上回ります。パンパンガ、ブラカン、タルラック、クラーク、ニュークラークシティでは、半導体、電子部品、自動車関連、再生可能エネルギー、食品加工、物流の需要が中心です。高速道路、空港、港湾との接続に加え、電力容量と水供給が物件価値を左右します。 - 99年賃借が外国企業の追い風
外国投資家による民有地の賃借期間は最長99年へ延長されました。土地を直接所有できない点は変わりませんが、工場、データセンター、物流施設など回収期間の長い投資の事業性は改善しています。
REIT・制度
- REITは分配安定性と金利の綱引き
フィリピンREITはオフィス中心から、物流、商業、再生可能エネルギー関連、インフラへ対象を広げています。2026年1月施行の改正規則で適格資産の範囲とSPV経由の保有が拡大し、スポンサーによる資産注入の自由度が高まりました。ただし、政策金利と国債利回りの上昇はREIT価格の上値を抑えるため、単純な配当利回りだけでなく、稼働率、借入比率、固定金利比率、残存賃貸期間を確認する必要があります。 - 外国人取得ルール
外国人は土地を直接所有できません。コンドミニアムはプロジェクト全体の外国人持分が40%以内であれば区分所有できます。購入時は外国人枠の残数、権利証、開発許可、管理組合費、固定資産税、譲渡時の税負担を確認する必要があります。
リスク・留意点
- 在庫・空室リスク:メトロマニラのコンドミニアムは、販売改善後も大量の未販売・空室在庫が残っています。特にベイエリア、狭小スタジオ、交通利便性の低い物件は慎重な賃料査定が必要です。
- 金利・インフレリスク:政策金利が再び上昇しており、住宅ローンの借換えや金利見直し時に返済額が増える可能性があります。
- ペソ・円の為替リスク:円から投資する場合、物件価格が上昇してもペソ安・円高で円換算収益が減少することがあります。
- 引渡し・開発会社リスク:販売不振や建設費上昇により、工期延期、計画変更、共用施設の縮小が起こる可能性があります。
- 出口価格の不透明さ:中古物件は開発会社の完成在庫や長期分割販売と競合します。提示価格ではなく、実際に売却可能な価格で収支を計算する必要があります。
まとめ
2026年9月時点のフィリピン不動産は、全面回復ではなく、住宅の大量在庫、再利上げ、インフレ、景気減速の中で用途と立地による選別が進む市場です。
住宅はRFOと低価格帯が中心で、メトロマニラのコンドミニアムは明確な買い手市場です。オフィスはマカティ・BGCの高品質物件が相対的に強く、二級立地は条件競争が続きます。リテールは稼働が改善し、ホテルは緩やかな回復、物流・工業団地は99年賃借制度と中部ルソン開発を背景に中長期の成長分野です。
投資判断では、提示価格よりも実質値引き後価格、現実的な賃料、空室期間、管理費、ローン金利、為替、出口時の再販競争を重視する必要があります。
フィリピン不動産関連情報
フィリピン不動産基本情報
フィリピン不動産データ
フィリピン不動産物件最新
Residences at The Galleon(レジデンシズ・アット・ザ・ガレオン)
PASEO de ROCES(パセオ・デ・ロセス)中古物件/1Bed/690万ペソ/想定利回り5.9%
フィリピン不動産中古物件
ドバイ不動産
ドバイ不動産 最新動向
市場全体
- 過熱相場から調整局面へ移行
2026年のドバイ不動産は、2025年まで続いた急拡大局面から、取引量・価格・賃料が正常化する局面へ移っています。特に3月以降は地域情勢の悪化、航空便の混乱、観光需要の減少、投資家心理の慎重化が重なり、住宅取引が急減しました。一方、オフィス、物流、主要商業施設は供給不足に支えられ、住宅やホテルより底堅く推移しています。
マクロ環境・金利
- 政策金利は3.65%
UAE中央銀行は2026年7月29日、基準金利を3.65%に据え置きました。UAEディルハムは米ドルに連動しているため、金融政策も米国金利の影響を強く受けます。ドバイの6月のインフレ率は前年同月比5.7%まで上昇しており、住宅費に加え、燃料、食品、輸送費の上昇が家計と企業の負担になっています。 - 住宅ローン金利の実務感
主要銀行の新規固定型住宅ローンは、条件の良い借り手で年3.99~4.44%前後が目安です。固定期間終了後は、3カ月EIBORに銀行のマージンを加えた変動金利へ移行し、実質的には年5%前後になる商品が多くなっています。外国人の初回居住用住宅では、500万ディルハム以下の物件について最大LTVは原則80%で、少なくとも20%程度の自己資金が必要です。
住宅売買
- 取引件数は前年比29%減
2026年第2四半期の住宅取引は3万7,000件弱で、前年同期の5万1,000件超から約29%減少しました。取引総額は880億ディルハムで、前年同期の約1,540億ディルハムから43%減少しています。完成物件は件数ベースで42%減、オフプラン物件は23%減となり、調整は中古・完成物件でより鮮明です。 - オフプラン依存は継続
第2四半期のオフプラン取引額は約650億ディルハムで、住宅取引総額の7割超を占めました。ただし、前年同期比では43%減、第1四半期比でも約37%減っています。完成物件の取引額は約230億ディルハムで、前年同期比42%減でした。長期分割払い、引き渡し後支払い、登録料負担などの販売条件が、今後さらに増える可能性があります。 - 価格は前年比プラスでも足元は下落
第2四半期の住宅価格は、登録データ上では前年同期比1.9%上昇しています。内訳はマンションが1.3%上昇、ヴィラが5.7%上昇です。ただし、直近四半期では下落しており、前年同期比の数字には取引登録の時間差が残っています。市場の実態は「前年比では小幅高、直近では値下がり」という状態です。 - エリア別の下落が鮮明
マンション価格は第2四半期に、パーム・ジュメイラで前期比約9%、ビジネスベイとダウンタウンで約7%下落しました。ヴィラではジュメイラ・ゴルフ・エステーツが約8%、サステナブル・シティが約7%、ドバイ・ヒルズが約5%下落しています。一方、DIFC、メイダン、アル・バラリ、ダマック・ヒルズ、ジュメイラ・アイランズなどは比較的底堅く、全面安ではありません。
住宅賃貸
- 賃料は明確な下落へ
平均住宅賃料は前年同期比で2.6%下落し、マンションは2.4%、ヴィラは3.4%下落しました。前期比では全住宅が6.2%、マンションが6.5%、ヴィラが4.0%下落しています。短期賃貸として運用されていた住戸が長期賃貸市場へ流入し、借り手の選択肢が増えたことも賃料を押し下げています。 - 新規契約ほど交渉余地が拡大
ダウンタウンのマンション賃料は前期比約11%、ドバイ・マリーナとドバイ・ヒルズは約10%下落しました。ヴィラではドバイ・ヒルズが約12%、アル・バーシャが約11%、ジュメイラ・パークが約8%下落しています。更新契約より新規募集物件のほうが安く契約される例が増えており、フリーレント、複数回払い、家具付き、手数料負担なども交渉材料になっています。 - 契約市場の規模は依然大きい
2026年第1四半期の賃貸契約総額は322億ディルハムでした。新規契約は11万8,385件、更新契約は13万5,607件で、更新需要は引き続き厚いものの、第2四半期以降は借り手優位へ傾きつつあります。
住宅供給・開発
- 完成戸数は増加するが延期も多い
2026年上半期には約1万8,000戸が完成しました。内訳はマンション約1万4,800戸、ヴィラ約2,300戸、ブランドレジデンス約1,000戸です。ただし、物流の混乱や建材の輸送遅延により、2026年完成予定の一部が2027年へ繰り越されています。延期は供給過剰を一時的に緩和する一方、購入者には引き渡し遅延リスクとなります。 - 新規発売は急減
上半期の新規発売戸数は4万戸強ですが、第2四半期だけでは約1万戸、41プロジェクトにとどまりました。第1四半期は約3万2,000戸、93プロジェクトだったため、開発会社が発売を大幅に絞っています。新規案件も超高級物件より中価格帯へ重点が移っています。
オフィス
- 稼働率94%、賃料は前年比13%上昇
ドバイのオフィス市場は住宅より堅調です。平均稼働率は約94%、平均賃料は前年同期比13%上昇し、プライムオフィスは16%上昇しました。DIFC、TECOM、DMCCでは、金融、ファンド、法律、専門サービス、テクノロジー企業の需要が続いています。 - 四半期ベースでは上昇一服
一部テナントでは拡張計画の縮小、余剰床の転貸、契約延期が出始め、約5年ぶりに四半期ベースで賃料が下がる動きも確認されています。ただし、2026~2028年の新規供給は合計70万平方メートル未満で、その多くが完成前に予約される見通しです。Aグレードは高稼働が続き、築古・低仕様ビルとの格差が広がります。
リテール・商業施設
- 主要モールの稼働率は98%
観光客と消費支出は弱含んでいますが、主要モールの平均稼働率は約98%を維持しています。賃料も前年同期比約3%上昇しており、供給不足が市場を支えています。ただし、高級ブランドや観光客依存型店舗は売上が弱く、飲食、生活サービス、娯楽、スーパーマーケットなど日常利用型テナントのほうが安定しています。 - 2027年から供給増
2026年は目立った大型商業施設の完成が少ない一方、2027年には約24万平方メートルが供給される予定です。ジュメイラ・ビレッジ・トライアングル近隣のアル・ハイル・アベニューだけで約11万1,000平方メートルが追加されるため、周辺商業施設では競争激化が見込まれます。
ホテル・観光
- 2026年上半期は大幅悪化
航空便の減少と国際観光需要の低迷により、ドバイのホテル稼働率は前年同期から約30.3ポイント低下しました。ADRは7.0%低下、RevPARは35.2%低下しています。第2四半期にはドバイで新規ホテルの開業がなく、運営会社は開業延期、既存施設の改装、UAE居住者向けステイケーションプランで対応しています。
物流・工業
- 賃料上昇は二桁を維持
物流・工業用不動産は最も底堅い分野です。ドバイ・インダストリアル・シティ、ドバイ・インベストメンツ・パーク、ナショナル・インダストリーズ・パークで賃料上昇が目立ち、JAFZA、ラス・アル・ホール、ウンム・ラモールでも前年同期比約10%上昇しました。食品加工、医薬品、防衛、先端製造、クリーンエネルギー、3PL向けの需要が続いています。
制度・購入コスト
- 外国人は指定フリーホールド地域で所有可能
外国人は、ダウンタウン、ドバイ・マリーナ、パーム・ジュメイラ、ビジネスベイ、JVC、ドバイ・ヒルズなどの指定地域で、土地・住宅を完全所有できます。登記手数料は売主2%、買主2%の合計売買価格の4%が基本で、実務上は契約条件により買主が全額負担するケースもあります。登記所手数料、仲介手数料、住宅ローン登録料、物件評価料、年間管理費も別途必要です。 - ゴールデンビザ
不動産投資額が合計200万ディルハム以上などの条件を満たす場合、不動産投資家向けの長期滞在資格を申請できます。ただし、共有持分、ローン残高、物件評価額、完成・未完成の別によって必要書類や判定が異なります。 - 初回住宅購入者向け支援を確認
ドバイ土地局(DLD)が2026年8月25日に公表した案内では、UAE国民と居住者を対象とするFirst-Time Home Buyer Programmeを、参加デベロッパー・金融機関と連携して展開しています。対象可否や具体的な優遇内容は物件・金融機関ごとに異なるため、広告表示だけで判断せず、DLD登録、売買契約、融資条件を個別に照合する必要があります。
投資家への示唆
2026年9月時点のドバイ不動産は、何を買っても値上がりする相場ではありません。住宅では、販売戸数の多いオフプラン、短期賃貸依存エリア、投資家比率の高い小型マンションほど価格調整リスクが高まっています。一方、実需の強いファミリー向け住宅、完成済みで賃貸実績を確認できる物件、希少性のある低密度住宅、DIFC周辺の高品質オフィス、主要物流拠点は比較的底堅い状況です。
購入時は表面利回りだけでなく、DLD登録料、仲介料、年間サービスチャージ、空室期間、家具交換、管理会社費用、為替変動、売却時の仲介費用まで含めた実質利回りで判断する必要があります。市場全体としては急落というより、2025年までの過熱が解消され、エリア、物件品質、開発会社の信用力による二極化が急速に進んでいる段階です。
ドバイ不動産関連情報
ドバイ不動産基本情報
ドバイ不動産データ
ドバイ不動産物件最新
Mercedes-Benz Places Binghatti City(メルセデス・ベンツ・プレイシズ・ビンガッティ・シティ)
カンボジア不動産
カンボジア不動産 最新動向(2026年9月時点)
市場全体・マクロ環境
- 不動産は本格回復前の調整局面
2025年の実質GDP成長率は5.3%でしたが、2026年は3%程度まで減速する見通しです。建設・不動産は低調で、観光の落ち込み、外需の弱さ、エネルギー価格上昇が住宅購入や企業の床需要を抑えています。カンボジア国家統計局(NIS)が公表する2026年7月のインフレ率は5.5%です。建材費、電力費、管理費の上昇が収益を圧迫しやすく、賃料収入が現地通貨建ての場合は実質収益も確認する必要があります。 - 用途別の二極化が鮮明
住宅、オフィス、商業施設は供給過剰と在庫消化が課題です。一方、工場、物流施設、経済特区は製造業投資と「中国+1」の受け皿として相対的に強く、現在は立地だけでなく、稼働率、管理力、権利関係、出口流動性を個別に確認する市場です。
金利・銀行融資
- 住宅ローン金利はおおむね6~8%台
米ドル建て住宅ローンのキャンペーン金利は、銀行や提携物件によって年5.75~6.99%程度です。ただし、優遇期間終了後に6.5~8%前後へ移行する商品もあります。融資比率は条件の良い案件で80%前後ですが、外国人や投資目的では自己資金を多めに求められやすいです。 - 不良債権増加で審査は選別的
2026年6月時点の銀行融資残高は前年比4.6%増の約642億ドルでしたが、総不良債権比率は9.6%まで上昇しました。銀行は担保評価、返済原資、物件の換金性を厳しくみており、開発会社向け・購入者向けとも融資条件の差が拡大しています。
コンドミニアム・住宅
- 供給量は大きく、在庫圧力が残る
統計の定義によって差がありますが、プノンペンのコンドミニアム供給は約6.3万~7.6万戸です。2026年第1四半期だけでも6案件、3,300戸超が発売されました。高級帯は新規供給の26%程度にとどまり、開発会社は現地中間層が購入しやすい中価格帯・小型住戸へ軸足を移しています。 - 販売率は低く、完成物件が優位
