マレーシア移住が海外不動産投資家に選ばれる理由
マレーシア移住を検討する海外不動産投資家が増えている背景には、「住みながら長期保有する投資先」としてのバランスの良さがあります。生活コスト、物件価格、利回り、税制、インフラ、IT環境のすべてを総合したときに、投資家視点での「費用対効果」が高いことが大きな特徴です。ここでは、他の国では代替しづらいマレーシアならではの強みを、投資家の目線から整理していきます。
居住ニーズと投資ニーズが両立しやすい市場構造
マレーシアの都市部、特にクアラルンプールやペナンなどは、移住者・駐在員・教育移住ファミリー・リタイア層が入り混じる多様なマーケットになっています。これは「自分が住んでも良いし、賃貸に出しても需要が見込みやすい」という、投資家にとって理想的な構造です。
生活インフラや医療・教育の水準も、東南アジアの中では高いレベルにあり、日本人や外国人駐在員が安心して暮らせる環境が整っています。この「住みやすさ」はそのまま賃貸ニーズの底堅さにつながり、空室リスクを抑えたい投資家にとって重要なポイントになります。
さらに、インターネット回線やモバイル通信環境も都市部では安定しており、リモートワークやオンラインビジネスとの相性も良好です。「自分もITを使って働きながら、所有物件を運用する」というライフスタイルを実現しやすい点も、マレーシアが選ばれる理由のひとつです。
物件価格と賃料水準のバランスによる利回りの取りやすさ
投資家が最初に注目するのは、やはり「いくらで買えて、いくらで貸せるのか」です。マレーシアのコンドミニアム市場は、同じようにプール・ジム付きの設備を備えた物件でも、日本や欧米の大都市と比べると比較的少ない自己資金で購入できるケースが多くなります。
一方で、都市部では駐在員や外国人、富裕層のローカル需要によって、一定水準の賃料が維持されているため、購入価格に対するグロス利回りが取りやすい市場と言えます。もちろん物件選びを誤れば利回りは簡単に崩れますが、「設備水準の高いコンドミニアムを、手の届く価格帯で取得できる」という点は、海外不動産ポートフォリオの一角として組み込みやすい魅力です。
ITの観点では、現地ポータルサイトや家賃データベース、過去成約事例の検索ツールなどを組み合わせることで、購入前にある程度の家賃レンジや期待利回りをシミュレーションしやすい環境が整ってきています。感覚ではなくデータをもとに判断したい投資家にとって、情報インフラが整いつつあることもプラス材料です。
東南アジア全体への投資拠点になりやすい地理的優位性
マレーシアは、シンガポール・タイ・インドネシア・ベトナムといった主要マーケットのほぼ中間に位置しており、航空便でのアクセスが良好です。LCCを含むフライト網が発達しているため、マレーシアに生活拠点を置きつつ、周辺国の不動産やビジネスを視察する「ハブ拠点」として活用している投資家も少なくありません。
海外不動産投資を複数国に分散させたい場合、「どこをベースに動くか」は重要な戦略テーマです。マレーシアは時差・気候・交通のバランスが良く、英語も通じやすいため、「東南アジア全体を見ながら動きたい投資家」にとって、移住先と投資拠点を兼ねられる存在になっています。
近年では、航空券比較サイトやトラベルアプリ、コワーキング検索アプリなどを活用することで、周辺国への出張・短期滞在もデジタルで柔軟に組み立てられるようになりました。物理的な距離だけでなく、「ITで行動コストを下げやすい立地」という点でも優位性があります。
英語・多民族環境による情報アクセスとビジネス展開のしやすさ
マレーシアは公用語としてマレー語を持ちながらも、ビジネスや高等教育の現場では英語が広く使われています。契約書や管理会社とのやり取り、銀行・弁護士・税理士とのコミュニケーションも英語ベースで進むことが多く、英語で情報収集・交渉できる投資家にとって大きな利点になります。
多民族・多宗教社会ならではのダイバーシティも、長期的なビジネス展開やネットワーク構築においてプラスに働きます。ローカルのビジネスパートナーや専門家と英語で連携し、物件開発や賃貸運営だけでなく、IT・スタートアップ分野とのシナジーを狙う動きも出てきています。
また、オンライン上にはマレーシア不動産に関する英語のレポートや統計データ、政府公表資料が多く存在し、データ分析やダッシュボード化を行いやすい環境です。日本語情報だけに依存せず、一次情報にアクセスしたい投資家にとって、「英語で情報にアクセスできる市場」であることは、大きな安心材料となります。
税制・通貨分散という資産防衛の観点
資産を日本国内の不動産と日本円だけに集中させることに不安を感じ、マレーシア不動産を通じて「通貨分散・国際分散」を図る投資家も増えています。マレーシアリンギット建ての資産を持つことで、日本の金利・為替・税制だけに左右されないポートフォリオを組みやすくなるためです。
マレーシアは一般に国内源泉所得中心の課税体系を採用しており、海外所得の扱いや、賃料収入に対する課税方法など、日本とは異なるルールがあります。ここは専門家による個別相談が必須ですが、「日本とまったく同じルールではない」という点自体が、リスク分散先としての意味を持ちます。
さらに、オンラインバンキングやクラウド会計ソフト、税務ポータルの整備が進んでいるため、現地の専門家と連携しながら、ITを前提としたデジタル管理がしやすい環境になってきています。税務・キャッシュフロー・残高管理をクラウド上で一元管理できることは、複数国に資産を持つ投資家にとって大きなメリットです。
ITフレンドリーな不動産市場と日本人コミュニティの存在
マレーシアの不動産市場は、ポータルサイトやSNS、オンライン内見、電子署名、クラウドストレージなど、ITと親和性の高いツールが幅広く使われるようになってきています。物件情報・賃貸募集・内装事例・口コミなどがオンラインに集約されており、現地入りする前から一定レベル以上の情報を日本語・英語で取得できる点は、海外投資のハードルを下げる要因です。
加えて、日本人コミュニティや日本語対応の不動産会社、SNSグループ、オンラインサロンなども存在しており、「完全なゼロから一人で情報をかき集める」必要はありません。現地在住者の生の声にアクセスしやすく、疑問点をピンポイントで解消しながら進められることは、初めて海外不動産投資と移住を組み合わせる方にとって大きな安心材料になります。

マレーシア移住の主なルート。就労・リタイア・デジタルノマド・投資ビザ
マレーシアに「住み続ける」ためには、どのビザを軸にするかを最初に決めておく必要があります。ビザの種類によって、滞在期間、働けるかどうか、家族を帯同できるか、不動産投資との相性が大きく変わります。
