移住先や海外不動産の検討で「日本人が多い国はどこか」を調べると、出どころのはっきりしない数字に当たることがあります。この記事では、外務省が毎年公表している「海外在留邦人数調査統計」の最新版だけを使い、国別・地域別・都市別の上位を整理します。最新版は令和7年(2025年)10月1日現在の数字で、令和7年12月25日に公表されたものです。

先に結論

  • 海外在留邦人の総数は129万8,170人。前年(129万3,097人)とほぼ同数。
  • 国別の上位は米国32.1%(41万6,380人)、オーストラリア8.1%(10万5,566人)、中国7.2%(9万2,928人)。この3か国で約47%。
  • 地域別は北米37.9%、アジア26.8%、西欧16.6%。この3地域で約81%。北米は1985年以降ずっと首位。
  • 都市別はロサンゼルス都市圏、バンコク、ニューヨーク都市圏、シンガポール、上海の順。5都市(圏)で約17%。
  • この統計は在外公館に届け出のあった人数の集計で、届け出をしていない人は含まれない。

国別の上位10か国|1位は米国で全体の32.1%

海外在留邦人の総数129万8,170人と、米国41万6,380人・オーストラリア10万5,566人・中国9万2,928人という国別上位3か国を棒で並べた図
外務省「海外在留邦人数調査統計」(令和7年=2025年10月1日現在)の国・地域別上位
国(地域)別の在留邦人数(上位10)
順位 国(地域) 在留邦人数 全体に占める割合
1 米国 41万6,380人 32.1%
2 オーストラリア 10万5,566人 8.1%
3 中国 9万2,928人 7.2%
4 カナダ 7万5,316人 5.8%
5 タイ 7万2,113人 5.6%
6 英国 6万2,270人 4.8%
7 ブラジル 4万9,037人 3.8%
8 ドイツ 4万4,648人 3.4%
9 韓国 4万4,471人 3.4%
10 フランス 3万6,023人 2.8%
上位3か国の合計 — 全体の約47%
上位10か国の合計 — 全体の約77%

米国が1位で、2位のオーストラリアとは約4倍の差があります。総数129万8,170人のうち3人に1人が米国にいる計算です。オーストラリアと中国はどちらも10万人前後で、順位の差ほどには開いていません。

4位以降は数字の間隔が狭くなります。カナダ7万5,316人とタイ7万2,113人の差は3,203人で、英国6万2,270人までが6万人台です。7位のブラジル以降は4万人台から3万人台に並び、8位のドイツ4万4,648人と9位の韓国4万4,471人の差は177人しかありません。上位10か国で全体の約77%を占めます。

移住先を考えるとき、この数字は「日本語で相談できる相手がどれくらいいるか」の目安になります。日本人学校、日本食材店、日本語対応の医療機関といった生活基盤は、在留邦人が多い場所に集まりやすいためです。ただし人数が多いことと、暮らしやすさや物件の利回りが高いことは別の話です。

地域別に見ると北米が40年間ずっと首位

北米37.9パーセント、アジア26.8パーセント、西欧16.6パーセント、その他18.7パーセントという地域別の内訳を横並びの帯で示した図
地域別の在留邦人数と全体に占める割合(令和7年=2025年10月1日現在)
地域別の在留邦人数
地域 在留邦人数 割合 公表資料の記載
北米 49万1,701人 37.9% 昭和60年(1985年)以降一貫して首位
アジア 34万7,333人 26.8% —
西欧 21万5,695人 16.6% —
上位3地域の合計 約81% —

前年との比較も同じ資料に載っています。増えたのは大洋州(+2,486人、+1.9%)、南米(+1,920人、+2.7%)、北米(+1,020人、+0.2%)、中東(+669人、+6.7%)、東欧・旧ソ連(+112人、+1.1%)、アフリカ(+101人、+1.6%)です。減ったのは中米(-660人、-5.2%)とアジア(-642人、-0.2%)の2地域でした。伸び率でいちばん大きいのは中東の6.7%ですが、人数としては大洋州の2,486人増がもっとも大きくなります。

