「ドバイって税金がないんでしょ?」
「ドバイに移住して税金対策したいんだけど、どうすればいいの?」
「ドバイ不動産で節税する方法はありますか?」
ドバイの税金について、ドバイ移住とドバイ不動産購入での税金対策・節税について、丁寧に解説します。
ドバイの税金の現状
ドバイで課される主な税金には以下のものがあります。
付加価値税 (VAT)
- 税率:5%
- 導入:2018年1月から導入され、ほとんどの物品とサービスに適用。ただし、一部の教育、医療、特定の食品は免税またはゼロ税率
物品税
- 導入:2017年10月に導入
- 課税対象:たばこ(100%)、炭酸飲料(50%)、エナジードリンク(100%)、電子たばこ関連製品(100%)
- 対象拡大:2019年12月に対象品目を拡大
その他の税金および手数料
- 賃料に対する手数料:アパートや事業資産に対して賃借料の5%が課される
- ホテル・娯楽施設:宿泊手数料(7〜20ディルハム/泊)、および7%の手数料が課せられる
- アルコール税:通常30%の消費税が課せられるが、2023年1月1日から1年間徴収停止
法人税
- 導入:2023年6月から導入され、法人税率は9%
- 対象:年間所得が37万5,000ディルハムを超えるUAE国内の企業が対象で、小規模事業者(所得が37万5,000ディルハム以下)は非課税
- 対象外:UAE国内でビジネスを行っていない外国投資家、キャピタルゲイン、配当も非課税
- フリーゾーン企業:特定条件を満たす場合に免税。ただし、UAE国内との取引がなければ課税対象外だが、申告は必要
二国間租税条約
- 日本とUAE:2014年12月に二重課税防止のための租税条約が発効
- その他:142カ国と租税条約を締結済み(28カ国は未発効)
日本とドバイの税金比較
日本の税制とドバイの税制を比較すると以下のようになります。
所得税
- 日本:所得に応じた累進課税で、税率は5%から45%
- ドバイ:所得税なし
住民税
- 日本:所得割の税率は基本的に10%(市町村民税6%、都道府県民税4%)
- ドバイ:ドバイでは、住民税は存在しません。個人に対する所得税や住民税が課されないため、住民税の負担も一切ありません。
法人税
- 日本:法人税率は約23.2%(課税所得が800万円を超える場合)。中小企業は15%からスタート
- ドバイ:2023年6月から法人税を導入、税率は9%。年間所得が37万5,000ディルハム以下の企業は非課税。フリーゾーン企業は条件を満たせば免税
キャピタルゲイン税【不動産譲渡税や投資に関する税金のこと】
- 日本:上場株式のキャピタルゲインに対して20.315%の税金が課される
- ドバイ:キャピタルゲイン税なし
相続税・贈与税
- 日本:最大55%の相続税・贈与税が適用される
- ドバイ:相続税・贈与税なし
付加価値税 (VAT)【消費税のこと】
- 日本:消費税率は10%(軽減税率で8%)。
- ドバイ:付加価値税は5%(一部商品やサービスには免税またはゼロ税率)。
物品税
- 日本:特定の物品に対する消費税があるが、物品税はなし。
- ドバイ:たばこ(100%)、炭酸飲料(50%)、エナジードリンク(100%)などに物品税が課される。
不動産に関する税金
- 日本:固定資産税、都市計画税、不動産取得税などがあり、保有や購入時にコストが発生。
- ドバイ:固定資産税や都市計画税はなし。不動産購入時に物件価格の4%の登録料がかかる。
その他の手数料
- 日本:社会保険料や年金、健康保険料など、給与からの控除が大きい。
- ドバイ:社会保険料や年金の義務は基本的にないが、一部の労働者には健康保険が義務付けられている。
つまり、日本と比較して、ドバイの税金は
- 所得税:0%
- 住民税:0%
- 相続税:0%
という点が大きな違いと言えます。
ドバイに移住したら、税金は減るの?