ここでは、海外不動産の購入や運用を視野に入れた方に向けて、代表的な四つのルートを整理します。
- 現地企業で働く就労ビザルート
- リタイア・長期滞在プログラムを使うルート
- デジタルノマド向けビザを使うルート
- 投資家・富裕層向けビザを使うルート
それぞれのメリット・注意点を、不動産投資とIT活用の観点から見ていきます。
現地就労ビザで移住するルート
マレーシアの現地企業や日系企業で働き、就労ビザで滞在するルートです。一般的には、一定額以上の給与や学歴、職種などの条件を満たす必要があり、ビザの有効期間は数年単位で更新という形になります。
このルートのメリットは次の通りです。
- 安定した給与収入を得ながら、不動産投資の頭金やローン返済原資を確保しやすい
- 多くの場合、配偶者や子どもの帯同ビザが取りやすく、家族での移住計画を立てやすい
- 現地のビジネスネットワークが自然に広がり、物件情報や金融機関との関係構築にもつながる
一方で、注意したい点もあります。
- 雇用契約が前提のため、会社都合で退職した場合にはビザの更新や切り替えが必要になる
- 就労ビザの範囲外での副業や事業活動は制限されることが多く、不動産関連のビジネスを個人で広げる場合は慎重な設計が求められる
IT活用の面では、求人サイトやSNSを通じたポジション探索、オンライン面接、クラウドストレージでの契約書・給与明細・ビザ書類の一元管理が基本になります。更新時に必要な書類や期限をタスク管理ツールで見える化しておくと、継続的な移住計画が立てやすくなります。
リタイア・長期滞在プログラムを活用するルート
リタイア後のロングステイや、まとまった資産を背景に「仕事よりも生活の質を重視したい」方にとっては、長期滞在プログラムを利用するルートが有力です。代表的なものが、一定の資産や預金額を条件に、本人と家族に長期滞在を認めるプログラムです。
海外不動産投資家にとってのポイントは次の通りです。
- 長期での滞在が前提となるため、購入した物件を「自宅兼投資用」として柔軟に活用しやすい
- 配偶者や子ども、場合によっては高齢の親まで帯同できるため、教育移住や三世代移住も設計しやすい
- 一定額以上の不動産購入が条件に含まれるケースもあり、ビザ取得とポートフォリオ構築を一体で考えられる
ただし、一般的に「マレーシア国内でフルタイムで働くこと」は想定されていないことが多く、生活費や不動産の維持費は、年金やオフショア収入、既存資産の運用益などで賄う前提になります。ビザ条件の改定も起こりやすいため、条件変更リスクを想定して資金計画を作ることが重要です。
ITの面では、公式情報を常にオンラインで確認し、条件改定や必要書類の変更情報を早めにキャッチすることが欠かせません。ビザ申請に必要な残高証明や保険証券、健康診断書などはスキャンしてクラウドで共有し、申請エージェントとのやり取りをチャットツールで残しておくとトラブルを防ぎやすくなります。
デジタルノマド・リモートワーカー向けビザで移住するルート
近年、急速に注目されているのが、リモートワーカーやフリーランサー向けのデジタルノマドビザです。一定以上のオフショア収入があり、IT・デジタル関連の職種でオンライン完結の仕事をしていることが条件になるケースが多くなっています。
このルートのメリットは次の通りです。
- 所得源を日本や第三国に残したまま、生活拠点だけをマレーシアに移せる
- コワーキングスペースやカフェから仕事をしつつ、空き時間や週末に物件視察や現地不動産会社とのミーティングを入れやすい
- 契約書や収入証明、銀行明細などはオンラインで取得・提出することが基本のため、日本に住んでいる段階から準備を進められる
一方で、注意点もあります。
- 滞在期間が数年単位に限定されることが多く、永続的な移住というより「中期のテスト移住」に向いている
- 家族帯同が可能でも、年齢条件や収入条件が付くことがあり、教育移住を組み合わせる場合は慎重な確認が必要
- ノマドビザそのものが比較的新しい制度のため、運用やルールが変わりやすい
IT活用という点では、このルートが最も前提となっています。オンライン申請ポータルへのアップロード履歴管理、電子署名付き契約書の保存、収入証明の自動取得、クラウド会計ソフトとの連携など、日頃使っているツールの使い方次第で申請の手間とリスクが大きく変わります。
投資家・富裕層向けビザで移住するルート
一定額以上の投資や預金、継続的な高額所得を持つ富裕層向けには、長期の滞在を認めるプレミアムビザや投資家向けビザが用意されています。内容は時期によって変わりますが、一般的に次のような特徴があります。
- 有効期間が非常に長い、または更新前提での長期滞在が可能
- 高額な定期預金や投資、オフショア収入が条件となる一方で、就労や事業活動の自由度が高いことが多い
- 本人だけでなく、配偶者・子どもを幅広く帯同できるプログラムもあり、教育移住や資産承継をセットで設計しやすい
海外不動産投資家にとっては、マレーシアを「アジアの拠点」として位置づけ、複数の物件や事業投資を展開したいケースと相性が良いルートです。例えば、首都圏のコンドミニアムを複数棟保有しつつ、地方都市の商業施設やホテル開発にも投資するといった、中長期的な戦略が取りやすくなります。
同時に、短期で何度も出入国する投資家向けのビザもあり、こちらは「居住」よりも「案件調査や交渉のための頻繁な渡航」に向きます。日本を本拠にしつつ、マレーシアへの投資額が増えてきたタイミングで、長期ビザへの切り替えを検討することも可能です。
ITの面では、投資案件の情報収集や現地パートナーとのコミュニケーション、電子契約、送金・為替管理など、ほぼすべてがオンライン前提で動きます。ビザ条件の変更や投資優遇策のアップデートもオンラインで発表されることが多いため、公式情報や専門家のニュースレターを自動でウォッチする仕組みを作っておくことが重要です。
家族帯同・教育・不動産投資の視点からの選び方
四つのルートを、不動産投資家が重視しやすい三つの軸で整理すると、次のようなイメージになります。
- 家族帯同しやすさ
- 就労ビザと長期滞在プログラムは、配偶者と子どもの帯同を前提とした設計が多く、教育移住との相性が高いです。
- デジタルノマドビザは帯同可能でも条件が付くことがあり、短期から試したい家族向けと言えます。
- 富裕層向けビザは、家族も含めて長期で拠点化したい場合に有力な選択肢になります。
- 不動産投資との相性
- 長期滞在プログラムや富裕層向けビザは「物件を購入して長く住みたい・運用したい」というニーズに直結しやすいです。
- 就労ビザは、給与収入との組み合わせでローン返済計画を組みやすく、ミドルクラスの投資家に向いています。
