エジプト不動産
エジプト不動産最新動向
マクロ環境・金利・為替
- インフレと政策金利の転換
物価は2025年夏に前年比12%前後まで低下し、中央銀行は2025年に4回の利下げを実施しました。10月2日に100bpの追加利下げを行い、預金21%/貸出22%となっています。成長率は2025年Q2に5.0%へ加速しつつも需給ギャップは小さく、段階的な金融緩和を続ける見通しです。 - 為替の安定と資本流入
2024年3月の変動相場制移行後、並行市場は収束し、2025年は対米ドルでおおむね安定(例:48EGP前後)で推移しています。観光収入の増勢と改革進展が外貨準備とインフレ期待の安定に寄与しています。
住宅(分譲・賃貸)
- 供給・売れ行きの“二層化”
Q2 2025に約7,300戸が引き渡され、供給は堅調です。一方で販売価格と賃料は総合インフレと連動して上昇し、賃貸需要は強含み、一次取得のフリーホールド売買はやや減速しています。 - 富裕層・越境マネーの流入
GCC富裕層などの1.4億米ドル規模(約14億ドル)のプライベート資本が居住用を狙い、グレーター・カイロのアクティブ案件155件/24.4万戸のストックに対し、2025年の引渡し見込み3.08万戸(前年比+29%)とパイプラインは厚めです。出来上がり資産(完成済み高級物件)志向も強まっています。 - 新行政首都(NAC)・高級偏重の歪み
高級帯への偏重で中間所得向けの在庫不足/価格負担感が続く一方、NACでは未消化在庫が残る区画もあります。
オフィス
- 供給抑制と交渉柔軟化
Q2 2025は新規着工が限定的で、開発各社は段階開発の引渡し優先にシフト。景気安定で貸主・借主の信頼感が回復し、賃料条件は柔軟化(テナント改善・分割区画化など)が進んでいます。BPO/アウトソーシングがけん引役です。
リテール・商業
- 供給は限定、テナントミックス再編
Q2に1.26万㎡のGLAが追加、年内残りの供給計画は約8.67万㎡と供給は抑制気味です。小中規模モールではF&B比率の見直しや体験型テナント導入が進展。賃料は総じて安定〜小幅増のレンジです。
ホテル・観光
- 新規大型開業と入国者の増勢
カイロの客室ストックは約2.84万室。Giza Palace(約860室)やHyatt Centric Cairo Westの開業で上位ホテルの選択肢が拡大。2025年上期の訪問客は前年同期比+24%の約870万人と観光が牽引し、ADR/RevPARは通貨安効果もあり高水準です。
物流・セカンダリー市場
- 工業・物流の注目点
金利高からの緩和サイクル入りと為替安定を背景に、港湾・空港アクセスの良い東西カイロ回廊や北海岸での低温・高天井倉庫の需要感が強いとの声が増えています。小売の在庫最適化・EC拡大がテコになります。(足元は定量データが限定的なため、現場ヒアリング前提の実務感です)
制度・改革トピック
- IMFプログラムの進捗
国有企業の役割縮小(State Ownership Policy)や競争条件の整備が進展中で、投資環境の予見可能性向上がテーマです。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
賃貸強含み/分譲選別の局面です。完成済み・即入居可の優良立地は価格耐性が高く、北海岸・中央カイロ・NACの一等区画が引き合い。高級偏重の一方で中間層向けの需給ギャップが残るため、適正面積×支払計画の柔軟性(長期分割・頭金抑制)が販売歩留まりの鍵になります。 - オフィス
新規供給は抑制的で、設備仕様・共用部の質/ESG対応に優れるAグレードへ需要集中。柔軟な賃貸条件・メイクグッド費用の調整などで成約が進みやすい局面です。 - リテール
供給限定×テナント再編で稼働改善が続きやすいです。体験型・旗艦店の誘致や歩合賃料(%レント)の活用で賃料の底上げが狙えます。 - ホテル
大型新設×入国者増でADR/RevPARの上向き余地が残ります。シティは会議・展示会(MICE)、リゾートは国際線増便期にピークが出やすく、平日稼働の底上げ施策(法人契約・イベント誘致)が有効です。
価格・賃料の足取り(要点)
- 住宅価格・賃料:インフレ連動で上昇基調、ただし販売は選別的。賃貸は実需回帰で強含み。
- 商業賃料:プライムは横ばい〜小幅増、二級立地はテナント支援と成果連動で調整。
- ホテル指標:供給増でも需要が吸収、稼働・ADRとも高水準。
リスク・留意点
- 高級偏重と未消化在庫:高額帯集中でミドル向け供給不足、NACの一部区画で未販売在庫が残存。
- 金利・補助金・燃料価格:利下げ継続でも実質金利は高めでセンチメントの振れに注意。燃料価格改定はコスト転嫁・消費に影響し得ます。
- 地政学と観光依存度:観光が好調な一方、外部ショックでフローが急減する脆弱性。
まとめ
2025年のエジプト不動産は、インフレ沈静化と利下げ局面を追い風に、賃貸住宅・ホテル・プライム商業が相対優位です。住宅は“完成済み・好立地・支払柔軟”が強く、賃貸は実需回帰で底堅いです。オフィスは供給抑制と条件柔軟化でテナント需要を取り込み、リテールは体験型シフトとミックス再編で稼働を引き上げています。為替・金利・地政学への感応度は高く、セグメント選別と契約条件の工夫(価格調整条項、インデックス連動、引渡しペナルティ明確化)が投資・運営の成否を分けます。
エジプト不動産関連情報
エジプト不動産基本情報
エジプト不動産データ
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フィリピン不動産
フィリピン不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
物価は足元で低インフレです。7月は0.9%、8月は1.5%まで上昇、9月は1.5〜2.3%のレンジ見通しです。中央銀行(BSP)は3会合連続で利下げを実施し、8月28日に政策金利(RRP)を5.00%へ引き下げました。為替は10月1日時点で1米ドル=約PHP58.1です。 - 住宅ローン金利の実務感
民間銀行の店頭金利は年7%前後が目安という声が多く、加えて公的住宅融資Pag-IBIGは特別金利4.5%(~P1.8M)のキャンペーンを展開しています。一次取得層の購買意欲を下支えしています。
住宅(分譲・賃貸)
- 価格動向と在庫
BSPの住宅価格指数(RPPI)は前年比+7.5%(2025年Q2)で上昇が継続しています。一方でメトロ・マニラでは、パンデミック期に積み上がった在庫の消化優先(新規供給は抑制)が続き、立地・仕様の良い物件ほど売れ行きが相対的に良い局面です。 - テイクアップと販売施策
2025年前半以降、デベロッパー各社は頭金軽減・分割延長・家具家電バンドルなどのプロモ強化でプリセールの歩留まりを改善。マカティ周辺やBGCなど中上位価格帯コンドで回復が先行しています。 - 賃貸の二極化
外資勤務層や帰国駐在員の戻りでAクラス都心コンドの賃貸は底堅い一方、築古Bクラスは賃料調整・改装前提になりやすい状況です。
オフィス
- 空室率は高止まりから改善方向
2025年上半期は純吸収がプラスに転じ、BGC・マカティのAグレード中心にリーシングが前進。ハイブリッド定着後もハブ拠点需要が残り、グリーン認証・BCP性能・共用部刷新のある物件へテナント需要が集中しています。 - 賃料・条件面
一等立地のプライムは賃料横ばい〜小幅高、周辺立地や築年の経ったビルはフロア分割・内装支援など条件調整で成約を積み上げる実務感です。
リテール・商業
- モール稼働の回復継続
レジャー・イベント需要の戻りで来客数が改善。テナントミックス再編や改装を進める大手運営モール(NCR・セブ・ダバオ)ほど空室率の低下が確認されています。 - 賃料と出店条件
一等立地は指名性が強く横ばい〜微増、郊外・二等立地は歩合賃料(%レント)や内装支援の活用で出店を促す動きが目立ちます。
ホテル・観光
- 稼働率は高水準維持
首都圏ホテルのQ2平均稼働は78.3%。MICE・企業イベント・国内レジャーに支えられ、Upscale〜Luxuryの堅調が続いています。年後半は新規3,000室の供給予定があり、稼働の平準化とADRの引き上げがテーマです。 - インフラ追い風
NAIAのPPPによる再整備・容量拡張が進展しており、中期的には国際線の利便性向上→客室単価の上振れ余地が見込まれます。
物流・工業
- 需要は堅調、H1で需要急増
2025年上半期の国内倉庫需要は前期比+80%と大幅増。卸・小売、物流、製造が牽引し、カビテ・ラグナ・バタンガス・パンパンガ・ブラカンの高規格倉庫への引き合いが強いです。 - 契約慣行と利回り
プライム倉庫は年次インデックス連動が一般化。土地・建設コスト上昇で初期利回りは圧縮傾向にあり、規模化と運営効率が収益の鍵になっています。
REIT・資本市場
- 分配と利回り水準
主要REITは四半期配当を継続。例えばAREITは2025年も四半期配当を実施し、足元の配当利回りは概ね5%台、DDMPRは8〜9%台の水準が観測されます(いずれも株価水準により変動)。金利低下局面では相対的妙味が意識されやすいです。 - ポートフォリオの質
オフィス中心REITはWALE延伸・テナント多様化・ESG対応を進め、物流・データセンターなどへの用途分散を模索する動きが続いています。
制度・規制トピック
- 評価・税務の透明化と自治体格差の縮小
不動産評価や課税運用の近代化が段階的に進み、評価の標準化が進展しています。固定資産税の滞納整理やアムネスティ施策により市場の可視性が高まりつつあります。 - 外国人の取得枠は従来通り
外国人は土地の直接所有不可/コンドは棟全体の40%までが上限という枠組みは不変。土地利用は最長50年+更新25年の長期賃借が実務的な手段です(一般実務)。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
価格は緩やかに上昇、在庫消化優先で新規供給は抑制。利下げ×Pag-IBIG特別金利で一次取得層の需要が下支え。都心Aクラスは保ち合い、周辺Bクラスは値引き・改装での販促が基本です。 - オフィス
質への回帰が鮮明。BGC・マカティのAグレードが優位で、二級物件はフロア分割・共用部改装による再生が前提。ハイブリッドでもハブ拠点ニーズは残存します。 - リテール
改装・体験型テナントの導入で稼働改善。出店側は歩合賃料や内装支援の交渉余地があり、物件側はテナント回転率・イベント運営が収益鍵です。 - ホテル
高稼働維持(Q2 78%台)。空港再整備でADRの上振れ余地。シティは平日需要の底上げ、リゾートは季節変動吸収がテーマです。 - 物流・工業
首都圏周辺の高規格倉庫と中部〜南ルソンの工業パークが安定収益源。港・空港アクセス、電力安定、トラック導線を重視し、汎用レイアウトで転用性を確保します。 - REIT
配当の安定性とスポンサーのアセット注入力を重視。オフィス+物流など用途分散ポートフォリオはサイクル耐性が高い傾向です。
リスク・留意点
- 在庫圧力:エリア・価格帯により割引販促・引渡し延期が生じうる。
- 金利・為替:利下げ基調でも外部要因で金利・ペソの振れに注意。
- 施工・引渡し遅延:建設コスト・人手不足で遅延リスク。契約の違約・補償条項を要確認。
- テナント・稼働:オフィス・リテールとも選別強化で二極化。CAPEX(改装・ESG投資)の計画が不可欠です。
まとめ
2025年のフィリピン不動産は、低インフレ×利下げが下支えとなりつつも、立地・仕様・運営力による選別が一段と進んでいます。住宅は価格上昇+供給抑制で選別的に堅調、オフィスはAグレード偏重、リテールは改装と体験型で稼働改善、ホテルは高稼働維持、物流は需要急増と高規格化が進展。空港再整備などのインフラが中期の追い風となり、REITは配当継続と相対利回りで妙味が高まっています。
フィリピン不動産関連情報
フィリピン不動産基本情報
フィリピン不動産データ
フィリピン不動産物件最新
Residences at The Galleon(レジデンシズ・アット・ザ・ガレオン)
PASEO de ROCES(パセオ・デ・ロセス)中古物件/1Bed/690万ペソ/想定利回り5.9%
フィリピン不動産中古物件
ドバイ不動産
ドバイ不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策スタンス
ドバイの消費者物価は8月+2.4%YoYに鈍化し、年内は2%台半ばでの推移が見込まれます。米ドル連動の通貨・金利連動(米金融政策の影響)が続くなか、インフレは落ち着いた水準です。 - 短期指標(EIBOR)と住宅ローン実務
3カ月EIBORは10月1日時点で約4.17%、1カ月で約4.21%です。主要行は1~5年の固定を積極提示しており、例として大手行の店頭固定3年4.24%/固定5年4.44%(諸条件あり)という水準感です。実務ではEIBOR+スプレッドの変動型と、固定→変動のハイブリッドの選択が一般的です。 - 頭金(LTV)・審査の枠組み
居住外国人の一次取得は頭金20%(物件5百万AED超は30%)が通例、二次取得は頭金40%程度が目安です。UAE国民は15%から。中央銀行のモーゲージ規制(LTV上限)に基づく運用です。
