目次

海外不動産求人の全体像と主な職種

海外不動産関連の求人は、「日本の会社による海外不動産の販売・営業型ポジション」と「現地法人や外資企業による実務・開発・投資管理職」に大きく分かれます。どちらを志望するかによって、必要なスキルや採用のアプローチがまったく異なります。

日本の会社での海外不動産求人の特徴

日本の企業が扱う海外不動産関連求人は、主に国内拠点から海外不動産を販売・営業するポジションが中心です。具体的には以下のような業務領域が多く見られます。

  • 投資用マンション・別荘などの販売・仲介営業
  • 不動産セミナーやウェビナーの企画・運営・登壇
  • 海外現地法人やデベロッパーとの提携調整・マーケティング支援
  • 日本人投資家への資産形成コンサルティング

営業職の場合、BtoC型の対個人投資家営業が主流で、「富裕層向け資産提案」「インバウンド投資家対応」など、販売・説明力と信頼構築スキルが評価されます。英語力は必ずしもネイティブレベルである必要はなく、パンフレットや契約書の読解ができる程度でも実務上問題ないケースが多いです。

海外の会社での不動産求人の特徴

一方で、海外現地法人や外資系企業の求人では、不動産投資・運用・開発に関する専門的職種が中心となります。職種の例としては次のようなものがあります。

  • アクイジション(Acquisition):投資物件の取得・ソーシング
  • アセットマネジメント(Asset Management):運用・収益最大化戦略の立案と実行
  • プロパティマネジメント(Property Management):管理・リーシング・テナント対応
  • デベロップメント(Development):開発企画・施工管理・許認可調整
  • キャピタルマーケッツ(Capital Markets):ファンド組成・資金調達・EXIT戦略

これらはBtoB業務が中心であり、デベロッパー・ファンド・投資銀行・REITとの交渉力が求められます。日本企業と違い、「IRR(内部収益率)」「NOI(純営業利益)」「キャッシュフロー」などの数値分析やファイナンスの理解力が重視される傾向にあります。

共通して評価される専門スキル

日系・外資を問わず、以下のような分析・調査・評価系のスキルは高く評価されます。

  • バリュエーション(Valuation):物件価値や収益性の評価
  • デューデリジェンス(Due Diligence):法務・財務・物理的リスクの精査
  • マーケットリサーチ:立地データや市場動向分析
  • キャピタルマーケット知識:投資ファンド・REIT・融資スキームの理解

これらは営業職であっても応用される分野であり、近年では営業と投資運用のハイブリッド人材が重視されています。

日本の会社と海外の会社の役割の違い

両者の役割の違いを整理すると以下のようになります。

比較項目日本の会社海外の会社
主な業務日本人投資家向け販売・営業投資・開発・管理などの実務
対応相手個人投資家(BtoC)投資法人・テナント・金融機関(BtoB)
英語要件読解中心(書類理解レベル)ビジネス英語・交渉レベル
求められるスキル営業力・顧客提案力・宅建など財務分析・Argus運用・建築知識など
報酬構造日本円+インセンティブ重視現地通貨+成果報酬・Carry制度あり

日本企業は「販売・説明・集客」に強みを持ち、海外企業は「運用・開発・分析」を担う構造です。どちらも不動産投資のバリューチェーンの一部を担っており、キャリアとしては「日本で販売→海外で運用・開発」という流れでのキャリアアップも現実的です。

営業経験から海外実務へ橋渡ししたい方は、まず国内で成果を数字で示し、次に海外の実務知識を補強することが最短ルートですよ

条件設計。国・職種・言語・ビザの優先順位と日海外比較

海外不動産の求人を探す際、最初に整理すべきは「どの国で」「どの職種で」「どの言語を使い」「どのビザで働くか」という4つの軸です。これらを明確にしておくことで、求人検索の精度が格段に上がり、現実的なキャリアプランを描くことができます。

