「海外不動産投資で投資する国を見極めるポイントってありますか?」
「海外不動産投資で投資する国をを決めるにあたって何が重要ですか?」
海外不動産投資で投資する国をを見極めるためには、どのポイントを重視すれば良いでしょうか?海外不動産投資では「物件を決める」前に「どの国の不動産に投資するのか?」という国選びが重要になります。今回は、海外不動産投資で投資する国をを見極めるポイントについて丁寧に解説します。
海外不動産投資で投資する国を見極めるポイント
1.人口が増加しているかどうか?
最も、重要なポイントは「人口の増加」です。
人口が増加する国であれば、人口ボーナスが見込めます。
人口ボーナスとは
生産年齢人口(15~64歳)に対する従属人口(14歳以下の年少人口と65歳以上の老年人口の合計)の比率が低下し、経済成長を促すこと。 人口ボーナス期では豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済が拡大しやすい。
日本の逆と考えてみればわかりやすいですが・・・
- 全体の人口が減る
- 労働しない高齢者の人口比率が増える
- 上記に伴い、個人消費も減る
- 上記に伴い、社会保障費も増える
→ この状態では「大きな経済成長は見込めない」のです。
人口が増加している国であれば
- 全体の人口が増える
- 労働する生産人口の人口比率が増える
- 上記に伴い、個人消費が増える
- 上記に伴い、社会保障費は減る
→ 当然のように「人口が増えることで、大きな経済成長が見込める」ことになります。
とくに
- 人口の増加率が高い
- 20年後、30年後の人口が多い
- 人口ピラミッドがきれいな形
- 出生率が高い
などの要因がそろった国であれば
- かなり高い確率で、人口増加と経済成長が期待できる
と考えられます。
少し前の中国や今のインドなどが代表的な例と言えます。
理想は
- 20年後、30年後の人口が多い = 1億人以上
- 人口ピラミッドがきれいな形 = 20代・30代が多いきれいな三角形
- 出生率が高い = 合計特殊出生率2.06以上
です。
人口が増加する国 → 経済成長が見込める → 不動産価格の上昇が見込める
という関係にあり、海外不動産投資で有望な国と言えます。
2.GDPが増加しているかどうか?
GDPとは
GDPとは、「Gross Domestic Product」の略で、「国内総生産」のことを指します。 1年間など、一定期間内に国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況を示します。 付加価値とは、サービスや商品などを販売したときの価値から、原材料や流通費用などを差し引いた価値のことです。
生産額全体 - (材料費 + 燃料費 +流通費) = 付加価値(GDP)
つまり、
GDP ≒ 「国の経済力」を示すもの
として、よく採用されています。
GDPには
- 名目GDP(物価の動きの影響を受けたGDP)
- 実質GDP(物価の影響を差し引いたGDP)
があります。
また、1人当たりの実質GDPを見ることで、その国の所得(収入・給料)の水準を知ることができます。
海外不動産投資で重要なのは
GDP成長率
です。
GDP成長率 ≒ 「国の経済力の成長」を示すもの
これから不動産価格が上昇する国 ≒ 経済成長が継続して起こる国
ですから、「国の経済力を推し量るGDPが伸び続けていること」が重要なポイントとなるのです。
2022年の実施GDP成長率
- 日本:1.08%
- 米国:2.07%
- ドイツ:1.78%
先進国は、すでに経済力は十分に発展しているため、低い数値になっています。
一方で
- サウジアラビア:8.74%
- フィリピン:7.60%
- アラブ首長国連邦(ドバイ):7.41%
- エジプト:6.61%
と、経済成長が著しい国ほど、高い数値になっています。
実質GDPが安定的に成長している国であればあるほど、今後も、「経済成長が見込める ≒ 不動産価格の上昇が見込める」ことになるのです。
3.外国人が所有権を持てる国
これは必須条件ですが
国によって、外国人が不動産を所有できるかどうか?が法律によって決められています。
外国人の不動産所有のパターン
- 土地も、建物も、所有できる
- 建物は所有できる、土地は所有できない
- 建物は所有できる(ただし、マンション全体に対する所有率に制限がある)、土地は所有できない
- 建物は所有できる(ただし、所有できるエリアに制限がある)、土地は所有できない
- 建物は所有できる(ただし、新築のみ)、土地は所有できない
- 建物の所有できないが借地権として借りることができる、土地は所有できない
- 建物の所有できない、土地も所有できない