日本人がドバイに移住して、ビザを取得したら、ドバイの税制に基づいて課税されることになります。
日本からドバイに移住した場合の税金のシミュレーションを以下にまとめます。計算の簡略化のため、大まかな控除を適用しているため、概算となります。
年収2,000万円の方が日本からドバイに移住した場合
前提条件
- 年収:2,000万円
- 居住地:日本 → ドバイへの移住
- 対象:個人の所得税、住民税、社会保険料等
- 移住後:ドバイに移住し、日本には非居住者として扱われる
日本での税金(年間)
所得税
- 所得税率:累進課税(最大45% + 復興特別所得税2.1%)
- 控除:基礎控除等を考慮
- 課税所得:約1,900万円(年収2,000万円から各種控除を引いた額と仮定)
- 所得税:約630万円
住民税
- 住民税率:10%(所得割のみとして計算)
- 住民税:約190万円
社会保険料
- 厚生年金保険:約18.3万円/月(年収の18.3%程度)
- 健康保険:約10万円/月(年収の10%程度)
※年間で約340万円の社会保険料が発生すると仮定します。
ドバイでの税金(年間)
所得税
- 所得税:なし
住民税
- 住民税:なし
社会保険料
- 社会保険:原則としてなし。ただし、特定の職業や状況により健康保険の加入が必要な場合がありますが、強制的な負担はほとんどありません。
その他
- VAT:購入する商品やサービスに対して5%のVATがかかるが、これは消費に基づく税であり、収入に対する税金ではないため、大きな影響はない。
日本 vs. ドバイでの税負担の比較
- 日本:約1,160万円(所得税630万円 + 住民税190万円 + 社会保険料340万円)
- ドバイ:0円(所得税、住民税なし)
年収2,000万円の方がドバイに移住すると、日本での税負担がほぼゼロになります。特に所得税と住民税が一切課されないため、手元に残るお金が大幅に増加します。また、社会保険料の負担も大幅に軽減されるか、ゼロになるため、全体的なコスト削減が大きく、移住によって年間で約1,160万円の税負担を削減することが可能です。
年収5,000万円の方が日本からドバイに移住した場合
前提条件
年収:5,000万円
居住地:日本 → ドバイへの移住
対象:個人の所得税、住民税、社会保険料等
移住後:ドバイに移住し、日本には非居住者として扱われる
日本での税金(年間)
所得税
- 所得税率:累進課税(最大45% + 復興特別所得税2.1%)
- 控除:基礎控除等を考慮
- 課税所得:約4,900万円(年収5,000万円から各種控除を引いた額と仮定)
- 所得税:約2,245万円
住民税
- 住民税率:10%(所得割のみとして計算)
- 住民税:約490万円
社会保険料
- 厚生年金保険:年収の上限に達するため、月約12.6万円
- 健康保険:年収の上限に達するため、月約15万円
年間で約330万円の社会保険料が発生すると仮定します。
ドバイでの税金(年間)
所得税
- 所得税:なし
住民税
- 住民税:なし
社会保険料
- 社会保険:原則としてなし。健康保険加入が必要な場合でも、基本的に強制的な負担は少ない。
その他
- VAT:購入する商品やサービスに対して5%のVATがかかるが、収入に対する税金ではないため大きな影響はない。
日本 vs. ドバイでの税負担の比較
- 日本:約3,065万円(所得税2,245万円 + 住民税490万円 + 社会保険料330万円)
- ドバイ:0円(所得税、住民税なし)
年収5,000万円の方がドバイに移住すると、日本での税負担がほぼゼロになります。特に所得税と住民税が一切課されないため、手元に残る金額が大幅に増加します。社会保険料の負担も大幅に軽減されるか、ゼロになるため、移住によって年間で約3,065万円の税負担を削減することが可能です。ドバイへの移住により、非常に大きな税負担の削減効果が得られることがわかります。
年収1億円の方が日本からドバイに移住した場合
前提条件
- 年収:1億円
- 居住地:日本 → ドバイへの移住
- 対象:個人の所得税、住民税、社会保険料等
- 移住後:ドバイに移住し、日本には非居住者として扱われる
日本での税金(年間)
所得税
- 所得税率:累進課税(最大45% + 復興特別所得税2.1%)
- 控除:基礎控除等を考慮
- 課税所得:約9,900万円(年収1億円から各種控除を引いた額と仮定)
- 所得税:約4,563万円
住民税
- 住民税率:10%(所得割のみとして計算)
- 住民税:約990万円
社会保険料
- 厚生年金保険:年収の上限に達するため、月約12.6万円