- デジタルノマドビザは、まずは賃貸で生活感をつかみながら、時間をかけて購入候補を選びたい方に向きます。
- IT活用との相性
- どのルートもオンライン申請が基本になりつつありますが、特にデジタルノマドビザや投資家向けビザは、電子署名やオンライン審査が前提です。
- 書類、契約、送金履歴、税務データをクラウドで一元管理しておくことで、ビザ更新や税務調査にも対応しやすくなります。
自分と家族のライフステージ、保有資産、今後の投資戦略を重ね合わせて、「今はどのルートが最も現実的か」「5〜10年後にはどのルートに乗り換えたいか」といった中長期のシナリオを描いておくことが大切です。

マレーシア不動産を外国人が購入する際のルールと最低購入価格
マレーシア移住に際して不動産を購入する場合、まず理解しておくべきなのが「外国人が買える物件の種類」と「州ごとに異なる最低購入価格」です。制度を正確に把握していないと、せっかく見つけた物件でも購入が認められない、または想定外のコストが発生することがあります。
外国人が購入できる物件と購入できない物件
マレーシアでは、外国人でもコンドミニアム、サービスアパートメント、高層住宅、一定基準を満たすランデッド物件(戸建て)、商業物件など幅広いカテゴリーを所有できます。権利形態もフリーホールド(永続所有権)とリースホールド(期限付き所有権)があり、所有権を本人名義で保持できる点は投資家にとって大きなメリットです。
しかし、全ての物件が対象となるわけではなく、以下のようなカテゴリーは外国人の購入が原則禁止または制限されています。
- 低価格住宅(Low-cost / Medium-cost housing)
- ブミプトラ(マレー系住民)向け割当住戸
- マレー保留地(Malay Reserve Land)
- 多くの州で農地やプランテーション用地
- 州が定める最低購入価格を下回る物件
これらの基準は州単位で細かく異なるため、候補物件を検討する際は「エリア・権利形態・物件カテゴリー」を同時に確認することが重要です。
州ごとに異なる最低購入価格の目安
マレーシアは連邦制のため、不動産の購入条件は州ごとに異なります。一般的には「最低購入価格100万リンギット以上」が基準とされますが、州ごとにそれより高く設定されていることも珍しくありません。
代表的な州の最低購入価格の目安は次の通りです。
- クアラルンプール(Kuala Lumpur)
最低購入価格は原則100万リンギット以上。外国人投資家向けの物件が多く、価格帯も高めです。 - スランゴール州(Selangor)
最低購入価格は150万〜200万リンギット前後が一般的。ゾーンや物件のタイプにより細かく異なり、都市圏の中でも特に基準が厳しい州です。 - ペナン州(Penang)
コンドミニアムは100万リンギット前後、ランデッド物件は100万〜180万リンギット以上など、島内と本土側で基準が異なります。観光需要や投資需要が強く、基準が高めに設定されています。 - ジョホール州(Johor)
シンガポール隣接エリアなどでは100万〜200万リンギット以上が基準。特定エリアでは州当局の承認料が高く設定されているため、コスト計算が重要になります。 - サラワク州(Sarawak)
他州と比べて最低価格が低く、50万〜60万リンギット台から検討可能。州独自の長期滞在制度(S-MM2H)との組み合わせも考えやすいエリアです。
このように、同じ国の中でも州ごとに大きな差があるため、物件検索は「予算」「州ルール」「ビザ条件」をセットで考えるのが効率的です。
最低購入価格が投資計画に与える影響
最低購入価格は投資計画全体に影響を与える要素です。特に次のポイントは注意が必要です。
- 利回りとキャッシュフローが変動する
価格帯が上がるほど、管理費やローン返済額も増えるため、表面利回りと実質利回りの差が大きくなります。高級コンドミニアムは賃貸需要に対する家賃上限もあるため、価格とのバランスを慎重に計算する必要があります。 - 候補エリアの幅が変わる
80万リンギットの予算では、クアラルンプールやスランゴール州の多くの物件は購入不可。サラワク州や一部の地方都市が候補に入るなど、予算によって選べる都市が大きく変わります。 - ビザ条件との整合性が必要になる
MM2HやPVIPなど、ビザによっては「一定額以上の不動産購入」が要件の一部となることがあります。最低購入価格とビザ条件の双方を満たす必要があるため、ビザ取得と不動産購入は切り離して考えない方が安全です。
権利形態(フリーホールド・リースホールド)の違いと評価ポイント
物件の価格と同じくらい重要なのが権利形態です。
- フリーホールド
永続的な所有権で、長期投資・相続・将来の売却などを前提にしやすい形態。希少性が高く、価格が下支えされやすい特徴があります。 - リースホールド
一般的に99年など期限付きの所有権で、残存年数が短くなると価格が下落しやすく、銀行融資も制限されることがあります。購入時点の残存年数と売却時期の想定をセットで考える必要があります。
どちらの権利形態が適切かは、目的(自用・投資)、保有期間、出口戦略によって変わるため、事前に整理しておくと判断がスムーズになります。
州当局の承認と追加費用に注意
外国人が不動産を購入する場合、多くの州で「州当局の承認(State Authority Consent)」が必要になります。承認には1〜3か月程度かかることがあり、購入手続き全体のスケジュールに影響します。
費用面では次の支出が発生します。
- 州当局の承認料(州ごとに数万リンギット〜)
- 売買移転の印紙税
- 弁護士費用
- ローン関連費用
- 評価費用
購入価格に対して7〜10%程度を諸費用として見込んでおくと、資金不足のリスクを避けやすくなります。
ITを活用して購入条件を効率よくチェックする方法
外国人購入ルールや最低購入価格は州ごとに異なるため、情報を手作業で追うのは大きな負担になります。そこで、以下のIT活用が効果的です。
- 州政府の告知、ビザ条件変更、最低購入価格の更新をRSSや通知ツールで自動チェック
- 物件ポータル(価格・権利形態・立地)をスプレッドシートに保存し、条件合致の可否を自動化
- 為替レートAPI、キャッシュフロー計算ツール、金融アプリと連携し、円ベース・リンギットベースの収支を即時確認
- 契約書類や見積書、州承認書類などをクラウドで一元管理
デジタルツールを活用すると、候補物件の絞り込みが正確かつスピーディーになり、日本にいながら現地に近い判断が可能になります。

クアラルンプールなど主要都市の生活費・家賃とライフスタイルの目安
