みずほ銀行から海外へ送金する方法は、アプリと店頭窓口の2通りです。手数料だけを見るとアプリが3,000円以上安いのですが、アプリには送れる国と送れる目的があらかじめ決められています。海外不動産の購入代金を送るつもりでアプリを申し込むと、条件に合わず窓口へ戻ることになります。みずほ銀行が公開している手数料一覧とアプリの案内から、どちらを選ぶべきかを切り分けます。
手数料はアプリが一律5,000円、窓口は本支店向け8,000円・他行向け8,500円です(2026年9月3日現在の一覧表)。いずれも消費税はかかりません。
ただしアプリの送金目的は9種類に限定されていて、不動産の購入代金はその中にありません。あるのは不動産賃貸料までです。
送金可能国も32か国に限られます。UAE(ドバイ・アブダビ)、フィリピン、ベトナム、カンボジア、インド、トルコ、サウジアラビアはいずれも入っていません。
つまり海外不動産の購入代金は、みずほでは窓口の一択になります。アプリは生活費や留学費用のための経路だと考えてください。
送金手数料はアプリ5,000円、窓口8,000円から
みずほ銀行は「外国為替関係主要手数料一覧表(個人のお客さま用)」で、海外向け仕向送金の手数料を公開しています。アプリの手数料だけは別ページに書かれているため、2つを並べて初めて全体が見えます。
| 項目 | 金額 | かかる場面 |
|---|---|---|
| 送金手数料(みずほ銀行アプリ) | 5,000円 | アプリから外国送金を依頼したとき。一律 |
| 送金手数料(電信送金・本支店向け) | 8,000円 | 受取銀行がみずほ銀行の本支店のとき |
| 送金手数料(電信送金・他行向け) | 8,500円 | 受取銀行がみずほ銀行以外のとき |
| コルレス先支払手数料 | 2,500円 | 海外で発生する手数料を「依頼人負担」にしたとき |
| 内容変更手数料 | 4,500円 | 依頼した送金の内容を直すとき |
| 組戻手数料 | 5,500円 | 送金を取り戻すとき。1件につき |
| 被仕向送金手数料 | 2,500円 | 海外から送金を受け取るとき。4つの免除条件あり |
一覧表には「記載の手数料には消費税等はかかりません」と明記されています。アプリ側の案内にも同じ注記があり、引落口座は円普通預金口座だけを指定できるとされています。

コルレス先支払手数料は、海外側で差し引かれる手数料を送る側が負担する選択をしたときに発生します。一覧表には、依頼人負担を選んでも受取人への入金時に支払銀行手数料等が差し引かれ、全額で支払われない場合があるとも書かれています。全額を届けたい場合でも、完全には保証されないという意味です。
アプリの外国送金は、誰でも申し込めるわけではない
アプリの5,000円は安いのですが、使える人の条件がかなり絞られています。みずほ銀行は5つの条件をすべて満たす個人に限ると案内しています。
図1 みずほ銀行アプリの外国送金を使える人の条件
店頭での実績が要る
条件の2つめが「みずほ銀行の店舗で、過去1年以内に同一内容の外国送金をお手続いただいたことがあるお客さま」です。初めての送金をアプリから始めることはできません。
居住期間と事業性の条件
事業性個人を除く、6ヵ月以上日本国内に住んでいる個人であることが求められます。
登録まわりの条件
ご利用カード(アプリ版)の登録、マイナンバーの届出、届出の住所・氏名と現在の住所・氏名の一致の3つが必要です。
5条件を満たしても、各送金依頼ごとに別途審査があると書かれています。さらに、インターネットバンキングのブラウザ版やテレホンバンキングからは利用できません。経路はアプリだけです。

送金目的は9種類だけ。不動産の購入代金は選べない
ここが海外不動産を買う人にとって決定的です。アプリの案内には「ご利用可能な送金目的」という表があり、選べる目的が国際収支項目番号つきで並んでいます。全部で9種類しかありません。
| 区分 | 送金目的 | 国際収支項目番号 |
|---|---|---|
| 生活費や贈与のための送金 | 留学に係る費用 | 113 |
| 旅行に係る経費 | 114 | |
| 医療費 | 114 | |
| 生活費の送金 | 615 | |
| 国内勤務の外国人の方から本国の家族への生活費の送金 | 615 | |
| 移住に伴う資産の移転 | 616 | |
| 費用や手数料の支払 | クレジットカードの決済代金 | 112 |
| 生命保険料および年金保険料 | 315 | |
| 不動産賃貸料 | 565 |
並んでいるのは「不動産賃貸料」までです。物件の購入代金、手付金、諸費用のいずれにも当てはまる目的がありません。海外の家賃を払うためにアプリを使うことはできても、物件を買うためには使えないという設計です。
「移住に伴う資産の移転」(616)は、生活の本拠を海外へ移すときの資産移転を指す区分で、投資目的の不動産購入とは別物です。海外送金で費用が何にいくらかかるかという全体像は、海外送金の手数料は何にいくらかかる?にまとめています。
送金可能国は32か国。アジア・中東の主要な市場が抜けている
目的の次に効いてくるのが国の制限です。アプリの案内には送金可能国が列挙されていて、数えると32か国でした。ヨーロッパが厚く、アジアと中東が薄い構成です。
図2 海外不動産でよく名前の挙がる国が、32か国に入っているか
入っている
マレーシア、インドネシア、タイ、シンガポール、韓国、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、スイス。
入っていない
UAE(ドバイ・アブダビ)、フィリピン、ベトナム、カンボジア、インド、トルコ、サウジアラビア、カタール、エジプト、モロッコ、ウズベキスタン、バングラデシュ、香港、メキシコ。