2025年後半に調査された新規プロジェクトの平均販売率は3~4%程度にとどまり、予約金軽減、長期分割、家具付き、賃料保証などが広がりました。低価格帯中心の発売により、平均発売価格が1平方メートル当たり676ドル前後となった時期もあります。値上がりを前提にしたプレビルドより、完成済みで入居率、管理費、実賃料を確認できる物件の方が安全性は高いです。 - 賃貸は立地と管理で大差
BKK1、トンレバサック、ダウンペンなど外国人勤務者が生活しやすい都心部には一定の需要があります。ただし、同一地区でも管理状態、家具、非常電源、給水、駐車場、騒音で稼働率が大きく異なります。類似する1ベッドルームが多いため、表面利回りより年間稼働率と再募集期間が重要です。 - ボレイは中価格帯と南部郊外へ
戸建て・ショップハウスを含むボレイ供給は2025年後半で約9.5万戸です。新規供給は中価格帯が中心で、プノンペン南部、カンダール州、新空港方面へ広がっています。ただし、郊外は賃貸需要と中古流通が薄く、実需の有無を慎重に見る必要があります。
オフィス
- 空室率は約36%、借り手優位
2026年前半のプノンペンのオフィス総床面積は約120万平方メートル、平均稼働率は64%です。単純計算で43万平方メートル前後が空室です。さらに2026年には約14.4万平方メートルの追加供給が予定され、2029年には空室面積が約60万平方メートルへ増える可能性があります。 - グレードAへの集約
多国籍企業や金融機関は、立地、空調、非常電源、駐車場、管理体制が整ったグレードAを選ぶ傾向です。グレードB・Cではフリーレント、内装負担、短期契約、床分割が増えています。投資では募集賃料ではなく、値引き後の実効賃料と退去後の空室期間を織り込む必要があります。
リテール・商業施設
- 供給過剰が最も鮮明
2026年前半のプノンペンの小売床は約98.1万平方メートル、平均稼働率は57%です。空室は約45万平方メートルに達し、現在の吸収速度では消化に約18年を要するとの試算があります。商圏人口、導線、駐車場、テナント構成、イベント運営が成否を左右します。 - 賃料は施設形態で二極化
2025年後半から2026年前半に、コミュニティーモールの提示賃料は4.2%下落、商業ポディウムは2.4%下落しました。一方、一等地の路面店舗は3.1%上昇しています。一般的なモール区画では、歩合賃料、内装期間の免除、販促支援を交渉しやすい環境です。
ホテル・観光不動産
- 観光需要が大幅減
2026年上半期の外国人旅行者数は約175万人で、前年同期比47.9%減でした。シェムリアップも2026年1~4月の国内外旅行者が37.5%減となり、ホテル、サービスアパート、観光地周辺の商業施設には逆風です。プノンペンはビジネス需要が下支えしますが、高稼働を前提にした投資は慎重さが必要です。 - 新空港は長期材料
テチョ国際空港は2025年9月に開業し、初期の年間旅客処理能力は約1,300万人です。南部・カンダール方面の道路、住宅、物流開発には追い風ですが、空港開業だけでホテル稼働やコンド賃料が直ちに上昇するわけではなく、路線数と周辺雇用の実績確認が必要です。
物流・工業・経済特区
- 不動産の中では最も底堅い
2026年4月時点で稼働工場は3,266カ所、雇用は131万人超です。シアヌークビル周辺の工業団地は稼働率が約90%に達する一方、新興地域では50%未満の例もあり、港湾、幹線道路、電力、労働力へのアクセスで差が開いています。 - 賃料と土地価格は立地差が大きい
プノンペンの工場・倉庫賃料は月2.5~4.5ドル/平方メートルです。50年リースの工業用地は、プノンペンで1平方メートル当たり100~150ドル、カンダール州で40~120ドル、コンポンスプー州で25~50ドル程度です。電力、通関、排水設備、従業員確保まで確認する必要があります。
外国人取得・税制
- 外国人は土地を直接所有できない
外国人が取得できるのは、原則として適法な区分所有権が設定された建物の2階以上で、外国人持分は専有面積の70%以内です。土地付き住宅は、長期賃貸借、登録済み信託、現地法人などが検討されます。名義貸しは権利喪失や紛争のリスクが高く、避けるべきです。 - 2026年は印紙税優遇が継続
不動産移転時の通常の印紙税は4%ですが、一定のボレイ・コンドミニアム購入では、初回購入者向け免税や、2戸目以降の課税標準から7万ドルを控除する優遇が2026年末まで延長されています。不動産のキャピタルゲイン課税も2026年末まで延期され、2027年1月からの適用予定です。
投資家への示唆
- 住宅は完成済み、権利証明済み、実入居確認済みを優先し、保証利回りは保証主体の財務力と支払実績を確認します。
- オフィス・商業は空室を前提に、実効賃料、改装費、仲介料、フリーレントを差し引いて収益を比較します。
- ホテルは2026年の観光客減少を踏まえ、回復を楽観視しないことが重要です。
- 物流・工業は相対的に有望ですが、テナント信用力、電力、道路、港湾アクセスが収益を左右します。
- 共通リスクは、開発会社の資金繰り、引渡し遅延、権利証の不備、管理組合の未整備、中古市場の薄さ、米ドルと円の為替変動です。不良債権が増え続ければ、担保売却と価格調整が長引く可能性があります。
まとめ
2026年9月時点のカンボジア不動産は、市場全体が上昇する回復局面ではなく、在庫消化と信用調整が続く買い手・借り手優位の市場です。コンドミニアムは中価格帯・実需型へ転換し、オフィスと商業施設は高空室、ホテルは観光客減少の影響を受けています。一方、工場、倉庫、経済特区は製造業投資を背景に相対的な強さがあります。将来の値上がり予測より、完成済みか、権利が明確か、実際に稼働しているか、再売却できるかを優先する必要があります。
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カンボジア不動産物件最新
Le Condé 2(ル・コンデ 2)
Le Conde BKK1 (ル・コンデ・ビーケーケーワン)
エジプト不動産中古物件
ウズベキスタン不動産
ウズベキスタン不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 高成長が不動産需要を支えています
ウズベキスタンの実質GDPは2025年に7.7%成長し、2026年上半期も8.5%成長となりました。人口増加、都市化、所得上昇、公共投資、外国直接投資が住宅・商業不動産の需要を押し上げています。中央銀行は2026年通年の成長率を7.5~8%と見込んでおり、中央アジアでも高い成長局面が続いています。 - 政策金利は14%で据え置き
ウズベキスタン中央銀行の2026年7月29日決定では、政策金利を年14%に据え置きました。6月の消費者物価上昇率は前年同月比6.4%で、電力・ガスなど規制料金の引き上げが物価を押し上げました。中央銀行は年末インフレ率を約6.5%と見込み、当面は金融引き締めを維持する方針です。不動産市場は景気拡大の恩恵を受ける一方、借入コストは依然高い状態です。 - 住宅ローンは優遇型と市場型で差があります
新築向けの政策支援型住宅ローンは年16.5~18%前後から、一般的な中古住宅・商業型ローンは年21~27%前後が中心です。返済期間は最長20年、頭金はおおむね15~30%以上です。返済負担率は原則として確認所得の50%以内、住宅ローンのLTVは概ね80~85%に制限されており、所得証明と信用履歴の重要性が増しています。
住宅売買市場
- 取引件数は大幅に増加
2026年上半期の不動産売買件数は17万1,000件超となり、前年同期比25.3%増でした。6月だけでも2万5,000件を超え、前月比23%増、前年同月比20.4%増です。タシケント市は6月の全国取引の30.8%を占め、約7,800件が成立しました。シルダリヤ、ナヴォイ、サマルカンドなど地方都市でも取引が増えており、需要が首都以外へ広がっています。 - 第1四半期の急増には駆け込み需要も含まれます
2026年第1四半期の取引は11万100件で、前年同期比48.4%増でした。ただし、4月1日から不動産決済にエスクロー口座が導入されたため、3月に契約を前倒しする動きが発生しました。4~5月はいったん反動減となり、6月に再び回復しています。表面的な伸び率だけでなく、制度変更による月次変動を分けて見る必要があります。 - 住宅価格はドル換算で上昇が目立ちます
2026年3月時点で、全国の集合住宅価格は前年同月比で、新築市場がドル換算8.1%上昇、中古市場が9.4%上昇しました。一方、現地通貨スム換算では新築1.8%、中古3.0%の上昇にとどまります。スム高の影響が大きく、外国人投資家から見た価格上昇率と、現地購入者の実感には差があります。 - タシケントは新築優位ですが、値引きも残っています
2026年1月のタシケント中古住宅は平均約1,120ドル/㎡で、前年同月比約2%上昇しました。新築は同9%超上昇し、ミラバード、ミルゾ・ウルグベクなど中心・準中心地区が強い動きです。ただし、2025年にタシケントで竣工した住宅は約217万㎡と前年比16%増え、エコノミー・コンフォート帯が供給の85%を占めました。開発会社の平均的な値引きは約10%に達しており、表示価格の上昇と実効価格の軟化が同時に起きています。 - 賃貸は中心地区と郊外で差が拡大
タシケントの平均住宅賃料は2026年1月時点で約8.8ドル/㎡・月、中心部のミラバード、ヤッカサライ、シャイハンタフールなどは約11ドル/㎡・月です。外国企業勤務者、留学生、国内移住者の需要がある一方、築古、家具不足、断熱・給湯・駐車設備が弱い物件は空室期間が長くなります。表面利回りだけでなく、家具費、仲介手数料、修繕、空室、為替差を差し引いた実質収益の確認が重要です。
供給・都市開発
- 住宅建設と住宅ローンが同時に拡大
2026年第1四半期に全国で完成した住宅は約330万㎡で、前年同期比6.6%増でした。住宅ローン実行額も同期間に5.7兆スム、前年同期比29%増となっています。戸建て建設の比重が依然高い一方、多層住宅の建設はタシケントから地方都市へ広がっています。 - ニュー・タシケントが中長期の供給軸
ニュー・タシケントでは住宅、官庁、学校、病院、交通網を一体整備する大規模開発が進み、100件を超える事業が動いています。既存市街地では老朽住宅の再開発も進められ、移転者向け住戸を確保する「アパートメント・バンク」が2031年までの試行制度として導入されます。再開発区域では補償方法、権利関係、移転先、完成時期の確認が不可欠です。
オフィス
- 空室率は改善し、賃料は上昇
2025年末のタシケントの賃貸可能オフィス面積は約59.1万㎡、空室率は前年の25%から16%へ低下しました。平均ベース賃料はA・A+クラスが34.6ドル/㎡・月、B・B+クラスが27.3ドル/㎡・月で、全体では前年比約7.1%上昇しました。 - 完成済み内装と中心立地に需要が集中
外資企業や金融・IT・専門サービス企業は、中心業務地区、非常用電源、駐車場、空調、セキュリティを備えた物件を選好しています。内装済みの即入居可能物件は吸収が進む一方、スケルトン区画や二次立地の旧型ビルは成約が遅く、オーナー側の内装負担やフリーレントが必要になりやすいです。
リテール・商業施設
- 供給余地は大きいものの、既存モールは二極化
タシケントの近代的商業施設は2025年末で約51.4万㎡、24施設です。2025年には10万㎡超が新規供給されました。人口1,000人当たりの良質商業床は約165㎡で、他の主要CIS都市より少なく、中長期の拡大余地はあります。 - 平均空室率18%で運営力が収益を左右
ショッピングセンターの募集賃料は15~70ドル/㎡・月と幅が広く、平均空室率は約18%です。好調施設は空室率5%以下ですが、新設施設やコンセプトの弱い施設では高空室が残ります。立地だけでなく、テナント構成、飲食・娯楽比率、駐車動線、イベント運営、単一管理体制が重要です。
ホテル・観光
- 観光客増加がホテル需要を押し上げ
2026年上半期の外国人訪問者は650万人超となり、前年同期比で約25%増えました。タシケントのビジネス需要に加え、サマルカンド、ブハラ、ヒヴァの文化観光が拡大しています。直近の運営指標では、2025年上半期のホテル稼働率は約53%、ADRは約131ドル、RevPARは約70ドルまで改善しました。 - 地方都市は季節変動に注意
国際ブランドホテルの進出は市場の透明性を高めますが、地方では客室供給が観光需要に先行する可能性があります。年間平均だけでなく、繁忙期と閑散期の差、航空路線、団体客比率、会議需要、運営会社との契約条件を確認する必要があります。
物流・工業
- 近代的倉庫はまだ不足
2025年末の良質な倉庫・工業施設は全国で約63.4万㎡、このうちタシケント市・州が72.5%を占めます。平均賃料は約8.86ドル/㎡・月で、前年より13.4%低下しました。供給増で賃料が調整した一方、国際基準を満たす施設は依然限定的です。 - 大型物流パークへの移行期
市場は自社利用倉庫中心から、BTSや賃貸型物流パークへ移行し始めています。2030年までにSilk Way PTCやDP Worldなど合計約25.5万㎡の大型供給が計画されています。低温倉庫は市場の約3.1%しかなく、食品、医薬品、EC向けの成長余地があります。
制度・外国人取得
- エスクロー決済が義務化
2026年4月1日から、不動産売買代金は銀行と公証人を通じた非現金決済が原則となりました。買主資金をエスクロー口座に置き、公証・名義移転後に売主へ送金する仕組みです。現金取引や二重契約を減らす効果が期待されますが、導入直後は手続きの遅延や取引件数の反動減が生じました。 - 外国人は建物取得が可能でも土地には制約
外国人は一定条件の下で住宅・商業不動産を取得できますが、対象国、物件区分、最低価格、居住許可の有無で条件が異なります。土地は自由な直接所有ではなく、賃借権・使用権を伴う形が中心です。購入前に登記、用途、建築許可、抵当権、未払い税、開発会社の権利、土地利用期限を現地弁護士と公証人で確認する必要があります。
リスク・留意点
- 高金利:現地通貨ローンは年20%前後以上になりやすく、借入投資の収支が合いにくいです。
- 供給過剰:タシケントの大衆住宅、新設モール、ホテルはエリアによって供給先行の可能性があります。
- 為替差:スム建て価格とドル換算価格の動きが異なり、取得・賃料・売却の通貨を揃えないと収益がぶれます。
- 施工・権利確認:完成遅延、仕様変更、インフラ接続、登記未了、土地利用権の不備が主要な実務リスクです。
- 出口流動性:市場拡大中とはいえ、買い手層はタシケントの一部物件に集中し、地方や大型商業物件は売却期間が長くなります。
