「海外不動産の購入代金の支払いはどうすれば良いの?」
「海外不動産の売却代金の受け取りはどうすれば良いの?」
「できるだけ送金手数料を抑えたいんだけど・・・」
海外不動産に限らず、海外の資産をお持ちの方や、海外との取引をする方、海外送金の経験がある方は、同じような悩みを抱えています。今回は、海外不動産の海外送金・支払いはどういう選択肢があるのか?について解説します。
海外不動産投資家の送金時の悩み
海外不動産投資家が送金時に抱える悩みは以下のようなものがあります。
高額な送金手数料
多くの銀行や従来の国際送金サービスでは、送金額に対して高額な手数料がかかることが一般的です。この手数料は投資家にとって無視できないコストとなり、送金額が大きいほど負担も増えます。
不利な為替レート
国際送金には為替レートが関わりますが、銀行などのサービスでは市場レートに上乗せされた不利な為替レートが適用されることが多いです。これにより、実際に受け取る金額が減少し、投資の利益が削られることになります。
送金の遅延
送金が遅れることで、物件購入や維持費の支払いに支障が出ることがあります。特に、不動産取引ではタイムリーな資金移動が求められるため、送金の遅延は大きなリスクとなります。
送金プロセスの複雑さ
国際送金の手続きは煩雑で、投資家がすべての手順を正確に理解しなければならないことが多いです。送金先の銀行情報や、必要な書類の用意など、時間と手間がかかる場合が多く、特に初めての送金では不安が伴います。
送金トラブルやセキュリティの懸念
送金が失敗したり、資金がどこかで止まってしまうことが不安要素です。また、セキュリティ面でのリスク、例えば詐欺やハッキングなども心配の種となります。大きな金額を扱う場合、その不安は一層強まります。
為替変動リスクの管理
送金タイミングによっては、為替レートが大きく変動し、思わぬ損失が発生するリスクがあります。為替レートの変動を予測するのは難しく、投資家にとっては予想外のコスト増加となることが少なくありません。
送金先国の規制や法的要件
各国の法律や規制によって、送金が制約を受ける場合があります。特に、一部の国では資金の移動に厳しい制限が設けられており、これに従うための手続きが煩雑になることがあります。
これらの悩みを解決するために、投資家はよりコスト効率が高く、信頼性のある送金方法を探しています。Wiseなどのフィンテックサービスは、こうした問題に対応する新しい選択肢として注目を集めています。
海外不動産購入時に取れる送金の選択肢
日本人の海外不動産投資家が利用できる送金方法の選択肢はいくつかあります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、投資家のニーズや状況に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
銀行送金(銀行による海外送金)
銀行を通じた国際送金は最も一般的な方法です。日本の銀行から海外の銀行口座に直接資金を送金することができます。
メリット
- 安全性が高く、信頼性がある
- 多くの銀行が対応している
- 銀行間での直接送金が可能
デメリット
- 送金手数料が高額になりがち。(中継銀行の手数料などが必要なケースもある)
- 為替レートが不利な場合が多い(為替手数料が高い設定)
- 送金に数日かかることが一般的
- 手続きが複雑で書類が必要なケースもある
国際決済サービス
Wise、PayPal、bitwalletなど、世界を股に掛けた国際決済サービス、国際送金サービスが一つの選択肢です。
メリット
- 市場の中間レートを使用し、手数料が非常に低い
- 送金速度が速い
- 透明性が高く、手数料が明確
- オンラインで簡単に手続きが可能
デメリット
- 対応通貨が限られている場合がある。
- 高額送金における手数料が割高になることもある。
- 日本の法令的に使えなくなる可能性がある。
- 1回の送金上限・送金制限があるものが多い
仮想通貨(暗号資産)
ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨を利用して国際送金を行う方法もあります。
メリット
- 送金速度が非常に速い
- 手数料が低い場合が多い
- 国際的な制約が少ない
デメリット
- 仮想通貨の価格変動リスクがある
- 送金先が仮想通貨に対応している必要がある
- 法的な規制やセキュリティリスクが存在する
日本の企業が提供している国際送金サービス
SBIレミットなどの、日本国内の企業が提供する国際送金サービスで、送金が可能です。
メリット
- 手続きが簡単で、オンラインで利用可能
- 手数料が比較的低い
- 日本国内の企業が提供するサービスで安心感がある
デメリット
- 対応国が限られている場合がある
- 送金先の国やデベロッパーが受け付けていない可能性がある
- サービス内容が他の送金サービスよりも限定的な場合がある
クレジットカード
一部の海外不動産のディベロッパーでは、手付金や分割払いなどはクレジットカード払いが可能となっています。
メリット
- 即時決済が可能
- ポイントやキャッシュバック特典が得られる
デメリット
- 対応しているディベロッパーが少ない
- 限度額が小さいと支払いができない
- 一部の代金しか支払えないケースがある(頭金、手付金、分割払いの金額)
- 手数料は、ディベロッパー持ちなので、その分割高になっている可能性がある
海外不動産購入代金の支払い・海外送金はどうするのがベスト?