マレーシア移住を検討する海外不動産投資家にとって、「自分が暮らすコスト」と「将来の賃貸需要・家賃水準」はどちらも重要な判断材料になります。ここでは、クアラルンプールを中心に、主要都市の生活費と家賃相場、ライフスタイルのイメージを投資目線も含めて整理します。
単身・夫婦・家族別の月間生活費の目安
あくまで「中流〜中上クラスの生活」を想定した、クアラルンプール首都圏でのざっくりした目安です。
単身(コンドミニアム1ベッド・車なし)
- 家賃:1,800〜3,000リンギット
- 食費:600〜800リンギット
- 交通費(電車+配車アプリ):150〜250リンギット
- 通信費(モバイル+自宅Wi-Fi):120〜200リンギット
- 光熱費(水道・電気):200〜300リンギット
- その他(外食・趣味・サブスク):400〜700リンギット
合計でおおよそ3,300〜5,000リンギット前後が目安です。日本円ベースでは為替レートによりますが「月7万〜12万円程度で、都内よりワンランク上の生活」がイメージしやすい水準です。
夫婦・カップル(2ベッド・車1台)
- 家賃:2,500〜4,500リンギット
- 食費:1,000〜1,400リンギット
- 車関連(ローン+ガソリン+保険):800〜1,300リンギット
- 通信費(2人分モバイル+自宅ネット):200〜300リンギット
- 光熱費:250〜350リンギット
- 外食・レジャー・ショッピング:600〜1,000リンギット
合計で4,800〜8,000リンギット程度がひとつの目安です。生活レベルを上げるほど「車関連費」と「外食・娯楽費」が効いてきます。
子どもあり家族(インター校利用の場合)
子どもがいる家族は、家賃と教育費が大きく変動します。
- 家賃(3ベッド以上):3,000〜6,000リンギット
- インターナショナルスクール:子ども1人あたり月換算1,500〜4,000リンギット程度
- その他の項目は夫婦と同程度かやや増加
合計では、8,000〜15,000リンギット前後になるケースも多くなります。教育移住や高所得者向け賃貸需要を見込む投資家は、このレンジを前提に家賃設定やターゲット選定をするイメージになります。
主要都市別の家賃水準とエリアの特徴
クアラルンプール中心部(KLCC・BukitBintang周辺)
- 1ベッド(40〜60㎡):2,000〜3,500リンギット
- 2ベッド(60〜80㎡):3,000〜5,000リンギット
- 多くがプール・ジム・セキュリティ付きのコンドミニアム
- 駅近・ショッピングモール直結物件はプレミアム賃料になりやすい
駐在員や高所得ローカル、短期滞在の外国人向け需要が厚く、賃料水準も相対的に高めです。一方で空室リスクや新築供給の多さもあるため、投資家は「駅・病院・大型モールへのアクセス」と「管理状態」をシビアにチェックする必要があります。
クアラルンプール郊外・近郊(MontKiara・Bangsar・SubangJayaなど)
- 1ベッド:1,500〜2,500リンギット
- 2〜3ベッド:2,000〜4,000リンギット
- 日本人学校やインター校へのアクセスが良いエリアは、子育て世帯に人気
- 駅近でなくても、駐車場付きで車前提の生活がしやすいエリアが多い
家賃は中心部より抑えつつ、広めの間取りとファシリティを確保しやすいのが特徴です。長期入居の家族世帯をターゲットにしたい投資家にとっては、安定した賃料収入を狙いやすいゾーンです。
ペナン・ジョホールバルなど他主要都市
- ペナン島:クアラルンプール郊外と同程度かやや高めの家賃水準
- ジョホールバル:シンガポール通勤・週末越境組を狙った物件は賃料が高め
観光・工業・隣国アクセスといった「都市ごとのストーリー」によって賃貸需要の中身が変わります。投資家は、単純な平米単価だけでなく「どの国のどの層が借りるのか」を明確にしたうえで、家賃レンジを見ていくことが重要です。
生活費の内訳と抑えやすいコスト・かかりやすいコスト
抑えやすいコスト
- 住居費
日本の大都市と比べると、同じ予算で広さ・共用施設ともにグレードの高い物件を選びやすいです。築年数にこだわらなければ、さらにコストを抑えられます。 - ローカルフード・日常の食費
ローカル食堂やフードコートを中心にすれば、1食あたり数百円程度で済ませることも可能です。 - タクシー・配車アプリ
Grabなどの配車アプリを使えば、短距離移動は日本よりかなり割安です。車を持たずに生活する場合は、ここが大きなメリットになります。
かかりやすいコスト
- 日本食・輸入品・アルコール
日本食レストランや輸入品、日本酒・ワインなどは割高です。日本と同じ感覚で外食を繰り返すと、生活費が一気に膨らみます。 - 車を持つ場合のトータルコスト
車両価格+ローン+保険+ガソリン+メンテナンスで、日本より高くつくケースもあります。郊外の戸建・低層コンドに住む場合は、車前提のライフスタイルになることが多いため注意が必要です。 - 子どもの教育費
インターナショナルスクールに通わせると、日本の私立以上の負担になることもあります。教育移住を視野に入れた不動産投資では、「学区」と「家賃」のバランス設計が重要です。
投資家目線で見る家賃水準とターゲット像
移住と投資を同時に考える場合、「自分が住む場合の生活費」と「貸し出す場合の家賃レンジ」を切り分けて整理しておくと判断しやすくなります。
- 駅徒歩圏・1ベッド〜2ベッドのコンド
デジタルノマド、若手駐在員、DINKS層向け。高めの利回りが狙える一方で、賃料の上下動も大きくなりがちです。 - 日本人学校・インター校近くの3ベッド前後
家族帯同の駐在員や教育移住世帯向け。長期入居が期待でき、家賃も比較的安定しやすい反面、初期投資は高額になります。 - ペナン・ジョホールなどニッチ需要エリア
リゾート志向、製造業・港湾関連、シンガポール通勤者など、セグメントが明確です。ITツールで求人分布・企業立地・フライト路線などのデータをチェックし、将来の賃貸需要を読み解く視点が有効です。
家賃水準を把握する際には、現地ポータルサイトや住まい系アプリの「実際の募集賃料」をデータとして蓄積し、エリアごとの中央値・上位レンジをスプレッドシートで可視化しておくと、投資戦略の精度を高めやすくなります。
気候・環境・移動手段とITで変わるライフスタイル
マレーシアの都市生活は、常夏・スコール・ヘイズ(煙害)・渋滞といった環境要因に影響を受けますが、ITツールを活用することでストレスを減らすことができます。
- 空気質アプリでAQI(大気質指数)を確認し、ヘイズが強い日は室内ジムや屋内モール中心の動線に切り替える
- 天気アプリでスコールの時間帯を把握し、外出予定を前倒し・後ろ倒しする
- 配車アプリで夜間や人通りの少ない時間帯の徒歩移動を減らし、安全性を高める