まとめ
2026年9月時点のウズベキスタン不動産は、高い経済成長、人口増加、住宅ローン拡大、都市化を背景に、取引量が強く伸びています。住宅はタシケント中心部の新築・賃貸需要が堅調ですが、供給増と値引き販売も同時進行しています。オフィスは優良物件の空室率が改善し、商業施設は運営力による二極化が鮮明です。物流は近代化の初期段階にあり、中長期の成長余地があります。投資対象としては魅力がある一方、高金利、エスクロー移行、土地権利、施工品質、為替、売却流動性を慎重に管理する必要があります。
ウズベキスタン不動産関連情報
ウズベキスタン不動産基本情報
ウズベキスタン不動産データ
ウズベキスタン不動産物件最新
エジプト不動産中古物件
マレーシア不動産
マレーシア不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 政策金利は安定局面
マレーシア中央銀行は2026年7月9日、政策金利(OPR)を2.75%に据え置きました。インフレは比較的落ち着いており、2026年内は大幅な利上げ・利下げよりも、様子見の金融環境が基本です。不動産市場にとっては、金利急騰による急ブレーキは避けられている一方、購入者の借入余力が一気に改善するほどの追い風でもありません。(バンク・ネガラ・マレーシア) - 4~6月期の成長率は6.0%
マレーシア統計局が2026年8月14日に公表したGDPは、2026年4~6月期に前年同期比6.0%増でした。サービス業と製造業が成長を支え、住宅・オフィス需要の下支えになりますが、全国平均の成長だけで個別物件の在庫・賃料を判断しないことが重要です。 - 住宅ローン金利の実務感
住宅ローンは銀行・借入額・信用力によって差がありますが、実効金利はおおむね年3.8〜5.6%前後が目安です。SBRは2.75%で、銀行ごとにSBR+上乗せ金利という形になります。優良顧客向けでは4%前後、一般的な商品では4%台半ば〜5%台前半が中心です。(レイン・アンド・ホーン)
住宅(分譲・賃貸)
- 市場全体は「価格維持・取引減少」
2026年第1四半期のマレーシア不動産市場は、取引件数が89,966件、取引総額が約519億リンギットでした。前年同期比では取引件数が8%減、取引額は0.6%減にとどまっており、売買量は細ったものの、価格水準は大きく崩れていません。市場の見方としては、全面的な下落局面ではなく、買い手がより選別的になっている局面です。(Rummah.my) - 住宅価格は緩やかな上昇
住宅価格指数は2026年第1四半期に前年比1%台後半の上昇です。タイプ別では、テラスハウスやセミデタッチドなどの土地付き住宅が比較的強く、高層コンドミニアムは伸びが鈍いです。Detached houseは一部で弱含みも見られ、価格帯が高い物件ほど買い手の審査・自己資金・利回り目線が厳しくなっています。(MyRumahBaru) - 在庫過剰は高層住宅・サービスアパートに残る
完成済み未販売住宅のオーバーハングは、2026年第1四半期時点で3万戸超、金額で160億リンギット台まで増えています。特にコンドミニアム、サービスアパート、投資用小型ユニットでは、立地・管理品質・賃貸需要の差が明確です。クアラルンプール中心部、ジョホールの一部、供給が集中した郊外高層物件では、販売促進・値引き・家具付き販売・頭金軽減策が続きやすいです。(Rummah.my) - クアラルンプール高級住宅は底堅い
KLCC周辺の高級コンドミニアム二次市場では、平均成約価格が1平方フィートあたり1,500リンギット超の水準です。Orion Residence、Eden@Taman Duta、Jalan Ampang周辺の高級サービスアパート計画など、富裕層・外国人・長期保有層向けの商品は引き続き投入されています。ただし、需要は「完成済み」「眺望・管理・ブランド性あり」「賃貸出口が明確」という物件に偏っています。
ジョホール・ペナン・クランバレー
- ジョホールは2026年の注目エリア
ジョホールは、シンガポールとのRTS Link、ジョホール・シンガポール経済特区、データセンター投資、製造業集積を背景に、マレーシア国内でも特に注目度が高い地域です。住宅だけでなく、工業用地、物流、賃貸住宅、商業施設への波及が見込まれます。ただし、すべてのジョホール物件が上がるわけではなく、恩恵を受けやすいのはJB中心部、RTS駅周辺、Iskandar Puteri、データセンター・工業団地周辺です。(The Business Times) - クランバレーは成熟市場
クランバレーは、クアラルンプール、セランゴール、プトラジャヤを含む最大市場です。住宅は価格帯による選別が進み、商業・オフィス・物流は立地と建物仕様で二極化しています。ペナンは製造業・半導体関連、観光、教育需要を背景に底堅いものの、島内の住宅価格は高く、外国人取得や高額物件では流動性を慎重に見る必要があります。
オフィス
- プライムオフィスは改善、古いビルは厳しい
クアラルンプールのオフィス市場は、2026年第1四半期時点で平均稼働率が79.3%前後です。全体として空室はまだ高めですが、金融機関、サービスオフィス、建設・設備関連企業による拡張があり、プライムビルでは賃貸需要が戻っています。KL Cityのプライムオフィス賃料は月額7.95リンギット/平方フィート、KL Fringeは6.86リンギット、分散エリアは5.85リンギットが目安です。 - Flight to Qualityが鮮明
テナントは、古いビルから交通利便性・ESG・空調効率・共用部品質の高いビルへ移る傾向です。Merdeka 118のような象徴的な物件、KL Eco City周辺のコワーキング、KL Fringeの新築グレードAに需要が集まりやすいです。一方で、築古・低仕様・駅距離のあるオフィスは、賃料維持よりも改装、フロア分割、サービスオフィス化が課題です。
リテール・商業
- 主要モールは安定、二級モールは再編
クアラルンプールの商業施設は、祝祭需要、飲食、体験型テナント、国際ブランドの出店で安定しています。2026年第1四半期は新規供給が少なく、都市中心部・郊外ともに空室率は低下傾向です。City Centreでは賃料が小幅上昇、Suburbanでは横ばいが中心です。(JLL) - テナントミックスの入れ替えが進む
百貨店や映画館は再編が進み、Pavilion Kuala Lumpurでは映画館の入れ替え、Parksonの縮小、IPC Shopping Centreでは43,000平方フィート規模のGourmet Hall計画など、飲食・体験型への転換が目立ちます。2026年の主な供給には、118 Mall、Ombak KLCC、Coalfields Retail Park、Destina Putrajayaなどがあり、商業施設は「物販中心」から「飲食・体験・近隣需要型」へ寄っています。
ホテル・観光
- Visit Malaysia 2026が追い風
2026年はVisit Malaysia 2026の年で、政府・観光業界は数千万人規模の来訪者と大きな観光収入を目標に掲げています。クアラルンプール、ペナン、ランカウイ、コタキナバル、ジョホールバルではホテル稼働とADRの押し上げが期待されます。特に、MICE、医療ツーリズム、シンガポールからの週末需要、中国・中東・ASEANからの観光需要がホテル市場を支えます。(マレーシア観光局) - ホテル投資は立地選別が重要
観光需要は強い一方、ホテルは人件費、光熱費、改装費が上がっています。駅・モール・医療施設・空港アクセスに強いホテルは稼働を取りやすいですが、古い独立系ホテルや二線級立地は価格競争に巻き込まれやすいです。2026年は「観光客数増加」だけでなく、客室単価を上げられるブランド力と運営力が収益の差になります。
物流・工業・データセンター
- 最も構造的に強いのは工業・物流
物流・工業不動産は、製造業、Eコマース、3PL、半導体、データセンター需要を背景に底堅いです。JLLは、季節的な減速はあっても構造的需要は維持され、新しい倉庫への移転が進む一方、古い倉庫では空室が増えやすいと見ています。高天井、十分な電力、港湾・空港・高速道路アクセスを備えた物件が優位です。(JLL) - データセンターは大型投資継続
2026年もマレーシアのデータセンター投資は活発です。AirTrunkはジョホールバルで30億米ドル規模、280MW超の新施設投資を発表し、Equinixもクアラルンプールで1.9億米ドル超の追加投資を発表しています。ジョホール、グレーターKL、ネグリセンビラン周辺では、電力接続済み土地、変電所近接地、冷却・水資源条件を満たす工業用地の価値が上がりやすいです。(Reuters)
REIT・資本市場
- REITは税制変更が重し
マレーシアREITは、商業施設・物流・産業施設・オフィスなどへの間接投資手段として引き続き重要ですが、2026年からは従来の10%優遇源泉税が更新されず、投資家属性ごとの税率に移行しています。外国人・個人・機関投資家にとって手取り利回りが変わるため、REIT価格には一定の重しになります。(The Edge Malaysia) - 物件タイプで評価が分かれる
小売REITは主要モールの稼働改善が追い風、産業・物流REITは構造需要が強い一方、オフィス中心REITは物件品質とテナント構成で差が出ます。金利が安定しているため利回り商品としての魅力は残りますが、2026年は分配利回りだけでなく、税引後利回り、スポンサーの物件注入力、借入コスト、資産入替能力を見る必要があります。
制度・外国人投資
- 外国人は州ごとの最低価格に注意
外国人はマレーシアで不動産を購入できますが、州ごとの最低購入価格、州政府承認、Malay Reserve Landや低価格住宅などの取得制限があります。クアラルンプールなど連邦直轄地では一般に100万リンギット以上が基準で、セランゴール、ジョホール、ペナンなどは物件タイプやエリアで条件が変わります。(Global Law Experts) - MM2Hは不動産購入義務が強まる
MM2Hは、Silverで60万リンギット以上、Goldで100万リンギット以上、Platinumで200万リンギット以上の住宅購入が基本条件になっており、原則として10年間の売却制限があります。ただし、州ごとの外国人最低購入価格がMM2Hの最低額を上回る場合は、州ルールが優先される点に注意が必要です。(Malaysia My Second Home)
投資家への示唆
- 住宅
クアラルンプール中心部の高級完成物件、Mont Kiara、Bangsar、KLCC、駅近の実需物件は底堅いです。一方、郊外の小型高層コンド、サービスアパート、供給過多エリアは、賃料・空室・管理費を厳しめに見るべきです。 - ジョホール
RTS Link、JS-SEZ、データセンター、製造業需要を受けるエリアは中期テーマがあります。ただし、期待先行で価格が上がった物件は、完成時の賃貸需要と出口価格を慎重に確認する必要があります。 - オフィス
プライム・駅近・ESG対応ビルは改善余地があります。築古ビルは賃料下落よりも、CAPEX負担とリーシング期間の長期化がリスクです。 - リテール
主要モール、飲食・体験型、近隣密着型商業は安定しやすいです。二級モールはテナント入替・改装・用途転換が前提になります。 - 物流・工業
2026年時点で最も構造的な需要が強いセグメントです。港湾、空港、高速道路、電力、工業団地管理体制を満たす物件を優先すべきです。
まとめ
2026年9月時点のマレーシア不動産は、取引件数は減少しているが価格は大きく崩れていない、選別型の安定市場です。政策金利は2.75%で落ち着き、住宅ローン金利も急騰していませんが、買い手は価格・立地・賃貸利回りに厳しくなっています。住宅では、土地付き住宅と都心高級完成物件が比較的強く、高層コンドやサービスアパートの在庫圧力は残ります。オフィスはプライムビル優位、リテールは主要モールと体験型商業が堅調、ホテルはVisit Malaysia 2026が追い風です。
最も中期的に強いのは、ジョホールを中心とする工業・物流・データセンター関連不動産です。一方で、外国人購入規制、MM2Hの購入義務、REIT税制変更、建設費上昇、電力・水資源制約には注意が必要です。マレーシア不動産は、安く買えば何でも上がる市場ではなく、立地、用途、運営力、出口戦略の差が収益差になる市場に移行しています。
マレーシア不動産関連情報
マレーシア不動産基本情報
マレーシア不動産データ
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CENTRIX THE STATION KLCC(セントリックス・ザ・ステーション)
ベトナム不動産
ベトナム不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 高成長が続く一方、インフレ圧力が上昇
2026年上半期の実質GDP成長率は前年同期比8.18%、第2四半期は8.39%となりました。ベトナム国家統計局によると、2026年7月のCPIは前年同月比4.45%上昇、1~7月平均は4.39%上昇しており、景気は強いものの、建設資材費、人件費、電力料金、金利の上昇が不動産開発コストを押し上げています。 - 金融緩和よりも信用管理を重視
ベトナム国家銀行のリファイナンス金利は4.5%、割引率は3.0%が目安ですが、2026年の銀行信用増加目標は約15%に抑えられました。不動産向け融資については、銀行全体の信用増加率を上回らないよう管理されており、投機的な土地購入や法的手続きが不明確な開発案件への融資は厳格化しています。 - 住宅ローンの実務金利は上昇
優遇期間中は年5~9%台の商品もありますが、一般的な不動産融資は当初8~10%前後、優遇期間終了後は10~12%前後となり、一部では13%を超えます。金利上昇により、購入者は長期ローンよりも頭金を多く入れる、完成物件を選ぶ、支払猶予付き物件を利用するといった対応を取っています。
住宅・コンドミニアム
- 市場は回復していますが、価格帯の偏りが深刻
ベトナム建設省の2026年8月21日公表では、4~6月期に商業住宅113事業・10万3,205戸が新規許可され、131事業・5万9,073戸が将来住宅の販売要件を満たしました。供給は回復していますが、高級・準高級物件への偏りが残り、一般所得層が購入できる物件は不足しています。2025年には主要都市のマンション価格が20~30%上昇したとされ、政府は短期転売や空室保有を抑える税制の検討を進めています。 - ハノイは1平方メートル1億ドン超が常態化