住宅(分譲・賃貸)
- 売買:オフプラン主導の高水準
2025年H1時点で取引件数・金額とも過去最高圏。オフプラン比率が7~8割に達する月もあり、高額ヴィラの比率上昇が金額を押し上げています。VPI(8月)で住宅価格+22%YoY、年初からの上昇基調を維持しています。 - 価格と在庫:上昇継続も伸び率は鈍化へ
2025年Q2までの年間上昇率は概ね+14%前後。一方、2025年通年で9.3万戸の供給観測など供給圧力が高まり、金融機関は2025年後半~26年にかけて10%超の価格調整リスクを指摘しています。フリップ(転売)熱は減速し、築浅~プレミアム立地と周辺Bクラスで二極化が進んでいます。 - 賃貸:上昇一服→エリア選別へ
H1は賃料+1~2%QoQ(アパート/ヴィラ)と伸び率鈍化。更新時はRERAレンタル指標が上昇余地を規定しつつ、新規契約の方が高い賃料になりやすい傾向です。総契約件数はH1で約23.6万件と前年並みの高水準、粗利回りは平均6.7%前後(アパート7%台/ヴィラ5%前後)が目安です。 - 供給パイプライン
H1で2万戸超が引渡し、年後半以降も大量供給が続く見込み。2027年までに20万戸超の計画が示され、在庫吸収力は立地・プロダクト力次第の局面です。
オフィス
- 稼働・賃料:歴史的タイト感
グレードAは空室が極小で、プライム賃料・Grade A賃料とも2桁の年率上昇。更改前倒し・面積確保の先手打ちが一般化しています。直近Q2の市況では空室率の歴史的低下→賃料上昇が続き、大型区画志向&ストラタ(区分)オフィスへの関心も台頭しています。 - テナント行動とESG
ハブ&スポークのハブ拠点として立地・交通・BCP・グリーン認証の高い物件に需要集中。共用部改装・アメニティ拡充でのリポジショニングも進展しています。
リテール・商業
- 来店回復と賃料の底上げ
ショッピングモールは観光・居住者人口増を背景に稼働が堅調。小売賃料は9%上昇との実務感も出ており、体験型テナント/F&Bの導入で一等立地は横ばい~増、二等立地は歩合賃料・内装支援で出店を促進しています。
ホテル・観光
- 稼働・ADR
2025年通年稼働78.5%見通し、H1のADRはAED745(+5.5%)。国際来訪者の回復が牽引し、アッパーミッドスケールが伸長しています。大型イベント期の週末偏重を平準化できるかが下期のテーマです。
物流・工業
- ロジ・工業:グレードAは貸し手優位
高稼働×賃料上昇が継続。製造・ECの投資拡大でグレードA物流の関心は強く、投資家のアロケーション拡大が観測されます。
REIT・資本市場
- 上場・配当動向
Dubai Holdingの住宅REITがIPOを実施し、2025年配当見込み11億AEDを掲示。Emirates REITは年次配当を実施、ENBD REITは半期配当の方針を継続するなど、分配継続性が意識されています。 - 上場デベロッパー・商業REITに近い動き
TECOM Groupは高稼働と賃料増でH1 2025の利益+22%、オフィス需要の底堅さが裏付けられています。
制度・規制トピック
- 外資取得と長期滞在制度
指定フリーホールド区域での外国人所有、長期ビザ(例:ゴールデンビザ)など移住・投資誘致策が継続。RERAレンタル指数の改定運用により更新時の賃料上限がガイドされ、賃貸市場の透明性が高まっています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅(一次取得・投資)
価格は+1桁台後半~+2桁前半上昇の後半局面。金利安定×固定金利4%台の選択肢拡大で月々返済の読みやすさは向上。一方で2025年後半~26年の調整リスクと大量供給を踏まえ、立地(交通・学区・海近)×管理品質を重視し、オフプランは支払計画・完成リスクを精査するのが実務的です。 - 賃貸投資
粗利回り:アパート7%台/ヴィラ5%前後が目安。新規契約>更新契約で賃料が高く出る傾向を踏まえ、客付けの初速と運営コスト(DLD・管理・修繕)を織り込んだネット利回りで判断します。 - オフィス
Aグレードの空室極小・更改前倒しが常態化。ESG・BCP・アメニティの質で賃料プレミアムが明確。新規リーシングは意思決定リードタイムの短縮とレイアウト柔軟性が成否を分けます。 - リテール
プライムモールはイベント×体験型テナントで賃料押し上げ。二等立地は歩合賃料・内装支援の設計で回転率管理が鍵です。 - ホテル
稼働7割後半×ADR上昇で堅調。国際線・イベントの取り込みが続く一方、平日需要の底上げ(企業需要・会議体)がテーマです。 - 物流・工業
グレードA物流・軽工業は高稼働×賃料増。港・空港アクセス/電力安定/天井高・ドックなど仕様要件を満たす資産のスプレッドは当面確保しやすい見通しです。 - REIT
分配継続性とスポンサー力を重視。住宅・オフィス・物流の用途分散と長期WALEのポートフォリオは金利低下局面での相対妙味が高いです。
リスク・留意点
- 供給過剰:2025年9.3万戸規模の供給予測などにより、中低価格アパートでの在庫圧力と値引き・引渡し遅延の可能性。
- 価格調整リスク:格付機関は-10%超の調整を警戒。オフプランの転売減速・投資家心理の変化に注意。
- 金利・為替連動:米金融政策に連動影響。EIBORの変動で変動型ローン返済が振れやすく、固定選好が増加。
- 施工・引渡し:大量供給局面で建設スケジュールの遅延・スペック差が表面化しやすい。契約の違約条項・マイルストーンを要確認。
まとめ
2025年のドバイ不動産は、インフレ沈静化×金利安定を背景に、住宅はオフプラン主導の高水準、オフィスはAグレードの極端なタイト市況、リテールは体験型・F&Bで底堅く、ホテルは稼働7割後半×ADR上昇という構図です。一方で、大量供給に伴う価格調整リスクとエリア・仕様による選別が鮮明化。立地・開発品質・運営力に優れた資産ほど耐性が高く、投資は固定金利用・キャッシュフロー重視・用途分散で臨むのが有効です。
ドバイ不動産関連情報
ドバイ不動産基本情報
ドバイ不動産データ
ドバイ不動産物件最新
The Serene at Sobha Central(セリーン・ショーバ・セントラル)
カンボジア不動産
カンボジア不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと為替・金融環境
2025年上期の平均インフレは+3.5%、足元は下期にかけて鈍化見通しです(年後半は+1〜2%台レンジの見方が台頭)。ドル化経済のため政策金利の直接的運用は限定的で、与信・預金金利が実務上の指標になります。 - 住宅ローン金利の実務感
都市銀行の住宅ローンは固定6.5〜7.5%台(初年度)→2年目以降8%前後の提示が目立ち、ローカル大手ではUSD建て9〜10%台の商品も一般的です。LTVは90〜95%まで認める商品もあります(案件・保険条件による)。
住宅(分譲・賃貸)
- 供給・販売
プノンペンのコンド完成戸数はH1で約4,000〜5,000戸増加。オフプラン→完成在庫への移行が進み、都心/準都心の中上位価格帯は消化が相対的に良好です。一方、周辺Bクラスは在庫圧力が残ります。 - 価格・利回り
CBDコンドの平均価格は約US$2,700/㎡、賃貸利回りは5〜6%が目安。サービスアパートは2028年までに約10,500戸規模へ拡大見込みで、賃貸競争はエリア選別が進みます。 - 賃貸市況
新規貸しはフリーレント・内装支援を含む条件交渉が一般化。更新より新規契約の方が高い賃料になりやすく、ビル管理品質・立地で二極化が鮮明です。
オフィス
- 空室・賃料
2025年H1の市況空室率は約64%、プライム賃料は約US$24/㎡/月。供給遅延で一部の新規供給が後ろズレする一方、需要の回復力は限定的で価格調整が継続しています。 - テナント行動
BCP・アクセス・アメニティに優れたAグレードへの選好が強く、フロア分割・共用部改装でのリポジショニングが主流です。
リテール・商業
- 稼働と賃料
プノンペンの小売賃料はUS$20.9/㎡/月、稼働58〜59%と、オフィス同様に調整基調。一方、体験型テナント・F&Bの導入やイベント運営で、プライムモールは横ばい〜微増のケースがみられます。
ホテル・観光
- 稼働・需要ドライバー
2024年の国際観光収入US$36億、ホテル稼働77.8%まで回復。2025年9月にはプノンペン新空港(Techo International Airport)が開業し、初年度年1,300万人→将来5,000万人までの拡張計画で国際線の受け入れ能力が大幅増、中期的なADRの上振れが期待されます。
物流・工業
- SEZ・ロジの需要
プノンペン圏のSEZ(特区)はH1時点でほぼ満室。RGPPSEZ/Sihanoukville SEZは輸出の中核で、24年の輸出額は各US$10〜15億規模。港湾・空港アクセスの強化とシアヌークビル物流センターの整備で、高規格倉庫への需要が底堅いです。 - パイプライン
2025〜28年にかけてシアヌークビルを多目的モデル特区へ段階整備、物流・観光の統合と民間投資の呼び込みが進みます。
REIT・資本市場
- 枠組みの整備進展
2019年トラスト法と2022年以降のプラカスで不動産信託(REIT相当)のスキームが整備進展。2025年3月にはトラスト課税の詳細規定が公布され、運用・課税の予見性が向上しました。上場REITの普及はこれからですが、私募型・不動産信託を通じた資金調達の土台が整っています。
制度・規制トピック
- 外国人の取得枠
土地の直接所有は不可。ただし区分所有(ストラータ)で上層階のユニット取得が可能、かつ棟内の外国人持分は最大70%まで。地上階は取得不可が原則です。 - 長期賃借(パーペチュアルリース)
外国人は15〜50年(更新可、最長50年/回)の長期賃借で土地利用が可能。実務ではLHC(ランドホールディング会社)×長期賃借や信託スキームが併用されます。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅(分譲・賃貸)
供給増×選別化の局面です。中心〜準中心は価格・吸収とも堅調、周辺Bクラスは在庫圧力。利回り5〜6%を目安に、管理品質・賃貸需要の厚み(学校・オフィス近接)を重視、オフプランは完成・引渡しリスクと支払計画の精査が前提です。 - オフィス
空室高止まり(約64%)のため、テナント付けは条件設計(面積分割・内装支援・段階賃料)が鍵。投資はAグレード、交通結節・BCP優位への集中が合理的です。 - リテール
プライムロケーションはイベント×体験型テナントで底堅い一方、セカンダリーは歩合賃料や内装補助を前提に回転率管理を重視します。 - ホテル
新空港稼働でMICE・国際線の取り込み余地が拡大。ADR上振れを見込みつつ、平日需要の底上げ(企業・政府需要)と人員確保がテーマです。 - 物流・工業
SEZ満床×港湾・物流ハブ整備で、高天井・ドック付の汎用型倉庫が安定収益源。電力安定・港/空港距離・トラック導線のチェックリストで物件選別を徹底します。 - ストラクチャー
長期賃借・信託(REIT相当含む)の選択肢が拡充。税制・手数料の総コストと受益権の流動性を比較検討します。
リスク・留意点
- 供給過多・在庫圧力:コンド新規供給が多く、周辺Bクラスで値引き・販売長期化の可能性。
- 賃貸・商業の調整:オフィス空室64%/小売稼働5割後半で賃料調整・インセンティブが継続。
- 金利・資金調達:初年度6〜7%台→2年目以降8%前後の金利上昇カーブに注意(固定・保険付帯の条件差に留意)。
- 施工・引渡し:建設遅延・仕様差が顕在化しやすい局面。マイルストーン・遅延賠償条項の確認は必須です。
- 制度運用:外資持分70%/地上階不可、長期賃借の上限・更新要件など、登記手続と実務運用を専門家で再確認。
まとめ
2025年のカンボジア不動産は、住宅の供給増×選別、商業の調整継続、工業・物流の底堅さという三層構造です。新空港開業による観光・ビジネス需要の増勢がホテル・リテールに中期的な追い風となる一方、オフィス・周辺住宅の在庫圧力には引き続き注意が必要です。投資は、立地・運営品質・リーシング力を軸に、固定金利用・キャッシュフロー重視・長期賃借/信託の適切なストラクチャリングで臨むのが有効です。
カンボジア不動産関連情報
カンボジア不動産基本情報
カンボジア不動産データ
カンボジア不動産物件最新
Le Conde BKK1 (ル・コンデ・ビーケーケーワン)
エジプト不動産中古物件
ウズベキスタン不動産
ウズベキスタン不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
物価は足元で前年比+8.8%(2025年8月)まで鈍化しています。中央銀行(CBU)は政策金利14%を維持しており、インフレ見通しを慎重に管理するスタンスです。 - 住宅ローン金利の実務感
銀行の一般的なUSD/UZS建てモーゲージは年20%台後半(例:公表26%前後)が目安で、初年度固定→以降見直し型が中心です。一部ではプロモ金利0%起点のキャンペーンも見られます。自己資金20%以上が標準です。 - 住宅供給・公的支援