- フードデリバリーやネットスーパーを利用し、車を持たずに生活するスタイルを設計する
こうした「アプリ前提の生活設計」ができるかどうかで、車の要否や住むべきエリア、結果として必要な生活費も変わってきます。投資家としては、自分自身のライフスタイルだけでなく、「ITリテラシーの高い入居者がどのような暮らし方を選びやすいか」を考えたうえで物件タイプや立地を選ぶ視点が有効です。

海外送金と現地口座開設。Wise(ワイズ)などフィンテック活用でコスト最適化
マレーシア移住や不動産購入では、「いかに安く・早く・安全にお金を動かすか」が収益に直結します。とくに日本からの投資資金・生活費送金と、現地銀行口座の使い方を最適化できるかどうかで、長期的なトータルコストが大きく変わります。ここでは、海外不動産投資家の視点から、海外送金と現地口座開設のポイントを整理し、Wise(ワイズ)などフィンテックの活用方法を解説します。
日本の銀行送金で発生する「見えないコスト」を理解する
まず押さえておきたいのは、日本の銀行からマレーシアへ送金する際のコスト構造です。
1つ目は「送金手数料」です。これは多くの方が意識していますが、問題はそれだけではありません。
2つ目が「為替レートに含まれる上乗せ手数料」です。銀行はTTSと呼ばれるレートを使い、実際の市場レート(ミッドマーケットレート)よりも不利なレートで両替することで、実質的な手数料を取っています。
同じ10万〜数百万円規模の送金でも、
- 送金手数料
- 為替レートの上乗せ分
の合計で、受け取り額に数千円〜数万円単位の差が出ることがあります。投資資金や頭金を何度も送る場合、この差は累積して無視できない金額になります。
海外不動産投資家にとって重要なのは、「送金手数料+為替レート差」をトータルで比較し、実際にいくら手元に残るかを常に確認することです。
Wise(ワイズ)を使うメリットと注意点
Wise(ワイズ)は、リアルレート(ミッドマーケットレート)に近い為替レートと、送金手数料の内訳を透明に開示しているのが特徴のフィンテックサービスです。
海外不動産投資家にとっての主なメリットは次のとおりです。
- 実際の市場レートに近い為替レートで両替できるため、為替差の「ロス」を抑えやすい
- 手数料が画面上で事前に明示されるため、送金前に正確な受取額を把握できる
- 手続きがオンライン完結で、スマホアプリから日本→マレーシアへの送金状況をリアルタイム追跡できる
- マルチカレンシー口座を利用することで、複数通貨を一元管理しやすく、将来他国への投資や移住へ展開しやすい
一方で、注意しておきたいポイントもあります。
- 送金額やルートによっては、常にWiseが最安とは限らない(大口送金では銀行との比較が必要)
- 規制やサービス仕様は各国ごとに異なるため、日本側・マレーシア側の利用条件や上限額を事前に確認しておく必要がある
- マネーロンダリング対策の観点から、本人確認や送金目的の説明が求められ、書類の提出を求められる場合がある
そのため、Wiseを「すべてを任せる単一の手段」と考えるのではなく、銀行送金とのハイブリッド運用でコストと利便性のバランスを取る発想が有効です。
マレーシア現地銀行口座の開設条件と実務
マレーシアで不動産投資や長期滞在を行う場合、現地銀行口座はほぼ必須になります。家賃・管理費・光熱費・学費・医療費など、ローカルの決済は現地口座からのデビットカードやオンラインバンキングが基本だからです。
代表的なポイントは次のとおりです。
- 多くの銀行で、パスポートに加えて、就労ビザ・MM2H・学生ビザなどの滞在資格を証明できる書類が求められる
- 住所証明として、コンドミニアムの賃貸契約書や公共料金の請求書などが必要になるケースが多い
- 非居住者(短期滞在者)が口座を作れるかどうかは銀行や支店の判断に左右されるため、事前に最新情報を確認しておくことが重要
- 最低預金額や口座維持手数料など、銀行ごとにコスト構造が異なるため、長期保有前提で比較が必要
海外不動産投資家の場合、
- 取得予定のビザの種類
- 投資規模
- 賃料収入の入金口座をどこに置くか
などを踏まえて、どの銀行・どの口座種別にするかを事前に設計しておくと、後からの切り替えコストを抑えられます。
不動産購入代金・家賃・学費をオンラインで支払うワークフロー
現地口座を開設したら、オンラインバンキングとフィンテックを組み合わせて「支払いフロー」を標準化しておくと管理が格段に楽になります。
例えば、不動産購入や保有に関しては次のようなパターンが考えられます。
- 日本側のメインバンク → Wiseなどフィンテック → マレーシア現地口座へ送金
- 現地口座から
- 売主・デベロッパーへの残代金送金
- 管理会社への管理費・修繕積立金の支払い
- テナントからの賃料入金の受け取り
- 余剰資金を
- 定期預金やマレーシア国内の投資商品に振り替える
- 円建て資産とのバランスを見ながら、日本へ一部逆送金する
教育移住やロングステイの場合も、家賃・学費・医療費などをオンラインバンキングの定期振込や自動引き落としに設定しておくことで、支払い漏れリスクを減らせます。
ITに強い投資家であれば、
- 支払いに使う口座やカードを用途別に分ける
- それぞれの明細を自動連携できる家計簿アプリやクラウド会計ソフトに接続する
といった形で、「どの物件から、どの通貨で、どれくらいキャッシュフローが生まれているか」をダッシュボード的に見える化しておくと、ポートフォリオ管理が非常にしやすくなります。
送金履歴・レシートをクラウドで一元管理し税務と資産管理に活用する
海外不動産投資では、税務調査や銀行からの質問に備えて「お金の出入りを説明できる状態」にしておくことが重要です。特に、
- 物件取得時の送金履歴
- 頭金・ローン・諸費用の内訳
- 家賃収入・管理費・修繕費の支払い
などは、数年後に証拠を求められるケースもあります。
そこでおすすめなのが、
- Wiseや銀行の送金明細をPDFでダウンロード
- レシートや請求書をスマホで撮影してPDF化
- それらをクラウドストレージ(Googleドライブ、Dropboxなど)に「物件ごと・年度ごと」にフォルダ分けして保存
- クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードクラウドなど)や資産管理アプリと連携し、仕訳や評価損益を自動化
というワークフローです。
こうした「デジタル証憑の整理」を最初から仕組み化しておくかどうかによって、
- マレーシア側の申告
- 日本側の確定申告
- 専門家への相談や引き継ぎ(将来の相続・事業承継など)
の負担が大きく変わります。
