ドバイ不動産価格は上昇基調を維持していますが、物件タイプ別の伸び率には減速が見られます。UAE中央銀行がDLD(Dubai Land Department)データを基に公表した直近の価格指標では、2025年第2四半期の前年同期比はアパートが約4%、ヴィラが10%でした。ヴィラの伸び率は過去2四半期で鈍化しています。
一方、DLDが2026年4月に公表した2026年第1四半期の不動産取引は、金額が前年同期比31%増の2,520億AED、件数が6%増の60,303件でした。取引金額の増加だけを「住宅価格が31%上がった」と読むことはできません。価格、取引件数、売買総額は別指標として判断する必要があります。
この記事では、最新の公的データを使ってドバイ不動産の価格推移、上昇鈍化、下落リスクを見るポイントを整理します。数値は2026年8月29日に確認しています。
最新のドバイ不動産価格推移
2025年第2四半期までの前年同期比を見ると、アパート価格の伸びは直近4四半期にわたり約4%で安定し、ヴィラは一時の高い伸びから10%まで低下しました。これは「価格が下落した」という意味ではありません。前年比がプラスのまま伸び率が小さくなる上昇率の鈍化です。
価格と取引量は分けて読む
2025年通年では、UAE中央銀行によるとドバイの不動産販売総額は前年比30.7%増、アパートの販売件数は20.3%増、ヴィラの販売金額は13.5%増、オフプラン取引は24.6%増でした。さらにDLDの2026年第1四半期発表では取引金額31%増、取引件数6%増です。高額物件の構成比、新築・オフプラン比率、取引される地域が変われば、総額は平均価格と異なる動きをします。
2025年の販売総額
アパート販売件数
ヴィラ販売金額
オフプラン取引
ドバイ不動産価格の長期推移
DLDのResidential Sales Price Indexは、異なる特徴を持つ住宅を比較できるよう、ヘドニック回帰モデルを使った指数です。基準は2012年=1で、アパート、ヴィラ、全体を月次・四半期・年次で確認できます。DLD公開ページに表示される旧月次系列は2022年11月までで、全体指数1.387、推計価格指標1,334,010AEDでした。ページ上では暫定値と明記されており、現在の価格水準を表す最新値としては使わず、過去の方向を確認する参考系列として扱います。
ドバイ住宅価格指数の長期推移
ValuStrat住宅価格指数(2021年1月=100)
データ取得: 2026年8月29日 00:00
グラフを描画しています…
数値表を表示
| 期間 | ドバイ住宅総合 |
|---|---|
| 2026-07 | 219.20 |
| 2026-06 | 220.00 |
| 2026-05 | 222.10 |
| 2026-04 | 224.90 |
| 2026-03 | 229.20 |
| 2026-02 | — |
| 2026-01 | — |
| 2025-12 | 240.40 |
| 2025-11 | 237.30 |
| 2025-10 | 233.90 |
| 2025-09 | 230.60 |
| 2025-08 | 227.30 |
| 2025-07 | 224.10 |
| 2025-06 | 220.80 |
| 2025-05 | 217.50 |
| 2025-04 | 214.10 |
| 2025-03 | 210.80 |
| 2025-02 | 207.50 |
| 2025-01 | 204.20 |
| 2024-12 | 200.70 |
| 2024-11 | 197.30 |
| 2024-10 | 193.80 |
| 2024-09 | 190.10 |
| 2024-08 | 186.10 |
| 2024-07 | 178.20 |
| 2024-06 | 178.20 |
| 2024-05 | 174.40 |
| 2024-04 | 170.80 |
| 2024-03 | 167.50 |
| 2024-02 | 164.10 |
| 2024-01 | 160.60 |
2022年以降の直近推移は、CBUAEがDLDデータを基に算出した中央値の前年比を使って補います。2024年はドバイの住宅販売価格中央値が前年比8.7%上昇し、内訳はアパート7.5%、ヴィラ22.6%でした。2025年第2四半期にはアパート約4%、ヴィラ10%となり、特にヴィラの上昇率が縮小しました。