2025年は全国で12万戸、加えて「ニュー・タシュケント」で1.5万戸の整備目標が掲げられ、銀行・予算から建設資金が供給されます。
住宅(分譲・賃貸)
- 売買・価格
2025年に入り住宅取引は前年比+13%と活発化する一方、タシュケントの中古(2次)価格はH1で小幅下落、地区別ではミラバード/ヤッカサライ等で+2〜7%の上昇も確認され、二極化が進んでいます。価格÷家賃は11.2年(2025年初)まで伸び、売買優位の局面です。 - 賃貸
全国の家賃上昇はほぼゼロ、タシュケントは前年比-6.1%(6月)と調整傾向です。短期賃貸は稼働36%、ADR約$64が足元の参考レンジです。 - 供給と在庫
首都圏ではオフプラン→完成在庫への移行が進み、中心〜準中心の中上位セグメントは吸収が進む一方、周辺Bクラスは販売長期化が残ります。
オフィス
- 空室・賃料の概況
近年のプライム供給は限定的で、Aグレードは低空室の持続とともに、$35〜40/㎡/月級の募集水準が参考レンジです(税・OPEX条件により差)。一方、区分所有ビルの比率が高く、二次流通での賃貸が多いのが実務です。
リテール・商業
- 需給と開発
2025年にGLA+10万㎡の増加見込みなど、近代モールの整備が進展。大規模物販集積「Mall of Uzbekistan」構想も打ち出され、国内ブランド集積・観光需要の取り込みを狙います。
ホテル・観光
- 稼働・客数
訪日(訪ウ)外客は1〜8月で約750万人、前年比+49%と急増。国内ホテルは平均稼働56%・ADR約$69の水準感で、イベント・国際線の増便を追い風にADRの上振れ余地があります。
物流・工業
- ロジ倉庫
クラスA賃料は年$139/㎡と中央アジア最高水準に上昇。良質ストック約50万㎡と供給が限られる中、EC・製造の拡張で貸し手優位が続きます。 - 産業パーク・インフラ
各地の工業団地・新規産業パーク計画が動いており、鉄道・航空の新回廊整備など輸送ネットワークの拡充も進展しています。
制度・規制トピック
- 外資の取得枠
土地の私有は不可(長期リースのみ)。一方で建物(住宅・商業)の所有は可能で、投資額に応じた在留簡素化(5年居住許可:$25万〜)も導入されています。 - 税制・手続の近代化
国有資産の売買・賃貸の電子化や2025年税制改正が進み、手続きとコストの透明性が改善しています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅(分譲・賃貸)
取引量は拡大も、タシュケント賃料は調整。中心〜準中心×管理品質を重視し、利回り目線(短期賃貸稼働/ADR)と完成・引渡しリスクを精査します。価格÷家賃11.2年は長期保有前提での妙味を示唆します。 - オフィス
Aグレードの希少性を背景に底堅い一方、区分オフィス中心で運営品質にばらつき。レイアウト柔軟性・BCP・管理体制でプレミアムが形成されます。 - リテール
GLA拡大×観光回復でプライムは横ばい〜微増が狙える局面。体験型テナント・F&Bの導入、歩合賃料や内装支援を織り込んだ条件設計が有効です。 - ホテル
外客+49%の追い風。都市観光・歴史観光×MICEの二本柱で、ADRの引き上げと平日需要の底上げがテーマです。 - 物流・工業
クラスA賃料高止まりとストック不足を背景に、港/空港・鉄道結節点へのアクセス、電力安定・天井高/ドックなど仕様要件を満たす汎用型倉庫が安定収益源です。
リスク・留意点
- 金利・資金調達コスト:政策金利14%の長期維持とモーゲージ金利20%台後半はキャッシュフロー圧迫要因。
- 価格の二極化:中心地の底堅さと周辺Bクラスの在庫圧力。完成・品質差が収益性を左右。
- 賃貸調整:タシュケント賃料-6.1%YoYなど、家賃の下押しが続く可能性。
- 制度運用:土地はリースのみ、取得・登記・税務は最新制度の確認が必須。
- 施工・引渡し:大量開発フェーズで遅延・仕様差の顕在化リスク。マイルストーン・遅延賠償条項を厳格に。
まとめ
2025年のウズベキスタン不動産は、インフレ鈍化×政策金利高止まりの下で、住宅は取引増(価格選別)、オフィスはAグレード希少、リテールはGLA拡大と観光回復、ホテルは外客急増でADR上振れ余地、物流はクラスA賃料が地域最高水準という構図です。投資は、立地・運営品質・リーシング力に加え、高金利下のキャッシュフロー耐性と制度適合(建物所有/土地リース)を軸に、完成リスク管理・用途分散で臨むのが有効です。
ウズベキスタン不動産関連情報
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ウズベキスタン不動産データ
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エジプト不動産中古物件
マレーシア不動産
マレーシア不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレ・政策金利
物価は2025年8月+1.3%と穏やかで、中央銀行(BNM)は2025年7月にOPRを3.00%→2.75%へ25bp引下げ、9月会合でも2.75%維持としました。金融環境は緩和方向で、住宅ローン需要の下支え要因です。 - 住宅ローン金利の実務感
主要行の標準化ベースレート(SBR)2.75%、店頭の目安実効金利は約3.9%(30年・RM35万の例)です。SBR/BR引下げの反映で借入コストはやや低下しています。
住宅(分譲・賃貸)
- 市場規模と価格
2025年上期の不動産取引は19万6,232件(▲1.3%)、取引額RM1,076.8億(+1.9%)。住宅価格指標(MHPI)は前年比+0.7%、平均価格RM490,376と小幅上昇です。新規分譲は2万3,380戸、販売率24%で、開発側は供給を絞り気味です。 - 在庫・オーバーハング
完成済み未販売(住宅)は2万6,911戸(+16.3%)/RM164.4億と増加傾向。一方、サービスアパート未販売は1万7,883戸(▲8.6%)/RM144.3億へ改善し、投資用高層の消化が進展しています。 - 地域トピック
ジョホールはシンガポールとのSEZ構想/RTSリンク期待でプレセールの引合いが強く、ランドバンクを持つデベロッパーの地価上昇期待が意識されています。クアラルンプール中心部は高層の在庫選別が続き、立地・仕様に優れる物件のテイクアップが先行しています。 - 賃貸
中心部の良質ストックは賃料横ばい~やや強含み、築古・郊外Bクラスは改装(リノベ)・家具家電バンドルでの成約が実務感です。JLL調査でも新規高価格帯のテイクアップ30~50%と、選別的に需要が戻っています。
オフィス
- 空室と需要
NAPIC資料で私有の目的別オフィス稼働率は71.7%(H2 2024から横ばい)。TRX(Tun Razak Exchange)/KLCCのAグレード需要が牽引し、Exchange106は2025年末70%入居見込み、フレキシブルオフィスの出店も加速しています。二級立地・旧仕様はテナント付け長期化が課題です。 - 賃料
プライムは強含み~横ばい。TRXやMerdeka118等の新ランドマークは国内最高水準の賃料レンジを維持しています。
リテール・商業
- 稼働と来客
ショッピングモール稼働率は78.7%(H1 2025)と安定。2024年通年でも78.8%へ改善しており、観光回復・テナントミックス再編が下支えしています。 - テナント動向
体験型/エンタメ、F&B、ホームセンターの入替・増床が進展。オペレーターは歩合賃料(%レント)や内装支援を組み合わせ、空床の縮小が継続しています。
ホテル・観光
- 需要回復
2025年1–5月の訪日客…ではなく訪マ客は1,690万人(前年比+約20%)。主要都市では週末レジャーとイベント需要が牽引し、稼働・ADRともに底堅く推移しています。州別ではペナン等が全国平均を上回る稼働の月も見られます。
物流・工業・データセンター
- DC投資の集中と制度対応
ジョホール/セランゴール/ペナンを中心に既存46・計画49件規模のデータセンター案件が可視化。送電網強化(RM430億の投資計画)などインフラ増強が進む一方、電力・水資源や対外規制対応を踏まえ新規許認可は選別的になっています。 - 物流
Eコマース系3PL需要は堅調で、高天井・大型ドック・ESG対応のAグレード倉庫が優位。首都圏~南部回廊(ジョホール)の集積が進みます。
REIT・資本市場
- 配当利回りとセクター差
M-REITの配当利回りは概ね4~8%台。大型リテール系(例:IGB REIT)は~4%台、オフィス/地方特化は6~8%とレンジが広く、金利低下局面で相対妙味が意識されます。
制度・規制トピック(外国人)
- 購入最低価格
連邦直轄地(KL等)は原則RM100万以上。州ごとにRM60万~RM100万超など閾値が異なり、低・中所得向け/ブミプトラ割当/マレー保留地は不可が原則です。 - 印紙税・譲渡益課税(RPGT)
外国人の不動産移転印紙税は一律4%(2024年以降)。RPGTは6年超保有でも外国人は10%(マレーシア人は6年超0%)。2025年からRPGTは申告納税方式が導入されています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
価格は横ばい~小幅高。OPR引下げ×プロモで一次取得の購買余力は改善。一方でKL高層は完成在庫増が重しのため、立地・仕様選別と管理力を重視し、完成在庫の値ごろ感を狙う戦略が有効です。 - オフィス
TRX/KLCC等のAグレードに選好が集中。フレキシブルオフィス併設・省エネ/ESG対応・アメニティの差別化が成約の鍵。二級ビルは床分割・共用部改装・サービスオフィス導入で再生を図る局面です。 - リテール
稼働は78%台で安定。体験型/F&B増強とテナント回転管理で賃料の底上げが可能。出店側は歩合賃料や内装支援の条件引出し余地があります。 - 物流・工業/DC
電力容量・冷却水・系統接続の確度が最重要。ジョホール/セランゴールはSEZ×RTS×シンガポール近接の三位一体の追い風。もっとも新規許認可はESG・資源制約対応が前提です。 - REIT
金利低下でディフェンシブ配当が再評価。テナント/資産の質が分配安定性を左右し、用途分散(リテール+物流/オフィス)のポートフォリオはサイクル耐性が高い傾向です。
リスク・留意点
- 在庫積み上がり:完成済み未販売の住宅が増加。引渡し遅延・値引き販売の可能性に留意。
- 金利・為替:追加利下げ期待はあるものの、外部ショックで資金調達コストの再上振れ余地。
- インフラ制約:DCの急拡大に対する電力・水資源の制約、許認可の厳格化で案件選別が強化。
まとめ
2025年のマレーシア不動産は、小幅な物価・金利低下と観光回復を追い風に総額ベースで拡大しつつ、件数は微減と選別色が濃い局面です。住宅は価格横ばい~小幅高だが完成在庫の管理が課題、オフィスはTRX/KLCC等のプライム集中、リテールは稼働78%台で安定、物流・DCはジョホール/セランゴール中心に成長余地大ながら電力制約に要注意。規制面では外国人の移転印紙税4%、RPGT(外国人10%、6年超も)などコスト前提の精査が重要です。総じて、立地×品質×運営力で明確にパフォーマンスが分かれる相場観です。
マレーシア不動産関連情報
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ベトナム不動産
ベトナム不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと金融政策
2025年8月のCPIは前年比+3.2〜3.25%で安定推移し、年初来8カ月平均も+3.25%です。中央銀行(SBV)はリファイナンス金利4.5%、ディスカウント金利3.0%を維持しつつ、商業銀行には貸出金利の引下げ要請を継続しています。物価管理のもとで成長支援と金融緩和の両立を図るスタンスです。 - 住宅ローン金利の実務感
銀行の新規貸出平均は年6.6〜8.9%が目安。店頭プロモでは初年度5.5〜7.0%台の固定→変動(11%前後のプライム連動)といった優遇パッケージが見られます。社会住宅向けは年5.9%の優遇枠が適用され、一次取得層の購入を後押ししています。
住宅(分譲・賃貸)
- 新規供給と販売動向
ハノイは高級帯の新規供給が主導し、2025年の年間新規は約3.1万戸見込みと活発です。H1の大量ローンチ→価格の選別的上昇が続いています。一方ホーチミン市(HCMC)は新規が限定され、プライマリー価格が前期比+7%/前年比+29%まで上昇した四半期もあり、供給抑制×値上がりが併存しています。 - 在庫・二極化
HCMCでは中心〜準中心の上位案件のテイクアップが先行する一方、周辺・大規模区画の低層は価格調整が入る局面です。完成在庫は選別的消化、オフプランは支払いスケジュールの柔軟化で歩留まり改善が見られます。 - 賃貸の足取り
ハノイのサービスアパートは空室率の改善と賃料の小幅高で安定化。HCMCの賃貸は中心部の良質ストックが底堅い一方、築古は改装・家具家電バンドルでの成約が主流です。
オフィス
- 需給と賃料
