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2026年1月7日、ブルームバーグが「サウジアラビアが海外投資家を誘致し、不動産市場を開放する動き」を報じました。記事は、リヤドから北へ車で約1時間の新しい開発地「フザム(Khuzam)」を例に、住宅価格の高騰(買える家が足りない・価格が上がり続ける)という課題に対して、サウジが大規模供給と市場制度の見直しで対応しようとしている点を伝えています。執筆はザイナブ・ファッタ氏、写真はマヤ・アンワル氏(いずれもブルームバーグ)です。
フザム(Khuzam)では、砂丘が消えていくような景色の先に、新築の一戸建て住宅が何千戸も地平線まで並ぶ様子が描写されています。アメリカの郊外住宅地のような「分譲型の新興住宅都市」をつくるイメージです。
ニュースの要点は次の通りです。
- 場所:リヤド北部(車で約1時間)
- プロジェクト規模:1,000億リヤル(約270億ドル)超
- 狙い:サウジ国内の住宅価格高騰問題の緩和(住宅供給の拡大)
- 政策の文脈:ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(通称MBS)が、不動産市場を再構築し、外国人投資家・購入者を呼び込み、経済を活性化させる流れの一部
「住宅価格の高騰」はサウジ固有の問題ではなく、記事内でもニューヨークからシドニーまで世界各地で住宅価格が課題になっていることに触れています。そのうえで、サウジは“供給そのものを大規模に増やす”象徴としてフザムを位置づけ、同時に「海外マネー・海外需要」も取り込む方向へ舵を切ろうとしている、という構図です。
背景:なぜ今「市場開放」と「大量供給」なのか
サウジでは、人口増加や都市集中(特にリヤド周辺への集中)、住宅ニーズの変化などが重なり、住宅価格が上がりやすい環境になりがちです。そこで政府側は、
- 住宅供給を増やす(新都市・新規分譲の拡大)
- 市場制度を整えて海外投資家を呼び込む(資金流入・開発加速)
という二つを同時に進め、住宅問題の緩和と景気刺激を狙う、というわかりやすい政策パッケージになっています。
難しい用語をかみ砕く
- MBS(ムハンマド・ビン・サルマン皇太子):サウジの事実上の最高権力者として政策を主導する人物を指す略称です。
- リヤル(SAR):サウジの通貨です。ニュースでは「1,000億リヤル超」という形で投資規模が示され、国家レベルのプロジェクトであることが分かります。
- 不動産市場の開放:外国人が不動産を「買える・投資できる」範囲を広げたり、手続きや制度を整えたりして、海外投資家が参入しやすくすることです(どのエリア・用途が対象かは制度設計次第)。
- 住宅価格高騰:需要に対して供給が追いつかず、価格が上がり続ける状態です。供給が増えると“価格上昇が落ち着く”方向に働きやすい一方で、人気エリアは上がり続けることもあります。
ニュースの見解
日本人の海外不動産投資家にとって、このニュースが示すインパクトは「サウジが、国内の住宅課題をテコにして不動産市場を国際化し始めた」という点です。投資目線では、次のような見方が現実的です。
- 追い風になり得る点
- 国主導の大型供給(フザムのような計画)が進むと、周辺インフラ整備や人口流入の“物語”が作られやすいです。
- 市場開放が進めば、海外資金が入りやすくなり、開発案件・売買市場が厚くなる可能性があります。
- 注意すべき点(投資判断に直結)
- 「市場開放」といっても、外国人が買えるエリア・用途・権利形態は制度次第で変わります。購入前に“買える前提”で突っ走るのは危険です。
- 住宅価格高騰の解決が目的のため、供給が増えすぎると賃料・売買価格の伸びが鈍る局面もあり得ます。
- 大型開発は、工期遅延・仕様変更・販売計画の修正が起きやすいので、デベロッパーの信用力、契約条項、解約条件、引き渡し条件の確認が重要です。
結論としては、「サウジ不動産=短期で一気に儲かる」という単純な話ではなく、政策(市場開放)×供給(フザムのような新都市)×需要(居住者・企業誘致)の三点がそろう場所を見極める局面に入った、というニュースです。日本人投資家は、制度変更のニュースが出たタイミングほど、物件探しより先に「買える権利」「賃貸需要の中身」「出口(売却市場)」を固めてから動くのが安全です。
