セブ島のコンドミニアムは、外国人がフィリピン不動産へ投資・居住する際の選択肢になります。ただし「外国人でもコンドミニアムなら無条件で買える」という理解は危険です。フィリピンのCondominium Act(Republic Act No. 4726)は、共用部分の権利形態と外国持分の上限に関する条件を定めています。さらに、購入前にはDHSUDのCertificate of RegistrationとLicense to Sell、土地・建物の権利、Condominium Certificate of Title(CCT)、管理規約、支払条件を個別に確認する必要があります。本記事は2026年9月2日時点の公的資料を基に、セブでの購入判断を実務順に整理します。
結論:購入可否より先に「権利とプロジェクト」を確認する
- 外国人のユニット取得可否は、共用部分の持ち方と外国持分が法定上限を超えないことが前提です。
- プレビルド・新築販売では、DHSUDのCertificate of RegistrationとLicense to Sellを確認します。
- 中古は売主名義、CCT、抵当・差押え等の負担、管理費・税の未納を確認します。
- 予約金を払う前に、返金条件、完成・引渡し条件、通貨、送金、名義、賃貸制限を文書で確定します。
- 現地内覧だけでなく、弁護士による独立したデューデリジェンスを契約条件に組み込みます。
外国人がコンドミニアムを取得する法的な考え方
Republic Act No. 4726は、コンドミニアムを専有ユニットと土地・共用部分に対する持分等からなる権利として定義しています。プロジェクトには、土地・建物、ユニット、共用部分、取得する権利の性質、用途制限等を記載したmaster deedをRegistry of Deedsへ登録する仕組みがあります。
同法Section 5では、共用部分を各ユニット所有者が共有する場合、フィリピン国民または資本の60%以上をフィリピン国民が保有する法人等以外への譲渡が制限されます。共用部分をcondominium corporationが保有する場合も、ユニットに付随する会員権・株式の移転によって外国持分が既存法の上限を超える譲渡は有効になりません。一般に説明される「外国人40%まで」は、この外国持分上限との関係を表したものですが、購入者は販売担当者の口頭説明だけでなく、対象プロジェクトの現時点の外国持分と登記・法人書類を専門家に確認すべきです。
視覚資料1:確認する権利書類
| 確認対象 | 新築・プレビルド | 中古 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 販売許可 | CR・License to Sell | 原則として元プロジェクト資料も確認 | DHSUD・開発会社 |
| ユニット権利 | 将来発行条件・master deed | CCTのCertified True Copy | Registry of Deeds・LRA |
| 土地・共用部分 | 土地title、担保、condominium corporation | 既存規約と外国持分 | Registry of Deeds・管理組合 |
| 負担・未納 | 建設融資・解除条件 | 抵当、差押え、税、管理費 | 登記、税務当局、管理会社 |
DHSUDのCertificate of RegistrationとLicense to Sell
DHSUDは、分譲地・コンドミニアムの開発会社が広告・販売を始める前にCertificate of Registration(CR)とLicense to Sell(LS)を取得するよう案内しています。広告にはプロジェクト名・所在地、LS番号、広告承認番号が示されるべきです。LSは、特定のプロジェクト・フェーズに対して発行されるため、同じ会社の別案件の番号では足りません。
公式の申請要件には、土地titleのCertified True Copy、開発権限、計画、許認可などが含まれます。しかし、LSがあることは価格上昇、完成時期、賃料、転売可能性、個別ユニットの権利に問題がないことを保証するものではありません。LSの有無は最初のゲートであり、その後に契約と権利を調べます。
CCTとRegistry of Deedsで確認すること
Land Registration Authority(LRA)の案内では、個別のCondominium Certificate of Titleを初めて発行する際、master deed、declaration of restrictions、floor plan、Certificate of Registration、development permit、License to Sell、土地title等が必要とされています。中古取引ではCCTのCertified True Copyを取得し、記載された所有者、ユニット番号、面積、駐車場等の付属物、抵当権、差押え、その他の注記を売買契約と照合します。