国の選定と就労条件の違い

海外不動産業界では、国によって求められるスキルと業務範囲が大きく異なります。

シンガポールや香港は金融・投資型が中心で、アクイジションやアセットマネジメントの経験が重視されます。

一方で、タイやマレーシアなどの新興国では、開発・リーシング・PM(プロパティマネジメント)業務が広く求められます。

アメリカやイギリスでは、資格(CFA・MRICS)やファンド運用経験が必須条件として扱われるケースが多く、即戦力としての評価軸が明確です。

一方、日本拠点の企業では、現地投資家向け営業やセミナー運営など「投資家対応スキル」が重視されます。勤務地が日本国内(東京・大阪など)でも「海外物件を扱う営業」という形態で海外案件に携われるケースもあり、ビザ不要で参入できるのが利点です。

職種別の優先順位とキャリア軸

職種の優先順位を整理する際は、「自分の強みがどこで通用するか」を基準に考えることが重要です。

営業職(Sales / Investor Relations)は日本人投資家を相手にするポジションが多く、語学よりも販売実績や宅建などの資格が評価されます。

一方で、現地実務職(Acquisition / Asset Management / Development)は分析力・英語力・ファイナンスモデリングの精度が鍵を握ります。

特に海外企業ではArgus、Power BI、Excel VBAなどのツールスキルを明記できると有利です。

キャリアのステップとしては、「日本の会社で営業力と顧客理解を積む → 海外企業の実務職へ転身」というルートが現実的です。国をまたぐ場合でも、この順序を意識して条件を設計するとミスマッチを避けやすくなります。

言語要件の現実ライン

日本の会社では「英語の読解力・メール対応レベル」があれば十分なケースが多いですが、海外勤務ではビジネス英語+現地言語(中国語・タイ語・ベトナム語など)の理解が求められます。

採用担当者が重視するのはTOEICスコアではなく、「交渉・資料作成・会議進行を自力でこなせるか」です。

また、海外企業ではCVや面接で「STAR法(Situation, Task, Action, Result)」を英語で説明できるスピーキング力も評価対象になります。

ビザ・在留資格と雇用安定性

ビザの取得要件は企業選びの決定的な要素です。

日本の会社であればビザ不要で海外案件に関わることが可能ですが、現地企業への転職では「スポンサー実績のある企業かどうか」を確認することが必須です。

特にシンガポールや香港では、学歴や給与基準によって発給制限が厳しく、現地での就労経験があると優遇されやすくなります。

また、アメリカやオーストラリアなどは「永住権・ワークビザの取得可能性」が長期キャリアの安定に直結します。

報酬通貨とインセンティブの違い

給与体系にも国ごとの明確な差があります。

日本企業は日本円(JPY)での固定給+成果連動型インセンティブが一般的で、営業成果に応じて年収が変動します。

一方、海外企業は現地通貨(USD・SGD・GBPなど)で支給され、業績連動ボーナスやCarry(成功報酬)制度が導入されている場合が多いです。

為替リスクを考慮した「報酬通貨の選択」も条件設計において見逃せないポイントです。

海外不動産求人を探すときは、自分の“現実的な立ち位置”を正確に把握することが最短ルートです。まずは「国・職種・言語・ビザ」の4軸を整理して、どこに強みがあり、どの条件が妥協できないかを明確にしておくと、応募の精度が格段に上がりますよ

求人プラットフォーム活用。日本ローカルとグローバルの使い分け

日本ローカルプラットフォームの特徴と強み

日本の不動産関連求人は、「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「doda」「ビズリーチ」などの大手転職サイトが依然として強い集客力を持っています。特に、海外不動産販売や投資用マンション営業など、日本国内で海外案件を扱う企業の求人はこれらの媒体で多く見つかります。

また、専門領域では「不動産キャリア」「建設・不動産転職ナビ」など、不動産業界に特化したサイトが有効です。宅建保有者や営業経験者を積極的に採用する傾向があり、応募要件も日本語中心で比較的ハードルが低い点が特徴です。

加えて、LinkedInの日本語検索機能を活用すると、日本法人が出している「海外不動産担当」「インバウンド営業」などのポジションを見つけやすくなります。英語での検索に不慣れな方でも、業界用語を日本語で検索して求人を拾える点は大きな利点です。