当然ですが、日本みたいに外国人が土地も、建物も所有できる国は、投資しやすい国と外国人からは思われています。
しかし、多くの後進国では
- 外国人は土地は所有できないが、建物は所有できる
というケースが多いのです。
少なくとも、海外不動産投資で投資する国の条件としては「建物の所有権があること」が条件となります。
一部、ベトナム不動産みたいに、借地権のみ認められているため、現地人名義で購入した不動産を借り受けるような方法で、建物の所有ができない国でも、不動産投資をする方法はありますが、不動産投資としては難しくなってしまうのです。
外国人がその国の不動産に投資がしにくい環境だと、不動産価格も上昇しにくいのです。
基本的には、「外国人の建物の所有権がある国を選ぶ」ことが重要になります。
4.積極的なインフラ投資
経済成長を高めるための開発戦略として、設備投資、およびそれによる物的資本あるいは物理的インフラの蓄積がもっとも重要な政策である
と言われています。
日本でも、高度経済成長期には公共工事が盛んに行われてきました。
道路、高速道路、空港、駅、電車、地下鉄、港湾、電気、水道・・・
などのインフラが整っていなければ生産活動が十分にできないのですから、経済成長のためには必要不可欠ということです。
国として、積極的なインフラ投資をしているのかどうか?が今後の経済成長には重要ということになります。
5.具体的かつ計画的な国家戦略
野心的に経済成長を狙う国は、具体的かつ計画的な国家戦略を発表しています。
- ドバイ → Dubai 2040 Urban Master Plan
- エジプト → Egypt Vision 2030
のように
- いつまでに
- どのくらいの数値目標を
- どうやって実現するのか?
という国家戦略を、国内外に向けて、公式に発表しているのです。
Dubai 2040 Urban Master Plan(ドバイ・都市マスタープラン 2040)を見ると、複数の項目で、2040年時点での目標数字が設定されています。
日本も国家戦略・国家予算などを発表はしているものの、大きな違いは
- 数値目標が欠落している
- 数値目標の達成期限が欠落している
- 責任の所在が欠落している
点です。
責任を取りたがらない日本の政府が作るものは、すべてがあいまいな行動目標になっているのに対し、野心的に経済成長を狙う国の国家戦略は、非常に具体的な数値目標を持ったプランとなっています。
実際に実現するかどうか?は、別として、具体的な数値目標を持ったビジョンを掲げている国の方が、外国資本(外国企業や外国人投資家からの投資や出資)が集まりやすく、経済発展がしやすいと考えられます。
投資する国を選ぶ時には、その国の掲げている国家戦略のプランをしっかり読み込むことが重要と言えます。
6.税金の安さ
海外不動産価格が上昇する要因の一つが「税金の安さ」です。
なぜならば
税金がない、税金が安い国には、人も企業も集まるから
です。
日本であれば
- 所得税:最大45%
- 住民税:約10%
- 相続税:最大55%
これがドバイに行けば
- 所得税:0%
- 住民税:0%
- 相続税:0%
ですから、お金を持っている方で税金の安い国への移住を検討しないことの方が珍しいくらいです。
ドバイが代表的な税金のない国ですが、移住してしまえば、所得税ゼロ、相続税ゼロなのですから、富裕層は、こぞってドバイに移住しようとします。
富裕層が住みたい住宅や商業施設を作るので、当然ながら、金額は高額になり、周辺の不動産価格もつられるように上昇していくのです。
また、ドバイに会社を作れば、ドバイでの収益に対しての税金は、かなり安く抑えられるので、グローバルに展開する企業も、ドバイに会社を作るようになります。世界から人と企業が集まれば、そこに仕事ができ、そこに賃貸需要もでき、不動産価格が上昇するのです。
グローバル化が進む現代では、どの国に住んでいても、仕事ができる環境にあります。そうなると、税金のない国、税金の安い国は、重要な移住先候補になり、富裕層が移住し、不動産価格が上昇するのです。
7.治安の良さ
治安が良くなければ、人も、企業も、集まらない
というのが大きな理由です。
世界でも、経済成長を遂げて、不動産価格が上昇しているのは、治安の良い国です。
経済成長が見込める後進国は、先進国に比較すると治安が悪いものですが、その中でも、治安の良い国の方が外国人の移住や外国企業の参入がおきやすく、不動産価格が上昇しやすいものと言えます。
不動産価格が上昇しているドバイの治安は、世界経済フォーラム(WEF)による観光競争力レポート(2021年)の安全部門で、ドバイの位置するUAEは2位となっています。
逆にドバイ不動産の購入者の国籍を見てみると、
