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ベトナム政府、不動産転売に対する新たな税制を提案
2025年2月17日、ベトナム財務省は 「個人所得税法」 の改正案を政府に提出し、不動産売買に対する新たな税制導入を提案しました。
この税制では、不動産の所有期間に応じて課税率を設定し、短期間での転売(いわゆる「フリッピング」)を抑制すること を目的としています。
現在のベトナムの税制では、不動産をどれだけの期間保有したかに関わらず、売却益に一律の税率が適用される 仕組みとなっています。
しかし、シンガポールや台湾などでは、短期的な転売に対して高額な税率を課し、長期保有を促す仕組み が導入されており、ベトナムもこの方式を採用する可能性が高まっています。
背景:投機による都市部の空き地問題
ハノイやホーチミン市などの大都市では、好立地の土地が投機目的で購入され、長期間空き地のまま放置されるケースが増加 しています。
その結果、資本が不動産市場に閉じ込められ、経済の健全な成長を阻害する要因となっています。
また、都市景観の悪化や、実需向けの住宅供給不足にもつながっており、政府としてもこの状況を是正するための措置を模索していました。
各国の事例とベトナムでの適用可能性
他国の不動産投機抑制策を参考に、財務省は 「所有期間に応じた課税方式」 を提案しています。
- シンガポール: 購入後1年以内に転売した場合、売却益の100%を課税。2年目は50%、3年目は25%と段階的に減少。
- 台湾: 購入から2年以内の転売は45%、2~5年は35%、5~10年は20%、10年以上で15%の税率を適用。
- ベトナム(予定案): 短期間での転売ほど高い税率を適用し、5年以上保有した場合は軽減または免除する方式を検討中。
専門家の見解と市場への影響
ベトナム不動産協会(VNREA)の副会長、グエン・ヴァン・ディン氏は、「所有期間に応じた税制は投機を減少させる効果があるが、正確な取引データの管理が不可欠」 と指摘。
また、経済学者のディン・チョン・ティン氏は、「特定の条件下で未使用の不動産に高い税率を課すことも必要。これは市場の健全化につながる」 と述べています。
ただし、一部では「税負担が高まることで不動産価格が上昇する可能性がある」との懸念も。
これに対し、専門家は 「供給が増えれば投機の影響は弱まり、市場は安定する」 と説明しており、最終的な税率や適用条件の詳細について慎重な検討が必要とされています。
ニュースの見解
日本人投資家への影響と今後の展望
この税制が導入されれば、短期間での売却益を狙う不動産投資のハードルが上がる ことは明らかです。一方で、長期保有を前提とした安定した賃貸収益型の投資には有利 になる可能性があります。
- 短期売却の難易度上昇: 転売益を狙う投資戦略にはリスク増大。
- 賃貸投資のメリット拡大: 長期保有による税率の低減が期待できる。
- 市場の安定化: 実需向けの住宅供給が増え、不動産価格の急激な変動リスクが減少。
ベトナムの不動産市場は、海外投資家の資金流入が多く、依然として成長の余地が大きい市場 です。
ただし、今後の税制改正の動向を注意深くチェックし、短期売却ではなく長期的な運用を視野に入れた投資戦略 を立てることが求められます。