グローバルプラットフォームの活用戦略

一方で、現地採用やグローバル企業のポジションを狙う場合には、海外求人サイトの活用が必須です。代表的な媒体には次のようなものがあります。

  • LinkedIn:国・職種・企業名での検索が可能で、JLLやCBREなどの大手外資系不動産会社が頻繁に求人を掲載。
  • Indeed:ローカル版が各国で展開されており、勤務地を国ごとに指定して検索できます。
  • Glassdoor:求人と同時に給与・社員評価・面接体験が閲覧でき、現地相場感を把握するのに最適。
  • eFinancialCareers:金融・不動産投資関連に特化しており、アセットマネジメントやデューデリジェンス系求人が豊富。
  • JobsDB・Seek:アジア圏(特にシンガポール・香港・オーストラリア)の求人に強く、現地勤務を希望する方におすすめです。

これらを組み合わせることで、外資系ディベロッパー、リート運用会社、海外PM・開発企業など、より実務寄り・専門性の高いポジションを狙うことができます。

横断検索と情報収集の自動化

求人を効率的に探すには、媒体ごとにチェックするのではなく、「Googleしごと検索」を活用するのが効果的です。

検索欄に「site:linkedin.com OR site:indeed.com real estate Singapore」などの条件を入力すれば、複数サイトを横断的に検索できます。さらに、保存検索機能やメールアラートを設定しておくことで、新着求人を自動で受け取る仕組みが作れます。

また、応募管理にはスプレッドシートを活用し、応募日・企業名・進捗状況・連絡日を可視化すると便利です。GoogleスプレッドシートやNotionを連携させておくと、応募後の面接スケジュール管理にも活用できます。

口コミ・報酬相場の確認方法

給与水準や福利厚生、現地の勤務環境を確認する際は、Glassdoorが非常に有用です。企業ごとのレビューに加え、面接プロセスや採用スピードに関する情報も得られます。

国内企業については、「OpenWork」「転職会議」などの口コミサイトを併読し、企業文化・残業時間・成長機会を比較しておくと安心です。

特に報酬体系(固定+インセンティブ型、年俸制、通貨建てなど)は日系と外資で差が大きいため、応募前に調べておくことが重要です。

求人サイトを使い分けるポイントは、自分の狙う「立ち位置」を明確にすることです。日本で営業スキルを活かすのか、海外で実務に挑むのかで使うサイトも戦略も変わります。LinkedInとGoogleしごと検索は共通の軸として、求人情報を“取りこぼさない仕組み”を作るのが最短ルートですよ

企業直応募とATS攻略。日本拠点と外資グローバルの違い

日本企業の直応募は「人事メール+応募フォーム」中心

日本の海外不動産関連企業(例:三井不動産リアルティ、野村不動産、住友不動産販売など)は、採用ページを職種横断的にまとめているケースが多く、応募は「専用フォーム」または「採用担当宛メール」が中心です。

企業サイト内で「海外不動産」「投資用」「海外拠点」などのキーワードを検索し、非公開ポジションも含めて応募チャンスを探すのが基本です。

また、日本拠点の企業では「エントリーフォームの入力精度」や「日本語職務経歴書のフォーマット準拠」が重要視されるため、ATS(採用管理システム)に自動で読み取られる英語キーワードよりも、形式美と丁寧な説明が評価されやすい傾向にあります。

人事担当者が直接チェックするため、フォーマット崩れやメールの添付エラーを防ぐこと、カバーレターで「なぜ海外不動産か」「どの地域・市場に関心があるか」を明確に書くことが差別化の鍵です。

外資グローバル企業の直応募は「ATS連動+キーワード最適化」

一方、JLL(ジョーンズラングラサール)、CBRE(シービーアールイー)、Savills(サヴィルズ)、Cushman & Wakefield(クッシュマン&ウェイクフィールド)、Colliers(コリアーズ)といった外資不動産会社では、応募はすべてATS(採用トラッキングシステム)経由です。

主なATSには Workday、Greenhouse、Lever などがあり、応募フォームで入力する職歴・スキル情報が自動解析され、キーワードマッチ率がスクリーニング通過を左右します。