ハノイ中心部の新築マンション平均価格は、2025年第3四半期以降、1平方メートル1億ドン超で推移しています。郊外のヴァンザン地区を含めた平均でも2026年第1四半期は8,400万ドンとなり、前期比約8%、前年同期比13%上昇しました。高級住宅市場では平均価格が約4,131米ドル/平方メートル、前年同期比20.7%上昇しています。 - ホーチミン市は供給不足が価格を下支え
2026年第1四半期の新規コンドミニアム供給は1,642戸と前年同期比369%増加しましたが、過去数年の供給不足を解消する規模ではありません。高級マンションの一次価格は平均約5,202米ドル/平方メートル、中古価格は前年同期比9.8%上昇しました。中心部よりもトゥードゥック、旧9区、ニャーベ、ビンチャインなど大規模開発地域への需要移動が続いています。 - 売れ行きはデベロッパーごとに二極化
法的許認可、土地使用権証明、建設進捗が明確な大手デベロッパー案件は販売が進む一方、許認可が不完全な案件や小規模事業者の物件は停滞しています。購入者は値上がり期待だけでなく、引渡し実績、銀行保証、管理品質、実需賃貸需要を重視するようになっています。
オフィス
- ホーチミン市は空室率が改善
2026年第1四半期のグレードA空室率は16.5%、グレードBは11.9%まで低下しました。別集計による市場全体の空室率は13.3%、純吸収面積は約12,600平方メートルです。CBDグレードA賃料は月額64.7米ドル/平方メートル、グレードBは33.6米ドル前後で、賃料は概ね横ばいです。 - 質の高いビルへの移転が中心
金融、テクノロジー、小売企業を中心に、旧式ビルからCBDやトゥーティエム地区の新しいオフィスへ移転する動きがあります。単純な増床よりも、立地、空調効率、電力安定性、環境認証、従業員の通勤利便性を改善する「フライト・トゥ・クオリティ」が中心です。 - ハノイは西部への分散が継続
ハノイではホアンキエムなど中心部に加え、カウザイ、ナムトゥーリエム、西湖周辺へのオフィス分散が進んでいます。新築グレードAの供給で選択肢は増えていますが、古いビルは賃料調整や設備更新が必要です。
リテール・商業施設
- 一等地の商業施設は高稼働
ホーチミン市のCBD商業施設の空室率は3.0%まで低下し、募集賃料は前年同期比4.1%上昇しました。郊外も賃料が3.8%上昇しており、市場全体の稼働率は90%を超えています。 - 飲食・娯楽・体験型店舗が牽引
化粧品、ファッション、飲食に加え、子ども向け施設、映画館、フィットネス、展示型店舗の需要が強くなっています。一方、旧式の商業施設や交通アクセスの悪い施設では、改装費負担、フリーレント、売上歩合賃料などの条件調整が必要です。
ホテル・観光不動産
- 都市型ホテルは本格回復
2026年上半期の外国人旅行者数は約1,230万人で、前年同期比14.9%増加しました。ホーチミン市の2026年第1四半期ホテル稼働率は約80%に達し、平均客室単価とRevPARも改善しています。 - リゾート市場は地域差が大きい
ハノイ、ホーチミン市など都市型市場はビジネス、MICE、外国人旅行者に支えられています。一方、ニャチャン、カムラン、ダナン、フーコックでは供給量が多く、施設によって稼働率に差があります。運営会社のブランド力、航空路線、ビーチへの距離、団体旅行への依存度が収益を左右します。
物流・工業団地
- 北部は電子・半導体関連が中心
2026年第1四半期の北部主要工業団地では、純吸収面積が150ヘクタール、稼働率は81.6%でした。工業用地賃料は契約期間総額で平均170.2米ドル/平方メートルとなり、前年同期比5.6%上昇しています。バクニン、ハイフォン、フンイエンなどで電子部品、半導体関連、サプライヤー企業の需要が続いています。 - 南部は供給増加とインフラ整備が追い風
南部主要市場の純吸収面積は87ヘクタール、稼働率は84%、平均賃料は210.1米ドル/平方メートルです。ドンナイ、ロンアン、ビンズオン、バリア=ブンタウを中心に、港湾、空港、高速道路へのアクセスを重視した需要が強まっています。 - 完成済み工場・倉庫の需要が安定
南部の完成済み工場の稼働率は約93%、倉庫は約77%です。月額賃料は工場が5.2米ドル/平方メートル、倉庫が5.0米ドル前後で、即時操業できる物件や電力容量の大きい工場が優位です。
制度・規制
- 2026年から土地価格表を毎年更新
2026年1月1日から、従来の土地価格枠に代わり、各省・市が市場実態を反映した土地価格表を毎年設定する制度へ移行しました。補償額の適正化や価格透明性の向上が期待される一方、土地使用料、用途変更費用、税負担、開発原価が上昇する可能性があります。 - 外国人は土地を直接所有できない
外国人は政府が認めた商業住宅プロジェクト内の住宅を購入できますが、土地そのものは所有できません。コンドミニアムは原則として各棟の30%まで、戸建て住宅は行政区画ごとに250戸までです。外国人個人の所有期間は通常50年で、条件を満たせば延長申請が可能です。 - 社会住宅供給を加速
低所得者・工業団地労働者向けの社会住宅について、全国で約781プロジェクト、約72万戸が計画・建設段階にあります。ただし、完成戸数と計画戸数には大きな差があり、用地確保、利益率、融資手続き、購入資格審査が供給拡大の課題です。
資本市場・デベロッパー
- 社債発行は回復していますが選別色が強い
2026年1~5月の私募社債発行額は約107兆ドン、公募債は約20兆ドンでした。不動産企業による資金調達は再開していますが、投資家は担保、資金使途、許認可、販売実績を厳しく確認しています。過去に債務延長を行った企業や、販売収入が不足する企業の借り換えリスクは残っています。
リスク・留意点
- 住宅価格と所得の乖離:ハノイ、ホーチミン市では一般所得層の購入能力を大幅に上回る価格帯が増えています。
- 金利上昇:優遇期間終了後に返済額が急増する変動金利ローンに注意が必要です。
- 法的リスク:土地使用権、建設許可、販売許可、外国人枠、所有権証明書の発行状況を確認する必要があります。
- デベロッパー信用力:引渡し遅延、社債償還、工事中断の可能性があるため、財務状況と施工実績が重要です。
- 地域再編とインフラ期待:地下鉄、空港、高速道路計画だけを材料にした先行投資は、完成時期の遅延や計画変更に注意が必要です。
- 為替リスク:外国人投資家はドン建て価格の上昇だけでなく、売却時の為替と海外送金手続きも考慮する必要があります。
まとめ
2026年9月時点のベトナム不動産は、景気拡大とインフラ投資を背景に回復が続く一方、価格高騰と信用規制が強まる局面です。住宅はハノイとホーチミン市の供給不足によって高値が続き、一般所得層向け住宅が不足しています。オフィスと商業施設は一等立地・高品質物件への集中が進み、ホテルは都市部を中心に回復しています。
最も安定した成長が期待されるのは、FDIと製造業移転に支えられる北部・南部の工業団地、完成済み工場、物流倉庫です。一方、住宅投資では値上がり率だけでなく、法的完成度、実需賃貸需要、ローン金利、引渡し実績を重視する必要があります。市場全体が一様に上昇する段階ではなく、許認可が明確で、交通利便性が高く、実需が確認できる物件に資金が集中する選別相場となっています。
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市場全体・取引規模
- 2026年前半は過去最高水準
2026年上半期の不動産取引総額は1,170億ディルハムに達し、前年同期比で112%増となりました。取引件数も61.7%増加しています。内訳は、売買取引が861億ディルハム・1万6,838件、住宅ローンなどの抵当権取引が267億ディルハム・8,876件です。地域情勢の不透明感がある中でも、実需と投資需要の双方が維持されています。 - 外国人資金の流入が急拡大
非居住外国人による直接投資は上半期に138億ディルハムとなり、前年同期比309%増でした。参加した投資家は116カ国に広がり、英国、中国、ロシア、米国、ドイツ、フランスなどが主要な資金供給元です。外国人が所有できる投資区域への投資額は750億ディルハムで、前年同期比181%増となっています。
マクロ環境・住宅ローン金利
- 政策金利は3.65%
UAE中央銀行は2026年7月29日、基準金利を3.65%に据え置きました。ディルハムは米ドルに連動しているため、アブダビの住宅ローン金利も米国の金融政策やEIBORの影響を強く受けます。UAEの2026年実質GDP成長率予想は、地域の物流・航空・貿易混乱を踏まえて1.7%まで下方修正されています。 - 住宅ローンは4%前後から
大手銀行の固定金利型住宅ローンは、条件の良い給与振込利用者などで年3.99%前後からとなっています。固定期間終了後は、3カ月EIBORに銀行マージンを加える方式が多く、実質金利はおおむね5%前後になりやすい状況です。外国人居住者の融資比率は最大80%、非居住者は最大50%が目安で、オフプラン物件は原則として最大50%です。
住宅売買・価格動向
- オフプラン中心の市場構造
アブダビ不動産センター(ADREC)が2026年8月18日に公表した上半期報告では、住宅販売額は704億ディルハムで、オフプランが販売額の89%、件数の82%を占めました。特にアパートの取引が多く、5,200戸超、全取引の73%を占めています。オフプラン物件を完成前に転売する取引の比率も4%から15%へ上昇しており、実需だけでなく値上がりを狙う投資資金も増えています。 - 価格上昇はアパートが先行
2026年6月までの1年間で、ヤス島とアル・リーム島のアパート価格はともに約18%上昇しました。サディヤット島のアパートは約21%上昇し、平均取引価格は1平方メートル当たり約4万3,100ディルハムです。アブダビの平均価格はなおドバイより約10%低く、相対的な割安感も外国人需要を支えています。 - ヴィラ市場は地域差が大きい
ジュバイル島のヴィラ価格は前年比約40%上昇した一方、アル・リーム島のヴィラは約22%下落しました。サディヤット島は平均約2万6,500ディルハム/平方メートルと最も高額です。同じ島でもアパートとヴィラで動きが異なるため、都市全体の平均だけでは判断しにくい市場です。 - 取引の中心地域
2026年第1四半期は、フダイリヤット島が約119.7億ディルハムで最大となり、アル・リーム島が94.5億、サディヤット島が88億、ヤス島が55億ディルハム超でした。フダイリヤットとサディヤットは高級・大型住宅、リームは流動性の高いアパート、ヤスはレジャーと居住を組み合わせた物件が中心です。
賃貸市場・利回り
- 賃料上昇後に一時凍結
2026年6月3日、アブダビ政府は住宅、オフィス、店舗、工業物件を対象に、契約更新時の年間賃料上昇率を従来の5%から0%へ一時変更しました。新規契約についても、原則として直前のTawtheeq登録賃料が参照されます。終了時期は明示されておらず、2026年8月3日時点では「別途通知があるまで」の措置です。 - 凍結前の新規募集賃料は大幅上昇
規制導入前には、新規契約賃料がアブダビ全体で前年比15%上昇し、外国人所有が多い投資区域では23%上昇していました。賃料凍結は既存テナントを保護する一方、貸主にとっては市場賃料への引き上げが難しくなり、物件価格上昇に対して実質利回りが低下する可能性があります。 - 表面利回りは地域で大きく異なる
H1の募集価格・想定賃料ベースでは、アパートの想定利回りはヤス島が約5.94%、アル・リーム島が6.34%、マスダール・シティが7.63%、アル・リーフが8.92%です。ヴィラはサディヤット島が4.32%、アル・ラハ・ビーチが5.11%、アル・リーフが5.92%程度です。ただし、管理費、修繕費、空室、仲介手数料を差し引いた実質利回りはこれより低くなります。
住宅供給・開発計画
- 2026年は約1万戸増加予定
ADRECによる2026年上半期の住宅ストックは約40万9,000戸で、2030年までに約7万1,000戸が追加される見込みです。供給ピークは2028年の約2万1,800戸とされますが、足元では需要が供給を上回っています。 - 中期供給は特定地域に集中
2026~2030年に建設中の住宅は約3万6,900戸で、66%がアパート、33%がヴィラです。ヤス島が約7,700戸、ファヒド島が3,550戸、サディヤット島が3,250戸を占めます。資材価格や海上輸送保険料の上昇により、完成時期が後ろ倒しになるリスクがあります。
オフィス
- 稼働率は96~98%
アブダビのオフィス稼働率は調査会社によって96~98%とされ、空室は非常に限られています。平均賃料も前年比約16%上昇しており、アル・マリヤ島、ADGM周辺などのグレードA物件は特に供給不足です。金融、資産運用、専門サービス、政府関連企業が需要を支えています。 - 契約件数には減速の兆し
2026年上半期のオフィス賃貸取引は約2万3,616件で、前年同期比13%減となりました。2026年に約16万6,000平方メートル、2028年までに合計約42万8,000平方メートルの新規供給が予定されており、二級立地や古いビルでは今後、空室圧力が強まる可能性があります。
リテール・商業施設
- 国内需要が市場を下支え
アブダビの主要商業施設の稼働率は約95%です。2026年第2四半期の賃貸契約件数は前年比4.4%増加し、観光客への依存度が比較的低いことから、ドバイより安定した動きとなっています。ファミリー向け、飲食、娯楽、ウェルネスなどの業態が中心です。 - 契約条件は柔軟化
店舗の売上環境には地域情勢や観光客減少の影響が残っており、固定賃料だけでなく売上歩合型賃料、内装支援、短期契約などが増えています。賃料凍結措置は商業物件にも適用されるため、既存テナントには追い風ですが、貸主側の収益成長は抑えられます。
ホテル・観光
- 航空混乱で第2四半期は減速
UAEのホテル市場は2026年1~2月に平均稼働率約85%を記録しましたが、3月以降は地域紛争による航空便の減少や旅行需要の低下で、稼働率とRevPARが前年を下回りました。アブダビでもステイケーション、国内イベント、料金調整で稼働を補う動きが強まっています。 - 中長期の開発意欲は維持
2025年に承認された都市開発計画には、約5,000室分のホテル客室が含まれています。ただし、これは計画承認ベースであり、短期間に全室が供給されるわけではありません。文化施設、ビーチ、ウォーターフロント開発と一体化した高級ホテルが中心となります。
物流・工業・データセンター
- 工業賃料は二桁上昇