HCMCのグレードA空室率は16.9%まで改善し、CBD賃料は月USD53.1/㎡程度で横ばい〜底堅いです。新規の供給は限定的で、立地・ビル品質・ESG対応に優れる物件への選好集中が続いています。ハノイはグレードA/Bとも賃料安定、ネット吸収の一時鈍化はあったものの総じて耐性を示しています。 - テナント動向
フレキシブルオフィス併設や共用部のアップグレードで二級物件の再生が進行。レイアウト柔軟性・省エネ性能・BCPを満たすAグレードはリロケーション需要を着実に取り込みます。
リテール・商業
- 稼働と賃料
HCMCのリテールは供給据え置きで稼働93.6%、CBD空室5.2%/非CBD8.0%と改善。来店回復と体験型・F&Bの増床が牽引し、賃料は横ばい〜小幅上昇の局面です。 - ストリート vs モール
ストリートリテールは競争激化、旗艦路面は指名性が高い一方で二等立地は%レントや内装支援での条件調整が一般化しています。
ホテル・観光
- 入国者と需給
2025年1–8月の訪越客は約1,400万人(+21.7%)。8月単月も168万7千人(+7.8%前月比)で、都市観光・イベント・国際線復便が稼働とADRを下支えしています。都市部は週末レジャー>平日で、平日需要の底上げがテーマです。
物流・工業
- 産業団地(工業用地)
南部の平均募集賃料は約USD170/㎡(残存期間)、北部はUSD136/㎡へ上昇。南部の稼働率は約89%とタイトです。米越関税の不確実性でH1の新規リースは一時減速も、製造移転とEV/電子関連の投資で中期見通しは堅調です。 - 倉庫(RBW/RBF)
レディービルト倉庫/工場は稼働72%/89%。月USD4.9〜5.0/㎡レンジの賃料で小幅上昇、高天井・ドック・ESG仕様が成約の鍵です。
REIT・資本市場
- 投資ボリュームと利回り観
国内REITの裾野は限定的ですが、金利安定×回復期待のなかでプライム賃貸(オフィス/物流/商業)へのエクイティ・JV出資が再開傾向です。APACでは投資ボリュームが前年同月比増の四半期もあり、ベトナムはプライム・開発一体型の案件に資金が向かいやすいです。
制度・規制トピック
- 新土地法・住宅法・不動産経営法(2025年施行)
2024年土地法(2025/1/1施行)で、市場実勢反映の地価制度と海外在住ベトナム人の権利拡大が明確化。2023年住宅法・不動産経営法のガイド整備で、オフプランの入金上限(第1回30%※デポジット含む)、現金決済禁止(銀行経由)など取引透明性が強化されています。 - 外国人の取得枠・期間
コンドは棟ごと上限30%、戸建は行政区(Ward)あたり上限数。所有期間は50年(延長可)が原則です。土地は国家の所有で、土地使用権(LUR)を設定するスキームが実務です。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
ハノイ=新規豊富×価格選別上昇、HCMC=供給限定×プライマリー高止まり。初年度固定の優遇ローンと支払スケジュールの柔軟化を活用しつつ、管理品質・引渡し確度・共用部水準での選別が重要です。 - オフィス
CBDのAグレードに選好集中。省エネ・BCP・フロア分割といった運営力の差が賃料/空室に直結します。更新・移転では総占有コスト(賃料+OPEX+原状回復)での比較が有効です。 - リテール
稼働は高位安定。体験型・F&B・国際ブランドの拡張が牽引し、%レント+内装支援の条件設計で回転率管理と賃料底上げが可能です。 - 物流・工業
南部89%・北部価格上昇で用地の希少化が進行。電力容量・系統接続・港空港アクセス、RBW/RBFの汎用レイアウトを重視し、スケール×ESG適合でのリーシング耐性を確保します。
リスク・留意点
- 価格の二極化:HCMCは供給抑制で価格上振れ、郊外低層は調整も。引渡し遅延・スペック差のチェックが必須です。
- 金利・信用:SBVは低金利維持も、銀行の与信姿勢や優遇終了後の変動金利に留意。初期固定→変動の再計算リスクを可視化します。
- 制度運用:30%外資枠/50年所有/銀行経由決済など新ルール順守が前提。オフプランの支払上限や情報開示の適合性を確認します。
- 外部需給:対外関税・為替など外部ショックで産業用地・物流の投資タイミングが左右される可能性。
まとめ
2025年のベトナム不動産は、物価安定×低政策金利の継続を追い風に、住宅は「ハノイ=供給活発」「HCMC=希少性プレミアム」、オフィスはAグレード集中で底堅い、リテールは稼働高位×体験型強化、物流・工業は南部タイト×北部上昇という構図です。新法(2025施行)で取引の透明性・資金フローの可視化が進み、投資は立地×品質×運営力に加えて、金利見直し時のCF耐性と規制順守を軸にした選別・分散が有効です。
ベトナム不動産関連情報
ベトナム不動産基本情報
ベトナム不動産データ
ベトナム不動産物件最新
Wyndham Thanh Thuy Hotels & Resorts(ウィンダム・タントゥイ・ホテル&リゾート)
エジプト不動産中古物件
アブダビ不動産
アブダビ不動産最新動向
マクロ環境・金利
- 物価と政策金利
物価は総じて年率2%台前半で安定推移し、中央銀行(CBUAE)は9/17に政策の指標であるベースレートを4.40%→4.15%へ25bp引き下げました。米国の利下げに連動する運営で、短期金利の低下が資金調達コストの緩和に波及し始めています。 - EIBORと住宅ローンの実務感
直近のEIBOR(3–12ヶ月)が概ね3.8〜4.2%で推移。主要行の指標金利(SCBMR等)は3.86〜3.98%水準の提示が見られ、変動型はEIBOR+スプレッドでの提示が主流です。利下げ反映は更新・新規実行時に段階的に進みます。
住宅(分譲・賃貸)
- 売買・価格
2025年上期の住宅売買は約6,000件(前年同期比▲14%)。内訳はオフプラン(未完成)比率57%で、オフプランは▲29%と減速。一方で完成物件は+19%と底堅く、実需・機関投資の選好が強まりました。価格はアパート平均+14%(14,200AED/㎡)、ヴィラ+11%(11,900AED/㎡)と上昇基調です。主要好調エリアはサディヤット島、アルリーム島、ヤス島です。 - 賃貸
アパート賃料は+約14%、ヴィラ賃料は+約5%。供給抑制と人口・雇用の増勢を背景に、都心・ウォーターフロントの中上位仕様が牽引しています。 - 供給パイプライン
今後5年で約7万戸の引渡しが見込まれ、2025年は約1万戸の供給予想。短期的には完成在庫の選別が続き、中期は大規模複合の段階的引渡しが中心です。
オフィス
- 空室・賃料
市況は極端なタイト化。市全体空室率1.5%、プライム0.1%、グレードA 1.7%まで低下。更新前倒しや長期化の動きが強まり、ADGM(アルマリヤ島)では賃料が2,800〜3,500AED/㎡/年まで上昇しています。金融・コンサル・テックの拡張需要が中心です。 - テナント動向とビル要件
フロア効率・認証・アメニティの優れるAグレードに需要集中。可用面積の乏しさから早期更新・面積確保の前倒しが常態化しています。
リテール・商業
- モール稼働と売上
旗艦級モールは高稼働を維持。Yas Mall入居率98%、来客+15%、テナント売上+12%と力強い伸長です。プライム区画の空きは限定、改装・MD刷新に伴う選別的な賃料上昇が続いています。
ホテル・観光
- 宿泊KPI
2025年年初来(〜4月)でアブダビの平均稼働81.9%、市内ホテル84%、RevPAR 499AED(+27%)。直近8月は月間稼働79.3%で過去最高の8月記録を更新し、イベント誘致・航空容量増が追い風です。
物流・工業
- 賃料と需給
倉庫賃料はQ2に前年比+22.4%、470AED/㎡/年へ上昇。KEZAD Musaffahやムサッファなど主要クラスターで50%超の上昇を示すエリアもあり、更新優位・インセンティブ縮小が顕著です。低空室を受けて冷凍・コールドストレージ等の専門仕様投資も加速しています。
取引・資本市場
- 市場規模
2025年上期の不動産取引額はAED51.7bn(前年比+39%、14,167件)と記録更新ペース。売買・モーゲージ双方が増加し、プライム住居・収益商業・物流の広範な需要を反映しています。 - 開発・投資家動向
ALDARはH1 2025で純利益+24%、商業・リテールの高稼働(商業99%、Yas Mall 98%)が寄与。オフィス・リテールの開発・取得パイプラインを継続し、ADGM等のプライム供給を拡充予定です。
制度・規制トピック
- 外資の所有枠
2019年改正以降、投資指定区域での外国人フリーホールド(完全所有)が可能。所有形態はフリーホールド、ムサタハ(通常50年・更改可)、ユースフルクト(99年)が実務で流通。指定区域はサディヤット島、ヤス島、リーム島、マリヤ島、アルラハビーチ、アルリーフ、マスダール市等です。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
価格・賃料とも上昇基調。ただしオフプラン減速×完成物件堅調の二極化で、引渡し確度・仕様・管理の吟味が重要です。為替固定(AED-USDペッグ)と金利低下局面入りで、完成・準完成の中上位仕様に妙味が出やすいです。 - オフィス
空室極小(1〜2%)×賃料上昇により早期更新・長期化・拡張確約が有効。ADGMなどプライムは2,800〜3,500AED/㎡/年レンジで、更なる上振れ余地。入居開始時期の後ろ倒しリスクに備え、柔軟なレイアウト・増床オプションを確保してください。 - リテール
プライム区画は指名競争。売上連動(%レント)や内装支援の交渉余地は限定的で、集客イベント・体験型テナントと連動した売上拡大策が鍵です。 - ホテル
稼働・ADR・RevPARの三拍子で改善。イベント・MICEの獲得が収益レバーで、航空容量拡大や観光プロモーションの継続が追い風です。 - 物流・工業
賃料の二桁上昇で更新優位。ラック高・床耐荷重・温調等のスペック即戦力が評価され、長期固定+年次見直しのハイブリッド賃料条件が主流。KEZAD/ムサッファのインフラ優位性を活かし拠点集約の検討余地があります。
リスク・留意点
- 供給ひっ迫と賃料高止まり:オフィス・物流は空室極小で賃料上振れが続く可能性。入居時期・増床の確保がボトルネックになり得ます。
- 金利・資金調達:利下げ局面でもEIBOR反映はラグがあり、変動型の返済額は緩やかな低下に留まる可能性。
- 建設コスト・工期:人手・資材の需給逼迫で工期遅延・CAPEX増のリスク。開発・改装案件はバッファ設定が必須です。(市況総括)
まとめ
2025年のアブダビ不動産は、住宅の価格・賃料の持続的上昇、オフィスの空室極小化と賃料高進、物流賃料の急伸、ホテルKPIの過去最高更新と、需要の質×供給制約が同時に効いている局面です。ベースレート引下げとEIBORの低下が進めば、売買・開発の資金繰り改善と投資妙味の再評価が期待できます。一方で、プライム偏重と選別は一段と強まっており、立地・仕様・運営力に優れた資産への資本集中が続く見通しです。
アブダビ不動産関連情報
アブダビ不動産基本情報
アブダビ不動産物件最新
Waldorf Astoria Residences Yas(ウォルドルフ・アストリア・レジデンシズ・ヤス)
インドネシア不動産
インドネシア不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
インフレは足元で年2%台前半と落ち着き、中央銀行(BI)は6〜9月にかけて連続利下げ(5.50%→5.25%→5.00%→4.75%)を実施しました。住宅や開発向け融資の金利低下期待が高まっています。 - 住宅ローン金利の実務感
都市銀行のKPR(住宅ローン)は当初固定3〜5年で3〜5%台のキャンペーン水準が散見される一方、変動期は10〜13%台が目安というレンジ感です。直近の利下げでさらなる低下余地はあるものの、銀行の調達コスト次第という見方が主流です。 - 需要喚起策の強化
政府は新築住宅の付加価値税(VAT)100%免除を2025年末まで延長、BIは住宅ローン頭金0%(LTV緩和)を同じく2025年末まで延長しています。9月には中小デベロッパー向け・個人向けの金利補助も新規導入され、住宅取得支援が一段と拡充されました。
住宅(分譲・賃貸)
- 価格と販売の足取り
全国の一次市場価格は緩やかな伸びに留まり、2025年Q2の住宅価格指数(IHPR)は前年比+0.9%に減速しました。一方で販売戸数は前年比▲3.8%と弱含み、大型・中型戸建の鈍化が影響しました。 - ジャカルタ・アパート
ジャカルタの分譲アパート平均募集単価は約IDR 35.9百万/㎡、前年比+1%未満で横ばいです。供給は限定的で、価格は横ばい〜小幅高の範囲にとどまります。 - ランド(戸建)一次取得
VAT免除×頭金0%の組み合わせで一次取得層の問い合わせが増加。ただし銀行は返済比率(DTI)や収入安定性を厳格に見る姿勢で、キャンペーン金利→変動期の跳ね上がりに注意が必要です。
オフィス
- 空室は緩やかに改善、賃料は小幅上昇
ジャカルタCBDの総合稼働率は76%、グレードA稼働率は65%と前期比+0.4ptで改善。2025年の新規グレードA供給はゼロ見通しで、賃料は四半期で+0.5〜0.8%と小幅上昇です。テック、資源、金融が需要を牽引しました。 - テナント戦略の変化