したがって、英文履歴書やカバーレターには求人票の記載内容をそのまま反映させることが重要です。

たとえば、「real estate acquisitions」「asset management」「valuation」「capital markets」「Argus」などのワードをATSに認識させることで、自動選考通過率が高まります。

さらに、WorkdayやGreenhouseの「Job Alerts(求人通知)」を設定すれば、地域や職種ごとに新着ポジションを自動受信でき、グローバル拠点間での転職機会を逃さずキャッチできます。

リファラルと内部推薦の活用

海外不動産業界では、リファラル(紹介応募)が内定率を大きく押し上げます。

日本ではOB・OG訪問や不動産投資セミナー講師などを通じた紹介が有効で、LinkedIn上で企業名+「Japan」「Real Estate」などで現職者に直接メッセージを送るアプローチも一般的です。

海外ではさらに、大学・MBA卒業生の Alumniネットワーク や、現地の 日本人不動産コミュニティ(例:Singapore Japanese Property Networkなど) 経由でのリファラルが強力です。

ATSを通して応募する際も、紹介者の名前を入力欄に記載することで、採用担当者の目に留まりやすくなります。

ATS通過率を高める英文CVの最適化ポイント

  • キーワード配置:求人票にある主要スキル(例:Investment Analysis, Due Diligence, Financial Modeling)をCVの「Experience」「Skills」欄に自然に組み込む
  • 成果指標の明示:AUM、IRR、NOIなど数値指標を盛り込むとスコアが上がる
  • ファイル形式の統一:PDFよりWord形式(.docx)の方が一部ATSでは読み取り精度が高い
  • 英語表記の一貫性:”Real Estate Investment”と”RE Investment”を混用しない

ATSは「内容の深さ」より「キーワード一致率」を重視するため、求人票の文言を部分的に“鏡写し”にする意識が合格率を高めます。

ATSは機械的なフィルタですが、採用担当者に届くまでの“最初の関門”です。日本拠点では誠実な書類と人柄が重視され、外資グローバルではキーワードとスコアが重視されます。どちらの文化にも合わせた戦略的応募を意識していきましょう

検索効率最大化。ブール式とX―rayの日本版と海外版レシピ

海外不動産の求人は、単純なキーワード検索では上位求人を逃すことが少なくありません。特にLinkedInやGoogleを活用する場合、ブール式(Boolean Search)やX-ray検索を使うことで、見落としを大幅に減らせます。ここでは、日本語圏と英語圏の両方で有効なレシピを紹介します。

ブール式検索の基本と日本語圏での使い方

ブール式検索とは、「AND」「OR」「NOT」などの論理演算子を組み合わせて、検索条件を精密化する方法です。

たとえば、日本語求人サイト(リクナビNEXT、マイナビ転職、dodaなど)では、演算子が明示的に対応していない場合もありますが、Google経由の「site:」検索で実現可能です。

日本語検索の例

  • "海外不動産" AND 営業 AND (投資 OR 資産)
  • "不動産開発" AND ("英語" OR "バイリンガル") AND ("シンガポール" OR "香港")
  • site:indeed.com "海外不動産" "営業" "正社員"

これにより、「海外不動産営業」「英語を使う不動産職」など、複合条件に一致する求人だけを抽出できます。

実践ポイント

  • 二重引用符(””)で完全一致検索。
  • 括弧(())を使って条件をグループ化。
  • ORを挟むことで類義語や関連キーワードも拾う。
  • 検索結果はGoogleアラートに登録して、自動通知化。

英語圏・海外求人でのブール式活用

英語圏のプラットフォームでは、ブール式が標準機能として動作します。特にLinkedIn、Indeed、Glassdoor、eFinancialCareersなどは、論理演算子をフル活用できます。

英語圏での例

  • (real estate) AND (acquisitions OR "asset management") AND (Singapore OR Malaysia)
  • (property OR real estate) AND ("project development" OR construction) AND ("Japanese speaker")
  • (investment OR portfolio) AND (real estate) AND ("Asia Pacific") -internship