2026年第1四半期のアブダビ工業・物流施設賃料は前年比18.2%上昇しました。KEZAD、ハリファ港周辺、ムサファなどで、食品、医薬品、生活必需品、製造業、データセンター向けの需要が強く、グレードA倉庫の不足が続いています。 - 賃料凍結は工業物件にも適用
物流需要自体は強いものの、既存契約の賃料引き上げが停止されているため、貸主の収益拡大は新規供給、稼働率改善、追加サービス収入に依存します。電力容量、港湾アクセス、天井高、温度管理設備の有無による物件格差がさらに広がりやすい状況です。
制度・外国人購入
- 外国人は投資区域で所有可能
外国人個人・外国企業は、指定された投資区域内で土地、建物、区分所有権などを取得できます。2026年上半期には8区域が追加され、投資区域は合計50区域となりました。購入前には対象物件が正式な投資区域内にあるかを確認する必要があります。 - オフプラン購入者保護を強化
2026年3月には、工事進捗20%未満でのエスクロー口座からの資金引き出し、共有施設の管理、所有者委員会、解約・返金手続きを規定する新たな行政決定が導入されました。広告についてもMadhmounの許可制が進み、4万1,200件超の広告許可が発行されています。 - ゴールデンレジデンシー
原則として合計200万ディルハム以上の不動産を所有する投資家は、不動産投資家向けの長期滞在資格を申請できます。所有形態、融資残高、評価額などの審査条件があるため、単純に販売価格が200万ディルハムを超えるだけでは確定しません。
リスク・留意点
- 地域情勢:航空、観光、物流、外国人投資家心理が急変する可能性があります。
- オフプラン偏重:取引の多くが完成前物件であり、工期遅延、仕様変更、転売流動性に注意が必要です。
- 賃料凍結:購入価格が上昇しても、既存賃料を引き上げられず、表面利回りが低下する可能性があります。
- 供給集中:ヤス島、サディヤット島、ファヒド島などで引き渡し時期が重なると、一時的に賃貸募集が増える可能性があります。
- 地域・物件タイプの格差:リーム島ではアパートが上昇する一方、ヴィラ価格が下落するなど、同一地域内でも二極化しています。
- 維持費:高級島嶼物件はサービスチャージや冷房費、共有施設管理費が高く、募集上の利回りと手取り利回りの差が大きくなります。
まとめ
2026年9月時点のアブダビ不動産は、上半期の取引総額が1,170億ディルハムに達し、外国人投資も急増するなど、売買市場は非常に強い状態です。住宅ではオフプランとアパートが牽引し、ヤス島、サディヤット島、アル・リーム島、フダイリヤット島に資金が集中しています。
一方、6月からの賃料上昇率0%措置、地域紛争による観光・航空需要の低下、2026~2028年の供給増加など、収益性を抑える要因も出ています。今後は市場全体の値上がりを狙うより、完成済み物件の実際の賃料、サービスチャージ、空室期間、周辺供給量、転売時の買い手層を個別に確認することが重要です。
アブダビ不動産関連情報
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インドネシア不動産
インドネシア不動産 最新動向
マクロ環境・金利
インドネシア銀行は2026年8月19日、政策金利を5.75%に据え置きました。
- 経済成長は堅調ですが、金融環境は再び引き締まり気味です
インドネシア中央統計庁が2026年8月5日に公表したGDPでは、2026年4~6月期の実質成長率は前年同期比5.29%でした。6月の消費者物価上昇率は3.34%で、中央銀行の目標範囲内にあります。一方、通貨ルピアの下落を抑えるため、インドネシア銀行は7月会合で政策金利を5.75%に据え置きました。住宅市場にとって、景気は支えになるものの、借入コストは重い状況です。 - ルピア安が外国人投資家の判断を難しくしています
7月31日時点の対米ドル相場は1ドル=約18,058ルピアです。外貨投資家には取得価格が割安に見える一方、賃料や売却代金を円・ドルへ戻す際の為替差損が拡大しやすくなっています。7月末の中央銀行総裁辞任も、金融政策の独立性と通貨安定への警戒材料です。 - 住宅ローンは当初固定と変動金利の差が大きいです
一部銀行では年2%台後半~4%台半ばの当初固定キャンペーンがありますが、適用期間、提携デベロッパー、給与口座などの条件が付きます。固定期間終了後の変動金利は年11%前後の例もあり、購入者は当初返済額ではなく、変動移行後の返済能力を確認する必要があります。
住宅・戸建て市場
- 住宅価格は上昇しているものの、実質的には横ばいです
インドネシア銀行の2026年4~6月期住宅価格調査では、一次市場住宅価格指数は前年同期比0.69%上昇、販売戸数は同2.36%減でした。物価上昇率を下回っているため、実質価格は弱含みです。一方、一次市場の販売戸数は前年同期比25.67%減少しました。中価格帯は比較的堅調ですが、小型住宅と大型住宅の販売が弱く、購入者の選別姿勢が強まっています。 - 郊外の戸建てはジャカルタ中心部のマンションより底堅いです
グレータージャカルタでは、比較的取得しやすい価格、広い床面積、高速道路へのアクセスを備えた戸建て需要が続いています。2026年上半期の新規戸建て供給のうち、約73%をタンゲラン地区が占めました。BSDシティ、アラム・ステラ、スルポンなど、住宅、学校、モール、病院を一体開発した郊外都市が優位です。 - 住宅取得支援が低・中所得層を下支えしています
政府のFLPP住宅融資では、代表的な条件として固定金利5%、頭金1%程度が設定されています。「年間300万戸住宅計画」と合わせ、低所得層向け戸建ての供給拡大を目指しています。ただし、都市部では土地価格と建設費が高く、供給地が通勤圏外へ広がる問題があります。
コンドミニアム・分譲マンション
- ジャカルタは新規開発より完成在庫の販売が中心です
2026年4~6月期は新たな大型完成物件がなく、ジャカルタの総供給戸数は約23万2,000戸で横ばいでした。デベロッパーは新規着工を急がず、完成済み在庫の現金化を優先しています。投資目的の複数戸購入は減少し、実際に居住する購入者の比率が上昇しています。 - 価格を直接下げず、実質値引きを行う販売が主流です
表面価格はおおむね横ばいですが、頭金分割、管理費無料、家具・家電付与、登記費用補助、長期支払いなどで実質価格を調整しています。特に、即入居可能な中価格帯とスタジオタイプは比較的流動性があります。完成前物件は引渡し時期と建設進捗の確認が重要です。 - 2026年のVAT支援は完成物件に追い風です
販売価格が50億ルピア以下の新築戸建て・マンションについて、価格のうち20億ルピアまでのVATを政府が100%負担する制度が実施されています。2026年中に引き渡される物件が中心で、即入居在庫の販売促進効果が大きくなっています。政府は2027年末までの継続方針も示しています。
賃貸住宅
- 外国人需要のある地区は比較的安定しています
ジャカルタでは、スディルマン、クニンガン、セナヤン、SCBD、クマンなど、オフィスや国際学校に近い地区の賃貸需要が底堅いです。2026年4~6月期のコンドミニアム賃貸料は前期比2.1%上昇、前年同期比1.9%上昇しました。家具付き、短期間入居、交通利便性の高い物件が選ばれています。 - 築古物件は稼働率維持のため改修が必要です
新築やサービスアパートメントとの競争があるため、築年数の古い物件は内装、空調、水回り、インターネット設備の更新が必要です。表面利回りだけでなく、管理費、修繕費、空室期間、家具交換費を含めた実質収益で判断すべき市場です。
オフィス
- 空室は多いものの、緩やかな回復に入っています
ジャカルタCBDオフィスの稼働率は約76%、プレミアム物件では約83%です。依然として市場全体に約300万平方メートルの空室が残り、基本的には借り手優位です。ただし、新規供給が抑えられているため、需給は徐々に改善しています。 - Aグレードへの移転が市場を動かしています
2026年4~6月期のCBD純吸収面積は約2万6,000平方メートル、上半期累計では約4万5,500平方メートルでした。一方、Cグレードは約1万3,000平方メートルのマイナス吸収となり、企業が古いビルから新しいAグレードへ移る傾向が鮮明です。 - 賃料より総入居コストが重視されています
MRT・LRT駅への近さ、内装済み区画、柔軟な増床・縮小、環境認証、電力の安定性が重要です。貸主側は賃料無料期間、内装費補助、家具付き区画などを提供しています。古いビルはエレベーター、空調、共用部、環境性能を更新できなければ競争力が低下します。
リテール・商業施設
- 新設より既存モールの再生が中心です
ジャカルタでは大型モールの新規開発が減り、既存施設の増床、改装、テナント構成の見直しが進んでいます。飲食、カフェ、エンターテインメント、美容、フィットネスなど、滞在時間を延ばす業態が出店を牽引しています。 - モール間の格差が拡大しています
ボデタベック地域の商業施設ストックは約321万4,000平方メートル、稼働率は77.1%です。高所得者層を抱える一等施設は賃料維持力がありますが、古い施設やアクセスの悪い施設は空室と賃料調整が続いています。ジャカルタでは2026年末までに約6万1,800平方メートルの新規供給が予定されています。
ホテル・観光不動産
- ジャカルタは政府需要の減少が重荷です
ジャカルタのホテル稼働率はグレードによって53~65%です。政府機関や国有企業の経費削減により、会議、研修、出張需要が弱く、企業客、個人旅行、結婚式、イベント、ステイケーションへの転換が進んでいます。2026年上半期の客室数は約4万3,749室です。 - バリ島はジャカルタより高い稼働を維持しています
バリ島のホテル稼働率はおおむね63~65%です。宿泊者数の大量獲得より、高単価の体験型旅行、ウェルネス、長期滞在、富裕層向けサービスを重視する方向へ移っています。2026~2029年には約1,700室が追加される見通しで、ウブドとチャングーの高級ホテルが中心です。
物流・工業・データセンター
- 物流施設は最も需給が引き締まった分野です
グレータージャカルタの物流施設稼働率は、調査範囲によって約92~96%です。ECと3PLだけでなく、食品、医薬品、電子機器、EV、再生可能エネルギー関連の需要が増えています。2026年末までに約11万4,000平方メートルの倉庫供給が予定されていますが、好立地では空室が限定的です。 - 工業団地は東側へ拡大しています
ブカシ、チカラン、カラワンの成熟団地では大型区画が不足し、需要がプルワカルタ、スバン、パティンバン港周辺へ広がっています。製造業、化学、EV、データセンターが主要需要です。土地価格だけでなく、電力容量、用水、排水処理、通信回線、港湾アクセス、許認可期間が投資判断を左右します。
制度・外国人取得
- 外国人は土地の完全所有権を取得できません
インドネシア国民向けの完全所有権「ハク・ミリック」は外国人名義にできません。外国人個人は主に使用権「ハク・パカイ」、長期賃借権、区分所有権を利用します。ハク・パカイは条件を満たせば、当初30年、延長20年、更新30年の最長80年となる枠組みです。事業用物件は外国資本会社PT PMAを通じた取得が一般的です。 - 名義借りは避ける必要があります
バリ島などで見られるインドネシア人の名義を借りた取得は、実質的な所有権を保護できない危険があります。土地証明書、用途地域、建築承認PBG、使用適格証明SLF、宿泊営業許可、道路接続、水源を個別に確認する必要があります。
リスク・留意点
- 金利・為替リスク:政策金利の高止まりとルピア安により、借入費用と外貨換算収益が不安定です。
- 在庫リスク:ジャカルタのマンションと一部オフィスは完成在庫・空室が多く、短期転売には不向きです。
- 権利・許認可リスク:外国人名義、PT PMA、賃借権では権利内容が異なり、契約書だけでなく登記確認が必要です。
- 災害・環境リスク:洪水、地盤沈下、排水能力、水不足、交通渋滞は地域ごとの差が大きいです。
- 観光地の供給過剰:バリ島ではヴィラ供給が増えており、広告上の高利回りと実際の稼働率が一致しないケースがあります。
- 新首都リスク:ヌサンタラ開発は継続していますが、移転時期、政府予算、実際の居住人口、民間需要を確認して投資する必要があります。
まとめ
2026年9月時点のインドネシア不動産は、物流・工業・データセンターが強く、住宅とオフィスは選別的、ホテルは地域差が大きい市場です。住宅はVAT支援と低所得者向け融資が下支えしていますが、通常の住宅ローン金利は高く、販売数量は弱い状態です。ジャカルタのマンションは完成在庫の消化、オフィスはAグレードへの移転、商業施設は既存モールの再生が中心です。
投資対象としては、タンゲランなどの実需型戸建て、交通利便性の高い即入居マンション、ブカシ・カラワン・スバン周辺の物流・工業施設、運営力のあるバリ島ホテル・ヴィラが候補になります。ただし、表面利回りよりも、為替、権利形態、融資金利、管理費、許認可、出口時の買い手層を重視すべき局面です。
インドネシア不動産関連情報
インドネシア不動産基本情報
インドネシア不動産基本情報
ALMA GOURMET Resort(アルマ・グルメ・リゾート)小口不動産/1,000万円~/5年間で最大90%のリターン
オーストラリア不動産
オーストラリア不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 政策金利は4.35%まで上昇
オーストラリア準備銀行は2026年8月11日、政策金利を4.35%に据え置きました。豪州統計局による7月の消費者物価指数は前年同月比3.5%、刈込平均インフレ率は3.6%まで低下しましたが、目標圏を上回っています。8月会合では据え置き観測が強まったものの、早期利下げを織り込める状況ではありません。 - 住宅ローンは6%台が中心
公式集計では、5月時点の新規住宅ローン金利は自己居住用が平均6.22%、投資用が6.39%でした。その後の利上げを反映した大手銀行の商品では、低いLVRの自己居住用でも6.3%台、投資用・利息のみ返済・高LVRでは7%前後以上になるケースがあります。最安水準の商品は5%台後半ですが、借入条件による差が大きくなっています。
住宅売買市場
- 全国市場は上昇局面から調整局面へ
2026年7月の全国住宅価格は、Cotalityの指数で前月比0.7%下落、PropTrackでは0.3%下落しました。調査方法の違いはありますが、いずれも価格下落の加速を示しています。全国住宅価格の中央値は約92万8,000豪ドルで、3月から約1万9,000豪ドル下落しています。 - シドニーとメルボルンが下落を主導