公表資料には、北米が1985年以降ずっと首位を維持していると明記されています。40年間、日本人の海外生活の中心が入れ替わっていないということです。円安や物価の話題が出るたびに移住先の流行は動きますが、統計の上では大きな地殻変動は起きていません。

アジアは26.8%で2位です。距離が近く、時差が小さく、生活費の水準が国によって大きく違うため、選択肢の幅が広い地域です。世界の物価が高い国ランキングとあわせて見ると、同じアジアでもシンガポールと東南アジアの他都市では前提が違うことが分かります。

都市で見ると2位がバンコク

ロサンゼルス都市圏6万3,972人、バンコク5万1,297人、ニューヨーク都市圏3万8,251人、シンガポール3万3,397人、上海3万1,733人という都市別上位5を並べた図
都市(圏)別の在留邦人数の上位5(令和7年=2025年10月1日現在)
都市(圏)別の在留邦人数(上位10)
順位 都市(圏) 在留邦人数 全体に占める割合
1 ロサンゼルス都市圏 6万3,972人 4.9%
2 バンコク 5万1,297人 4.0%
3 ニューヨーク都市圏 3万8,251人 2.9%
4 シンガポール 3万3,397人 2.6%
5 上海 3万1,733人 2.4%
6 シドニー都市圏 3万1,673人 2.4%
7 大ロンドン市 3万515人 2.4%
8 バンクーバー都市圏 2万8,090人 2.2%
9 ホノルル 2万3,254人 1.8%
10 香港 2万3,228人 1.8%
上位5都市(圏)の合計 — 全体の約17%
上位10都市(圏)の合計 — 全体の約27%

国別では米国が突出していますが、都市の単位で並べるとバンコクが2位に入ります。米国は在留邦人が広い国土に分散しているのに対し、バンコクやシンガポールは1つの都市に集中しているためです。

6位以降も都市の性格が分かれます。シドニー都市圏3万1,673人は5位の上海3万1,733人とわずか60人差で、大ロンドン市3万515人、バンクーバー都市圏2万8,090人と続きます。9位のホノルル2万3,254人と10位の香港2万3,228人も26人差です。上位10都市(圏)を足しても全体の約27%で、国別の77%と比べると集中の度合いはずっと低くなります。

物件を探す立場では、この違いが効いてきます。国全体の人数ではなく、実際に住む都市に何人いるかが、賃貸の需要や管理の相談先の多さに直結します。米国で物件を持つなら都市の選び方が結果を左右し、シンガポールやバンコクなら国=都市に近い感覚で考えられます。

この統計が何を数えているか

外務省の報道発表「海外在留邦人数調査統計(令和7年(2025年)10月1日現在)」のページの画面。総数、地域別、国別、都市別の要点が箇条書きで掲載されている
外務省 報道発表(外務省/2026年9月10日確認)

数字を使う前に、何を数えた統計なのかを押さえておく必要があります。海外在留邦人数調査統計は、外務省領事局政策課がまとめているもので、在外公館(大使館・総領事館)が把握している在留邦人の数を集計したものです。

実際に住んでいる人数と完全には一致しません。在留届を出していない人、短期の滞在者、現地の国籍を取得して日本国籍を離れた人などの扱いが、実感とずれる要因になります。ランキングの順位を見るぶんには十分ですが、1人単位の正確さを前提にした議論には向きません。

統計は毎年10月1日現在で調査され、その年の12月に公表されます。今回の最新版は令和7年12月25日の公表です。次の版は同じ周期であれば1年後になるため、今の数字が当面の最新値ということになります。

数字をどう読むか

在留邦人数が多い場所には、生活の面で分かりやすい利点があります。一方で、投資の判断材料としては注意も要ります。整理すると次のようになります。

在留邦人が多い場所を選ぶときの見方
観点 人数が多いことの意味 注意したいこと
生活のしやすさ 日本語で相談できる先、日本食材、日本人学校が集まりやすい 人数が多い=治安や物価が良いという意味ではない
賃貸需要 駐在員向けの需要が読みやすい 需要の中心が企業契約か個人かで、想定家賃も条件も変わる
情報の得やすさ 日本語の体験談や不動産情報が多い 個人の体験を市場全体の事実として一般化しない
出口(売却) 買い手候補に日本人が含まれる 現地の買い手が中心の市場では、日本人の多さは効きにくい