治安の良いドバイ不動産を購入している方の国籍を見ると、治安の悪い国、戦争や内紛に悩まされている国が多いです。
世界の富裕層は、治安の良い国に住みたいという意識が強いのです。
ドバイ不動産の購入者ランキング
- 1位:インド
- 2位:イギリス
- 3位:レバノン
- 3位:エジプト
- 5位:ロシア
- 6位:パキスタン
- 7位:アラブ首長国連邦(UAE)
- 8位:ドイツ
- 8位:イタリア
- 10位:ジョルダン
治安の良さも、海外不動産投資をするうえで重要な要素と言えます。
8.不動産価格の安さ
世界的にみて、不動産価格が割安かどうか?も重要なポイントです。
不動産価格がすでに高い水準になってしまっていては、これ以上のキャピタルゲインが狙えないからです。
「どの水準であれば不動産価格が安い」と考えるのは「何を基準にするのか?」によって異なりますが
例えば
日本の不動産価格は、日本人からすれば割高に見えますが、円安が進んでいる現在では、外国人から見れば、先進国の中で、治安も良く、観光資源も豊富な日本の不動産は、割安に見えているはずです。
東南アジア諸国で見れば、シンガポール、タイなどはすでに不動産価格が上昇しきっていて割高ですが、フィリピンやカンボジアは、まだまだ割安と言われる範囲内なのです。
ドバイのようになろうとしているエジプトは、不動産価格は、ドバイの10分の1以下です。
何を比較対象にするのか?は重要ですが、その中でも、不動産価格が割安なのかどうかは重要なポイントとなります。投資する国だけでなく、同じジャンルの国の不動産価格も比較検討して、不動産価格の妥当性を調べることが重要です。
9.不動産利回りの高さ
不動産価格の上昇要因の一つは、利回りの高さです。
利回りが低ければ、投資意欲は減退してしまうため、不動産価格の上昇が見込めません。
利回りが高ければ、投資意欲が高まるため、不動産価格の上昇が見込めます。
当然、利回りは、確実性とのトレードオフの関係にあり
- 先進国 → 利回りが低い
- 後進国(経済成長の確実性が高い) → 利回りがやや高い
- 後進国(経済成長の確実性が低い) → 利回りが高い
ことになるため、利回りを比較する際も、同じグループで比較する必要がありますが
相対的に同様の国と比較して高い利回りが見込める国の方が、不動産価格の上昇が見込める
ということになります。
10.不動産登記や権利の制度が整っていること
日本でも、先進国でも
不動産を購入した場合には、公的機関で登記が行われて、公的に「この不動産は、○○さんのものです。」ということが証明されることになります。
これがあるからこそ、「この物件は自分のものである」ということが証明できて、トラブルがあっても、そのトラブルを回避することができるのです。
「当たり前じゃないか?」と思われるかもしれませんが、後進国では、登記制度が整っていないことも少なくありません。この不動産は誰のものか?、住んでい人が優先のような国、不動産の半分は登記されいない国、なども少なくありません。
インドなどは、登記がほとんど機能しておらず、インドの不動産市場は、外国人には難しいものとなっています。
一方で、ドバイなどは、ブロックチェーン技術でNFTで不動産登記ができ、改ざんできない仕組みとなっています。これは日本よりも進んでいると言っていいでしょう。
少なくとも、オフプランで購入する新築の不動産の物件に関しては、しっかりと登記ができて、契約ができる環境にないと、そもそも、不動産投資を検討することもできないのです。
- 契約 → 契約書がきちんとしていて、契約手続きの効力が強い、契約違反の場合に対抗できるものになっている
- 登記 → 登記があり、大部分の不動産が登記されていて、登記すれば所有権を主張できる
- 税金 → 日本と租税条約があり、日本の税務署に申請すれば二重課税調整(外国税額控除)が可能
不動産の権利関係の問題がクリアになる国に投資する必要があります。
詳細がわからない場合には、現地のディベロッパーや現地のエージェントに質問すると良いでしょう。
まとめ
海外不動産を購入する前にチェックしておくべきポイントには
- 人口が増加しているかどうか?
- GDPが増加しているかどうか?
- 外国人が所有権を持てる国
- 積極的なインフラ投資
- 具体的かつ計画的な国家戦略
- 税金の安さ
- 治安の良さ
- 不動産価格の安さ
- 不動産利回りの高さ
- 不動産登記や権利の制度が整っていること
があります。
まずは、「どこの国に投資するのか?」をしっかり調査し、比較検討したうえで、「物件の検討」に移りましょう。先に物件を選んでも、国選びを間違えると失敗の可能性が高くなってしまいます。
その場でノリで購入せずに、しっかり自分で投資すべき国を調査・判断したうえで、海外不動産の購入に踏み切ることをおすすめします。