7月はCotalityベースでシドニーが前月比1.4%下落、メルボルンが1.2%下落しました。シドニーは2月から約6万9,000豪ドル、メルボルンは約3万9,000豪ドル下落しています。高価格帯で借入額が大きい物件ほど、金利上昇の影響を受けやすい状況です。 - 好調だった都市にもピークアウト感
ブリスベンは約40カ月続いた上昇が止まり、5月以降の下落額は約8,000豪ドルとなりました。パースとアデレードも最高値から約4,000豪ドル下落しています。ただし年間ベースではパースやダーウィンの上昇率がなお高く、シドニー・メルボルンとの地域差は残っています。 - 成約件数とオークションは弱含み
買い手の借入可能額が縮小し、住宅ローン申込件数やオークション参加者数が減っています。主要都市のオークション成約率は50%未満の週が続き、売主が希望価格を引き下げるか、販売を延期するケースが増えています。一方、売却物件の新規登録も減少しているため、全面的な投げ売りには至っていません。
賃貸住宅
- 空室率は依然として危機的な低さ
全国の住宅空室率は2026年5~6月時点で1.2~1.3%程度です。全主要都市が2%未満で、ブリスベン、パース、アデレード、ダーウィン、ホバートでは1%未満の地域が多くなっています。売買価格が下落しても、賃貸需給は引き続き貸主優位です。 - 家賃は過去最高圏
全国の募集家賃中央値は集計方法により週670~705豪ドル程度で、前年比では約6~8%上昇しています。シドニーは週約841豪ドルと最も高く、メルボルンは本土主要都市では比較的低い週約641豪ドルですが、それでも家計負担は重くなっています。 - 投資家減少が賃貸供給を圧迫
金利上昇に加え、既存住宅投資に対する税制変更が決まったことで、投資家の購入意欲が低下しています。既存投資家の売却が増えれば、売却先が自己居住者の場合は賃貸在庫が減るため、住宅価格の下落と家賃上昇が同時に進む可能性があります。
住宅供給・開発
- 許可件数は増えたが供給不足は解消せず
6月の住宅建築許可は前月比7.2%増の1万8,328戸でした。戸建ては0.4%増、集合住宅などは17.8%増となっています。2025~26年度の許可件数は約20万5,000戸まで回復しましたが、政府が掲げる5年間で120万戸、年平均24万戸という水準には届いていません。 - 許可から完成までの遅れが大きい
建設会社の倒産、技能労働者不足、資材・人件費、開発融資金利、インフラ整備の遅れが供給制約となっています。新築住宅価格は6月までの1年間で5.8%上昇しており、住宅価格が調整しても建築原価は下がっていません。
主要都市別の状況
- シドニー
高額住宅と郊外戸建てを中心に価格調整が進んでいます。一方、賃貸住宅は極端に不足しており、鉄道駅周辺、雇用拠点へのアクセスが良い中小型住戸は底堅いです。新規CBDオフィス供給も2026年は限定的です。 - メルボルン
住宅価格は主要都市で最も弱い部類ですが、シドニーより取得価格が低く、賃貸需要は維持されています。都心マンションは供給量、管理費、建物品質による差が大きく、同じ地域でも価格推移が分かれています。 - ブリスベン・パース・アデレード
人口流入、資源関連雇用、相対的な住宅価格の低さで上昇してきましたが、2026年半ばから勢いが鈍化しています。過去数年の値上がりを前提に高値を追うより、賃料、空室率、再販売時の購入者層を確認する局面です。 - ダーウィン
価格・家賃とも比較的強い一方、市場規模が小さく、資源開発、政府・防衛関連投資、人口移動によって価格が大きく変動します。
オフィス
- 全国空室率は高いが都市差が鮮明
全国オフィス空室率は2026年1月時点で15.9%です。メルボルンCBDは2026年第2四半期に20.5%まで上昇し、主要市場で最も弱い状態です。一方、ブリスベンは人口・企業移転・資源関連需要を背景に賃料が上昇しています。 - プライム物件への集中
テナントは、駅への近さ、省エネ性能、共用施設、空調、眺望、従業員向けサービスを重視しています。新築・改装済みのプライムビルは稼働が改善する一方、設備の古い二級ビルでは高い入居インセンティブや大規模改修が必要です。
リテール・商業施設
- 商業施設はオフィスより安定
全国の商業施設空室率は約4.4%で、ショッピングセンターの稼働率は90%台後半を維持しています。2026年第2四半期には500万豪ドル以上の商業施設取引が約45件、総額約40億5,000万豪ドルに達しました。 - 生活密着型が優位
食品スーパー、医療、薬局、飲食、生活サービスを中心とする近隣型センターが安定しています。観光客依存のCBD店舗や高額商品のテナントは消費減速の影響を受けやすく、立地とテナント構成による差が拡大しています。
物流・工業不動産
- 需要は減速しても稼働水準は高い
2026年上半期の物流施設総賃貸面積は約180万平方メートルでした。調査範囲によって空室率は異なりますが、シドニー、メルボルン、ブリスベンでは5%前後、パースでは約2%とされています。 - 賃料上昇から条件調整へ
表面賃料は底堅い一方、新規供給が増えた地域ではフリーレントなどのインセンティブが拡大し、実効賃料がやや弱含んでいます。港湾、高速道路、人口増加地域に近い施設と、汎用性の低い大型施設との差が広がっています。
ホテル・観光
- 客室収益は回復基調
国際訪問者数はコロナ前の約92%まで回復し、国内旅行、企業出張、国際会議、大型スポーツイベントが需要を支えています。主要都市のRevPARは多くの市場で前年比8%超、メルボルンでも約7%増加しています。 - イベント時の収益力が高い
シドニー、メルボルン、ブリスベンでは、大型イベント開催時に通常期よりADRが40%前後上昇するケースがあります。ただし、メルボルンでは新規ホテル供給が比較的多く、平常期の稼働率管理が重要です。
A-REIT・資本市場
- 金利上昇で価格変動が拡大
A-REITは2026年前半に大きく下落し、4月時点では主要指数が年初来約11%安となりました。借入コストと国債利回りの上昇が、資産評価額と分配余力の両方に影響しています。 - 用途別ではリテール・物流が相対的に優位
高稼働の商業施設、物流、生活インフラ系は賃料収入を維持しやすい一方、メルボルンのオフィス比率が高い銘柄や、開発案件・変動金利債務の多い銘柄は慎重に見る必要があります。
制度・規制
- 外国人による中古住宅購入は禁止
外国人、海外企業、一部の一時滞在者は、原則として2029年6月30日まで既存住宅を購入できません。新築住宅、未開発住宅用地、住宅供給を増やす開発案件は、外国投資審査や登録、手数料などの条件を満たせば取得可能です。 - 投資用住宅税制が大幅変更
2027年7月から、住宅のネガティブ・ギアリングは原則として新築物件に限定されます。2026年5月12日以前から保有している物件などには経過措置があります。また、従来の50%キャピタルゲイン税控除は、インフレ調整を行う方式と最低税率を組み合わせた制度へ変更されます。
投資家への示唆
- 住宅
価格下落だけで割安と判断せず、借入金利、管理費、州税、保険料を含む実質収支を見る必要があります。シドニー・メルボルンでは取得価格の交渉余地が拡大していますが、短期的な値上がり益より長期保有を前提とする市場です。 - 賃貸
空室率の低さは追い風ですが、家賃の支払能力には限界があります。高家賃地域では、単身者向け小型住戸、駅近物件、光熱費を抑えやすい住宅の競争力が高まっています。 - 商業不動産
物流、食品スーパー中心の商業施設、ホテルは比較的堅調です。オフィスは都市名ではなく、建物グレード、環境性能、テナント構成、残存賃貸期間で選別する必要があります。
リスク・留意点
- 追加利上げ:インフレが再加速すれば、住宅価格と借入可能額に下押し圧力がかかります。
- 税制変更:既存投資住宅への需要減少と、賃貸在庫減少が同時に進む可能性があります。
- 供給遅延:建築許可が増えても、完成戸数の回復には時間がかかります。
- 保険・自然災害:洪水、山火事、サイクロン地域では保険料と修繕費が収益性を左右します。
- 為替:日本の投資家は、不動産価格に加えて豪ドル・円の変動を負います。
まとめ
2026年9月時点のオーストラリア不動産は、住宅価格は調整、家賃は上昇、供給不足は継続という複雑な局面です。シドニーとメルボルンの価格下落が全国市場を押し下げ、ブリスベン、パース、アデレードにもピークアウトの兆候が出ています。
一方、空室率は歴史的に低く、賃貸住宅、生活密着型商業施設、好立地物流施設、イベント需要を取り込めるホテルには安定した需要があります。今後は金利だけでなく、2027年からの住宅投資税制変更、建設完成戸数、投資家による賃貸住宅売却の動きが市場を左右します。
短期的には売買価格の調整が続く可能性がありますが、構造的な住宅不足が価格の急落を抑える要因です。投資判断では、過去の値上がり率ではなく、物件単位の賃料収入、金利耐性、管理費、税制、保険、出口の購入者層を確認することが重要です。
オーストラリア不動産関連情報
オーストラリア不動産基本情報
オーストラリア不動産基本情報
バングラデシュ不動産
バングラデシュ不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 政策金利は9.50%
バングラデシュ銀行が公表する政策金利は9.50%です。2026年度の実質GDP成長率は4.14%と、前年度の3.49%から回復したものの、2026年6月の通貨調査では、預金銀行の民間部門向け信用は前年同月比4.53%増にとどまっています。不動産市場には、景気回復よりも高金利と銀行の融資慎重化の影響が強く出ています。 - 住宅ローンは利用できるが負担は重い
大手銀行の公表条件では、個人向け住宅ローン金利はおおむね年9~11%、不動産開発会社や商業建物向け融資は年12~14%が目安です。融資比率は物件価格の最大70%程度、融資上限は4クロール・タカ(4,000万タカ)、期間は最長25年という商品があります。政策金利と物価が高いため、購入者は頭金だけでなく、変動金利上昇時の返済余力を確認する必要があります。
住宅・分譲マンション
- 2026年前半も取引件数は大幅減少
2026年1~6月に全国で登録されたマンション移転登記は4万1,804件、申告取引額は約1兆8,000億タカでした。このうちダッカが2万9,913件を占めています。件数は2025年の半期平均比で19.61%減、2024年同期比で25.35%減、2023年同期比では42.73%減です。2025年通年の登録件数も10万4,000件で、2024年の11万2,000件、2023年の14万6,000件から減少しており、取引縮小は一時的なものではありません。 - 高級住宅の落ち込みが特に大きい
グルシャン、バナニ、ダンモンディなどの高級住宅地では、富裕層による購入や投資目的の需要が弱まり、高級マンション販売はピーク時より60~70%減少したとされています。一方、比較的動いているのは、価格が1~2クロール・タカ(1,000万~2,000万タカ)、面積が1,200平方フィート前後の中価格帯です。 - 価格は全面下落ではなく、実質値引きが拡大
業界全体の月間販売戸数は、従来の約1,000戸から700~750戸程度に減少しています。以前期待されていた年5~8%の価格上昇は止まり、一部プロジェクトでは5~10%の下落が報告されています。ただし、土地代と建設費が高いため、表示価格を大幅に下げず、頭金軽減、分割期間延長、駐車場代の調整、内装サービスなどで実質値引きする案件が増えています。 - 未完成物件より完成在庫が優位
開発会社は購入者からの前払いを建設資金に充てるケースが多く、販売減少がそのまま工事遅延につながります。2026年前半にはダッカだけで約450件の土地所有者・開発会社間の共同開発契約が解除され、2025年にも約1,000件が解除されました。引き渡しを受けられていない購入者からの未解決相談も約1,600件に達しています。完成済みで登記、電気、ガス、水道、管理体制を確認できる物件の相対的な安全性が高まっています。
賃貸住宅
- 購入難から賃貸需要は維持
高金利と物価上昇で住宅購入を延期する世帯が増えているため、ダッカの賃貸需要そのものは底堅い状況です。グルシャン、バナニ、バリダラでは、外国企業勤務者、外交関係者、国際機関向けの家具付き住宅に需要があります。 - 賃料の二極化
発電機、エレベーター、駐車場、警備、防火設備を備えた比較的新しい物件は賃料を維持しやすい一方、築古物件は改装費や設備故障、停電対応が負担になります。家計の可処分所得も圧迫されているため、一般住宅では賃料を一律に引き上げることは難しく、更新時の値上げ幅は立地と設備に左右されます。
オフィス
- Aクラスと築古ビルの差が拡大
公的な統一空室率データは限定的ですが、企業需要はグルシャン、バナニ、テジガオン、モティジールなどに集中しています。非常用電源、耐震・防火設備、駐車場、複数エレベーター、安定した通信環境を備えたビルが優先されます。 - 新規拡張需要はまだ弱い
高金利、銀行部門の流動性不足、輸入制約により、企業は大規模な移転や増床に慎重です。新築Aクラスは一定の需要を確保する一方、設備の古い中小オフィスでは、入居までの期間長期化や賃料調整が必要です。小区画化、家具付きオフィス、コワーキングへの転換が現実的な対応になります。
リテール・商業施設
- 生活必需型が相対的に安定
高インフレにより、衣料品、輸入雑貨、耐久消費財などへの支出は抑制されています。一方、食品、医薬品、日用品、通信、教育、飲食などは比較的底堅く、大型モールよりも住宅地に近い近隣型商業施設が安定しやすい状況です。 - プライム区画以外は条件調整が必要
一等地の路面区画や大型モール内の好立地は希少性がありますが、上層階や集客力の弱い区画では、フリーレント、内装負担、段階賃料などの調整が増えています。固定賃料だけでなく、売上連動部分を組み合わせる契約も検討対象になります。
ホテル・観光
- 国内旅行需要が中心
2025年末の休暇シーズンには、コックスバザール、シレット、サジェクなど主要観光地のホテル・リゾートで60~80%程度の稼働率が報告されました。ダッカの上位ホテルは企業出張、国際機関、MICE需要が中心で、政治情勢や航空便の変化に左右されます。 - ホテル開発は資金調達が課題
商業建物向け融資が年12~14%程度となるため、新規ホテルは高い稼働率と客室単価を確保しなければ採算が合いにくい状況です。大型ホテルよりも、空港・工業団地周辺のビジネスホテルや、国内客向けの中価格帯施設が比較的現実的です。
物流・工業用不動産
- 中期的には最も注目される分野