とくに最後の点は見落とされがちです。日本人が多い都市でも、売買市場の主役は現地の買い手です。売却時の価格を決めるのは現地の需給であって、在留邦人の人数ではありません。

移住そのものを考えている場合は、人数の多さより制度面を先に確かめるほうが失敗しにくくなります。年金や税金の扱いは国によって違い、住民票を抜くかどうかでも変わります。海外移住と年金、海外移住と税金で、この2つは別に整理しています。

上位の国が持つ意味の違い

上位3か国は、日本人が集まっている理由がそれぞれ違います。同じ「多い国」でも、住む人の顔ぶれが変わるため、暮らし方も物件の需要も別物になります。

米国は在留邦人が最も多い国ですが、41万人が国土全体に散らばっています。ロサンゼルス都市圏とニューヨーク都市圏を足しても10万人ほどで、残りの30万人以上は他の地域にいる計算です。つまり「米国に日本人が多い」という情報だけでは、自分が住む予定の州や都市に何人いるかは分かりません。州ごとに税制も不動産の手続きも違うため、国単位の数字を根拠に判断を進めるのは危険です。

オーストラリアは10万5,566人で2位です。人口比で見ると日本人の存在感は米国より大きくなります。都市別の上位5に入っていないのは、シドニーやメルボルンなど複数の都市に分かれているためと考えられますが、都市別の内訳は今回の公表資料には出ていません。詳しい内訳を知りたい場合は、統計の詳細版を確認する必要があります。

中国は9万2,928人で3位、都市別では上海が5位に入っています。国全体の人数のうち、かなりの割合が上海に集中している形です。駐在員の比率が高い都市では、企業の方針や景気の変化で人数が動きやすく、数年単位で状況が変わることがあります。1年分の数字だけを見て長期の判断をしないほうが安全です。

移住先を絞り込むときの順番

在留邦人の統計は、候補を並べる最初の材料としては使えますが、それだけで決める材料ではありません。順番としては次のようになります。

候補を絞る4つの段階

  • 1. 制度:滞在できるビザがあるか。取得の条件を満たせるか。
  • 2. お金:生活費、税金、年金の扱い。日本の口座からの送金手段。
  • 3. 生活:医療、教育、言語。ここで在留邦人の多さが効いてくる。
  • 4. 資産:物件を買うなら、外国人が所有できるか。出口はあるか。

この順番で見ると、在留邦人数は3番目の段階で使う情報です。1番目と2番目で候補から外れる国は、日本人が多くても選択肢になりません。逆に、制度とお金の条件を満たす国が複数残ったとき、最後の判断材料として人数の差が効いてきます。

候補の並べ方については海外移住おすすめの国ランキングで、失敗しやすい点については海外移住は悲惨って本当?で、それぞれ別の角度から整理しています。

よくある質問

日本人がいちばん多い国はどこですか。

米国です。外務省の統計(令和7年=2025年10月1日現在)で41万6,380人、全体の32.1%を占めています。

日本人がいちばん多い都市はどこですか。

ロサンゼルス都市圏で6万3,972人、全体の4.9%です。2位はバンコクで5万1,297人(4.0%)です。

海外に住んでいる日本人は何人ですか。

129万8,170人です。前年の129万3,097人とほぼ同数と、公表資料に記載されています。

この数字はいつの時点のものですか。

令和7年(2025年)10月1日現在の調査で、令和7年12月25日に公表されたものです。この調査は毎年10月1日現在で行われています。

統計に含まれない人はいますか。

在外公館が把握している人数の集計であるため、届け出をしていない滞在者などは実態とずれる可能性があります。順位や規模感を見る用途には使えますが、1人単位の正確な人口として扱うものではありません。

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