但し書きも読む
案内には、これらの国向けでも送金内容により取り扱えない場合があること、送金可能国は法令や経済情勢により変更になる場合があることが書かれています。
取扱通貨も7種類に絞られています。米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、ニュージーランドドル、スイスフラン、日本円です。ディルハム建てやペソ建てでの送金はできません。
金額と回数にも上限がある
目的と国の条件を越えたとしても、アプリには金額の上限があります。海外不動産の購入では、この上限が最初の壁になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1回あたりの上限 | 300万円以内 |
| 1日あたりの上限 | 300万円以内 |
| 直近30日の上限 | 500万円以内 |
| 直近30日の回数 | 2回以内 |
| 送金取扱日 | 送金受付日の翌営業日以降(最短で翌営業日)。受付日当日の送金は受け付けない |
| 適用為替レート | 原則、送金取扱日の公表TTSレート。アプリに表示されるレートは参考値 |
| 利用可能時間 | 原則24時間(外貨普通預金口座からは平日9時00分〜21時00分) |
| 計算書 | 届出の住所へ後日郵送 |
直近30日で500万円、回数は2回までという枠は、物件価格のまとまった支払いには足りません。一部の国・地域向けはこれより低い上限になるとも書かれており、その対象国は開示されていません。
レートの扱いも見落とせません。アプリに出る為替レートは参考値で、実際には送金取扱日のTTSで換算されます。依頼した日と換算される日がずれるため、円安に振れればその分だけ円の支払いが増えます。
海外不動産の購入代金を送るときの進め方
ここまでの条件を踏まえると、みずほ銀行から物件代金を送る場合の経路はひとつに決まります。窓口です。
図3 みずほ銀行から購入代金を送るときに決めておくこと
- 窓口での手続きを前提に組む。アプリは目的・国・金額のいずれかで外れます。本支店向け8,000円、他行向け8,500円が基本の手数料です。
- 受取銀行がみずほの海外本支店かどうかを確認する。本支店向けなら500円安くなります。売主側の指定口座がどこかで決まります。
- 海外側の手数料を誰が負担するかを決める。依頼人負担にすると2,500円が加わります。それでも全額が届かない場合があると公式が注記しています。
- 内容を直すと4,500円、取り戻すと5,500円かかる。受取人名と口座番号は申し込み前に書面で突き合わせてください。
- 着金までの日数を逆算する。決済日から逆算する考え方は別記事にまとめています。
銀行ごとに手数料も経路も違います。三井住友銀行の条件は三井住友銀行の海外送金、ゆうちょ銀行はゆうちょ銀行の海外送金は窓口で頼めないで扱っています。日数の見積もりは海外送金は何日かかる?を参照してください。
海外から受け取る側の手数料は2,500円。免除される4つの場合
売却代金や賃料を日本で受け取る側の手数料も、同じ一覧表に載っています。被仕向送金手数料は1件ごとに2,500円です。ただし4つの場合は不要になると書かれています。
図4 被仕向送金手数料2,500円が不要になる場合
- 円建てかつ手数料依頼人負担
- 送金が円建てで、海外側の手数料を送る側が負担している場合。
- 国内からの非居住者円建て
- 国内からの非居住者円建て被仕向送金の場合。
- 同一名義の外貨預金口座へ入金
- 国内からの外貨建て被仕向送金を、送金人と同一名義の外貨預金口座に入金する場合。
- みずほ銀行の国内本支店から
- みずほ銀行国内本支店からの外貨建て被仕向送金の場合。
海外から日本の口座で受け取るときの一般的な流れは海外からの送金を日本の口座で受け取る方法にまとめています。
よくある質問
- みずほ銀行の海外送金手数料はいくらですか。
- アプリからは一律5,000円、窓口の電信送金は本支店向け8,000円・他行向け8,500円です。いずれも消費税はかかりません。
- アプリで不動産の購入代金を送れますか。
- 送れません。公式の送金目的の一覧に購入代金に当たる区分が無く、不動産関係は「不動産賃貸料」だけです。
- ドバイへ送金できますか。
- アプリの送金可能国32か国にUAEは入っていません。窓口での手続きになります。
- アプリは初回から使えますか。
- 使えません。条件に「みずほ銀行の店舗で、過去1年以内に同一内容の外国送金をお手続いただいたこと」が含まれています。
- 1回いくらまで送れますか。
- アプリは1回300万円、1日300万円、直近30日で500万円かつ2回までです。一部の国・地域向けはこれより低くなるとされています。
- 依頼した日のレートで換算されますか。
- されません。原則として送金取扱日の公表TTSレートで換算されます。アプリに表示されるレートは参考値です。
この記事が参照した一次情報
- みずほ銀行「外国為替関係主要手数料一覧表(個人のお客さま用)」(2026年9月3日現在)
https://www.mizuhobank.co.jp/rate_fee/fee_forex_individual.html - みずほ銀行「外国送金(みずほ銀行アプリ)」
https://www.mizuhobank.co.jp/direct/app/gaikoku_sokin.html - みずほ銀行「外国への送金・受け取り」
https://www.mizuhobank.co.jp/tetsuduki/gaikoku_soukin/index.html
