「海外不動産投資では、為替の影響はどう考えれば良いでしょうか?」
海外不動産投資では、為替の影響も大きく受けます。今回は、海外不動産投資での為替の影響と投資判断について解説します。
海外不動産投資では、必ず為替の影響を受ける
海外不動産投資をする上では、必ず為替の影響を受けます。
日本円で投資できる海外不動産は、今のところ存在しません。
必ず、現地通貨もしくは、流通している通貨(米ドルなど)で、不動産を購入する形になるためです。
シンプルな例を挙げると
- 米ドル/円:1ドル100円で、20万ドルの海外不動産を購入した場合 → 2,000万円の負担
- 米ドル/円:1ドル150円で、20万ドルの海外不動産を購入した場合 → 3,000万円の負担
- 1ドル100円で購入して → 1ドル150円で売却するのであれば、1,000万円の為替差益が発生
- 1ドル150円で購入して → 1ドル100円で売却するのであれば、1,000万円の為替差損が発生
ということになります。
「不動産価格の変動」と同じぐらい「為替変動」も、投資損益に大きな影響を与えることがわかるかと思います。
海外不動産投資での為替の影響と投資判断
基本的な考え方
基本的な考え方としては
円高の状態で海外不動産を購入して、円安の状態で海外不動産を売却で消えれば、為替差益が発生する
ということになります。
しかしながら、FXトレードではないので、数%の為替変動で、絶好のタイミングを見極めることは不可能です。これは、オフプラン物件であればディベロッパーとの契約・入金のタイミング、レディプラン物件であれば売り手との契約・入金のタイミングは、要望は言えても、買い手だけの要望で日時を指定できるわけではないからです。
つまり、ピンポイントで入金タイミングを指定することは難しいので、多少の為替変動の影響は、妥協しなければならないのです。
物件の買い時と為替の影響のバランスで見極めが必要
仮に
1ドル150円の円安の状況で、5年後に1ドル120円の円高になると予想したとします。
ドル建ての海外不動産を購入すると
- 米ドル/円:1ドル150円で、20万ドルの海外不動産を購入した場合 → 3,000万円の支払い
- 米ドル/円:1ドル120円で、20万ドルの海外不動産を購入した場合 → 2,400万円の支払い
です。
「だとしたら、5年後に120円になってから買った方が良いのでは?」
と考えるかと思いますが
5年後に同じ物件は、150%値上がりしている
とした場合は
- 米ドル/円:1ドル150円で、20万ドルの海外不動産を購入した場合 → 3,000万円の支払い
- 米ドル/円:1ドル120円で、30万ドル(50%UP)の海外不動産を購入した場合 → 3,600万円の支払い
という形で、支払い額は増えてしまうのです。
発展途上国で、物件価格の上昇がかなりの確率で予想される場合は、円高になるまで待つよりも、物件価格の上昇スピードの方が速ければ、円安の今購入した方が良い
と考える方がベターと言えます。
なぜなら
予想のしやすさで言えば
為替が円高になることよりも、発展途上国の物件価格の上昇の方が予想しやすい
からです。
海外不動産投資では、多くの投資家が発展途上国の東南アジアやアフリカ、中東などの不動産を検討しているかと思います。発展途上国の経済が発展していれば、不動産価格も上昇する可能性が高く、その上昇率は年間10%を超えることも珍しくありません。
一方で「円安から円高になる」ことを予想することはできますが、これは世界各国の経済状況、金融政策、戦争などの世界経済のトピックが大きく影響するものであり、確実な予想がしにくい不確実なものです。
不確実性の高い「○年後に円高になる」という予想よりも、確実性の高い「物件価格の上昇」を重視した方が投資判断としては、良い結果になる可能性が高いのです。
それでも、「円安で海外不動産を買うのが気になる」という方は、以下の方法をおすすめします。
海外不動産投資の為替の影響を抑える方法
1.数年の「分割払い」のオフプラン物件を購入する
オフプラン物件は、物件が完成する5年、6年間の間、分割で支払いをする形が採用されています。
数年間の分割払いですので、そのタイミングの為替レートで、日本円を現地通貨に両替して支払えば良いため
数年間の為替レートが平準化される
のです。
円安の状況で、数年かけて円高になった場合は、その平均値で購入できることになるため、為替の影響は最小限に抑えることができます。
一括払いでオフプラン物件を購入したり、レディプラン物件を購入する場合は、その瞬間の為替レートの影響を受けてしまうため、円高のタイミングの方がお得と言えます。
2.円高のタイミングで現地通貨または米ドルに換えておく
海外不動産投資をする場合には
現地通貨
を採用することになります。
- 狙っている国が明確な場合 → 為替レートが良い時(対円で円高の時)に現地通貨に交換しておく
- 狙っている国が決まっていない場合 → 為替レートが良い時に米ドルに交換しておく
ことをおすすめします。
円高の時に、外貨(米ドルなど)に変えて、預金しておけば、いざというときに不動産の購入資金に充てられるからです。日本の銀行よりも、外貨の方が利息も付くので、将来海外不動産投資を考えているのであれば、外貨を持っておいて損はないのです。
また、米ドルを持っておけば、米ドルと海外不動産投資を行う国の為替レートが重要になります。日本円が弱い状況だと、円安の時は身動きが取れなくなってしまいますが、総じて通貨が強い米ドルであれば、有利な条件で現地通貨に両替することができる可能性が高いです。
つまり、海外不動産投資を検討しているのであれば
円高の時に、まとまった資金を外貨に両替して、高い利息で運用しておいて
いざ、海外不動産を購入するというときにその外貨を利用する
というのが賢い運用方法と言えます。
まとめ
海外不動産投資では、為替の影響を大きく受けます。
円高の時に買うのが一番、為替差益が狙えるのですが、都合の良い為替レートになることを待っていると、いつまで経ってもの海外不動産は買えずに、海外不動産の価格だけが上昇してしまいます。
不確実性の高い「○年後に円高になる」という予想よりも、確実性の高い「物件価格の上昇」を重視した方が投資判断としては、良い結果になる可能性が高いのです。
それでも、円安のタイミングで海外不動産を買いたくない方は
- 分割払いのオフプラン物件を購入する
- 円高の状況で事前に資金を外貨に換えておく
ことをおすすめします。