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2025年9月21日、UAEのアブドゥッラー・ビン・トゥーク経済・観光相は、国家キャンペーン「The Emirates: The Startup Capital of the World(世界のスタートアップ首都)」の発表に合わせ、2031年までに企業数を200万社超へ拡大し、ユニコーンを10社創出する目標を明言しました。現在は約120万社が活動しており、その約94%が起業家所有。中小企業(SME)は**非石油GDPの63.5%を担い、国内企業の約95%**を占めると説明しています。

同日、ドバイのムハンマド副大統領兼首相(ドバイ首長)も、若者1万人の育成と3万件の雇用創出を掲げる起業支援キャンペーンを始動。デジタル基盤を通じてメンタリング、コワーキング、資金機会を提供すると発表しました。

あわせて、ドバイ経済観光庁(DET)とドバイ商工会デジタル経済部は、米Plug and Playと連携した3カ月間のアクセラレーターを開始。ユニコーン創出やSMEのスケールを狙い、投資家・大企業との協業を促進します(2025年9月18日発表)。

さらに、ドバイ統合経済区庁(DIEZ)は2024年の総取引高がAED3,360億(約915億ドル)で前年比19%増、登録企業の雇用は前年比21%増と公表。フリーゾーンの集積が引き続き拡大しています。

ニュースの背景

UAEは「国家起業家アジェンダ」の下、2031年までに起業国家ユニコーン10社創出起業指数トップ3入りを国家目標に掲げ、連邦・首長国レベルでインキュベーター/アクセラレーター包括的経済連携協定(CEPA)、知財保護、食料安全保障クラスターなど横断政策を整備してきました。

重要数値(投資家が押さえるべきKPI)

  • 企業数:現在約120万社 → 2031年に200万社超を目標
  • ユニコーン:2031年までに10社(現時点で約5社がUAE発とされる)
  • SMEの寄与:非石油GDPの63.5%、企業全体の約95%
  • 雇用創出:若者3万件、育成1万人(新キャンペーン)
  • エコシステム強化:Plug and Play提携の加速プログラムを新設
  • フリーゾーン実績:DIEZの24年取引高+19%、雇用+21%

用語解説(かんたん)

  • ユニコーン:評価額が10億ドル以上の未上場スタートアップ。成長企業の象徴で、雇用とオフィス需要を押し上げる要因。
  • SME(中小企業):UAEでは雇用・企業数の大半を占める層。フレキシブルオフィス中規模の物流倉庫需要を生みやすい。
  • インキュベーター/アクセラレーター:創業初期企業にメンタリング・資金・共創機会を提供する支援機関。UAEは全国的に拡充。
  • フリーゾーン:外資100%所有や税・規制優遇が受けられる特区。DIEZ、DIFC、DMCC、Dubai Southなどが代表例で、進出・拡張のハブ。

不動産への一次的な波及(短〜中期)

  • オフィス:ユニコーン候補・成長期スタートアップの増加で、グレードAオフィスフレキシブルオフィスの需要が底堅く推移。企業と大手の協業が進み、CBD(DIFC周辺)/インターネットシティ/知財・金融系クラスターの空室圧縮が想定。
  • 産業系(物流・軽製造):SME比率の高さから小口物流・ラストマイルの需要増が継続。DIEZなど特区の倉庫・軽工業に追い風。
  • レジデンシャル:雇用創出や起業家流入で賃貸需要が拡大。若手人材の増加により1BR/スタジオの引き合いが強まり、職住近接エリアでの稼働率上昇が見込まれる。

参考になる行政・公式動向

  • 国家起業家アジェンダ(目標群)
  • 企業数200万超・ユニコーン10社の政府目標

ニュースの見解

日本人のUAE不動産投資家にとって、今回の発表は「賃料・稼働率の上振れ余地」という形で直接的なプラス要因になり得ます。(1)雇用創出と企業数増オフィスの空室率低下につながり、グレードA・コワーキング双方で賃料改定圧力がかかりやすい。(2)若手人材の流入中価格帯レジデンシャルの賃貸稼働を押し上げ、職住近接の好立地は利回りの安定化が期待できます。(3)フリーゾーンの商取引伸長(DIEZの+19%)は倉庫・小規模製造の床需要を増やし、インカム×キャピタルの両面を狙えるセグメントが拡大します。

一方で留意点は金利・規制・供給の3点です。金利は調達コストと投資採算に影響するため、固定・変動のバランスを再点検。規制外資所有・ビザ制度・賃貸規約が首長国ごとに異なるため、DIFC/ADGM/DMCC/DIEZなど対象ゾーンのテナント属性とリース慣行を事前に確認。供給では、人気エリアの新規供給パイプラインが賃料上昇を抑える局面もあるため、完成時期・在庫の偏りをモニターしてください。

実務アクションとしては、

  • オフィスDIFC周辺・インターネットシティ・DIEZ圏グレードA/フレキシブル物件で**稼働率とテナント構成(成長企業比率)**をKPI化。
  • レジデンシャル雇用創出地点(起業支援拠点・大学・医療ITクラスター)への通勤30分圏を第一候補に、1BR/スタジオの**実効利回り(ネット)**で比較。
  • 産業系小口物流・Eコマース周辺天井高・アクセス・分割可能区画を条件に、賃上げ余地>改装CAPEXの案件を選択。

総じて、「2031年に向けた起業ドリブン成長」という明確な政策軌道は、賃貸需要の底堅さとリース条件の改善余地を示唆します。ニュースの数字(200万社・ユニコーン10社・SME 63.5%)をベースに、テナント需要の“質”に連動した物件選定が、UAE不動産での安定インカム+適度なキャピタルゲインを狙う近道です。

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