フィリピン不動産投資に重要なポイントとなる「マニラ首都圏地下鉄計画(MMS)」について丁寧に解説します。
「マニラ首都圏地下鉄計画(MMS)」とは?
フィリピンのマニラ首都圏で計画されている地下鉄のことを言います。ケソンシティ、パシグ、マカティ、タギッグ、パラニャーケ、パサイ間を南北に走る路線で、ニノイ・アキノ国際空港とも接続します。
- 全長:33km
- 運営者:フィリピン運輸省(DOTr)
- 駅数:17駅
- 稼働予定:2029年末(部分開通:2025年)
- 起工:2019年2月27日
プロジェクト全体のコストは「3,556億フィリピンペソ」と見込まれており、費用の多くは、国際協力機構(JICA)が提供する融資によって賄われています。4つの駅が追加されたため、2021年のプロジェクトの総費用は 4,880億ルピーに増加しました。
2018年3月16日、フィリピンと日本政府は地下鉄に対する融資協定を締結し、株式会社オリエンタルコンサルタンツグローバル、東京メトロ株式会社、カタヒラアンドエンジニアズインターナショナル、パシフィックコンサルタンツ株式会社、東日技術コンサルタント株式会社、メトロディベロップメント株式会社で構成される日本のコンソーシアム「OC Global」が設立され、地下鉄の開発を進める形となっているのです。
つまり、この路線は
日本政府(JICA)が融資をして、かつ日本企業が建設を進めるマニラの地下鉄プロジェクト
と言えるのです。
日本の地下鉄のメトロのノウハウが十二分に生かされた路線となることが、フィリピン国内でも期待されているプロジェクトです。大部分が地下化される地下鉄は、フィリピンではじめてであり、耐震性なども考慮して計画されています。
同じ南北を走る鉄道(MRT3)はあるのですが、混雑がひどく、渋滞や満員電車が緩和されておらず、日本の技術を取り入れた地下鉄には、現地からの強い期待があるのです。
駅には、東京の地下鉄にも採用されている
- 止水パネル
- 浸水防止のための高い位置の入り口
- 地震検知
- 電車停止システム
- ホームドア
などの設計上の特徴が備わる予定です。
1日あたり最大150万人の乗客を収容できるように設計されています。
この路線の主要駅には2つのレールが計画されており、1つは普通列車の運行用で、もう1つは急行路線用です。駅には、2つのフロア、商業店舗、発券施設、その他の設備を備えた6つのフロアを持つことが計画されています。
「マニラ首都圏地下鉄計画(MMS)」が通る路線
- イースト・ヴァレンズエラ駅/East Valenzuela
- キリノ・ハイウェイ駅/Quirino Highway
- タンダン・ソラ駅/Tandang Sora
- ノース・アベニュー駅/North Avenue
- ケソン・アベニュー駅/Quezon Avenue
- イースト・アベニュー駅/East Avenue
- アノナス駅/Anonas
- キャンプ・アギナルド駅/Camp Aguinaldo
- オルティガス駅/Ortigas
- ショウ駅/Shaw
- カラヤアン駅/Kalayaan
- ボニファシオ・グローバルシティ駅/Bonifacio Global City
- ロートン駅/Lawton
- セネット駅/Senate
- FTI駅/FTI
- ビクタン駅/Bicutan
- NAIAターミナル3駅/NAIA Terminal 3
ターミナル駅
- ノース・アベニュー駅/North Avenue 接続:LRT1号線・MRT3号線・MRT7号線
- ケソン・アベニュー駅/Quezon Avenue 接続:MRT3号線
- アノナス駅/Anonas 接続:LRT2号線
- FTI駅 接続:PNR
- ビクタン駅/Bicutan 接続:PNR
その他、現在計画中のマカティ市営地下鉄、MRT4号線、MRT8号線にも乗り換え可能になっています。
「マニラ首都圏地下鉄計画(MMS)」の現状
執筆時点:2023年7月
2023年7月10日、Dフィリピン運輸省(DOTr)の発表によると
- マルコス政権が終わる前にプロジェクトの建設を完了し、2029年までに地下鉄を一般公開することを目指している
- 全長33kmの地下鉄は33%完成している
- 地下鉄はバレンズエラ市とニノイ・アキノ国際空港ターミナル(NAIA)間の移動時間を 1 時間 10 分からわずか 41 分に短縮し、1 日あたり推定 519,000 人の乗客にサービスを提供する