リロケーション+ライトサイジングの動きが継続。空室を抱えるビルは条件柔軟化でテナント獲得を進める一方、ESG・アメニティに優れるビルへは選好集中が続きます。
リテール・商業
- 稼働は回復、F&Bと体験型が牽引
ジャカルタの平均稼働率は約78%(Q2)まで改善。国際・ローカル新規テナントの出店が進み、都心〜準都心の改装・再編が空室の吸収に寄与しています。年内は新規モールの開業も複数予定です。 - 賃料
プライムは横ばい〜微増、セカンダリーは歩合賃料・内装支援など条件調整でリーシングを加速する傾向です。
ホテル・観光
- 観光回復と季節要因
訪日ならぬ訪イ(インバウンド)は2025年6月に142万人(前年比+18%)まで回復した一方、星付きホテル稼働率は約50%と足元で季節要因もあり揺れます。全体のRevPARは年初来で+約3%の小幅改善です。 - 中期テーマ
MICEの復調に加え、空港・電力・道路などインフラ整備の進展がADRの上振れ余地を支えます。
物流・工業
- 需要は堅調、立地ごとにムラ
大ジャカルタ圏(GIJ)の物流施設在庫は約315万㎡、空室率18.4%。平均賃料はIDR 79,800/㎡/月前後で、タンゲラン空室4.9%と需給が締まる一方、カラワン等は3割超の空室と二極化しています。産業団地の土地価格はベカシ約IDR 3.0百万/㎡、カラワン〜プルワカルタ約IDR 2.45百万/㎡が目安です。 - 新規供給とデータセンター
プライム物流の新規供給は2025年に約30万㎡超が見込まれ、空室は一桁台へとの見方も。データセンターは稼働307MW(25年2月時点)と域内有数で、新規案件(例:NTT)も進行中です。電力・接続性の制約を睨みつつ需要は強基調です。
資本市場・ファイナンス
- 開発資金の下支え
BIは不動産向け与信の準備預金優遇で流動性を拡充(段階的にIDR 80兆まで)し、政府は中小デベロッパー・個人の金利を5〜10%ポイント補助する制度を新設。在庫消化・新規着工の呼び水として機能し始めています。 - REIT/DIRE
国内REIT(DIRE)は規模がまだ小さく、開発企業の社債・銀行借入が主軸です。利下げ継続ならスプレッド縮小→エクイティ調達再開の余地が出ます。
制度・規制トピック
- 外国人の取得
外国人は土地の直接所有(Hak Milik)は不可。Hak Pakai(使用権)やHGB(建物所有権)の上に立つストラタタイトル(区分所有)での取得、または長期リースが一般的です。有効な滞在許可等の条件が前提になります。 - 購入インセンティブ
VAT100%免除の延長、頭金0%は2025年末まで。完成在庫の消化・実需の押上げを狙う政策が並走しています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
価格は選別的に横ばい〜小幅高。一次取得層向けはVAT免除×頭金0%×キャンペーン固定の三点セットが効きますが、変動期金利の上振れと大中型の販売鈍化に注意すべきです。 - オフィス
新規供給の一服を追い風に稼働・賃料は緩やかに改善。ESG・立地・アメニティに優れるAグレードへの需要集中が続き、条件柔軟化での入替も進みます。 - リテール
稼働は回復基調。F&B・体験型・海外新規ブランドが牽引し、改装・テナントミックス再編で賃料底上げの余地があります。 - 物流・工業
GIJの需要は底堅いが、サブマーケットで二極化。港・高速・人材・電力のアベイラビリティを重視し、汎用レイアウトで転用性を確保すると安定的です。データセンター隣接需要も注目です。 - ホテル
インバウンド増×RevPAR改善ながら、季節性と供給再開で稼働は月次変動。イベント・MICE寄与の高い都心立地でのADR上振れに期待です。
リスク・留意点
- 金利・為替:利下げは追い風ですが、外部ショックでのルピア安・資金コスト反転に留意。
- 販売動向:大型・中型戸建の販売減速が継続する場合、開発計画の見直し・段階供給が必要です。
- 建設コスト・電力:建設費の高止まりと、データセンター等の電力需要増が物流・工業の操業余地を左右します。
まとめ
2025年のインドネシア不動産は、連続利下げと強力な住宅取得支援策を追い風に実需回復の芽が広がる一方、価格は横ばい圏、販売はサイズ別で明暗という局面です。オフィスは供給一服で稼働・賃料が小幅改善、リテールはF&B・体験型で回復、物流・工業は立地選別と二極化、データセンターは新規投資が継続しています。総じて政策ドリブンの需要喚起×慎重な銀行姿勢の均衡下で、立地・仕様・電力/インフラに強みを持つアセットへ資金が集まりやすい状況です。
インドネシア不動産基本情報
インドネシア不動産基本情報
ALMA GOURMET Resort(アルマ・グルメ・リゾート)小口不動産/1,000万円~/5年間で最大90%のリターン
オーストラリア不動産
オーストラリア不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
物価の伸びは目標レンジ内に収まりつつある一方で、サービス価格の粘着性が残るため、中央銀行(RBA)は2025年9月会合で政策金利を3.60%に据え置きました。2025年は2月・5月・8月に各25bpの利下げを実施済みで、当面はデータ次第の慎重姿勢です。住宅ローン金利は春の利下げ反映でじわり低下、購買力の回復が進みます。 - 家計・需要の手触り
金利低下とセンチメント改善で春の売買活動が持ち直し、借入余力の回復が価格・取引の底上げに寄与しています。もっとも、可処分所得の圧迫やアフォーダビリティの壁が残り、過熱ではなく“緩やかな持ち直し”が基本線です。
住宅(分譲・賃貸)
- 価格の足取り
2025年9月の指標では全国住宅価格が前月比+0.5%、前年比+6.2%と、9カ月連続の上昇で過去最高値を更新しています。都市別ではシドニー・メルボルンの再加速、ブリスベン・パース・アデレードは「高止まりの伸び鈍化」という局面です。 - 需給と在庫
金利低下で実需・投資ともに問合せが増え、在庫の薄さが価格を下支えしています。新規供給は建設コストと承認遅延の影響で伸び悩み、完成在庫・築浅中古の選別買いが鮮明です。 - 賃貸市場の実務感
空室は全国的に極めて低水準で、移民・留学生の回帰と世帯分割の進行が需要を押し上げています。結果として賃料の高止まりが続き、更新時の上げ幅を巡る交渉が強まっています。将来見通しではBTR(Build-to-Rent)の供給増が期待されます。 - BTR(Build-to-Rent)の進展
MIT源泉税率の15%への引下げと減価償却4%/年などの税優遇が2024年末成立・2025年施行。最低50戸・10〜15年保有などの要件を満たすBTR計画が本格化し、中期的な賃貸供給の柱になりつつあります。
オフィス
- 空室率と需給
2025年中頃の全国オフィス空室率は約15.2%と、30年ぶり高水準で“質への回帰(フライト・トゥ・クオリティ)”が進行しています。プレミアム〜AグレードCBDはESG対応・アメニティを武器に成約が進む一方、郊外・下位グレードはリーシング長期化が顕著です。 - 賃料・インセンティブ
フェイス賃料は選別的に堅調も、入居工事支援や賃料フリーレント等のインセンティブが引き続き厚めです。分割区画化・共用部改装・グリーン改修によるリポジショニングが広がっています。
物流・工業
- 空室・賃料
パイプライン拡大で空室は2025年上期に全国平均2.8%へ上昇しましたが、需給の均衡ライン(約4%)を下回るタイトな水準です。シドニーは空室3%前後、パースは約1.2%と、拠点・規模別で需給差が拡大しています。賃料は上げ一服〜緩やか上昇へ移行し、更新時の年次インデックス連動が一般化しています。 - テナント動向
3PL・生活必需品系の拡張が底支え。大型面積帯は一部で回復、5,000–10,000㎡帯は堅調というサイズ別二極化が確認されています。新規供給の約半分がプレコミットで、立地・仕様の差が成否を分けます。
リテール・商業
- 稼働とテナントミックス
都市中心部の回遊人口回復で、主要CBDの空室は改善傾向です。F&B・体験型・高級路面の堅調に対し、二等立地は歩合賃料・内装支援など条件調整での出店誘致が一般化しています。
ホテル・観光
- 稼働・料金
国際線・MICE復調でADR・RevPARは高水準推移の都市が増えています。大型イベントや航空路線の増便が続く見込みで、ピーク期の料金上振れ余地があります。
REIT・資本市場
- A-REITの機運
金利低下局面で分配の安定性と利回りの相対魅力が再評価されやすい環境です。オフィス偏重の車両はWALEの長期化・テナント与信・ESG適合が評価軸で、物流・データセンター等への用途分散がテーマです。
制度・規制トピック
- BTR税制の本格施行
2025年以降、要件充足のBTRに対しMIT源泉税15%・建物減価償却4%/年が適用可能に。長期保有・3年以上の賃貸条件などの遵守が前提で、違反時はミスユース税に留意が必要です。 - 住宅取得支援の拡充
ホームギャランティ・スキームの拡張等、一次取得層の支援拡充が進み、需要の前倒しを通じて春の市況下支え要因となっています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
金利低下×在庫薄で価格は緩やか上昇を継続。一次取得・実需は支援制度の活用余地が広がり、投資は築浅・交通利便・管理品質を重視した選別買いが有効です。BTRはスケール確保と長期運営前提での参入妙味が高まります。 - オフィス
Aグレード/CBD中核立地の相対優位が継続。下位グレードは床分割・設備更新・ESG改修を織り込んだ事業計画が前提で、インセンティブ込み実質賃料での出戻り需要取り込みが鍵です。 - 物流・工業
空室はなおタイト(全国2.8%)。港湾・環状道路アクセス、大型ドック・高天井など汎用性の高いスペックを確保し、指数連動の賃料設計でインフレ耐性を持たせる戦略が有効です。 - リテール
プライム区画の指名買いと、二等立地の条件調整の二極化。体験型・F&B・高級路面の深掘り、および観光回復の取り込みが差別化要因です。 - ホテル
国際需要回復×イベントで高稼働・高ADRを維持。空港・都市再開発の進展を取り込みやすい中心地・複合開発隣接の案件が優位です。
リスク・留意点
- オフィスの二極化:高グレードと下位グレードで空室・実質賃料の格差拡大。再生CAPEXとESG投資の資金繰りに注意。
- 建設コストと供給遅延:労務・資材制約で着工〜完成の遅延が散見。BTR含む大型案件は前提コストとスケジュールの上振れリスクを織り込みます。
- 賃貸負担の上昇:賃貸需給タイト化が続くと、家賃負担増・更新交渉難が広がる可能性。政策対応・供給時期の不確実性に注意。
- 金利パスの不確実性:インフレの粘着性次第で利下げ打ち止めの可能性。キャップレートの再拡大に備え、保守的なバリュエーションが必要です。
まとめ
2025年のオーストラリア不動産は、金利低下の追い風で住宅を中心に“緩やかな上昇トレンド”へ回帰しています。賃貸は空室極小×BTR加速で構造的タイト、オフィスは質への回帰と二極化、物流は2.8%の低空室で需給はなお引き締まり、リテール・ホテルは回遊・観光回復で改善が続きます。制度面ではBTR税制の本格施行が供給増のカギです。物件選定は立地・仕様・ESG・運営力の“質”を軸に、キャッシュフローとCAPEXを保守的に織り込む姿勢が有効です。
オーストラリア不動産基本情報
オーストラリア不動産基本情報
オーストラリア不動産基本情報
バングラデシュ不動産
バングラデシュ不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
物価は直近で前年比8%台半ばで推移し、中央銀行(Bangladesh Bank)は2025年7月の金融政策で政策金利10.00%を維持しています。ディスインフレは緩やかで、当面は高金利・高インフレの併存を見込む前提です。 - 住宅ローン金利の実務感
市中銀行の**住宅ローンは概ね年11~13%台(±1%)が目安です。主要行の公表料率(固定/変動の混在)でも11.9%前後~12%±1%**の水準が確認でき、家計の返済負担はなお重めです。 - 為替・流動性
中銀は為替制度の市場化と金利の弾力化を進めていますが、インフレ抑制を優先した引き締めバイアスが継続します。短期的には資材輸入コストと金利の高さが開発・購入のブレーキになりやすい局面です。
住宅(分譲・賃貸)
- 価格レンジとエリア差
ダッカの分譲単価レンジはBDT 3,500~16,000/平方フィート、プライムのGulshan等では最大BDT 30,000/平方フィートの提示も見られます。中古(セカンダリー)へのシフトも進み、相対的に割安な既存物件の動きが良好です。 - 取引トレンド
登録・税負担や資材高を背景に新築の成約歩留まりは選別色が強く、中古への乗り換えと**実需エリア(公共交通・インフラ接続良好地)**への需要集中が続きます。 - 賃貸相場の手触り
プライム/準プライムでは3ベッド中心に堅調、非プライムは家賃調整・改装前提の交渉が一般化。家主側は**設備更新(発電・給水・空調)**を伴う賃上げ交渉が通りやすい一方、築古は内装改修の自己負担が要求されやすいです。