| 期間 | アパート | ヴィラ | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 2024年 | +7.5% | +22.6% | 販売価格中央値・前年比 |
| 2025年Q2 | 約+4% | +10% | 1㎡当たり中央値・前年同期比 |
2024年出典:UAE中央銀行 Financial Stability Report 2024。2025年Q2出典:UAE中央銀行 Quarterly Economic Review September 2025。公表物ごとに集計期間・定義が異なるため、連続した同一系列として単純接続しない。
ドバイ不動産は下落する?3つの確認ポイント
1.前年比の鈍化と前月比の下落を混同しない
前年比が20%から10%になっても、価格水準が前年より10%高いなら下落ではありません。下落を判断するには、同じ物件タイプ、同じ地域、同じデータ定義で前月比・前四半期比と前年比を確認します。検索で見かける「暴落」「バブル崩壊」という表現だけで判断せず、指数の基準日と対象を確認してください。
2.オフプラン供給と引き渡しを確認する
オフプラン販売が増えている局面では、将来の引き渡し時期に供給が集中する可能性があります。2025年はオフプラン取引が前年比24.6%増、建設中プロジェクトはDLD発表で25%増の937件でした。すべてが同時に完成するわけではありませんが、購入候補エリアの引き渡し戸数、競合する間取り、支払スケジュールを確認する材料になります。
3.賃料と販売価格のバランスを見る
DLDによると、2025年の登録賃貸契約は138万件、総額1,264億AEDで、件数は前年比6%増、金額は17%増でした。契約総額の増加には物件構成や更新条件も影響するため、個別物件の賃料が一律17%上がった意味ではありません。購入価格だけが賃料より速く上昇すると利回りは低下します。実際の管理費、空室、更新賃料を含めて確認します。
同じ地域・物件種別の前年比と前期比
完成予定、引き渡し、オフプラン比率
更新賃料、空室、管理費控除後の手残り
売却期間、残債、為替、譲渡費用
エリア別価格を見るときの注意点
ドバイ全体の指数が上がっていても、Palm Jumeirah、Dubai Marina、Business Bayなどは供給、物件グレード、眺望、築年、支払条件が異なります。エリア平均は、売れた物件の構成変化でも動きます。候補物件を比較するときは、同じ建物または近接する競合物件で、面積当たり価格、実際の成約、賃料、管理費、修繕状態をそろえてください。
エリア別のデータ確認はドバイのエリア別不動産データ、物件選び全体はドバイ不動産投資の総合ガイドで整理しています。ローンを使う場合はドバイ不動産ローン、税・登録料はドバイ不動産と税金・費用も確認してください。
2026年の判断:上昇継続を前提にしない
公的データから確認できるのは、2025年まで価格が前年を上回り、2026年第1四半期も取引金額・件数が前年同期を上回ったことです。ただし、これだけで今後の値上がりを断定することはできません。金利、ドル連動の為替環境、新規供給、地域情勢、購入者構成によって、市場全体と個別物件の動きは変わります。
購入判断では、想定価格が横ばい、賃料が下振れ、引き渡しが遅延したケースも試算します。完成前物件なら開発会社、エスクロー口座、建設進捗、解約・譲渡条件を確認し、中古ならタイトル、未払い管理費、建物状態、現行賃貸借を確認します。治安・地域リスクはドバイの治安と投資リスク、売却実務はドバイ不動産の売却ガイドも参照してください。
まとめ
最新の公式価格データでは、2025年第2四半期の前年比はアパート約4%、ヴィラ10%で、ともにプラスです。ただしヴィラの伸び率は鈍化しました。2026年第1四半期の取引金額31%増・件数6%増は市場活動の強さを示しますが、価格上昇率とは別です。ドバイ不動産価格の推移は、価格、取引量、供給、賃料を分け、同じ地域・物件種別で継続観測してください。
一次情報:DLD Residential Sales Price Index、DLD 2026年Q1市場発表、DLD 2025年賃貸市場発表、UAE中央銀行Quarterly Economic ReviewおよびFinancial Stability Report。
