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アブダビ不動産センター(ADREC)は2025年10月13日、売買手続きを最初から最後までオンラインで完結できる政府支援の新プラットフォーム「Digital Buy & Sell Journey」を正式リリースしました。ビデオ通話によるADRECトラスティ(受託者)の立会い、UAE Passを使った改ざん防止の電子署名、ADRECが直接管理するエスクロー口座を組み合わせ、法的執行力・資金安全性・規制監督を担保したのが特徴です。売主・買主はアブダビ域内外のどこからでも申請からクロージングまでを実施でき、抵当権の抹消・設定、トラスティ本人確認、契約の電子署名、エスクロー精算までを単一のオンライン環境で完了させることが可能になりました。

同センターのRashed Al Omaira 代理事務局長は、この取り組みを「技術革新を超えた戦略的飛躍」と位置づけ、取引の効率・安全性・透明性をあらゆる段階に組み込む方針を強調。アブダビ政府が掲げる2027年までの“AI対応政府”実現に向けたデジタル変革の中核施策として、不動産サービスを世界水準のデジタル体験へ引き上げる狙いです。

何がオンラインで完結できるの?

  • 本人確認/受託者立会い:ADRECトラスティがビデオで参加し、リモートでも信頼性を確保。
  • 電子署名:UAE Passで法的効力のある電子サインを実現。
  • エスクロー精算:ADRECが直接管理する口座で安全な決済。
  • 抵当関係の手続:抵当権の設定・抹消、登録までを一気通貫。
    これらはアブダビの政府ポータルTAMMと統合され、紙書類も現地訪問も原則不要です。

関連する背景

アブダビは近年、各種行政サービスのオンライン化を段階的に拡大。不動産分野でも、証明書発行・登記補助・手数料支払いなどの電子化が先行していました。今回の発表は、そうした取り組みを売買プロセス全体へと拡大する決定打です。

用語解説(やさしく)

  • ADREC(Abu Dhabi Real Estate Centre):アブダビの不動産分野を所管する公的機関。市場監督、サービス提供、データ管理などを担う。
  • TAMM:アブダビの政府ワンストップポータル。さまざまな行政手続を一元化。
  • UAE Pass:UAEのデジタルID/電子署名。本人認証と法的効力のある電子サインを提供。
  • エスクロー口座:代金を第三者(ここではADREC)が一時的に預かり、条件成立後に売主へ資金を移す仕組み。資金保全とトラブル防止に有効。
  • トラスティ(Trustee):売買の監督や本人確認を行う受託者。ビデオ立会いで遠隔でも信頼性を確保。

日本の投資家に直結するポイント

  1. 完全リモートで売買完結
    日本にいながら申請→署名→決済→登記相当まで一気通貫。現地渡航や紙書類が原則不要に。
  2. 法的確実性と資金安全性の強化
    政府系エスクロー+電子署名で、契約の執行力資金保全が明確化。越境取引特有の「支払いと鍵の引渡しのズレ」を抑制。
  3. コストと時間の削減
    業務効率化で、各種手数料・処理時間の圧縮が見込まれ、投資家の総コスト低減に寄与。
  4. デジタル国家戦略との連動
    AI対応政府(~2027)のもと、融資・評価・保険・点検・賃貸管理など周辺プロセスの連携強化が期待できる。

実務チェックリスト

  • 本人確認要件:UAE Pass取得の可否や在留資格の有無で必要書類が変わり得る。パスポート、住所証明、収入証明などを事前確認。
  • 対象物件の適格性:フリーホールド可否、**オフプラン(建築前販売)**のエスクロー条件、デベロッパーの信用調査。
  • 費用の見積り:登記・トラスティ・エスクロー手数料、送金・為替コスト、固定資産税に相当する費用、管理費など総コストで評価。
  • 契約言語と重要条項:英語/アラビア語が基本。引渡し条件、遅延損害、保証、解約、準拠法・裁判管轄を日本語サマリー化して把握。

ニュースの見解

この発表は、日本からの越境不動産投資のハードルを実務面で大幅に引き下げる内容です。政府関与の電子署名+エスクロー+監督という“3点セット”により、海外取引の典型的な懸念(資金流出・未引渡し・権利未登録)を構造的に抑えます。今後、評価・保険・ローン審査・賃貸管理まで非対面で完結する運用スキームが整えば、取得から賃貸化までのリードタイム短縮コスト削減が進みます。

一方、UAE Passの取得条件本人確認プロセスは投資家の属性で差異があり得るため、事前の要件確認とデューデリジェンス(開発業者の与信、エスクロー条件、引渡しスケジュール、賃貸利回り想定)を丁寧に行うことが必須です。為替(円/ディルハム)や金利(ディルハムは米ドル連動の影響)も収益を左右するため、為替ヘッジと資金計画をセットで検討しましょう。総じて、本件はアブダビ不動産のアクセス性・透明性・流動性を高め、日本人投資家にとってフリーホールド物件や優良オフプランの先行確保を現実的にする追い風と評価できます。

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