- 健康保険:年収の上限に達するため、月約15万円
ドバイでの税金(年間)
所得税
- 所得税:なし
住民税
- 住民税:なし
社会保険料
- 社会保険:原則としてなし。健康保険加入が必要な場合でも、基本的に強制的な負担は少ない。
その他
- VAT:購入する商品やサービスに対して5%のVATがかかるが、収入に対する税金ではないため大きな影響はない。
日本 vs. ドバイでの税負担の比較
- 日本:約5,883万円(所得税4,563万円 + 住民税990万円 + 社会保険料330万円)
- ドバイ:0円(所得税、住民税なし)
年収1億円の方がドバイに移住すると、日本での税負担がほぼゼロになります。特に所得税と住民税が一切課されないため、手元に残る金額が大幅に増加します。社会保険料の負担も大幅に軽減されるか、ゼロになるため、移住によって年間で約5,883万円の税負担を削減することが可能です。ドバイへの移住は、高額所得者にとって非常に大きな税負担の削減効果をもたらします。
当然ですが、日本で課せられている税金の多くは、所得税、住民税であり、それが0円になるのですから、
ドバイに住すれば、収入のほとんどは税金を払わずに、自分のものにできる
というのがドバイ移住の大きなメリットとなっているのです。
だからこそ、多くの富裕層がドバイ移住を検討し、実行しているのです。
ドバイの税金で暮らすには、移住しかないの?
移住しかありません。
基本的に、税金は、住んでいる国の基準で課税されます。
日本に住民票がある状態だと、ずっとドバイに滞在していたとしても、日本の税制で課税されてしまいます。
つまり、日本からドバイへ移住し、日本の非居住者になって、ドバイのビザを取得して、はじめて、日本からドバイへ移住したことになり、「ドバイの課税だけで済む」状態になるのです。
国税庁によると
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
となっています。
つまり、1年は海外で暮らして、日本から住民票を外しておく必要があり、その過程を得ないと、ドバイで税金の軽減メリットを得ることができないのです。
ドバイの税金で暮らすための手順
日本人がドバイの税制を利用して税負担を軽減しながら暮らすためには、いくつかのステップと注意点があります。以下に、ドバイでの生活に移行するための手順とポイントをまとめます。
1. ドバイへの移住計画を立てる
ビザ取得
- 種類:ドバイで長期滞在するためには、適切なビザが必要です。一般的な選択肢には以下があります。
- 就労ビザ:ドバイでの仕事を得るか、現地企業からの雇用を受ける。
- 投資家ビザ:ドバイで不動産を購入するか、ビジネスを設立することによって取得可能。一定額以上の不動産投資で、3年または5年のビザが得られます。
- ゴールデンビザ:ドバイで不動産を購入することによって取得可能。一定額以上の不動産投資で、10年のビザが得られます。
- リタイアメントビザ:一定の年齢以上で、安定した収入や資産がある場合に取得可能。
- フリーゾーンビザ:ドバイのフリーゾーンで事業を設立する場合に取得。
住居の準備
- 不動産の購入または賃貸:ドバイでは、外国人でも不動産を購入できますが、まずは賃貸で住環境を確認することも有効です。ドバイには高級マンションやヴィラなど多様な選択肢があります。
2. 日本での非居住者ステータスの確立
非居住者の手続き
- 税務上の非居住者:日本での居住者として扱われないためには、日本を離れて非居住者のステータスを確立する必要があります。具体的には、日本に住民票を残さず、1年以上日本国外に居住することが基本です。
日本の資産・収入の整理
- 資産運用の見直し:日本の銀行口座、投資、不動産などの整理や、必要に応じた名義変更、解約を行います。
- 収入の整理:日本で発生する収入に対して、日本の税金が課される場合があるため、適切な管理が必要です。
3.ドバイでの生活の整備
日常生活のセットアップ
- 銀行口座開設:ドバイでの生活に必要な銀行口座を開設します。複数の銀行があり、外国人でも簡単に口座を持つことができます。
- 保険:医療保険や必要な保険の確認と加入。ドバイでは医療保険が義務付けられています。
経済活動の準備
- ビジネスの立ち上げ:ドバイで事業を始める場合、フリーゾーンでの事業立ち上げが税制面で有利です。フリーゾーンでは法人税免除の恩恵を受けることができます。
- 就労:ドバイでの収入源を確保。就労ビザの場合は雇用主との契約を結びます。
4.税制のメリットを最大限に活用
