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2024年12月10日、ブルームバーグは、シンガポールの著名な不動産一家、ラジ・クマール氏とキシン・RK氏(父子)がアブダビに「RBファミリーオフィス(RB Family Office)」を設立する計画を報じました。新たな拠点は、アブダビ・グローバル・マーケット(Abu Dhabi Global Market=ADGM)内、アル・マリヤ島に設けられます。
RBファミリーオフィスは、リテール、商業、ホスピタリティ(ホテルなど)の不動産投資を中心に運用され、設立メンバーは現在チームを編成中とのことです。クマール家は、約100億ドル(約1.5兆円)の不動産資産を管理しており、インターコンチネンタル・シンガポール・ロバートソンキーなどの代表的物件を保有しています。
なぜアブダビなのか?|背景にある国際的な資産家誘致戦略
キシン氏は「アブダビを選んだのは、戦略的な立地と国際的に信頼される法制度があるから」と述べており、同地での長期的な事業展開を視野に入れています。
この背景には、アブダビが富裕層の資産避難先として国際的地位を高めているという現実があります。実際、著名ヘッジファンドの創業者レイ・ダリオ氏、アポロ・グローバル・マネジメントの共同創業者レオン・ブラック氏、さらにはエジプトのナセフ・サウィリス氏やロシア、インドの財閥も、次々とアブダビに家族経営の投資会社(ファミリーオフィス)を設立しています。
ファミリーオフィスとは?|用語解説
- ファミリーオフィス(Family Office):富裕層の家族資産を管理・運用する法人。投資、税務、相続、慈善活動なども担当。
- アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM):アブダビの金融自由区。独立した民商法制度を持ち、外国人資本にも開かれている。
- RB Capital:キシン氏が率いる私有不動産会社。シンガポールを拠点に国際的に展開。
アブダビ vs ドバイ|ファミリーオフィス設立の優位点
- アブダビでは1名の家族メンバーで設立可能(ドバイでは2名以上必要)
- 登録費用がわずか500ドル程度と非常に低コスト
- 手続きの官僚的ハードル(レッドテープ)が少ない
これらの柔軟性が、世界の富裕層をアブダビに引き寄せている要因です。
ニュースの見解
日本人不動産投資家への影響と見解
このニュースは、日本人投資家にとっても重要なシグナルです。なぜなら、
- アブダビが国際的な資産運用・不動産投資の新拠点として急速に地位を高めている
- 不動産に対する法制度・税制・インフラが富裕層フレンドリーである
- アブダビ政府が積極的に外国資本や不動産投資家を優遇している
という点で、日本人が資産の一部を海外分散させる先として有力候補になるからです。
特に、今後アブダビで不動産投資を検討する際には、RBファミリーオフィスのような国際的な機関投資家と同じ視点で、エリア選定・用途別投資(商業、ホテル、リテール)・中長期の成長性を見極めることが、差別化された成功戦略となるでしょう。