特に複数国・複数通貨で資産を持つ投資家ほど、ITツールを組み合わせたクラウド管理の有無が、運用効率とリスク管理の差として表れます。

ITを活用したマレーシア不動産の探し方。ポータルサイト・VR内見・オンライン商談
海外からマレーシア不動産を検討する場合、現地視察の回数には限りがあります。そこで重要になるのが、ITをフル活用して「情報量」と「判断精度」を日本にいながら高めることです。ここでは、ポータルサイト・VR内見・オンライン商談を組み合わせた具体的な探し方の流れを整理します。
不動産ポータルサイトで候補を「数字ベース」で絞り込む
まずはマレーシアの主要不動産ポータルサイトを起点に、投資家目線で条件を整理します。
言語設定を英語にしておけば、日本人投資家でもそれほどストレスなく使えることが多いです。
ポータルサイトで特に確認しておきたいのは次のような項目です。
- 価格帯(予算・最低購入価格規制を満たすか)
- 物件種別(コンドミニアム、一戸建て、サービスアパートなど)
- 所在エリア(駅徒歩圏か、ビジネス街か、教育エリアかなど)
- 築年数・完成予定時期(中古か新築・建設中か)
- フリーホールド/リースホールドの区別
- プール・ジム・セキュリティなどの共用設備
- 賃貸想定賃料(掲載されている場合)
気になる物件は、ポータルサイト内のお気に入り機能で保存するだけでなく、表計算ソフトやNotionに転記して一覧にしておくと、利回りや価格帯を数字で比較しやすくなります。
- 「掲載価格 ÷ 想定賃料」でざっくり表面利回りを出しておく
- 同じエリアで似たスペックの複数物件を並べて、割高・割安感をチェックする
- 経路検索アプリで主要駅やショッピングモールまでの移動時間も併記する
といった形で、ポータルサイトの情報を「データベース化」しておくと、現地視察に行ける回数が限られていても、投資判断のブレを抑えやすくなります。
Googleマップ・ストリートビューで周辺環境と生活インフラをチェックする
ポータルサイトで候補を数十件程度まで絞り込めたら、次は地図とストリートビューでエリアの解像度を上げていきます。
- 最寄り駅・バス停から物件までの徒歩ルートと高低差
- 近隣のショッピングモール、スーパーマーケット、病院、学校
- 幹線道路・高架鉄道との距離(騒音・粉じんのリスク)
- 道路の路駐状況や夜間の人通りの有無(安全性の目安)
- 大型空き地や工事予定地の有無(将来の騒音・景観変化の可能性)
ストリートビューで「昼」と「夜」の雰囲気まで把握することは難しいですが、少なくとも「想像していたよりもローカル色が強い」「幹線道路が近くて騒がしそう」などの違和感は事前に察知できます。
さらに、洪水リスクマップや行政の統計データ、都市計画情報が公開されていれば、地図と重ねてチェックしておくと、中長期保有を前提としたリスク把握に役立ちます。
VR内見・動画内見で日本にいながら「住み心地」をイメージする
候補物件をさらに絞る段階では、VR内見や動画内見が非常に有効です。マレーシアでは、360度パノラマ画像によるバーチャルツアーや、エージェントがスマートフォンで室内を案内してくれる動画内見が広く使われています。
VR内見・動画内見で必ず確認したいポイントは次の通りです。
- リビング・寝室・バルコニーからの実際の眺望(抜け感・日当たり)
- 窓の向き、直射日光の入り方、照明の明るさ
- 天井高や部屋の奥行き感(図面では分かりにくい体感的な広さ)
- 共用部の雰囲気(ロビー、廊下、エレベーターホール、駐車場など)
- 室内の傷み具合やメンテナンス状況(カビ・水漏れ跡・床の浮きなど)
ライブ配信形式の内見の場合は、以下のような依頼をしてみると情報量が増えます。
- バルコニーから周囲の音をしばらく拾ってもらう(騒音レベルの確認)
- 共用部やゴミ置き場、郵便ポスト周辺も映してもらう
- エアコンやシャワーなど、水回り設備を実際に動かしてもらう
複数物件のVR内見データや動画リンクは、クラウドストレージやNotionに保管し、サムネイルやスクリーンショットを添付しておくと、後から見返したときの記憶違いを減らせます。
ZoomやTeamsを使ったオンライン商談で条件を詰める
購入を具体的に検討する段階では、オンライン会議ツールを使った商談・交渉が中心になります。ここでも、ITを使った「準備」と「記録」が結果を大きく左右します。
オンライン商談の前に準備しておきたいことは次の通りです。
- 事前にメールで質問リストを共有しておき、商談の目的を明確にする
(価格交渉なのか、管理費・修繕積立の確認なのか、賃貸需要のヒアリングなのかなど) - 物件情報・試算シート・キャッシュフロー表を画面共有用にまとめておく
- 通訳やパートナー投資家など、同席してほしい人がいれば参加URLを共有する
- 商談の録画・録音を希望する場合は、必ず事前に同意を取っておく
オンライン商談の場では、次のような点を具体的な数字で確認しておくと安心です。
- 過去の実際の成約賃料、空室期間の目安
- 管理費・修繕積立金・固定資産税・管理会社への委託料
- 購入時の諸費用(印紙税・弁護士費用・ローン関連費用など)の概算
- 将来の開発計画や大規模修繕の予定の有無
商談後は、議事録をテキストでまとめ、メールやチャットツールでエージェント側と内容をすり合わせておくと、「言った・言わない」のトラブルを減らすことができます。自動文字起こしツールを併用すれば、英語での会話でも振り返りやすくなります。
クラウドストレージと情報管理ツールで「物件フォルダ」を構築する
複数の物件を並行して検討する場合、情報管理が追いつかないと、条件や見積もりを取り違えてしまいがちです。クラウドストレージと情報管理ツールを活用して、早い段階から「物件フォルダ」を構築しておくと効率が上がります。
一例として、次のようなフォルダ構成が考えられます。
- マレーシア不動産
└ クアラルンプール
└ 物件A
- ポータルサイトのスクリーンショット
- VR内見リンク・動画ファイル
- エージェントからの見積書・メールPDF
- 簡易キャッシュフロー試算表
└ 物件B
- 同上
このフォルダに、Notionやスプレッドシートで作成した「物件比較表」をリンクしておき、家族や共同出資者、税理士・現地弁護士とも共有すれば、関係者全員が同じ情報を見ながら意思決定できます。
セキュリティ面では、次の点にも注意が必要です。
- クラウドサービスのログインには二段階認証を設定する
- パスポート情報や銀行口座情報が記載された書類にはアクセス権限を絞る
- 公共Wi-Fi利用時はVPNを使い、機密性の高い書類の送受信は避ける
海外不動産投資は、単に「良さそうな物件を買う」のではなく、「情報をどれだけ整理し、客観的に比較できるか」が成否を分けます。クラウドと情報管理ツールは、そのためのインフラだと考えるとイメージしやすくなります。