オフィス
- 賃料の目安と需給
ダッカCBD(Gulshan/Banani等)のオフィス賃料はBDT 100~180/平方フィート/月の募集事例が散見され、ショールーム用途はBDT 300超の提示もあります。グレードAの希少性が賃料の下支え要因です。 - テナント動向
多国籍・輸出入関連のハブ拠点需要は底堅い一方、金利高・為替コストから拡張ペースは慎重。省エネ性能・BCP・駐車場容量への選別が強まり、床の細分化やサービスオフィス併設でのリポジショニングが進みます。
リテール・商業
- フットフォール
祝祭期(Eid)にはモール来客が大幅増となるなど、体験型・ファッションが牽引。プライムモールの空室は低下基調です。 - 賃料と出店
一等立地は賃料横ばい〜微増、二等立地は**歩合賃料(%レント)**や内装サポート等の条件調整で出店を促す傾向が続きます。
ホテル・観光
- 需要回復の裾野
2024年の外国人訪問者は65.5万人規模。ビジネス・MICEの回帰と航空アクセス改善期待で、都市型ホテルの平日稼働の積み増し余地があります。 - 空港ターミナル3の進捗
ダッカ空港第3ターミナルの全面運用は年内目標ながら遅延。2025年8月にはボーディングブリッジの試験運用が実施されました。フル稼働の時期は2025年末〜26年にずれ込む可能性があります。
物流・工業
- 港湾能力の増強
チッタゴン港のBay Terminalに世銀6.5億ドルの資金が決まり、大型船対応・回転率向上が進む見通しです。Matarbari深海港は2026年に限定運用開始、本格稼働は2030年想定でサプライチェーンの構造改善が期待されます。 - 経済特区(BEZA)
Bangabandhu Sheikh Mujib Shilpa Nagar(BSMSN)などの経済特区で長期リース×税優遇が継続。製造回帰・中国+1文脈の新規投資の受け皿として注目度が高いです。
建設コスト・資材
- セメント・鉄筋
2025/26年度予算でクリンカー関税引き上げが示され、セメント袋あたり約BDT 9~10のコスト増見込み。鉄筋(ロッド)価格はブランド・径で差がありますがBDT 80,000~90,000/トン台の市況例が見られます。
REIT・資本市場
- 制度整備と現状
2023年のREIT規則策定後、2024~25年に指針改訂・制度整備が進む一方、上場REITは未始動です。今後は商業・物流ポートフォリオの組成が論点になります。
制度・規制トピック
- 登録・税負担
業界団体REHABは登録コストの高止まりが市場停滞要因と指摘し、負担軽減を求めています。**DAP(詳細地域計画)**の運用見直しも要望が出ています。 - 外国人の取得実務
外国人の土地取得には制約が多く、区分所有(アパート・商業床)なら取得可能という整理が一般的です。外貨での決済・当局承認などの手続き要件に留意が必要です。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
プライムは価格維持~小幅高、準プライム/郊外は選別と価格差拡大。中古・完成在庫の回転が相対優位で、RAJUK許認可・管理品質・引渡し時期を厳格チェックすると取りこぼしが減ります。 - オフィス
グレードA希少性×立地で賃料は粘着的。ESG・非常用電源・駐車場など仕様が賃料の分水嶺。床分割・サービスオフィス併設によるバリューアップ余地があります。 - リテール
祝祭需要×体験テナントで稼働は堅調。歩合賃料・内装支援を活用した条件設計が奏功しやすいです。 - ホテル
空港T3のフル稼働が遅延する可能性を織り込みつつ、MICE回復・国際線増便の中期追い風を待つ戦略が無難です。 - 物流・工業
港湾増強×深海港で輸送リードタイム短縮の恩恵が見込め、倉庫・冷蔵・軽工業は中期の安定収益源。トラックアクセス・港距離・電力安定を重視した汎用レイアウトが有利です。
リスク・留意点
- 金利・為替:政策金利10%の高止まりとインフレで資金コスト・実需の伸びが抑制されるリスク。
- 制度運用:登録コスト高・DAP運用が投資判断の不確実性に。案件ごとに最新の税・登録費を積算すべきです。
- 施工・資材:セメント・鉄筋のコスト増と工期長期化リスク。契約で価格調整条項の設定が有効です。
- インフラタイムライン:空港T3の遅延や都市鉄道の開業時期ずれ込みが立地価値の実現時期を左右。
まとめ
2025年のバングラデシュ不動産は、高金利・高インフレの中で“選別色”が一段と強まる局面です。住宅は中古・完成在庫の回転が優位、オフィスはグレードAの希少性で底堅く、リテールは祝祭需要×体験型で稼働改善。物流・工業は港湾増強と深海港の段階稼働という構造追い風が明確です。制度面では登録コスト・DAP運用といったトランザクションの摩擦がボトルネックで、資金計画(11~13%台の住宅ローン)とインフラの開業タイミングを前提に、立地(交通・港湾アクセス)×仕様×運営力でのリスク管理が鍵になります。
バングラデシュ不動産関連情報
マクロ環境・金利
- インフレと通貨・金融の背景
消費者物価は高止まりの一方、為替・資金調達環境の引き締まりが続きます。銀行部門の貸出平均金利は年12%前後まで上昇・定着し、預金は6%台、銀行スプレッドは5%台半ばで推移しています。短期市場金利(コール)は約10%前後で、資金の逼迫感が残ります。(bb.org.bd) - SMART連動の貸出金利と住宅ローンの実務感
中銀のSMART(6か月Tビル平均)を参照した可変貸出が主流で、商業銀行の住宅ローン提示は13〜14%前後が目安です(LTV上限70%、最長25年が一般的)。固定は限定的で、多くが変動(SMART+スプレッド)です。(bb.org.bd) - 建設コストの体感
2025年はセメント袋480〜600BDT/50kgのレンジが一般的。鉄筋(rebar)は年央〜初秋に3〜4年ぶりの安値圏まで軟化したものの、FY25税制改正での課税強化観測から下げ止まり〜戻りの気配も出ています。建設コストは総じて横ばい〜やや低下で、案件採算の改善に寄与しています。(AKIJ Cement)
住宅(分譲・賃貸)
- 一次取得×中間価格帯の底堅さ
ダッカの中間価格帯マンションは、自己居住・家族同居需要で販売は持ち直し。LTV70%・長期返済のローン商品が一般化し、頭金30%+分割の実務が定着しています。一方、金利負担が重く投資目的の複数戸買いは抑制されています。(sc.com) - 家賃の上昇とテナント交渉
生活コスト上昇を背景に家賃は上昇バイアス。中心部の築浅・管理良好物件は強含み、築年・立地が劣るストックは改装・家賃調整で消化を図る二極化です。(moscow.mofa.gov.bd) - 在庫・新規供給の傾向
新規供給は選別的で用地条件・インフラ計画の可視性が高い区画に集中。建設費の緩みを受け工期前倒し・仕掛かりの消化が2025年後半のテーマです。(daily-sun.com)
オフィス
- 空室はエリア分散、中心業務地は持ち直し
ダッカCBDのグレードAではESG・BCP対応の新しい箱に需要が集約。IT・BPO、銀行・保険のハブ型拠点はフロアの小割り(100〜300坪)ニーズが増加。一方、老朽・準都心のビルは**リポジショニング(共用部改装、フロア統合)**前提で賃料は調整気味です。(BSEZ) - 賃料とインセンティブ
グレードAは据え置き〜小幅上昇。フリーレント1〜3か月、内装支援の条件交渉が一般化。金利高の影響で更新優先・移転慎重の企業が多く、純吸収は小幅プラスのイメージです。(BSEZ)
リテール・商業
- モールの稼働改善
大型モールは**テナントミックス刷新(F&B、家電、体験型)で来店が回復。プライム区画は賃料横ばい〜微増、準プライムは歩合賃料(%レント)**や内装支援で出店を後押ししています。(ボニクバルタ) - 路面・近隣SC
住宅集積地の近隣型は生活必需・ドラッグ&GMSが牽引。物流・在庫の安定性を評価する動きが強く、サプライ不確実性を賃料に織込む事例が見られます。(ボニクバルタ)
ホテル・観光
- 需要回復の初期局面
道路・航空の整備進展と内需観光で稼働は回復傾向。都市型ホテルは週末需要>平日で、MICEと官需の取り込みが鍵です。国際線・観光政策の強化が続けばADRの底上げ余地があります。(daily-sun.com)
物流・工業
- 経済特区(SEZ)×産業回帰
バングラデシュ日本経済特区(Araihazar)やバンガバンドゥ・シェイク・ムジブ産業都市(BSMSN)などで入居・投資進捗が継続。港湾・空港アクセスの改善と合わせ、汎用型高天井倉庫への需要が強いです。(bb.org.bd) - インフラ計画の追い風
ベイ・ターミナル(チッタゴン港)整備などで中期の物流リードタイム短縮が期待され、3PLの賃貸需要を押し上げます。(グローバルプロパティガイド)
REIT・資本市場
- REITルールの施行・制度整備
2024年にREIT基金規則が最終化・公布され、分配は可処分利益の少なくとも90%を現金配当とする枠組みが整いました。今後はオフィス・賃貸住宅・物流など収益不動産の証券化が本格化するかが焦点です。(バングラデシュ証券取引委員会)
制度・規制トピック
- 外国人の取得・登記の実務
外国個人の直接的な土地取得は難易度が高く、投資ビークル(現地法人)経由や長期賃借スキームが実務的手段です。ダッカ開発庁(RAJUK)や**BNBC(建築基準)**遵守の審査が厳格化され、適法性・許認可の事前確認がより重要になっています。(Starpath Holdings Ltd) - 税制・投資環境
FY25/26の税制改正では不動産投資・建設関連の控除・間接税が見直し。投資リベートの計算方法変更など税務の実務対応が必要です。資本市場側ではマージン規制の改定案など信用供与のルール整備が進みます。(bti-global.files.svdcdn.com)
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
金利高でも自己居住ニーズが下支え。LTV70%・最長25年のローン前提で頭金・返済比率を重視した設計が有効です。築浅・メンテ優良物件のリノベ+賃貸は稼働安定が見込めます。(Eastern Bank PLC.) - オフィス
ESG・BCP適合のAグレードへ集約。小割り区画・共用部強化・サービスオフィス併設でテナント回転率に耐性を持たせると競争力が上がります。(BSEZ) - リテール
モールは体験型テナントの導入で賃料底上げ余地。出店側は**%レント・内装支援の引き出し、物件側は回遊性と冷房・電力の安定運用**が肝要です。(ボニクバルタ) - 物流・工業
SEZ隣接の汎用倉庫と工業団地の長期リースが安定収益源。港・空港アクセス、電力の安定、トラック導線を重視し、ボックス型レイアウトで汎用性を確保します。(bb.org.bd) - REIT
初期フェーズゆえスポンサーのパイプラインとガバナンスを最重視。高稼働のオフィス+物流の複合ポートフォリオはサイクル耐性が高い傾向です。(The Business Standard)
リスク・留意点
- 金利・為替:SMART連動で借入コストの変動が大きく、為替・輸入材価格の上振れが建設コスト逆風になり得ます。(The Business Standard)
- 需要二極化:住宅・オフィスとも立地・仕様で明暗が分かれ、老朽ストックはCAPEX前提。(BSEZ)
- 制度運用:登記・許認可の実務負担は引き続き重く、税制・金融規制の変更リスクに注意が必要です。(bti-global.files.svdcdn.com)
まとめ
2025年のバングラデシュ不動産は、金利高の持久戦のなかで、住宅は実需主導で底堅く、オフィスはAグレードへの選別、リテールは体験特化で稼働回復、物流・工業はSEZ×インフラ投資の追い風を受けます。REITルールの整備で資本市場からの資金循環の道筋が見え始めており、今後は制度の実装度合いとスポンサー品質が成否を分けます。(bb.org.bd)
ニュージーランド不動産
ニュージーランド不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレ・景気と政策金利
2025年8月20日にニュージーランド準備銀行(RBNZ)はOCRを3.00%へ25bp引き下げました。声明では、景気減速とインフレ鎮静化の進展を踏まえ、先行きの一段の緩和余地にも言及しています。直近の民間予測でも、年内は追加緩和観測が優勢です。 - 住宅ローン金利の実務感
店頭平均の変動金利は6%前後、1年固定は概ね4.8〜5%が目安です。短期固定>変動の優位が続き、借り換え・借入は1年固定中心の実務が広がっています。 - 信用規制(DTI/LVR)
2024年7月導入のDTI規制は、銀行の新規貸出のうち自宅用はDTI>6を20%まで、投資用はDTI>7を20%まで許容。併せてLVRは自宅用:80%超を20%まで/投資用:70%超を5%までの“スピードリミット”に緩和され、総量管理はDTI、損失耐性はLVRで担保する設計です。
住宅(売買・賃貸)
- 価格・成約の足取り