応用テクニック

  • マイナス(-)で除外条件を追加(例:-internship
  • 地域名+職種+スキルをセットで検索(例:Tokyo real estate Argus
  • 求人種別で絞り込み(例:"full-time" AND "real estate analyst"

海外求人は職務タイトルが多様なため、「acquisitions」「development」「leasing」など、不動産関連の英語職種名を複数指定するのが効果的です。

X-ray検索でLinkedInや企業サイトを直接探索

X-ray検索は、Googleなどの検索エンジンで、特定サイト内を精密検索する手法です。LinkedInやWorkday、GreenhouseなどのATS(採用管理システム)サイトを直接狙うことで、通常の検索では出てこない求人情報を見つけられます。

日本語・海外別X-ray例

  • LinkedIn求人(東京・日本語)
    site:linkedin.com/jobs "real estate" "Tokyo"
  • Workday採用サイト(グローバル企業)
    site:workdayjobs.com acquisitions real estate
  • CBREのアジア求人
    site:cbre.com "asset management" "Singapore"
  • 日本人駐在・現地採用探索
    site:linkedin.com/in "real estate" "Japan" "Singapore" "bilingual"

補足:ATS(Workday・Greenhouseなど)の特徴

  • Workday:大手外資(JLL・CBRE・Blackstoneなど)が採用。
  • Greenhouse:中堅〜ベンチャー企業が採用。
  • 検索キーワードに「workday」「greenhouse」を入れると、ATS経由の公式求人ページを拾える。

自動化と検索効率の最大化

求人探索は継続的な情報収集が鍵です。検索条件を自動化して、機会損失を防ぎましょう。

  • Googleアラートで定期通知(例:「site:linkedin.com real estate Tokyo」)
  • RSSフィードを使い、新着求人をスプレッドシートに自動登録
  • Slack連携で求人キーワードを通知(ZapierやIFTTT経由)
  • 応募進捗をスプレッドシートで可視化し、企業別にトラッキング

検索構文を理解して活用できれば、海外不動産求人は「探す」から「見つける」段階に進めます。少しの工夫で検索効率は何倍にもなりますよ

応募書類の作り分け。営業職と現地実務職の必須要素

海外不動産の求人では、応募書類の精度が内定率を大きく左右します。営業職と現地実務職では求められる要素が異なり、採用担当者が見るポイントも変わります。ここでは、両者の応募書類を作り分けるための実践的な要点を整理します。

営業職向け応募書類の作成ポイント

営業職の場合、日本企業・外資系企業を問わず「数値化された成果」と「顧客対応力の再現性」が最重要視されます。

職務経歴書では、抽象的な表現ではなく、具体的なKPIを記載することが鍵です。

主な記載要素

  • KPI・実績指標:月間商談数、成約率、平均単価、粗利率、顧客継続率など
  • 活動プロセスの見える化:「セミナー登壇」「オンライン商談」「リファラル経由」など行動別の成果を数値で提示
  • スキル強調:CRM(Salesforceなど)活用、メールマーケティング、プレゼン資料作成力
  • 成果ストーリー:単なる数字でなく、「課題 → 対策 → 結果」を短く構成して説得力を出す

また、登壇歴・セミナー講師経験があれば必ず明記しましょう。投資家向け営業では、知識+信頼感を兼ね備えた“教育型セールス”が高評価です。

現地実務職向け応募書類の作成ポイント

開発・アセットマネジメント・リーシング・PMなどの現地実務職では、英語CV(履歴書・職務経歴書)にプロジェクト実績と分析力の裏付けを示すことが不可欠です。

採用側は「どの規模・どの資産タイプを扱っていたか」を具体的な数値で知りたがります。

主な記載要素

  • Deal Sheet(取引一覧):AUM(運用資産額)、IRR、NOI、DSCR、Exit仮定、キャッシュフロー分析
  • 使用ツール:Excel(財務モデル)、Argus、Power BI、Tableauなど
  • 実務領域:DD(デューデリジェンス)、リーシング契約、開発スケジュール、キャピタルマーケット連携
  • 成果定量化:「運用効率を10%改善」「空室率を15%削減」などの改善実績を短く記載