日本語対応オンライン仲介・コンサルティングの使い方
マレーシアには、日本人スタッフが在籍する不動産会社や、移住・投資を専門にサポートするコンサルティング会社もあります。これらの事業者は、Zoomやチャットアプリでのオンライン相談、VR内見の手配、契約書の内容チェックなどをワンストップでサポートしてくれることが多いです。
ただし、すべてを丸投げするのではなく、次のような観点で「どこまで任せて、どこを自分で判断するか」を決めておくと良いです。
- 報酬体系(仲介手数料・コンサル料)が物件価格とどう連動しているか
- どのデベロッパーやエリアに強いのか、得意・不得意を明示しているか
- オンライン面談で、良い面だけでなくリスクも具体的に説明してくれるか
- 資料や試算シートのフォーマットが整理されていて比較しやすいか
ITに強いパートナーであれば、ポータルサイトのリストやVR内見の動画を共有しながら、「この条件なら別のエリアも候補になる」「将来の出口戦略を考えると、賃貸需要の厚い駅近の方が良い」など、オンライン上だけでもかなり深い議論ができます。

マレーシア移住後の税金・所得税・賃料収入とオンライン申告の基本
マレーシアの税制の前提と課税対象の考え方
マレーシアは「テリトリアル課税方式」を採用しており、個人に対しては原則としてマレーシア国内で発生した所得にのみ課税されます。国外源泉所得については、居住者であっても多くのケースで免税扱いとなる期間が設けられており、日本の世界所得課税とは大きく異なるため、日・マの税務概念を分けて整理することが重要です。
税務上の居住者か非居住者かは、1暦年の滞在日数(183日超など)の要件で判断され、適用される税率・控除・申告方法が変わります。居住者は累進税率が適用される一方、非居住者は原則として一律30%課税となり、個人控除が使えないため、投資家にとってはキャッシュフローに大きな差が出ます。
投資家が整理しておくべき所得の分類
海外不動産投資家にとって最も重要なのは、「どの所得がどの国で課税されるか」を明確に線引きすることです。
マレーシア在住者の場合、マレーシア国内にある不動産の賃料は国内源泉所得として課税対象になります。一方、日本の不動産からの賃料は、日本側での申告と納税が必要となります。マレーシア側では国外源泉所得として扱われ、経過措置中は原則非課税となるため、両国で二重に課税されないよう調整が必要です。
二重課税防止条約の存在により、同じ所得に対して両国で税が重複する場合には控除や調整が可能です。投資家は、どの所得をどの国で申告したか、根拠資料とともに説明できる状態にしておくことが求められます。
マレーシア不動産の賃料収入と必要経費の取り扱い
マレーシアの不動産賃料収入は、必要経費を差し引いた「純賃料」に対して課税されます。
控除できる主な経費は以下の通りです。
- 管理費・修繕積立金などの維持管理費
- ローン返済のうち利息部分
- 保険料(火災保険・家財保険など)
- 賃貸運営に伴う修理代(エアコン修理など)
- アセスメントタックスやクイットレントなどの税金
一方で、資本的支出(大規模リノベーション)などは経費化できない場合があり、注意が必要です。
居住者であれば累進税率、非居住者であれば控除後賃料に対して一律30%が課税されるため、滞在日数による居住区分の違いが税負担を大きく左右します。
領収書・契約書・管理会社の明細・銀行入出金記録などは、クラウドストレージにまとめて保存しておくと、 e-Filing の入力時や調査対応で非常に役立ちます。
MyTax・e-Filingを使ったオンライン申告の流れ
マレーシア移住後に一定の所得がある場合、マレーシア内国歳入庁(LHDN)へのオンライン申告が必要になります。現在は MyTax ポータル経由での手続きが標準です。
主な流れは以下の通りです。
- 納税者番号(TIN)の取得
MyTax 上の e-Daftar からパスポート情報や住所を入力して申請します。審査後に個人用のTINが発行されます。 - MyTaxアカウントの初期設定
PINコードを取得し、ユーザーIDとパスワードを登録してログインします。 - 該当フォームの選択
- 雇用所得のみの居住者:Form BE
- 事業所得や賃貸を事業として扱う場合:Form B
- 非居住者:Form M
- 賃料収入と必要経費の入力
年間賃料と経費の金額を入力すると、自動で純賃料が計算されます。事前に物件別の集計シートを作成しておくと転記が容易です。 - 納税と申告期限
多くの個人申告は4〜5月が期限です。納税はオンラインバンキングやFPX決済を利用できます。
また、国内では eインボイス制度の導入が進み、将来的には賃料収入に関しても電子発行が求められる範囲が広がる可能性があります。制度変更に備えて、領収書や賃料明細をクラウドで体系的に管理しておくと安心です。
二重課税回避のための実務とIT活用
海外不動産投資家は、日本とマレーシアの税務情報を同時に扱う必要があるため、データ管理体制を整えることが必須になります。
ポイントは以下の通りです。
- 不動産ごとに、賃料収入・必要経費・納税情報を年別フォルダで管理
- 送金記録は銀行アプリやPDF明細をクラウドに保存
- 二国間で提出が必要な書類(居住者証明書など)は電子署名で管理
- 為替レート・賃料入金・ローン返済をクラウド会計と銀行APIで自動連携
- 税制アップデートは公式サイトをRSS登録し、変更を自動で収集
これにより、e-Filing の入力や税理士への説明が効率化され、移住後の税務リスクを最小限に抑えることができます。

マレーシア移住と海外不動産投資を成功させるためのIT活用チェックリスト
マレーシア移住と海外不動産投資を同時に進めると、情報・資金・契約・税金・仕事の管理など、やることが一気に増えます。ここでは、投資家目線で「どのITをどこまで使っておけば安心か」をチェックリスト形式で整理します。すべてを一度に完璧にやる必要はありませんが、抜け漏れがあると後でコスト増やトラブルにつながりやすい領域から優先して整えていくことが重要です。
情報収集と意思決定のためのデジタル環境チェック
- 物件・移住情報が点在してカオスにならないためのチェック項目です。*
- [ ] 不動産ポータルや現地ニュースサイトをまとめる情報収集ツールを用意している
物件ポータル、マレーシアの経済ニュース、日本語の現地ブログなどをRSSリーダーやニュースアプリで一元管理できるようにしておくと、新着物件や規制変更を素早くキャッチしやすくなります。 - [ ] 物件ごとのメモ・スクリーンショットを整理するノートアプリを決めている