所得税・住民税なし
- 収入:ドバイでは個人の所得税や住民税が一切かからないため、給与や事業所得、投資所得は非課税です。
資産管理
- 国際的な資産の最適化:ドバイから日本外での資産管理を行い、国際的な税制の優遇を活用します。日本との二重課税を防ぐために、適切なアドバイスを受けることも重要です。
5.専門家のサポートを受ける
法律・税務の専門家に相談
ドバイ移住に伴う法律や税務の問題について、日本とUAEの両方の専門家に相談することをおすすめします。正確な手続きを踏むことで、移住後の生活をスムーズに進めることができます。
これらのステップを踏むことで、日本人がドバイで税金面のメリットを享受しながら生活することが可能です。ドバイの低税制を最大限に活用するためには、事前の計画と準備が不可欠です。
ドバイの税金で暮らす鉄板パターン
多くの富裕層が行っているのは
- ドバイに200万ディルハム以上の不動産を購入して、ゴールデンビザ(10年ごとに更新)を取得する
- ドバイに移住する
- ドバイのゴールデンビザは、長期間の国外滞在が可能なため、世界中に旅行する(日本も含む)
- 日本での滞在は、180日以内に留める(※明確な決まりがないが半年を超えると日本に住所があると判定されるリスクが増える)
- ドバイまたは、世界相手の仕事を行う
- 家族で移住し、相続税を0円にして子供に引き継いでから、子供は日本に帰る
というパターンです。
ドバイのビザを持ちながらも、世界中を旅しながら、日本にも頻繫に帰り、税金はドバイの税制で支払う
という形になります。
ずっと日本にいると、日本の居住者とみなされてしまうので、ある程度の滞在日数に留めて住所を持たない必要があります。
国税庁「居住者と非居住者の区分」
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
ドバイの税金で暮らすための移住の注意点
日本企業から受け取る給料などは、日本の税率で課税される
ドバイに移住して日本での「非居住者」ステータスを確立すると、日本の税法上、日本国内源泉所得に対してのみ課税されます。日本の会社から受け取る給与について、非居住者の場合、日本国内での勤務によって得た所得が課税対象です。ドバイでの勤務によって得た給与は日本で課税されません。
住民税は、その年の1月1日に日本国内に住所または居所がある人に課されます。非居住者には住民税が課されません。
つまり、
日本の企業で得ていた給料をドバイ行ってからも受け取ると、所得税は日本の税制で払う必要がある。ただし、住民税は不要
ということになります。
日本の企業から、ドバイ移住後も、給料をもらうとしたら、その分の所得税は引き続き発生するということです。
キャピタルフライト課税
日本では、「出国税」という形でキャピタルフライト課税が存在します。
出国税
日本では、2015年に出国税が導入され、1億円以上の有価証券などの金融資産を保有する富裕層が日本から移住(出国)する際に、その未実現のキャピタルゲインに対して課税が行われます。
課税対象
出国時の資産の時価が対象となり、資産の評価損益に対して課税されます。これは、実際に売却していなくても、移転時の利益に対して税金が課されることを意味します。
税率
出国税の税率は、一般的な譲渡所得に対する課税と同様に、20.315%です。
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:0.315%
- 住民税:5%
生活コストの上昇
ドバイの生活費は比較的高いため、移住による税金の軽減が実際の生活コストをどの程度カバーできるか、総合的な生活費用の計画を立てることが重要です。ドバイは富裕層の国なので、お金さえ出せば、日本と変わらない食事や教育が受けられますが、そのコストが日本とひかくするとかなり高いため、生活コストが割高になるデメリットがあります。
税制は永遠じゃない
ドバイの税制も永遠ではありません。所得税が0%から上昇する可能性もあるのです。税率が変わった場合にどうするのか?も考慮して計画しておく必要があります。
まとめ
ドバイに移住することで
- 所得税:0%
- 住民税:0%
- 相続税:0%
という大きな税金のメリットが得られます。
その代わりに
- 日本の住みやすさ
- 日本の物価の安さ
というのは、手放さなければならないものです。
どちらがメリットがあるのか?比較検討したうえで、ドバイ移住を計画すると良いでしょう。
多くの場合、200万ディルハム以上のドバイ不動産を購入して、ドバイのゴールデンビザを取得するのが一般的です。