英語圏企業の場合、数字の信頼性が重視されるため、裏付けデータの一貫性と構成の正確さが評価されます。

また、各国の法制度・税制の知見をCVの「Knowledge」欄で補足すると、専門性の幅を示すことができます。

共通項目と差別化の工夫

共通の重要要素

  • 求人票の要件を「鏡写し」で反映(求めるスキル・資格・言語をそのまま使う)
  • 書類の上部に「職種+応募国」を明記(例:Sales Executive – Japan Market / Asset Manager – Singapore)
  • 応募フォーマットはPDF固定、ファイル名も統一(例:Taro_Yamada_CV_Singapore_2025.pdf)

差別化のコツ

  • 営業職:人脈・信頼構築・成果再現性を定性的+定量的に
  • 現地実務職:案件規模・分析スキル・国際会計や法務対応を定量的に
  • レファレンス(推薦者):営業職は顧客+上司、現地実務職は上司+会計士や弁護士など士業系を選ぶと信頼性が高まります

営業職は「人を動かす実績」、現地実務職は「数字で示す実力」。この違いを意識して書類を磨けば、海外不動産業界での選考突破率は格段に上がりますよ

面接対策。営業ロールと現地実務ロールの想定問答

営業ロール(日本の会社・対個人投資家向け)

海外不動産の営業職では「商品理解」「顧客深掘り」「成約率の再現性」が問われます。面接官は「どのように信頼を築くか」「数字をどう作るか」を具体的に聞いてきます。典型的な質問と答え方の例を示します。

想定質問例と回答の方向性

  • Q. 投資用不動産の提案で最も重視していたことは?
    A. 収益モデルや出口戦略を可視化し、顧客の投資目的(節税・資産保全・リタイア後収入)に合わせてROIやIRRを提示したことを強調します。
  • Q. 成約率を上げるために実践していた工夫は?
    A. CRM(Salesforceなど)で商談進捗をデータ管理し、顧客属性別の提案テンプレートを運用していた点を説明します。
  • Q. クレーム対応の経験を教えてください。
    A. 契約書・説明義務の遵守を前提に、顧客心理を汲んで迅速な代替提案や上長報告を実施した事例を述べます。数字(顧客満足率や再契約率)を添えると効果的です。
  • Q. 英語をどの程度使っていましたか?
    A. 物件概要書や契約関連の読解中心だったか、英語での電話・メール対応を行っていたかを具体的に。海外物件営業でも「英語は読める+書ける」程度で十分評価されます。

面接官が見ているポイント

  • 説得力あるロジックと提案の再現性
  • 成果を定量的に説明できるか
  • 顧客心理への理解と誠実な対応姿勢
  • 法規・契約関連の基礎知識(宅建・建築基準法・消費者契約法など)

現地実務ロール(海外の会社・アクイジション/AM/PM系)

海外の現地採用・外資系ロールでは「定量分析力」「法規・会計の理解」「チーム連携」「文化的適応力」が重視されます。想定問答はケーススタディ形式が多く、英語対応を前提に準備が必要です。

想定質問例と回答の方向性

  • Q. You are evaluating a property with 6% NOI yield. How would you assess if it’s a good deal?
    A. NOIを基にDCFモデルを作成し、Cap RateやIRRを地域平均と比較。レントロール・稼働率・維持コストを確認し、Sensitivity Analysisでリスクを数値化したと説明します。
  • Q. Describe your experience with asset management or Argus modeling.
    A. Argus Enterpriseでのキャッシュフロー構築経験、またはExcelベースでのNOI予測・Exit分析を具体的に示します。実際の取引規模(例:AUM 5億円、IRR 8%など)を添えると説得力が増します。
  • Q. How do you handle cross-cultural team communication?
    A. SlackやTeamsでの進捗共有、定例会議での要点整理などを通じ、文化差による誤解を防いだ経験を話します。自発的に確認・報告する姿勢を示すことが重要です。
  • Q. What risk factors do you evaluate before acquisition?
    A. Market risk、Legal risk、Liquidity risk、Environmental riskの4区分で説明し、実際の調査・対策(例:法務DDで権利関係確認、施工業者の信用調査)を述べます。

