「オーストラリアと日本の時差は1時間」と覚えていると、半年ごとに30分から1時間ずれます。オーストラリアには標準時が3つあり、そのうち2つの地域が夏時間を使うためです。日本との差は、州と季節の組み合わせで「マイナス1時間」から「プラス2時間」まで5通りに分かれます。気象局の用語解説とニューサウスウェールズ州政府の案内で、どの州がどれに当たるかを確かめました。
先に要点
- オーストラリアの標準時は3つ。東部標準時(UTC+10)がクイーンズランド州・ニューサウスウェールズ州・ビクトリア州・タスマニア州、中部標準時(UTC+9時間30分)が北部準州と南オーストラリア州、西部標準時(UTC+8)が西オーストラリア州(オーストラリア気象局の用語解説)。
- 日本はUTC+9で夏時間を使わない。差は引き算で出る。
- 夏時間の期間は10月の第1日曜から4月の第1日曜まで。2026年から2027年の回は、ニューサウスウェールズ州で2026年10月4日(日)午前2時に開始し、2027年4月4日(日)午前3時に終了する。
- 夏時間のあいだ、シドニーはUTC+11になる。日本との差は2時間。シドニーのほうが進んでいる。
- 夏時間が終わるとUTC+10に戻り、差は1時間になる。
- クイーンズランド州・西オーストラリア州・北部準州は夏時間を使わない。ブリスベンは年間を通して日本との差が1時間、パースは日本のほうが1時間進んでいる。
- 西オーストラリア州だけは、日本より時計が遅れている側にある。
日本との時差は、いま2時間。4月4日から1時間に戻る
結論から書きます。この記事を更新した2026年10月29日時点で、シドニーの時計は日本より2時間進んでいます。東京が正午のとき、シドニーは午後2時です。
理由は夏時間です。ニューサウスウェールズ州政府の案内によれば、今シーズンの夏時間は2026年10月4日(日)午前2時(東部標準時)に始まり、その瞬間に時計が1時間進んで午前3時になりました。終わるのは2027年4月4日(日)午前3時(東部夏時間)で、そこで1時間戻って午前2時になります。
| 期間 | シドニーの時刻 | 日本との差 | 東京が正午のとき |
|---|---|---|---|
| 2026年10月4日 〜 2027年4月4日 | UTC+11(東部夏時間) | 2時間進んでいる | 午後2時 |
| 2027年4月4日 〜 次の10月第1日曜 | UTC+10(東部標準時) | 1時間進んでいる | 午後1時 |
切り替えの瞬間は日曜の深夜です。日曜の朝に日本から連絡する予定があるときは、その週末が切り替えの週末かどうかを確かめてください。4月の第1日曜は、現地の午前2時台が2回来ます。
シドニーの現在時刻と日本の現在時刻
標準時は3つ。オーストラリア気象局の用語解説がそのまま使える
オーストラリアの標準時は、気象局(Bureau of Meteorology)の用語解説ページに列挙されています。観測データを扱うための説明ですが、国内の時間帯の定義としてそのまま読めます。
EST – Australian Eastern Standard Time (+10 UTC) in Qld, NSW, Vic and Tas / CST – Australian Central Standard Time (+9.5 UTC) in NT and SA / WST – Australian Western Standard Time (+8 UTC) in WA
中部標準時が「+9.5」、つまりUTC+9時間30分である点が、日本から見たときの引っかかりどころです。日本はUTC+9なので、アデレードやダーウィンとは30分差になります。1時間単位でそろわない時差は、会議の設定で見落とされやすい部分です。
同じページは夏時間についても、「夏時間の期間の始まりに現地の時計を1時間進め、終わりに1時間戻す」こと、「適用される正確な日付は関係する州政府から得られる」ことを書いています。連邦の法律で一律に決まっているのではなく、州ごとの法律で決まるという構造が、ここから読み取れます。
州ごとの一覧。日本より遅れているのは西オーストラリア州だけ
標準時の3区分と夏時間の有無を組み合わせると、日本との差は5通りになります。
| 州・準州 | 標準時 | 夏時間 | 日本との差(標準時のとき) | 日本との差(夏時間のとき) |
|---|---|---|---|---|
| ニューサウスウェールズ州(シドニー) | UTC+10 | あり | +1時間 | +2時間 |
| ビクトリア州(メルボルン) | UTC+10 | あり | +1時間 | +2時間 |
| タスマニア州(ホバート) | UTC+10 | あり | +1時間 | +2時間 |
| オーストラリア首都特別地域(キャンベラ) | UTC+10 | あり | +1時間 | +2時間 |
| クイーンズランド州(ブリスベン・ケアンズ) | UTC+10 | なし | +1時間 | +1時間のまま |
| 南オーストラリア州(アデレード) | UTC+9:30 | あり | +30分 | +1時間30分 |
| 北部準州(ダーウィン・エアーズロック) | UTC+9:30 | なし | +30分 | +30分のまま |
| 西オーストラリア州(パース) | UTC+8 | なし | -1時間 | -1時間のまま |