縫製、食品、医薬品、日用品、電子商取引、第三者物流の需要を背景に、ダッカ~ナラヤンガンジ~チャットグラム回廊では、工場、倉庫、配送拠点への需要があります。特にアライハザールのバングラデシュ経済特区や、チャットグラム県アノワラの中国経済工業区周辺が注目されます。アノワラでは2026年7月に工業区の建設が正式に始まりました。 - 物件性能の確認が重要
床荷重、天井高、トラック動線だけでなく、電力・ガス供給、浸水リスク、消防認証、港までの道路混雑が収益性を左右します。安価な土地でも、インフラ整備費や造成費が膨らむケースがあるため、稼働可能時期を基準に評価する必要があります。
REIT・資本市場
- 制度は整備されたが市場は初期段階
バングラデシュ証券取引委員会は2024年にREIT規則を導入し、資産の最低80%を不動産へ直接投資し、政府証券への投資を最大20%とする枠組みを整えました。ただし、2026年8月時点では、日常的に売買できる流動性の高い上場REIT市場はまだ立ち上がり段階です。
制度・税制
- 共同開発への15%課税
2026年財政法では、土地所有者が開発会社から受け取る契約金、マンション、建設期間中の家賃補償などを対象に、取得原価との差額へ15%のキャピタルゲイン税を課す仕組みが導入されました。現物でマンションを受け取る土地所有者にも納税資金が必要となるため、共同開発案件の減少や土地調達費上昇につながる可能性があります。納税は一定条件で3年間の分割が可能です。 - 登録関連費用は高い
登録料、印紙税、税金などを合わせた取得時費用は、物件価格の13%超になる場合があります。登記価格を低く申告する慣行も残っているため、実際の支払額と登記上の価額が一致しているかを確認する必要があります。 - ダッカの建築可能床面積は拡大方向
ダッカ詳細地域計画の改定により、多くの地域で容積率が20~80%程度引き上げられました。土地所有者には開発可能床面積の増加という利点がありますが、道路、排水、上下水道が追いつかない地域では、過密化や浸水リスクが高まります。
リスク・留意点
- 開発会社リスク:不動産関連融資の不良債権比率は2025年に約26.7%まで上昇しており、中小開発会社の資金繰り悪化に注意が必要です。
- 権利関係:登記簿、名義変更、相続、抵当権、未払い税金、RAJUKの建築承認を個別に確認する必要があります。
- 工事遅延:販売代金を建設資金とする案件では、販売不振が工事停止に直結します。
- 浸水・地盤:郊外の造成地では、雨季の排水、盛り土、接道状況を乾季だけで判断しないことが重要です。
- 外国人取得:外国企業は現地法人を通じた土地購入や賃借が可能ですが、外国人個人による直接取得は承認や登記実務が複雑です。現地法人、長期賃貸借、投資認可を組み合わせる方法が実務的です。
まとめ
2026年9月時点のバングラデシュ不動産は、都市化と住宅不足という長期需要を持ちながら、足元では高金利、販売減少、銀行不安、税負担による深い調整局面にあります。住宅では高級・投資用の未完成物件を避け、完成済みの中価格帯を厳選する姿勢が重要です。オフィスと商業施設は設備・立地による二極化が進み、ホテルは国内旅行と企業需要に依存します。
中期的な成長余地が比較的大きいのは、経済特区やダッカ~チャットグラム物流軸の工業・物流不動産です。ただし、土地価格の上昇期待だけで購入するのではなく、権利関係、電力・ガス、浸水、道路、テナントの信用力を確認し、実際に賃料を生むまでの期間を含めて判断する必要があります。
バングラデシュ不動産関連情報
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バングラデシュ不動産物件最新
ニュージーランド不動産
ニュージーランド不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 政策金利は再び引き上げ局面
ニュージーランド準備銀行は2026年7月8日、政策金利を0.25ポイント引き上げて2.50%としました。Stats NZによる6月期の消費者物価上昇率は前年同期比4.1%ですが、ガソリンと軽油を除けば2.9%です。足元のインフレ加速は燃料価格の影響が大きく、追加利上げの可能性は残るものの、時期は不透明です。 - 住宅ローン金利は下げ止まりから反転
大手銀行の優遇固定金利は、1年物でおおむね4.79~4.99%、2年物で5%前後~5.39%、変動金利は6%台前半です。7月の利上げ後は変動金利に加えて一部の固定金利も上昇しています。頭金20%未満では金利上乗せが発生する銀行もあります。
住宅売買市場
- 全国価格は横ばい圏ですが、実態は弱含み
2026年6月の全国住宅価格中央値は77万NZドルで、前年同月比0.7%上昇しました。一方、住宅価格指数は前年同月比0.8%低下しています。別の住宅価値指数でも全国中央値は80万6,512NZドル、前月比0.2%低下、前年同月比0.9%低下で、2022年初めのピークをなお17.5%下回ります。基調は横ばいから小幅安です。 - 買い手優位が鮮明
6月の成約件数は5,996件で前年同月比2.9%減、売出在庫は3万4,761件で7.3%増、新規売出しは7,942件で4.3%増でした。売却までの日数は中央値48日です。在庫増加に対して成約が弱く、買い手は価格や引渡し条件を交渉しやすい環境です。 - 地域差が大きい
ウェストコーストの中央値は47万4,350NZドルで前年同月比12.9%上昇、カンタベリーは71万NZドルで5.2%上昇しました。比較的手頃な地方市場が安定する一方、オークランドとウェリントンは高価格、タウンハウス在庫、雇用不安などが重しです。 - 一次取得者が中心
初めて住宅を買う層は、価格調整、在庫増加、競争緩和を背景に主要な買い手となっています。反対に、ローンを使う複数物件保有者の購入は2四半期連続で弱まりました。賃料の停滞、保険料・地方税・修繕費、金利再上昇、税制変更への警戒が投資家需要を抑えています。
賃貸住宅
- 全国賃料は横ばい
2026年6月の募集賃料中央値は週620NZドルで、前月比、前年同月比ともに横ばいでした。地域別ではオークランド660NZドル、オタゴ650NZドル、ウェリントン595NZドル、カンタベリー580NZドルです。全国的な賃料上昇局面は一服しています。 - 投資採算は厳しい
住宅価格が横ばいでも賃料が伸びず、金利、地方税、保険、管理費、修繕費を差し引くと、高価格地域ではローン利用投資家のキャッシュフローが赤字になりやすいです。空室期間や自然災害リスクまで含めた実質利回りの確認が必要です。
新築・開発市場
- 建築許可は回復
2026年5月までの1年間に許可された新築住宅は3万9,737戸で、前年同期比19%増えました。集合住宅やタウンハウスが供給回復を押し上げています。ただし、許可は完成戸数ではなく、資材費、人件費、融資、販売進捗によって着工延期も起こり得ます。 - タウンハウスは供給過多地域に注意
オークランドやウェリントンの一部では新築同士、築浅中古との競合が続いています。画一的な間取り、駐車場不足、小さい土地、管理費負担がある物件は再販時に値引きされやすく、駅や学校、雇用拠点に近い物件との差が広がっています。
オフィス
- プライムと二級ビルの二極化
オークランドCBDの空室率は16.0%ですが、プレミアム・Aグレードは10.8%、Bグレード以下は22.1%です。企業は床面積を抑えながら、耐震性、環境性能、交通利便性の高いビルへ移っています。二級ビルでは内装費負担、フリーレント、柔軟な契約条件が必要です。 - ウェリントンは政府需要の弱さが重し
ウェリントンCBDの空室率は17.7%です。政府機関や関連企業の縮小が需要を圧迫し、貸主のインセンティブ増加によって実効賃料も弱含んでいます。耐震性能が低い建物は改修費とテナント確保の両面で厳しい状況です。
物流・工業
- 商業不動産では最も安定
工業・物流施設は2025年の商業不動産取引額の52%超を占めました。2026年3月までの12カ月では商業不動産の取引件数が前年同期比約8%増、取引額は14%増となり、市場は調整局面から安定化しつつあります。 - 空室率は低水準
工業施設の空室率はオークランド3.7%、クライストチャーチ2.1%、ウェリントン4.1%です。以前の極端な品薄状態からは緩和しましたが、幹線道路、港湾、空港へのアクセス、高天井、大型ヤード、十分な電力を備えた物件は競争力があります。
リテール・ホテル
- 小売は回復途上
リテール物件の取引比率は2025年に26.1%まで回復しました。一方、オークランドCBDの店舗空室率は13.1%です。食品、生活必需品、ホームセンター、郊外型大型店は比較的安定していますが、都心物販は観光客数、出社率、家計消費に左右されます。 - ホテルは観光地優位
国際旅行需要の回復と供給増加の少なさから、稼働率、客室単価、RevPARは改善しています。クイーンズタウンとロトルアが強く、オークランドとクライストチャーチも回復基調です。ウェリントンは政府・法人需要の弱さから相対的に低調です。
融資・制度
- LVRとDTIが取得可能額を制限
銀行は、自宅用融資のうちLVR80%超を新規融資の25%以内、投資用融資のうちLVR70%超を10%以内に制限されています。DTIでは、年収の6倍を超える自宅用融資、7倍を超える投資用融資を、それぞれ新規融資の20%以内に抑えます。実務上は自宅購入で頭金20%、投資物件で30%程度を用意できる借り手が有利です。 - 外国人住宅購入規制は原則継続
海外居住者による一般住宅購入の禁止は維持されています。ただし、一定の投資家向け居住ビザ保有者は、最低500万NZドルの投資条件を満たしたうえで、500万NZドル以上の住宅を1戸購入または建築できます。一般の外国人が中古住宅を自由に購入できる制度ではありません。
リスク・留意点
- 金利再上昇:追加利上げが続けば、購入可能額と住宅価格の下押し要因になります。
- 供給過多:タウンハウスや小型集合住宅は、同質物件が多い地域で売却が長期化します。
- 自然災害と保険:地震、洪水、沿岸浸水、地盤、保険引受条件は物件価値と融資可否に直結します。
- 耐震改修:ウェリントンなどでは耐震評価、改修期限、管理組合の積立状況の確認が必要です。
まとめ
2026年9月時点のニュージーランド不動産は、価格が大きく上がらない一方、在庫が多く、買い手が交渉しやすい市場です。初回購入者には選択肢が増えていますが、投資家は賃料停滞と金利再上昇で収益性を慎重に見る必要があります。商業不動産では物流・工業が最も安定し、オフィスは高品質ビルと二級ビルの差が拡大しています。今後の焦点は、追加利上げ、移民回復、新築供給の消化、地域別の雇用動向です。
ニュージーランド不動産関連情報
ニュージーランド不動産基本情報
ニュージーランド不動産物件最新
キプロス不動産
キプロス不動産 最新動向
※以下は、原則としてキプロス共和国が実効支配する南部地域の市場動向です。北キプロスは権利関係や法制度が異なるため、別市場として扱う必要があります。
市場全体・取引動向
- 不動産取引は2026年も拡大
2026年上半期の売買契約登録件数は1万7件となり、前年同期の8,729件から約15%増加しました。6月単月は1,964件で前年同月比27%増となり、住宅価格の上昇や金利環境の変化があっても、購入需要は弱まっていません。 - 2025年の好調な市場を引き継ぐ形
2025年の不動産取引総額は約65億ユーロ、取引件数は約2万5,600件でした。取引額の約69%を住宅が占め、特にアパートメント取引が市場拡大の中心となりました。2026年上半期もこの傾向が続いています。 - 地域別ではリマソールとパフォスが強い
上半期の契約件数は、リマソールが3,264件で前年同期比20%増、パフォスが1,992件で21%増、ファマグスタが447件で14%増、ラルナカが2,163件で11%増、ニコシアが2,141件で7%増でした。海沿いの都市を中心に、外国人購入と観光・移住需要が市場を押し上げています。
住宅価格
- 中央銀行指数では住宅価格が前年比7.5%上昇
2026年第1四半期の住宅価格指数は、前期比2.3%、前年同期比7.5%上昇しました。内訳はアパートメントが前年同期比10.8%上昇、戸建て住宅が3.0%上昇です。供給不足、建設コスト、外国人需要、単身・小世帯向け住宅需要がアパート価格を押し上げています。 - 都市別の価格上昇率
総合住宅価格はリマソールが前年同期比9.1%、ラルナカが8.9%、パフォスが6.4%、ニコシアが2.8%上昇しました。ファマグスタは横ばいです。アパートに限ると、ラルナカが11.7%、リマソールが10.7%上昇しており、主要沿岸都市で二桁上昇となっています。 - 価格指数による差に注意
RICS/KPMGの標準物件指数では、アパート価格は前年同期比4.09%、戸建ては3.60%上昇でした。中央銀行指数とは対象物件や計算方法が異なりますが、いずれの指数でも戸建てよりアパートの上昇が強い点は共通しています。
エリア別の特徴
- リマソール
キプロス最大の高価格市場です。2025年も国内取引額の約41%を占めました。国際企業、金融・海運会社、富裕層、外国人駐在員の需要が強く、中心部やマリーナ周辺の新築アパートは高値を維持しています。ただし取得価格が高いため、賃貸利回りよりも資産性や値上がりを重視する市場です。 - ラルナカ
空港、海岸再開発、ホテル・住宅開発を背景に、価格上昇が目立っています。リマソールより購入価格が低く、外国人と国内購入者の比率も比較的均衡しています。今後の供給増加を見込んだ先行投資も多く、短期間で価格が上昇した地区では割高感の確認が必要です。 - パフォス
外国人購入者の比率が非常に高く、第1四半期の購入者の約75%を外国人が占めました。英国、イスラエル、欧州、中東などからの移住・別荘需要が中心です。高級住宅市場でも存在感が増しており、150万ユーロ超の高級物件取引に占めるパフォスの比率は拡大しています。 - ニコシア
行政・ビジネス中心地で、購入者の約84%が国内居住者です。外国人投資に左右されにくく、実需型のアパート、学生住宅、オフィスの需要が中心です。価格上昇は沿岸部より緩やかですが、市場の安定性は比較的高いといえます。
賃貸市場・利回り
- アパート賃料は上昇継続
2026年第1四半期のアパート賃料は前年同期比5.10%上昇しました。戸建て賃料は2.79%上昇です。外国人労働者、国際企業の従業員、学生、移住者の増加に対して、手頃な賃貸住宅の供給が不足しています。 - 投資利回りはアパートが優位