面接官が見ているポイント

  • 財務・評価モデルを自分の言葉で説明できるか
  • 論理的思考と現地商慣習の理解度
  • チーム協働・コミュニケーション力
  • 英語での即答力(STAR法で簡潔に)

共通の面接準備ポイント

  • STAR法(Situation・Task・Action・Result)で回答を構成する
  • マーケット理解を問われたときに即答できるよう、対象国の不動産ニュース・利回り相場・政策動向を週次で整理
  • 成果を「数字+再現性」で語る
  • 想定問答を音読練習し、表情と声のトーンを一定にすることで自信を演出

面接では数字や再現性を意識して、自分の成果を“誰が聞いても納得できる形”で伝えることが大切です。英語面接でも、STAR法と短文構成を徹底すれば必ず安定しますよ

キャリア戦略。日本発で営業力を磨き海外実務へブリッジ

海外不動産業界でキャリアを築くには、いきなり海外本社や現地法人を狙うのではなく、日本発での営業・投資家対応スキルを基礎に、段階的に海外実務へと橋渡しする戦略が最も現実的です。特に不動産投資・開発分野は法制度・商習慣・税制が国ごとに異なるため、基礎体力を日本で養い、確実にステップアップすることが成功の鍵となります。

日本拠点での営業経験がキャリアの土台になる

まず短期的には、日本の海外不動産販売会社で営業力を徹底的に磨くことが重要です。

この段階では、富裕層投資家や法人顧客に対して、物件提案・投資分析・契約交渉を行う実務経験を積みます。

ここで身につく「投資家解像度(顧客ニーズの深い理解)」と「クロージング力(商談を成果に変える技術)」は、国や企業を問わず評価される普遍的なスキルです。

特に営業KPI(商談数・成約率・粗利・リピート率)を可視化し、数字で成果を語れるようにしておくことが、後の海外転職で大きな武器になります。

中期戦略。出向・副業・派遣で現地実務に接続

営業で実績を積んだ後は、出向・短期派遣・副業などを通じて、現地業務に触れる機会を持ちましょう。

不動産デューデリジェンス(DD)、モデリング、リーシング、PM(プロパティマネジメント)など、海外実務のプロセスに接点を持つことが目的です。

たとえば、日本法人が扱う海外プロジェクトの投資判断に携わる、もしくは現地開発チームとの協働でキャッシュフロー分析を担当するなど、部分的でも「現地業務の理解」を示せる経験はキャリアの橋になります。

副業プラットフォームやLinkedIn経由で、海外案件をリモートでサポートするケースも増えています。

長期的展望。現地採用・外資横滑り・二刀流キャリアへ

長期的には、外資系不動産会社(JLL、CBRE、Cushman & Wakefield、Savills、Colliersなど)や海外ディベロッパーでの現地採用を目指します。

その際に有利なのは、「日本人投資家のカバレッジ経験 × 現地実務スキル」という二刀流の強みです。

日本で培った営業力と人脈、海外での金融・法務・デューデリジェンス知識を組み合わせることで、グローバルチーム内で希少な存在となれます。

英語力に加えて、財務・不動産モデリング(Argus、Excel、Power BIなど)の実務知識を磨くと、アクイジションやアセットマネジメント職でも高く評価されます。

学習と発信を継続する仕組み化

海外キャリアを狙う人ほど、日々の情報発信と学習をルーティン化することが必要です。

たとえば次のような習慣を取り入れることで、転職市場での競争優位を維持できます。

  • 週1回:海外不動産マーケットレポートを要約してLinkedInで発信
  • 週次更新:ATS(Workday・Greenhouseなど)で希望職種の新着求人を購読
  • 月1回:海外不動産Webセミナーに参加し、トレンドを把握

これにより、「市場を理解し、行動し続けている人材」として信頼が蓄積され、ヘッドハンティングの対象にもなりやすくなります。

海外不動産キャリアは、地道な営業経験から始まり、実務知識と発信力を積み上げる“連続ステップ”で築かれます。焦らず段階を踏みながら、学びと実践を組み合わせることが最短ルートですよ

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