クイーンズランド州議会図書館が2010年に出した調査資料は、夏時間について「タスマニア州、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、オーストラリア首都特別地域、南オーストラリア州では10月の第1日曜から4月の第1日曜まで恒常的な制度になっている。クイーンズランド州、西オーストラリア州、北部準州は現在のところ夏時間を使っていない」と書いています。2010年時点の記述である点は押さえたうえで、2026年のニューサウスウェールズ州の日付がこの規則どおりになっていることは、州政府の案内で確認できます。
オーストラリア国内の移動で時計が動きます。夏時間のあいだ、シドニーからブリスベンへ飛ぶと時計を1時間戻すことになります。距離は約750キロで、同じ東部標準時の地域なのに、片方だけ夏時間を使っているためです。
シドニーからパースへ飛ぶと、夏時間のあいだは3時間戻ります(UTC+11からUTC+8)。国内線でこれだけ動く国は多くありません。
シドニーと日本の時差(自動表示)
夏時間の切り替え日に気をつける場面
時差そのものより、切り替え日のほうが実務では効きます。オーストラリアの物件を持っている人、現地の管理会社や弁護士とやり取りしている人は、次の順番で確かめると取りこぼしません。
切り替え日をまたぐ予定の立て方
相手がどの州にいるかを先に確かめる。同じ「オーストラリア」でも、ブリスベンとシドニーでは夏時間のあいだ1時間ずれる。
その予定が10月の第1日曜、または4月の第1日曜をまたぐかを見る。2026年から2027年の回は10月4日と4月4日。
またぐ場合は、現地時間と日本時間の両方を書いて相手に送る。「日本時間」と明記しないと、どちらの時計の話か分からなくなる。
決済日や期限が切り替え日の直後にあるときは、現地の営業日で数え直す。日本側の感覚で1時間を足し引きすると、締め切りの前後が入れ替わる。
送金の着金日も同じ考え方で見ます。海外送金は何日かかる?で整理したとおり、銀行が公表しているのは営業日数で、現地の時計で何時までに受け付けたかによって1日ずれます。夏時間の切り替え日は、この「何時まで」の境目が動く日です。
なぜ州によって違うのか──4回の住民投票で否決した西オーストラリア州
日本から見ると「国で1つに決めればよいのに」と思う部分ですが、オーストラリアでは夏時間の採否が州ごとの選択として定着しています。クイーンズランド州議会図書館の調査資料には、その経緯が書かれています。
オーストラリアでは第二次世界大戦の終わりから1967年まで夏時間が使われていませんでした。復活のきっかけはタスマニア州で、干ばつによる電力供給への影響を抑えるために導入したのが最初です。その後、ニューサウスウェールズ州・ビクトリア州・オーストラリア首都特別地域・南オーストラリア州が恒常的な制度にしました。
いっぽう西オーストラリア州は、1975年・1984年・1992年・2009年の4回の住民投票で夏時間を否決しています。同じ調査資料によると、4回とも有効投票のおよそ46%が賛成、54%が反対という、ほぼ同じ結果でした。2009年の投票は3年間の試行のあとに行われたもので、都市部では賛成50.60%・反対49.40%と拮抗したのに対し、地方部では賛成29.96%・反対70.04%と差が開いています。
クイーンズランド州も試行のあと恒常化していません。北部準州は夏時間を持っていません。この3つの州・準州が「使わない」側に並んでいるのは、いずれも投票や試行を経た結果であり、単に決めていないという状態ではない、というのが調査資料から読み取れる形です。
シドニーの日の出・日の入り時間(現地時間)
よくある質問
シドニーとメルボルンで時差はありますか
ありません。どちらも東部標準時(UTC+10)で、夏時間の実施も同じです。差が出るのはブリスベンとの間で、夏時間のあいだだけ1時間ずれます。
ケアンズは夏時間になりますか
なりません。ケアンズはクイーンズランド州にあり、同州は夏時間を使っていません。年間を通してUTC+10で、日本との差は1時間です。
アデレードとの30分差はなぜ起きるのですか
南オーストラリア州が中部標準時(UTC+9時間30分)を使っているためです。気象局の用語解説にも「+9.5 UTC」と書かれています。夏時間のあいだはここに1時間が足されてUTC+10時間30分になり、日本との差は1時間30分になります。
パースは日本より進んでいますか、遅れていますか
遅れています。西オーストラリア州は西部標準時(UTC+8)で、日本のUTC+9より1時間うしろです。同州は夏時間を使っていないので、この関係は1年中変わりません。
夏時間の日付は毎年変わりますか
曜日で決まっているので、日付は毎年動きます。規則は10月の第1日曜に始まり4月の第1日曜に終わるという形で、2026年から2027年の回はニューサウスウェールズ州で10月4日と4月4日です。
オーストラリア全体で夏時間が廃止される予定はありますか
この記事では確認できませんでした。夏時間は州ごとの法律で決まっており、気象局も「適用される正確な日付は関係する州政府から得られる」と書いています。制度の変更があるとすれば州の議会での動きになります。
出典
- Bureau of Meteorology「Daylight Saving Time and weather observations」(標準時3区分のUTCオフセット、夏時間の定義と呼称。最終更新2021年12月1日)
- NSW Government「Daylight saving」(2026年10月4日午前2時の開始、2027年4月4日午前3時の終了、根拠法)
- Queensland Parliamentary Library「Daylight Saving in Queensland」Research Brief 2010/22(夏時間を実施する州としない州、10月第1日曜から4月第1日曜という期間)