候補物件のURL、スクリーンショット、周辺地図、担当者のコメントなどを、ノートアプリやアウトライナーで「物件ごと」にまとめるルールを決めておくと、後で条件比較がしやすくなります。 - [ ] ビザ情報・規制情報の更新を追うための公式サイトのブックマークとフォルダ分けをしている
移民局や税務当局などの公式サイトは、ブラウザのブックマークで「ビザ」「税金」「不動産関連」といったフォルダに分けて管理しておくと、必要なときに迷いません。 - [ ] 現地コミュニティやSNSグループへの参加用アカウント環境を準備している
在住者コミュニティや投資家グループに参加できるSNSアカウントを整え、通知設定を見直しておくと、重要なローカル情報を取りこぼしにくくなります。
為替・資金繰り・キャッシュフロー管理のチェック
- 「なんとなく送金している」と為替差損と手数料で利回りが目減りしやすい領域です。*
- [ ] 為替レートと手数料を常時チェックできるアプリを入れている
円とリンギットだけでなく、米ドルやシンガポールドルなど主要通貨のレートを一覧できるアプリを入れておけば、送金タイミングを決める判断材料になります。 - [ ] 日本口座とマレーシア口座の残高を一覧できる「資産管理アプリ」を導入している
複数行の口座をまとめて見られる家計簿・資産管理アプリを使うと、「移住関連の出費」「不動産関連の入出金」「生活費」が一目で把握でき、資金ショートの予防につながります。 - [ ] 家賃収入・ローン返済・維持費を「月次キャッシュフロー」として見える化している
スプレッドシートや家計簿アプリで、賃料・管理費・税金・ローン返済を月次で一覧にしておくと、利回りのブレや将来のキャッシュフローを確認しやすくなります。
会計・税務・帳票管理のクラウド化チェック
- 紙とエクセルだけで運用していると、複数国にまたがる資産管理はすぐに限界がきます。*
- [ ] クラウド会計ソフトを1つメインとして決めている
日本側の法人・個人の会計と、海外不動産の収入・支出を同じクラウド会計上で記録できるようにしておくと、後から税理士へ相談するときもスムーズです。 - [ ] 銀行やクレジットカードと自動連携する設定を済ませている
銀行APIや明細連携を設定し、家賃の入金や共用部光熱費などが自動で取り込まれるようにしておくと、手入力ミスと作業時間を大きく減らせます。 - [ ] 契約書・領収書・請求書をクラウドストレージで保管するルールを決めている
購入契約書、賃貸契約、修繕の請求書、管理会社からの明細などをスキャンし、クラウド上の「物件ごとのフォルダ」に整理しておくと、税務調査や売却時のデューデリジェンスにも対応しやすくなります。 - [ ] 領収書をスマホ撮影でアップロードするワークフローを作っている
現地で支払った細かな費用も、スマホで撮影してクラウドに放り込むだけの習慣を作っておくと、後から経費計上の漏れを防げます。
物件運用・賃貸管理のデジタルツールチェック
- 「持った後」に効いてくるIT活用の部分です。入居者対応や賃貸管理を効率化することが、実質利回りの改善につながります。*
- [ ] 管理会社とのやり取りに使うチャット・メールツールを一本化している
WhatsApp、メール、SNSなど連絡手段がバラバラだと情報が散らばります。管理会社と「原則このツールでやり取りする」というルールを決めておくことが大切です。 - [ ] 空室状況や賃料の入出金を一覧できる「物件台帳」をオンラインで管理している
スプレッドシートやデータベースツールを使い、空室期間・賃料改定履歴・修繕履歴などを記録しておくと、利回りの変化や売却タイミングの検討がしやすくなります。 - [ ] 修繕・原状回復の写真や動画をクラウドに保存している
入居前後や修繕前後の状態を写真・動画で残しておくと、トラブルがあった際のエビデンスになり、遠隔オーナーとしてのリスクを減らせます。 - [ ] 複数物件を持つ前提で「共通の管理フォーマット」を作っている
物件ごとに別フォーマットになっていると、ポートフォリオ全体の比較が難しくなります。最初の1戸から、共通の管理シート・項目を意識して作っておくと後が楽になります。
働き方・ネットワーク構築・コワーキングのITチェック
- 移住後も安定して収入を得続けるために、仕事環境とネットワークづくりにITを活かす視点です。*
- [ ] コワーキングスペースやカフェワーク向けの検索アプリ・サイトをリスト化している
インターネット速度や電源の有無、アクセスなどの条件で絞り込めるサービスを事前にピックアップしておくと、現地到着後すぐに仕事環境を確保できます。 - [ ] オンラインミーティング用の環境(カメラ、マイク、背景、回線品質)をテスト済み
ZoomやTeamsなど日常的に使う会議ツールは、日本にいる段階でマレーシアの回線品質に近い環境をシミュレーションし、音声・映像トラブルを減らしておくと安心です。 - [ ] 専門分野や投資分野のオンラインコミュニティに参加する準備をしている
Slackやコミュニティプラットフォームなど、同じ領域の投資家や起業家とつながる場を確保しておくと、現地の情報入手だけでなく共同投資の機会にもつながりやすくなります。
セキュリティ・バックアップのチェック
- 海外から資産と仕事を扱う以上、日本にいるとき以上にセキュリティ対策が重要になります。*
- [ ] パスワードマネージャーで全アカウントを一元管理している
銀行、証券、不動産ポータル、クラウド会計などのパスワードを再利用せず、パスワードマネージャーで強固なものを自動生成・保管する仕組みを整えておくことが必須です。 - [ ] 二要素認証を金融系・クラウドサービスに原則すべて設定している
可能なサービスにはSMSではなく認証アプリや物理キーによる二要素認証を設定しておくと、万が一パスワードが漏洩した場合でもリスクを大きく抑えられます。 - [ ] VPNサービスを契約し、公共Wi-Fi利用時のルールを決めている
ホテルやカフェのWi-Fiから金融機関やクラウド会計にアクセスする場合は、VPNを通すルールにしておくと、盗聴や不正アクセスのリスクを軽減できます。 - [ ] 重要データのバックアップ先を「最低2箇所」準備している
クラウドストレージと外付けストレージなど、複数の保存先を用意し、定期的にバックアップを取る仕組みを決めておくと、端末紛失や故障のダメージを最小限にできます。 - [ ] 緊急時の連絡先リスト(銀行・カード会社・管理会社・税理士等)をオフラインでも見られる形で保存している
スマホが使えない状況でも確認できるよう、連絡先一覧をPDFや紙にして保管しておくと、トラブル時の初動がスムーズになります。