当然ですが、考えなければならないのは
高額な海外不動産の購入金額、または売却金額の送金は、送金手数料が0.1%違うだけでも大きな手数料の差になる
という点です。
できるだけ手数料が安くなる送金法帆を選択すべき
なのですが
- 送金先の国によって使える送金方法が限られる
- 送金先のディベロッパーによって使える送金方法が限られる
- 送金先のディベロッパーの銀行口座がある銀行によって送金方法が限られる
という制限が出てくるので、ベストな方法は
1.ディベロッパーにどんな送金方法が取れるのか?選択肢を聞く
ディベロッパーにどういう送金方法があるのか?聞きます。
直接、ディベロッパーとやり取りしていない場合は
- 海外不動産エージェントに聞く
- 海外の不動産会社に聞く
対応で選択肢を探ります。
この時に、海外不動産エージェントや海外の不動産会社に「この方法がベストですよ。」と言われることもありますが、それで決め切るのではなく、「他の方法がないか?」自分で探ることが重要です。送金に関しては、海外不動産エージェントや海外の不動産会社が熟知しているわけでもありません。
2.取れる選択肢の為替レート・手数料を算出する
取れる選択肢の送金方法がわかったら、後は為替レート・手数料を計算します。
考え方はシンプルで
- 今のレートで、購入代金を払うのに、日本円でいくら必要か?
だけです。
これで、為替レートの差も、手数料の差も、加味されることになります。
当然、米ドルなどで支払う方や暗号資産で支払う方は、その「保有している資産でいくら使うか?」で比較すると良いでしょう。
3.一番安い送金方法がわかったら、最終チェックする
一番安い送金方法がわかれば、後は、最終チェックとして
- 隠れた手数料はないか?
- 自分でできる送金方法なのか?
- ディベロッパー(海外不動産エージェント)に本当にこの方法が使えるか?
- 送金にかかる日数の目安はどのくらいか?(入金が必要なタイミングに間に合うか?)
を確認します。
4.送金を実行する
最終チェックで問題なければ、送金を実行します。
まとめ
前述した手順を踏めば、まず間違えなく、一番有効な送金方法で送金することが可能です。
よくある質問が
「送金方法を自分で調べるのは面倒なので、海外不動産の購入で一番良い方法を教えてよ。」
というものなのですが、「これが一番」と言い切れないのは
- 国によって違う
- ディベロッパーによって違う
- 時期によって違う
- 状況によって違う
ということなのです。
昔有名だったのは、NETELLERという国際送金サービスだったのですが、法令違反の問題で、日本では利用できなくなってしまいました。また、bitwalletもメジャーな送金方法でしたが、1回の送金が50万円という制限が入ってしまったのです。
暗号資産(仮想通貨)も、日本で換金して送金した場合に、税金面のリスクが出てくる可能性もありますし、「手間が多い支払い方法は安くても嫌だ。」という投資家もいます。
状況によって、ベストな送金方法は変わってくるため、都度、自分で調べながら、送金方法を選択すれば、ほぼ確実に一番安い方法を選択できますし、送金方法のビジネスモデル、手順、リスクも覚えることで、今後のリスクヘッジにもなります。ある程度の手間や労力はかかりますが、自分で探ることが最大のリスクヘッジと収益性の向上の要因なのです。