2025年7月のREINZ指標では、HPI前年比+0.1%(全国)/オークランド-0.1%と横ばい圏。中央値ベースでは**前月比+1.1%、前年比+1.7%**と小幅上昇です。利下げ開始後も回復は選別的で、地域間の強弱が鮮明です。 - 需要ドライバーの変化
純移民は減速しており、2025年6月年計で非NZ市民の流入が前年から大きく縮小。人口要因の追い風は弱まり、**金利低下・税制緩和(後述)**が下支えする構図です。 - 賃貸市場
首都ウェリントンは**中央値\$600/週で前年比-7.7%**と調整が進行。一方、南島(サウスランド・オタゴ等)は上昇基調と、都市・地域で二極化しています。 - 新築供給・分譲実務
住宅着工・許認可は下げ止まりの兆し。2025年7月は季節調整済みで前月比+5.4%、6月年計でもごく小幅な増加へ転じました。スタンドアロン戸建・マンションの双方で回復の芽が出ています。
オフィス
- 空室と賃料
オークランドCBD空室率は18.8%(2025年6月)まで上昇。プライムは横ばい〜小幅改善、セカンダリーは悪化という質への回帰が続きます。ウェリントンもプライム6%・セカンダリー19%と二極化が顕著です。 - テナント動向
グリーン性能・耐震性・アメニティを備えたAグレードへ需要集中。一方、旧規格のビルは誘致インセンティブ増(フリーレント、TI拡充)と床分割・改修で再ポジショニングを図る必要があります。
リテール・商業
- 稼働・空室
オークランドの主要類型のうち3/5で空室率が低下。一方で、サブリージョナル中心に競争圧力が強く、賃料・条件は立地により選別されます。大型新規供給はIKEA(シルビアパーク、約34,000㎡)やMaki Centre(約18,000㎡)など2025年集中です。
物流・工業(Industrial & Logistics)
- 需給と賃料
空室率は依然世界的に低水準。オークランド1.6%、クライストチャーチ1.7%と極端なひっ迫はやや緩みつつも、2025年の新規供給が1.2%/年へ鈍化しており基礎需給はタイトです。ネット有効賃料は2024年の一服後に横ばい〜微調整、2026年に再上昇の見込みです。
ホテル・観光
- 稼働・ADR
クイーンズタウンは2025年7月稼働76%(過去5年の7月で最高)、ADRは前年同期比+約9%。豪州からの入域が牽引し、上位(4.5〜5★)のADRは約\$420まで上振れ。全国では供給増で稼働はコロナ前比でなお低位も、ADRは+19%・RevPARは+2%(2019年比)と単価主導です。
建設コスト・開発
- 建設コスト
2025年Q2の**住宅建設コストは+0.6%(前期比)と緩やかに再加速。ただし年率+2.7%と、過去の高進行期からは落ち着いた水準です。コスト項目別でも上げ幅は概ね+0.0〜+1.3%**に収れんしています。 - 許認可・パイプライン
許認可の底打ちに伴い、分譲・投資の実行件数は厳選。アパート供給の伸び率が改善しつつも、**販売歩留まり確保(プリセール)**が鍵です。
REIT・資本市場
- 利回り・キャップレート
金利低下を受けてプライムのキャップレートは緩やかに低下(圧縮)。2024年半ばのピーク6.85%→2025年末6.50%への想定で、総収益の改善が見込まれます。小型・高品質アセットから価格の引き締まりが先行しています。 - デット環境
OCR低下×クレジットスプレッド安定で、借入コストはピークアウト。ただし二級アセットや空室リスクが高い物件は金利優遇・LTVで厳しめの選別が続きます。
制度・規制トピック(2024〜2025の主要変更)
- 投資家の利子控除復活:**2024/4〜80%、2025/4〜100%**まで段階復活。キャッシュフロー改善で投資回帰の素地となります。
- ブライトライン(短期譲渡):2024/7/1以降の売却は2年ルールへ短縮。短期売却益課税の適用範囲が縮小しました。
- 海外投資家の住宅取得:アクティブ・インベスター・プラス等の投資ビザ保有者に限り、最低NZ\$500万以上の高額住宅の取得を解禁(一部条件緩和)。市場全体の**<1%に限定**される枠組みです。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅(自用・投資)
短期固定の低下局面を活用した1年固定中心の金利戦略が優位です。投資家は利子控除100%回復・ブライトライン2年により実効利回りの底上げ。ただしDTI/LVRで借入余力は所得連動となるため家賃収入と返済比率の精緻化が必須です。 - オフィス
Aグレード集中/B・C級の再生が前提。ESG・耐震・アメニティの差別化が賃料維持と入居継続の鍵。空室埋めはインセンティブ設計が肝要です。 - リテール
プライム立地・エクスペリエンス型は回復継続。サブリージョナルは歩合賃料・内装支援等の条件調整での出店戦略が有効です。大型新店の競合影響に要注意。 - 物流・工業
低空室×供給鈍化で長期安定。汎用レイアウト・大型ドック・高床などテナント転用性を重視し、WALE長期化でリスク調整後利回りの最大化を狙います。 - ホテル
リゾート(QT等)で単価上振れ。都市型は供給増で稼働に波があるため、MICE・航空座席供給増の取り込みと季節変動の平準化がポイントです。
リスク・留意点
- 需要ファンダメンタルズ:純移民の減速で販売・賃貸の自然増は鈍化。需要読み違いによる在庫滞留リスクに注意です。
- 金利パスの不確実性:利下げ継続の織り込み>実際のペースとなる場合、キャップレート圧縮の反転や価格調整のリスク。
- 建設コスト・工期:コストは小幅上昇に転じた一方、人手と資材のボトルネック再燃に注意。
- 規制変更・政策:海外投資家枠の限定解禁など制度変更の**二次的影響(高額帯の価格形成・地域偏在)**を注視。
- 資産の質の二極化:耐震・ESG要件未達の二級ビルはテナント回復が遅延し、追加CAPEXが前提です。
まとめ
2025年のニュージーランド不動産は、利下げ開始と税制・制度の追い風で底割れは回避しつつも、選別相場が一段と進んでいます。住宅は横ばい〜小幅高で地域差が拡大、賃貸は都市調整・地方堅調の二極化。商業はオフィスの質への回帰、リテールの立地選別が続き、物流は低空室の持続。ホテルはリゾート単価主導で改善が続きます。投資は、金利低下を活かしたデット最適化と**資産の“質”の見極め(ESG・耐震・WALE)**を軸に、プライム先行→ボトムアップの順で妙味が広がる局面です。
ニュージーランド不動産関連情報
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
物価は落ち着きつつあり、ニュージーランド準備銀行(RBNZ)は2025年2月以降、段階的に利下げを実施しました。直近では8月の会合でOCRを3.00%に据え置きつつ、10月に追加利下げの可能性を示唆しています。 - 住宅ローン金利の実務感
小売りの1年固定は概ね4.5〜4.9%台、一部主要行は4.49%まで低下しています。変動(フローティング)は6%前後が目安です。直近の市場データでも1年固定平均は4.7〜4.8%程度と確認できます。 - 需給の背景(建設・人口)
新築許可(住宅)は年計で3.4万戸強と、底打ち後に小幅増へ。いっぽう純移民は2024年比で大幅減(年+1.37万人)に縮小し、需給の過熱感は和らいでいます。
住宅(分譲・賃貸)
- 価格の足取りと都市別トーン
2025年は金利低下で下げ止まり〜小幅反発の局面です。オークランドやクイーンズタウンのプライム立地は先行底打ち、郊外・新興区画は横ばい感が強いです。取引ボリュームは前年比回復ながら、移民鈍化や投資家の選別姿勢が残り、急騰局面には至っていません。 - 賃貸市況
家賃は高止まり〜緩やか上昇が続きます。需要は都市中⼼部・学区・交通利便性の高いエリアに集中し、戸建て系・広めのユニットの引き合いが強い一方、築古ストックの滞留がみられます。大手プラットフォームの直近レポートでも家賃の粘着性が確認できます。 - 販売の実務感
開発側は完成在庫の消化優先で、価格据え置き+諸費用支援(弁護士費用・家具バンドル等)の販促が一般化。買い手側は1年固定中心の短期固定で先行き金利低下に備える姿勢が目立ちます(主要行の1年特別金利が最も低位)。
オフィス
- 空室率とグレード間格差
オークランドCBDの空室率は約14%と高止まり。ただしプレミアム〜Aグレードの内見・成約は堅調で、B/Cグレードはリース調整・リポジショニングが前提です。ウェリントンCBDも同様に品質志向が強まり、耐震・ESG適合の確認が重要です。 - テナントの要件
省エネ・ウェルネス・BCP(耐震)の明確な提示、フロアの細分化・共用部改装によるハブ&スポークのハブ機能強化が奏功しています。大型拡張は限定的ながら、更新時の“質への乗り換え”は続きます。
リテール・商業
- 路面・モールの二極化
観光・イベント回復で中心商業地は来館増、プライム区画は賃料横ばい〜微増です。一方、二等立地・郊外小規模は歩合賃料(%レント)や装修支援を絡める形で出店誘致が主流です。 - テナントミックス
体験型・F&B・医療/ウェルネスの比重が上昇。物流網・在庫最適化と連動したショールーミング型の導入も進みます。
ホテル・観光
- 稼働・単価
観光回復とMICE再開で稼働は持ち直し、ADR/RevPARはコロナ後の高水準を維持しています。都市型は週末偏重の平準化、リゾートは季節変動の平準化が課題です。
物流・工業
- 需給と賃料
オークランドのプライム物流は空室が極小で、高天井・ヤード広め仕様に堅調なテイクアップが続きます。賃料はインデックス連動が一般化、新規供給は建設コスト高で抑制気味です。 - 立地トレンド
空港・幹線道路IC至近(South Auckland等)に需要集中。冷蔵・温調や3PLの統合拠点に加え、ラストワンマイル小型拠点の併設ニーズが増えています。
資本市場・REIT(上場不動産)
- 金利低下局面の評価
配当利回りの相対的妙味が復元し、オフィス中心の銘柄はWALE・ESG開示・テナント与信への注目が一段と高まっています。物流・ミックス用途を含むポートフォリオはサイクル耐性が評価されています。
制度・規制トピック
- 投資家課税・売却規制
投資用住宅の利払い控除は段階的復活→2025/26年度に100%復活の方針が実務に浸透し、投資家の回帰を下支えしています。また、ブライトライン(短期売却課税テスト)は2024/7/1から原則2年に短縮されました。 - 外国人購入規制の限定緩和
2018年導入の外国人既存住宅購入制限は維持しつつ、“ゴールデンビザ”保有の富裕層に限り、NZ$500万以上の高額物件の単一戸購入を容認する限定的な緩和が2025年9月に発表されました(制度設計はOIA改正の進捗に連動)。 - 第一次取得支援の見直し
First Home Grantは2024/5/22で新規受付を終了。一方、First Home LoanやKiwiSaverの引き出しは継続しています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
1年固定4%台後半の環境を追い風に実需・投資の回復基調です。都心近接・学区良好・交通利便は底堅く、郊外の過大面積・築古はリフォーム前提の価格調整が続きます。短期固定で再固定タイミングを柔軟にする戦略が有効です。 - オフィス
Aグレード・ESG適合・耐震優位のコア+アルファ戦略が中心。B/Cグレードは床分割・設備更新・共用部再生でリポジショニング型のリターンを狙う余地があります。 - リテール
プライム区画の保有・増床は選好され、二等立地は歩合賃料や装投支援でのバリューアップが鍵です。体験型・医療/ウェルネス・F&Bのテナント誘致が中期の安定稼働に寄与します。 - 物流
空室極小エリア(South Auckland等)の汎用性高いボックス・大型ヤードが主力。賃料インデックス連動+将来の拡張余地で長期IRRの安定化が期待できます。 - ホテル
需要回復の継続を前提に、シティホテルは平日需要の底上げ(MICE/航空)、リゾートはADR維持と季節変動吸収がテーマです。
リスク・留意点
- 二極化の固定化:オフィスのグレード間格差、住宅の立地・築年数格差が拡大し、B/Cグレード・築古のバリューアップ費用が増加します。
- 金利・為替の反転:RBNZの追加利下げ不発や外部ショックでスワップレートが反騰した場合、短期固定の再固定負担がリスクとなります。
- 需要ファンダメンタルズ:純移民の鈍化が続けば売買・賃貸の回復ペースは抑制されます。
- 建設コスト・許認可:非住宅の許可額減少や建設コスト高が新規供給の遅延を招き、開発IRRの圧迫リスクがあります。
まとめ
2025年のニュージーランド不動産は、利下げと1年固定4%台後半の環境を追い風に住宅の回復が先行しつつ、オフィスは“質への回帰”でAグレード優位、物流は空室極小で底堅いという構図です。First Home Grant廃止や投資家向け利払い控除復活、ブライトライン短縮などの制度変更が売買行動に影響し、外国人の高額物件への限定的な解禁も高級住宅の流動性を高めます。総じて、立地・仕様・ESG・耐震での選別が一段と重要になり、短期固定での金利戦略×バリューアップ投資が有効な局面です。
キプロス不動産