平均表面利回りの目安は、アパートが5.44%、戸建てが2.97%、オフィスが5.60%、店舗が5.77%、倉庫が4.20%です。観光用アパートは5.67%ですが、観光用戸建ては2.80%にとどまります。収益性を重視する場合、高級戸建てよりも中価格帯アパートの方が選びやすい状況です。 - 短期賃貸は地域差が大きい
リマソール、パフォス、ラルナカの海岸部では短期賃貸需要がありますが、観光客数、航空便、季節性、管理費の影響を受けます。年間利回りを計算する際は、プラットフォーム手数料、清掃費、管理費、空室期間を差し引く必要があります。
供給・建設市場
- 住宅供給は今後増加する見通し
2026年1~2月に建築許可が出た住宅戸数は3,463戸で、前年同期の1,932戸から約79%増加しました。2025年にも許可戸数が大きく増えており、2027年以降は新築住宅の完成が増える可能性があります。 - 短期的な供給不足は解消していない
建築許可の増加が実際の完成物件として市場に出るまでには時間がかかります。資材価格は比較的落ち着いているものの、建設労働者不足や賃金上昇が続き、工期遅延や建築費上昇のリスクが残っています。 - 供給増加による二極化
駅や鉄道ではなく自動車移動が中心となるため、海岸、空港、幹線道路、学校、オフィスへのアクセスが物件価値を左右します。供給が増えた場合でも、中心部の小型アパートは比較的底堅い一方、郊外の大型・高価格物件は販売期間が長期化する可能性があります。
オフィス・商業・物流
- オフィスは緩やかな上昇
オフィス価格は前年同期比2.91%、賃料は3.03%上昇しました。リマソールでは金融、海運、テクノロジー企業の需要がありますが、賃料負担の高さからラルナカやニコシアへ移転・分散する動きもあります。 - 店舗市場は弱含み
店舗価格は0.72%、賃料は0.66%の上昇にとどまりました。観光地や大型商業施設の一等区画を除き、オンライン販売との競争や運営コスト上昇が重荷となっています。表示利回りは高くても、空室期間とテナント信用力の確認が必要です。 - 倉庫・物流は安定
倉庫価格は3.48%、賃料は2.58%上昇しました。国内市場が小さいため大規模物流市場ではありませんが、港湾、空港、食品、建材、EC関連の需要は安定しています。
ホテル・観光不動産
- 2026年の観光は前年割れ
2026年1~5月の観光客数は約116万6,000人で前年同期比13.3%減、観光収入は約7億9,820万ユーロで16.5%減となりました。地域情勢、航空運賃、旅行需要の変動が影響しています。 - 夏季稼働率は高いが前年を下回る
主要リゾートの7~8月のホテル稼働率は概ね85%前後ですが、記録的だった前年より10~15ポイント程度低い水準です。ホテルやサービスアパートメントは、中長期では観光需要の恩恵を受けますが、2026年については収益計画を保守的に設定する必要があります。
金利・マクロ環境
- 住宅ローン金利は低下後に転換点
新規住宅ローンの平均金利は2026年3月に3.15%となり、前年同月の3.53%から低下しました。第1四半期の新規住宅融資額は約3億5,360万ユーロで前年同期比24.5%増加しています。 - ECBの利上げが今後の負担要因
ECBは2026年6月に政策金利を引き上げ、7月23日時点で預金ファシリティ金利を2.25%に据え置きました。キプロスの住宅ローンは変動金利型も多いため、今後は住宅ローン金利の低下が止まり、返済負担が再び増える可能性があります。 - 景気は拡大を維持
キプロス中央銀行は2026年の実質GDP成長率を2.5%、失業率を4.6%程度と予測しています。一方、6月の消費者物価上昇率は3.1%で、住宅費、サービス、人件費の上昇には注意が必要です。
外国人購入・税制・制度
- EU域外国籍者は取得許可が必要
日本人を含むEU域外国籍者は、不動産取得に際して当局の許可が必要です。現行制度では、自己居住用の土地や一定数の住宅・店舗・事務所を取得できますが、外国人取得規制を厳格化する法案も議論されています。契約時点で最新制度を確認する必要があります。 - VATと移転登記手数料
新築物件には原則19%のVATが課されます。一定の条件を満たす主たる居住用住宅では、最初の130平方メートル、35万ユーロまでを中心に5%の軽減税率が適用されます。VATが課される取引では通常、移転登記手数料はかかりません。中古物件などVAT非課税取引では、通常の移転登記手数料から50%軽減される仕組みがあります。 - 印紙税は2026年から廃止
不動産売買契約などに課されていた印紙税は、2026年1月1日から原則廃止されました。購入時の付随費用は軽減されますが、弁護士費用、登記費用、VAT、仲介手数料、共益費などは別途必要です。 - 永住権制度
一定の新築住宅などに30万ユーロ以上を投資し、所得・資産などの条件を満たすことで、永住許可を申請できる制度があります。不動産取得だけで自動的に永住権が得られるわけではありません。
リスク・留意点
- 北キプロスの権利問題
北キプロスでは、1974年以前の所有者と現在の登記・占有者が異なる物件があります。キプロス共和国は、旧所有者の同意なく売買や開発に関与した人物への刑事手続きを強化しています。価格が安くても、所有権の有効性、将来の訴訟、EU域内での判決執行リスクがあるため、南部の通常物件と同じ感覚で購入すべきではありません。 - 新築物件の権利証
建築中物件では、土地への抵当権、開発許可、建築許可、完成証明、個別権利証の発行状況を確認する必要があります。売買契約は土地登記局へ期限内に提出し、売主による二重売却や追加担保設定を防ぐことが重要です。 - 供給増加と金利上昇
建築許可の急増によって、数年後には一部地域で供給圧力が強まる可能性があります。さらにECB金利が上昇すれば、ローン利用者の購入可能額が低下し、高価格物件の販売期間が長くなるリスクがあります。
9月更新で確認した一次資料:キプロス中央銀行の2026年第1四半期住宅価格指数では、外国人を中心とする堅調な購入需要、建設費の上昇、住宅供給の緩やかな増加が価格上昇の背景として示されています。8月末までにこれを置き換える第2四半期公表は確認できないため、数値は第1四半期を最新確報として扱います。
9月更新で確認した一次資料:キプロス中央銀行の2026年第1四半期住宅価格指数では、外国人を中心とする堅調な購入需要、建設費の上昇、住宅供給の緩やかな増加が価格上昇の背景として示されています。8月末までにこれを置き換える第2四半期公表は確認できないため、数値は第1四半期を最新確報として扱います。
まとめ
2026年9月時点のキプロス不動産は、取引件数の増加、外国人需要、アパート不足を背景に、引き続き拡大しています。特にリマソール、ラルナカ、パフォスの沿岸都市では価格上昇が強く、賃貸投資では戸建てよりも中価格帯アパートの収益性が優位です。
一方で、2026年6月以降のECB利上げ、建築許可の急増、観光客数の減少は、今後の市場を左右する要因です。投資対象としては、リマソールの高級物件を高値で追うより、ラルナカやニコシアの実需型アパート、パフォスの外国人向け物件など、地域ごとの需要源を確認することが重要です。購入時には価格だけでなく、権利証、開発業者の信用、VAT区分、管理費、賃貸規制、出口となる購入者層まで確認する必要があります。
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トルコ不動産 最新動向
マクロ環境・金利
- 政策金利は37%で据え置き
トルコ中央銀行は2026年7月23日、政策金利を37%に据え置きました。翌日物貸出金利は40%、借入金利は35.5%です。トルコ中央銀行が掲載する最新CPI基準値では、7月の消費者物価上昇率は前年比31.75%まで鈍化しましたが、依然として高水準であり、「インフレ鈍化」と「高い資金調達コスト」が併存しています。 - 住宅ローンは年率約39%
住宅ローン金利は年率換算で39%前後、銀行の最低水準でも月利約2.8%が目安です。長期借入の返済負担は重く、購入は現金、自己資金の厚い買い替え、短期返済に偏りやすい状況です。
住宅売買
- 6月の販売は12万9,979戸
2026年6月の住宅販売は前年同月比15.8%増加しました。新築は4万3,406戸で23.1%増、中古は8万6,573戸で12.5%増です。住宅ローン利用販売は2万5,993戸と72.1%増え、全体の20%を占めました。 - 上半期ではなお前年割れ
1~6月の累計販売は69万9,516戸で前年同期比3.1%減でした。一方、住宅ローン利用販売は14万2,794戸で32.2%増です。足元は改善していますが、地域、価格帯、融資条件による差が大きい回復です。 - 名目価格上昇、実質価格下落
6月の住宅価格指数は前年同月比24.5%上昇しましたが、物価調整後では5.8%下落しました。イスタンブールは25.3%、アンカラは25.5%、イズミルは22.6%の名目上昇です。リラ建て価格の上昇が、そのまま実質的な資産価値上昇を意味する状況ではありません。 - 沿岸リゾートは高値圏
ボドルムのヴィラ・別荘は1平方メートル当たり25万~30万リラ、チェシュメ・アラチャトゥは20万リラ超、ジュンダ島は16万~20万リラが目安です。沿岸部は年間20~25%程度上昇していますが、割高な売出価格には修正圧力が出ています。 - 外国人需要は補完的
6月の外国人向け販売は2,015戸で20.1%増え、全販売の1.6%でした。ロシア人381戸、ウクライナ人170戸、イラン人170戸です。ただし上半期累計は9,083戸で9.2%減っており、以前ほど市場全体を牽引していません。
賃貸住宅
- 賃料も実質では下落
6月の新規契約賃料指数は前年同月比29.2%上昇しましたが、実質では2.2%下落しました。イスタンブールは33.4%、アンカラは30.7%、イズミルは28.4%上昇しています。購入難から賃貸需要は強いものの、所得の伸びが追いつかず、家主にも空室回避の条件調整が必要です。 - 短期賃貸は許可制
100日以下の観光目的賃貸には許可が必要です。集合住宅では原則として他の区分所有者全員の承認が求められるため、民泊運用を前提とする場合は管理規約と許可取得の可否を事前確認する必要があります。
供給・建設
- 建設費は約30%上昇
5月の建設コスト指数は前年比29.84%上昇、前月比1.87%上昇しました。7月の建設業信頼感指数は83.5で前月比0.6%改善しましたが、基準の100を下回り、事業者心理は慎重です。資材費、人件費、為替変動が新築価格を下支えしています。 - 50万戸の社会住宅計画
政府は81県で50万戸、うちイスタンブールで10万戸の供給を進めています。頭金10%、最長240カ月の支払い条件で、2028年までの引き渡しが目標です。中低所得層の取得支援と同時に、周辺地価や民間住宅の需給にも影響します。
オフィス
- 空室率改善、プライム賃料上昇
イスタンブールのオフィス供給は約753万平方メートル、空室率は10.04%で前四半期から0.3ポイント改善しました。プライム賃料は月額1平方メートル当たり50ドルで前年比11%上昇しています。Aクラス市場ではCBD空室率5.74%、プライム賃料56ドルという集計もあります。 - 耐震性と設備で二極化
テナントは高賃料と内装費を避け、移転より契約更新や床面積縮小を選ぶ傾向です。一方、耐震性、交通利便性、省エネ性能、BCP対応に優れたビルへ需要が集中し、築古ビルには耐震補強や設備更新が求められています。
リテール・物流
- 商業施設は新規供給なし
第1四半期は新規ショッピングセンターの開業がなく、全国459施設、総賃貸面積約1,421万平方メートルです。2月のモール売上指数は前年比22.8%増でしたが、物価上昇率を下回りました。ブランドは新規出店より既存店の採算改善を優先しています。 - 物流成約は51%減
第1四半期のAクラス倉庫賃貸成約は4万4,000平方メートルで前年同期比51%減りました。EC需要は続く一方、高金利、運営費上昇、在庫抑制が重荷です。大型車アクセス、天井高、電力容量を備えた物件と旧式倉庫の差が広がっています。
ホテル・観光
- 収入増でも客数は不安定
第1四半期の観光収入は約99億ドルで前年同期比4.2%増、訪問者数は約684万人で2.2%増でした。一方、6月の外国人訪問者は約554万人で4.0%減です。地域紛争や航空便の変動で予約が直前化し、一部ホテルでは20~25%の値下げも見られます。 - 約7万床の新規供給
2026年は約354軒、約7万床の新規ホテル供給が見込まれ、イスタンブール、アンタルヤ、エーゲ海沿岸に集中します。需要の長期基調は強いものの、人件費、食材費、エネルギー費、借入費用の上昇で、営業利益率の管理が重要です。
制度・外国人投資
- 外国人も取得可能
外国人は居住許可がなくても、法定制限の範囲内で住宅や商業物件を取得できます。軍事・安全保障区域、取得面積上限、権利証、抵当権、未納税、建築許可の確認が必要です。 - 市民権は40万ドル基準
原則として40万ドル以上の適格不動産を購入し、3年間売却しない条件で市民権申請の対象になります。鑑定額、送金経路、登記への売却制限記載など形式要件があり、独立した弁護士と公認鑑定の利用が重要です。
投資家への示唆
- 住宅・賃貸
取引件数は回復していますが、価格と賃料は実質下落です。売出価格ではなく成約価格、手取り賃料、管理費、耐震性、外貨換算後の収益を基準に選ぶ必要があります。 - 商業不動産
オフィス、商業、物流、ホテルはいずれも、優良立地・新しい設備・運営力を備えた物件が優位です。築古・二級立地は、改修費を織り込まないと稼働率を維持しにくい状況です。
リスク・留意点
- 為替:リラ建て価格が上昇しても、円・ドル換算では損失になる可能性があります。
- 金利:借入購入はキャッシュフローが悪化しやすく、借り換え前提の投資には慎重さが必要です。
- 耐震性:建物年齢、地盤、耐震診断、使用許可、保険加入状況の確認が不可欠です。
- 規制:短期賃貸、市民権、外国人取得条件は契約時点の最新運用を確認する必要があります。
9月更新:トルコ中央銀行は8月18日に2026年7月の住宅価格指数を公開しました。本文の市場評価はこの最新月次公表と、7月23日の政策金利37%据え置きを基準に再点検しています。
まとめ
2026年9月時点のトルコ不動産は、販売件数が回復する一方、実質価格は下落している市場です。高インフレが名目価格と賃料を押し上げていますが、政策金利37%と住宅ローン約39%が需要を抑えています。優良立地、耐震性、設備、運営力を備えた物件は底堅い一方、築古、割高な売出物件、借入依存案件には調整圧力があります。投資判断では、リラ建ての値上がり率より、外貨換算後の収益、維持費、耐震性、出口流動性を重視する必要があります。
