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2025年10月20日、アラビアン・ビジネスの記者Will Milnerは、UAEのデータセンター市場が2024年の約12.6億ドルから、2030年に33億ドル超へ拡大する見通しを報じた。拡大の主因はAI導入とデジタルトランスフォーメーション投資の加速。記事では、国内需要の伸長に加え、UAE資本の域外投資が並行して進んでいる点にも触れられている。
背景。AIインフラ投資とUAEの位置づけ
UAEは国家戦略としてAI・クラウド関連の産業基盤整備を加速している。政府主導のDX(デジタル・トランスフォーメーション)、ハイパースケーラー(大型クラウド事業者)のリージョン拡張、データ主権やレイテンシ要求を背景に、国内での新設・既存施設の高規格化が同時進行している。2025年時点では、UAE系投資家が米国など域外のデータセンター資産取得・出資にも積極的で、国際的な供給網の取り込みを狙う動きが見られる。
需要ドライバーと数字のポイント
- 生成AI・HPC(高性能計算)対応需要の増加により、高電力・高冷却性能の“新築・改修プレミアム”が発生。
- 2024年の市場規模は約12.6億ドル。2030年に33億ドル超というレンジで中期の成長が示され、年平均成長率は二桁台が想定される。
- 官民のDX推進が景気変動の影響を相対的に緩和し、稼働率の底堅さに寄与。
用語解説(投資判断で役立つ指標)
- データセンター(DC):サーバー・ネットワーク機器を収容するインフラ施設。電力供給、冷却能力、セキュリティ、床荷重などの仕様が賃料とテナント需要を左右する。
- ハイパースケーラー:巨大なクラウド・AI基盤を運営する事業者群。長期リースや容量予約(プリリース)を行うことが多く、安定キャッシュフローに寄与。
- PUE(Power Usage Effectiveness):電力効率指標。1.0に近いほど高効率で、運営コスト(電力費)の削減→利回り改善に直結。
- RevPOD/RevKW:ラックや供給キロワット当たりの収益を示す概念。ホテルのADRと稼働率に相当する実務的なKPI。
供給面・リスク(デューデリジェンスの論点)
- 電力確保と引込時期:大型案件は100MW級もあり、系統・変電・バックアップ(発電機・燃料)の冗長化計画と実装時期を要確認。
- 用地・ゾーニング:産業用地やフリーゾーンでは用途規制に優位がある一方、騒音・熱・水使用などの環境規制を精査。
- 建設コストとリードタイム:高性能冷却・配電機器の調達が遅延要因になり得る。EPC契約の価格スライド・遅延賠償条項を確認。
- テナント集中:単一ハイパースケーラー依存は再リース時の交渉力格差につながる。複数社への容量配分や更新条項のバランスが重要。
物件タイプ別の投資アプローチ
- コロケーション型:複数テナントを収容。稼働・増設の柔軟性が高く、RevKW×稼働率の積み上げでキャッシュフローを可視化しやすい。
- BTS(Built-to-Suit)専用型:単一需要家向け。長期安定だが用途転換コストが高い。与信、更新条件、原状回復の扱いを重視。
- エッジ/ミニDC:物流・小売・メディアの低遅延需要と連動。将来の出口(売却)市場の厚みを事前に確認。
ニュースの見解
UAEのデータセンター市場が「2030年に33億ドル超」という明確な規模感を示したことは、国内DC不動産・インフラへの資本配分強化を後押しする材料である。日本人の海外不動産投資家にとっては、
- (1)UAE国内のDC用地・電力権益・設備(冷却・配電)を含む“ハード寄り”投資、
- (2)コロケーション型の長期リース案件を通じた安定キャッシュフロー投資、
- (3)REIT・私募ビークル経由の間接投資、
の三層で検討余地が広がる。実務では、①契約電力と引込スケジュール、②主要テナントのクレジットと容量予約比率、③PUE改善投資の回収年数、④段階的拡張(Phase 2/3)の余地、をモデル化し、RevKW×稼働率の感応度で下方耐性を確認したい。短期的にはAI/HPC需要の取り合いで賃料強含みが続きやすい一方、長期的には電力・水・人材の制約が賃料上昇の上限要因になり得る。再生可能エネルギーとのハイブリッド化(太陽光+蓄電)や液浸冷却等の効率化に積極的な運営者と組むことで、収益性とESG要件の両立が期待できる。
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