キプロス不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレ・金利環境
2025年はユーロ圏の利下げ局面で推移し、ECBは複数回の政策金利引き下げを実施しています。これに伴い、キプロスの銀行貸出金利もユーロ圏中央値付近で安定し、2025年6月の家計向け貸出の既存残高平均は約4.1%でした。今後も緩和維持観測が住宅取得の心理を下支えしています。 - 住宅ローンの実務感
市中の新規住宅ローンは物件や属性でばらつきがあるものの、おおむね4〜5%台中心での提示が一般的で、固定よりも変動・期間短めの組成が選好されやすい局面です。家計の借入コストは2024年比で緩やかな改善がみられます。 - 消費税(VAT)優遇の再整理
一次自宅の最初の130㎡に5%の軽減VAT(上限価格等の条件付き)が適用され、それを超える部分は標準19%が適用されます。2023年改正後の新スキームが定着し、2025年も当該運用が継続しています。
住宅(分譲・賃貸)
- 売買:新築主導で成約増
2025年上期は取引金額約23億ユーロ、契約件数は前年同期比+16%と活発です。とくに新築・一次取得・投資ワンベッド〜ツーベッドがけん引し、都市別ではリマソールが規模最大、パフォスが伸び率上位という構図です。四半期ベースでは戸建て平均成約価額+11%、マンション+3%と上昇が続いています。 - 賃貸:高級レンタルに再加速
ハイエンド帯の賃料はリマソールが国内最高水準で、2025年7月の平均賃料は約5,100ユーロ/月。大型戸建てでは9,000〜10,000ユーロ/月近辺の事例も目立ちます。外資人材・IT/金融の流入、在庫のタイト化が背景です。 - 投資指標:利回りは横ばい~やや低下
家賃上昇にもかかわらず価格上昇が先行し、表面利回りは5%前後で推移、2025年Q1→Q3で4.8%→5.1%と足元は持ち直しつつもセグメント間で差が拡大しています。リテールは弱含み、住宅・倉庫は堅調という二極化です。 - 需要源の変化
第三国籍(EU域外)購入の存在感が高く、年初来で多数の移転・契約が進捗。とりわけパフォスとリマソールでの外国人需要が厚く、一次居住・投資・セカンドホームが混在しています。
オフィス
- Aグレードは横ばい〜小幅高、Bグレードは選別
2025年Q2は全地区でオフィス賃料・価格とも概ね安定、一部地区(ファマグスタ等)で上昇が目立つ一方、旧規格ビルはリーシングに時間を要します。IT・プロフェッショナルサービスの拠点化は続くものの、省エネ・BCP・駐車場などスペック対応力で差がついています。
リテール・商業
- 路面・郊外の明暗
大型モールのコア区画は底堅い一方、路面小売・二級立地はテナント入替が継続し、賃料・価格の弱含みが続いています。%レントやフリーレントの活用など条件調整が一般化しています。
ホテル・観光
- 観光需要の回復で稼働・ADRは高位
24年からの回復基調が続き、沿岸部(パフォス、アヤナパ、リマソール)のアップスケール〜ラグジュアリーでADRの上振れが進行。MICE・長期滞在とレジャーのミックスで、ハイシーズン偏重の平準化がテーマです。
物流・工業
- 小規模・分散型の増設が中心
島内物流の特性から大型ハブは限定的ながら、高天井・新耐荷重・温調といったスペック更新ニーズは堅調です。倉庫賃料と価格は上昇傾向で、住宅ほどではないものの投資妙味が再評価されています。
資本市場・大型取引
- 高額ディールはリマソール集中
2025年上期のトップ10大型売買のうち過半がリマソールで、1億ユーロ超の象徴案件も複数発生。投資家は海沿いPRIME、用途混在の再開発素地、ホテル・サービスアパートメントを物色しています。
制度・規制トピック
- 一次自宅の5%VAT適用範囲の明確化
130㎡・価格上限等の基準が運用定着。190㎡超は全体に19%となる点や、上限価格の条件に留意が必要です。プランニング段階での面積・仕様の最適化が重要になります。 - 在留関連(いわゆるゴールデンビザ)
不動産経由の永住権相当の申請枠は、30万ユーロ(VAT除外)以上の投資などが実務目安です。所得要件や物件種別の適格性確認が不可欠で、一次自宅のVAT軽減と投資枠の併用可否は個別に精査します。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
新築×一次自宅×130㎡設計はコスト最適化の王道です。投資用は1〜2ベッドの耐用年数新しい在庫が流動性・賃貸回転で優位。リマソール=高賃料・高価格、パフォス=伸び率、ラルナカ=新規供給の広がりという棲み分けでポートフォリオを組成しやすいです。 - オフィス
Aグレード省エネ仕様の選好が強く、Bグレードは床分割・共用部改装などのリポジショニング前提でバリューアップ余地があります。長期のアンカーテナント獲得には駐車場・非常用電源・共用アメニティが決め手です。 - リテール
モールのプライム区画は横ばい〜微増、路面は歩合賃料・内装支援など条件を引き出せる場面が多いです。テナントはF&B・体験型が中心で、医療・ウェルネスの導入も集客に有効です。 - ホテル・サービスアパート
稼働・ADRとも堅調で、海沿いPRIMEの長期改装計画によるアップサイドが見込めます。シーズン平準化を意識したMICE対応・ストック更新が鍵です。 - 物流
最新スペック倉庫(断熱・床荷重・バース)は需給タイト。島内配送の効率化を見越し、中規模・高回転の設計で空室リスクを抑えやすいです。
リスク・留意点
- 価格先行と利回り圧縮:住宅・倉庫で価格上昇が継続し、利回りは5%前後に収れん。金利反転や需要停滞時の耐性を検証すべきです。
- リテールの構造調整:路面・二級立地は長期空室化リスク。用途変更・体験型テナントの導入余地を見ます。
- 規制適合性:5%VATの面積・価格要件、在留スキームの適格要件は年次で運用が見直されるため、申請前のリーガル確認が必須です。
まとめ
2025年のキプロス不動産は、住宅・倉庫が牽引、オフィスは安定、リテールは選別という構図です。金利低下の追い風と一次自宅のVAT軽減が需要を下支えし、リマソールの高賃料市場、パフォスの伸び、ラルナカの新規開発が三本柱になっています。投資家は面積130㎡設計の一次自宅活用や新耐用の1〜2ベッド賃貸、Aグレード省エネオフィスの長期化、中規模高機能倉庫を柱に、規制要件の適合性と利回りの持続性を精査してポートフォリオを構築するのが合理的です。
キプロス不動産関連情報
キプロス不動産基本情報
キプロス不動産物件最新
トルコ不動産
トルコ不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと政策金利
2024年半ばの高インフレからディスインフレが進み、2025年8月のCPIは前年比約50%とピークから鈍化しています。中央銀行(CBRT)は7月に300bp、9月に200bpの利下げを実施し、政策金利は45%となりました。引き締め姿勢を維持しつつも、景気・信用の絞り込みによる需要鈍化を背景に、慎重な緩和へ舵を切っています。 - 住宅ローン金利の実務感
銀行の住宅ローンは政策金利の水準を反映して依然高止まりです。開発業者の自社分割払い(長期無利息~低利)や現金値引きの活用が一般的で、モーゲージ比率は低めにとどまります。8月はモーゲージ販売が前年比+45%と増えた一方、総販売に占める比率は1割強です。
住宅(分譲・賃貸)
- 販売ボリューム:内需は底堅く、外国人は低水準
2025年8月の全国住宅販売は14.3万戸(前年比+6.8%)と内需主導で増加しました。対照的に外国人購入は1,816戸と低位で、1–8月累計13,158戸にとどまり、2019–22年のピーク期から縮小が続きます。要因は居住許可の制限強化、為替・決済規制、価格高止まりなどです。 - 価格動向:名目は伸び鈍化、実質は調整
住宅価格指数(HPI)は名目伸び率の鈍化が顕著で、実質ベースではマイナスが続きます。家賃インフレは高いものの、入居制限やデポジットの増加で実勢賃料の上昇ペースは鈍化しています。 - 供給:許認可は回復、完成在庫はタイト
2025年上期の建築許可戸数は前年比+28%と回復。もっとも、使用許可(完成)は横ばいで、完成在庫のタイト感が続きます。新築の分割払い・家電バンドル・頭金軽減などの販促が一般化しています。
オフィス(イスタンブール中心)
- 需給:Aグレードに需要集中、空室は構造的に低下
分散勤務×ハブ&スポークの定着、金融・テックの雇用増を背景に、グレードAの吸収が継続。イスタンブールの既存供給は約718万㎡で、Aグレード中心に空室低下・賃料上昇圧力が見られます。LEED等のグリーン認証・バックアップ電源・高効率空調などのスペック差で賃料の二極化が進行しています。 - 賃料:一等地はドル建て上振れ
CBD(レヴェント~マスラク、マスラク~エセンテペ、アタシェヒル金融センター)のプライム賃料はドル建てで小幅上昇。グレードB/Cや郊外は内装支援(TI)・賃料フリーレントの条件調整でテナント獲得を図る局面です。
リテール・商業
- モール稼働は改善、テナントミックス再編が進展
観光・内需の回復を受け、都心・観光地の大型モールは稼働率が上昇。体験型エンタメ、F&B、ホームセンターの導入が賃料の下支え要因です。二等立地は歩合賃料(%レント)や内装支援を組み合わせて出店を促す実務が一般的です。
ホテル・観光
- 入国者・宿泊指標は高水準を維持
2025年の観光はロシア・中東・欧州の需要に支えられ堅調です。イスタンブールのADR/RevPARは前年超えで推移し、秋~年末のMICE・イベントが下支えします。航空座席の拡充とビザ円滑化が追い風です。
物流・工業
- 首都圏回廊の賃貸需要は堅調
トゥズラ~ゲブゼ~コジャエリの産業回廊で高天井・多ドック倉庫の引き合いが継続。Eコマースと3PLが主導し、港湾・幹線道路ICからの距離、電力の安定性が賃料に強く反映されます。インデックス連動条項の普及で実質利回りは維持される一方、土地・建設コスト上昇が初期利回りを圧縮しています。
REIT・資本市場(Borsa İstanbul)
- GYO指数はボラタイルも底打ち観
不動産投資信託(GYO)指数は金利動向に敏感に反応し年央以降は持ち直し基調。分配は四半期配当を継続する銘柄が多く、物流・データセンター・学生寮など用途分散型ポートフォリオが相対的に堅調です。
制度・規制トピック
- 外国人購入・居住許可の運用
外国人の物件取得は継続可能ですが、居住許可(RP)の区域制限や、特定エリアでの外国人比率上限の運用強化により、投資→居住許可への一体運用は難度が上がっています。投資額40万ドル以上での市民権プログラムは継続する一方、デューデリジェンスや資金の送金経路の厳格化が進みます。 - 評価・税務・会計
IFRSベースの公正価値評価が広がり、インデックス連動賃料の契約明確化が進展。固定資産税評価や印紙税の実務も電子化で可視性が高まっています。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅
内需は堅調ながら、価格は名目横ばい~小幅高、実質は調整です。一次取得層向けはデベロッパー分割が主戦場。投資目線では完成在庫の現金買いや為替ヘッジ(外貨建て賃料・ドルリンク条項)の組み合わせが現実的です。 - オフィス
Aグレード集中が鮮明。CBDプライム(LEED等)は賃料維持~上振れ、二級物件は床分割・共用部改装・ESG対応でのリポジショニングが前提です。短期はキャッシュフロー重視、長期は開発型で許認可確度の高い案件が有利です。 - リテール
旗艦モール・観光導線は堅調。歩合賃料+最低保証、内装支援、出店時の為替調整条項の組成でテナント誘致力が左右されます。ローカルF&B・エンタメの比率増が奏効しています。 - ホテル
ADR/RevPARとも強含み。シティは週末強・平日回復、リゾートは肩シーズンのMICE取込みで平準化がテーマです。ブランド・運営委託の再編で収益性改善余地があります。 - 物流・工業
港湾近接×幹線アクセス×電力の三点セットが賃料プレミアムを形成。標準化プラットフォーム(高床・梁下高・多ドック)でテナント転用を見込み、インデックス連動で実質利回りを維持します。 - REIT(GYO)
分配継続×スポンサーのパイプラインが評価軸。オフィス偏重→用途分散へ舵を切る銘柄が相対的に選好されています。
リスク・留意点
- 金利・為替:利下げ局面でも実質金利は高水準で変動大。外貨建て負債・賃料のミスマッチに注意。
- 政策運用:居住許可の区域制限・資金送金規制の運用強化で外国人の出口戦略が不確実。
- コスト:建設・土地コストと指数連動賃料のギャップで初期利回り圧縮。
- 需要の二極化:Aグレード・一等立地に需要集中、B/Cの空室・修繕CAPEX負担増。
まとめ
2025年のトルコ不動産は、ディスインフレ進展×段階的利下げのなかで、内需・観光・物流が牽引し、オフィスはAグレード偏重、リテールはテナントミックス再編で稼働改善、ホテルはADR/RevPARの持続的上昇が続きます。住宅は名目横ばい~小幅高・実質調整で、外国人購入は低位。投資は為替・金利・規制運用の三点管理を前提に、一等立地・高スペック・指数連動のキャッシュフローを重視する戦略が有効です。