最新ニュース
2026年1月25日、UAEの経済メディア「Arabian Business」は、ドバイの高級不動産(ラグジュアリー物件)市場で“短期転売(フリップ)よりも、実需(自分で住む)と長期保有が主流になりつつある”という調査結果を報じました。調査は高級開発を手がけるKeturah(ケトゥーラ)によるもので、記事はWill Milner氏が執筆しています。
ニュースの要点(数字で確認)
この報道の中心は、「買い手が何を重視しているか」をブローカー調査で可視化した点です。
- 購入決定で最も効く要因:開発会社の評判・引き渡し実績(36%)
- 次点:街づくり(マスタープラン)と設備・アメニティの質(24%)、近い条件の物件との価格比較(20%)
- 短期の値上がり狙いが主目的:16%にとどまる
- 買い手の属性(ブローカー回答):
- 実需(住む予定のエンドユーザー)が多い:45%
- 5年以上の長期投資家が中心:40%
- データ重視の加速:42%が「正確な市場データが意思決定を動かす」と回答
- 57%がドバイ不動産データで「DXBinteract」を最も信頼できる情報源と回答
また、購入前の最大の懸念は「工期・引き渡し(デリバリー)」で40%が最重要としています。次に「出口の流動性(売却しやすさ)」が20%と続きました。
背景 なぜ「実績重視」に市場が変わったのか
記事では、ドバイがダイナミックな不動産市場として認識される中で、需要を支える要因として以下が挙げられています。
- 投資家の信頼・規制の透明性(各15%)
- 革新的なプロジェクトや世界水準のインフラ(15%)
- 高品質(13%)、計画都市型の高級コミュニティ(13%)
KeturahのCEO兼創業者Talal M. Al Gaddah氏も、「約束より実績」「引き渡し能力や財務の強さまでデューデリジェンスする“洗練された資本”が増えた」という趣旨のコメントを出しており、市場が“短期で儲ける場所”から“資産保全の場所”へ寄っている、という見立てです。
具体例として触れられたプロジェクト(Keturah Reserve)
記事では、Keturah Reserveという大型開発の紹介と合わせて調査が語られています。
- 事業規模:AED 57億(約15.5億ドル)
- 立地:Mohammed Bin Rashid City(MBR City)District 7(Meydan)
- 調査対象:150社の不動産エージェンシーを代表するブローカー1,100人
Keturah Reserveは「Bio-Living(バイオ・リビング)」というコンセプトを前面にし、自然とのつながりを重視する設計(いわゆるバイオフィリック・デザイン)を掲げています。
用語解説(つまずきやすい言葉を噛み砕きます)
- フリップ(短期転売):購入後すぐに値上がり益を狙って転売することです。市況が強い局面では増えますが、相場変動や在庫増で急に難しくなります。
- エンドユーザー(実需):投資目的だけでなく、実際に住む人です。実需が厚い市場は、賃貸需要やリセール需要が“実生活”に支えられやすい傾向があります。
- デューデリジェンス(DD):投資前の調査です。ドバイ文脈では、開発会社の財務体力、過去の納期、品質、管理体制まで「数字と事実」で確認する動きが強い、という話です。
- 流動性(Exit Liquidity):売りたい時に売れるか、適正価格で買い手が付くか、という意味です。
- DXBinteract:ドバイ不動産のデータを扱うプラットフォームで、記事中ではブローカーが信頼するデータ源として名前が挙がっています。
ニュースの見解
今回のニュースは、日本人の海外不動産投資家にとって「ドバイで儲かるかどうか」以前に、勝ち筋が“銘柄選び(開発会社・物件選び)と保有設計”に移ったことを示しています。
- 日本人投資家への直接的な示唆は「開発会社の実績が最重要」です。ブローカー調査で最上位が“評判と引き渡し実績(36%)”だった以上、広告や豪華CGよりも、過去の納期・引き渡し・アフター管理の検証がリターンを左右します。
- 短期転売前提の資金計画は危険度が上がります。「短期の値上がりが主目的」は16%にとどまり、市場は“短期勝負”より“5年以上の保有”に寄っています。短期で売り抜ける想定より、賃貸・長期保有で成立するかを先に組み立てるべきです。
- 購入前の最大リスクは「工期・進捗(40%)」という点は要注意です。オフプラン(建設前・建設中販売)を買う場合、引き渡し遅延が起きても資金繰りが崩れないよう、自己資金比率・支払いスケジュール・遅延時の契約条項を必ず確認するのが現実的です。
- データドリブン化は追い風です。42%がデータ重視、57%がDXBinteractを信頼と回答しているため、感覚ではなく「成約データ・供給増・賃料水準・在庫感」などで判断する投資家ほど有利になりやすい環境です。
結論として、ドバイの高級不動産は「一発の値上がり」よりも、信頼できる開発会社×実需がある立地×長期保有設計で、資産保全・分散投資の文脈に近づいています。日本人投資家は“開発会社のトラックレコード(履歴)”を最上流に置いたうえで、出口(売却)と保有中(賃貸・管理)までを一体で設計するほど、ニュースが示す市場の変化を味方にできます。