売主が提示したコピーだけに依存せず、LRAのeSerbisyoや対象Registry of Deedsを通じて最新のCertified True Copyを取得する方法を弁護士へ相談してください。名義と本人確認書類が一致しない、委任状で売却する、相続・法人再編が絡む場合は、権限の連続性も確認します。

視覚資料2:購入までの8段階
- 役割分担:自己居住・賃貸・将来売却の目的と予算を決める
- 候補確認:立地、洪水・台風、交通、管理状態、空室を調べる
- 公的確認:CR・LS、開発会社、broker、agentの資格を確認する
- 権利確認:土地title、master deed、CCT、外国持分、負担を調べる
- 収支確認:価格以外の税、登記、管理費、修繕、送金費用を試算する
- 契約審査:返金、遅延、解除、引渡し、瑕疵、紛争条項を弁護士が確認する
- 送金・決済:名義、送金経路、領収、税務書類を一致させる
- 登記・引渡し:CCT・鍵・検査・管理組合登録・保険を完了する
セブ特有の立地・建物確認
「セブ島コンドミニアム」と一括りにせず、Cebu City、Mandaue、Lapu-Lapuなど行政区域とRegistry of Deedsを正確に確認します。IT ParkやBusiness Parkへの通勤、空港アクセス、渋滞、周辺開発は賃貸需要へ影響しますが、広告の所要時間をそのまま前提にしないで、平日・雨天・繁忙時間に現地確認します。
海沿い・低地では洪水、高潮、塩害、台風、停電・断水、非常用電源、排水設備を確認します。完成済み物件では共用部、エレベーター、消防設備、給水、発電機、外壁、漏水、修繕履歴を調べます。プレビルドでは完成予想図ではなく、仕様書、完成期限、許認可、工事進捗、遅延時の契約条項を確認してください。
価格以外にかかる費用
購入価格だけで収支を判断すると不足します。取引構造によって、税、登記費用、専門家費用、送金手数料、銀行費用、管理費、修繕積立、保険、家具・設備、仲介・管理委託費が発生します。誰がどの費用を負担するかは契約で確認し、税率や課税関係は個別案件に応じてフィリピンの税務専門家へ照会してください。
賃貸運用では、提示賃料ではなく、空室、管理委託、募集、修繕、家具更新、源泉・申告、為替、海外送金を含めた手取りで試算します。短期賃貸を想定する場合、建物規約や現地規制が許可しているかを確認し、許可を将来も保証される前提にはしません。
契約前チェックリスト
視覚資料3:予約金を払う前の12項目
- CR・LS番号が対象フェーズと一致
- developer・broker・agentの実在性
- 広告と契約仕様の差異
- CCT・土地titleのCertified True Copy
- 抵当・差押え・訴訟等の注記
- 外国持分とcondominium corporation
- 予約金・分割金の返金条件
- 完成・引渡し・遅延時の扱い
- 面積変更・仕様変更・解除条項
- 管理費・修繕・税の未納
- 賃貸・ペット・改装・短期貸し制限
- 災害・保険・非常設備
よくある質問
外国人ならセブのコンドミニアムを必ず買えますか
必ずではありません。対象プロジェクトの共用部分の権利形態、condominium corporationの外国持分、ユニット・契約・登記の条件を個別に確認する必要があります。
License to Sellがあれば安全ですか
販売前に確認すべき重要書類ですが、完成、収益、価格上昇、個別CCTに負担がないことまで保証するものではありません。契約と権利のデューデリジェンスを別に行います。
中古物件では何を最優先で確認しますか
Registry of Deedsから取得した最新CCT、売主の権限、抵当・差押え等の注記、税・管理費の未納、管理規約、ユニットの現況を売買契約と照合します。
日本から契約できますか
代理・遠隔手続きが可能な場合でも、本人確認、委任状、領事認証・アポスティーユ等の要否、送金、税務、登記を案件ごとに確認してください。販売担当者だけでなく独立した専門家を選びます。
公式一次資料
- Republic Act No. 4726(Condominium Act)
- DHSUD:PD 957 Revised Implementing Rules
- DHSUD:CR・License to Sell確認の案内
- Land Registration Authority:Condominium Transactions
- LRA:eSerbisyoでのCertified True Copy取得案内
法令・行政手続き・税・プロジェクト状態は変更されます。2026年9月2日時点の一般情報として利用し、契約・送金前に現地専門家と公的機関で最新の原本を確認してください。


