「フィリピンといえば、カジノですが、カジノと不動産価格には関係があるのでしょうか?」

フィリピン不動産を購入しようとしている方にとって、カジノ産業は気になるポイントではないでしょうか。今回は、フィリピンカジノ産業の現状と不動産投資との関係について解説します。

フィリピンのカジノ産業の市場規模

  1. マカオ:376億ドル (約4兆円)
  2. アメリカ合衆国ネバダ州(NV州)(ラスベガス):119億ドル (約1.3兆円)
  3. シンガポール:45.3億ドル (約0.5兆円)
  4. フィリピン:35.8億ドル(約0.4兆円)
  5. オーストラリア:48億豪ドル(約0.38兆円)
  6. フランス:23億ユーロ(約0.28兆円)
  7. 韓国:27,300億韓国ウォン (約0.27兆円)
  8. オーストリア:3億ユーロ(約0.03兆円)

出展:みずほ総合研究所株式会社

マカオやラスベガスには劣るものの、フィリピンのカジノ産業は、シンガポールに近い市場規模まで成長しており、フィリピン経済を牽引する一大産業となっているのです。

フィリピンのカジノ産業が急上昇している背景

1977年、当時のマルコス大統領は、カジノを国が管理し、その収益も国が取得することを前提に、大統領府傘下の国営会社「フィリピン ・アミューズメント・ゲーミング会社」(PAGCOR:Philippine Amusement and Gaming Corp)を設立しました。同社にカジノ独占権を与え、運営を委ねることで、政府予算の財源獲得と非合法カジノの排除を目指しました。

PAGCOR憲章と呼ばれる大統領令第1869号は

  1. 国内の全てのゲーミング賭博を規制し、かつ運営する(規制者であり、かつ自らが独占権を保持する運営者となる)
  2. その収益から政府のインフラ、社会文化活動への財源を拠出する
  3. 観光振興へ貢献する

という役割を確定させました。

2007年、大統領令1869号の改正が議会で成立し新たに2008年から25年間の独占権を付与された。また、同改正により PAGCOR がカジノ事業者に対し、PAGCOR が持つ運営権利を代位する施行権(Authority)を付与し、カジノ運営を委託することもできるようになりました。

2000年代には PAGCOR主導で統合型リゾートを集中させる経済特区としてエンターテイメント・シティ開発が進められた。エンターテイメント・シティは、マニラ首都圏パラニャーケ市に位置し、8kmにわたるマニラ湾埋め立て地に作られたIRのための経済特区です。

PAGCOR

概要

PAGCORは下記の9つのカジノを運営し、このほかサテライト・カジノを31件運営しています。主顧客層はフィリピン人であり、それに観光で来る外国人旅行者が加わる状況です。富裕層以外の顧客が中心であることから、遊興施設中心の関連施設となっています。空港インフラや他国とのフライトのアクセスの利便性向上が課題です。

運営カジノ

マニラ

  • Casino Filipino Malate
  • Casino Filipino Manila Bay

ルソン

  • Casino Filipino Angeles
  • Casino Filipino Ilocos Norte
  • Casino Filipino Tagaytay

ビサヤ・ミンダナオ島

  • Casino Filipino Bacolod
  • Casino Filipino Cebu
  • Casino Filipino Davao
  • Casino Filipino Iloilo

収益構造

  • 純収入の5% → 内国歳入庁へフランチャイズ税として納付
  • 上記の残り95%のうち50% → 財務省へ政府収益分配金として納付
  • フランチャイズ税及び財務省への支払い後の5%をフィリピンスポーツ委員会に拠出
  • PAGCORのカジノが設置されている都市に対し一定額が地域振興のため支払われる
  • 法人税は税法にしたがって支払われる
  • 1%が法務省管轄下の賠償請求委員会に支払われ、えん罪被害者のために使われる
  • それ以外にも、教育やスポーツの振興、再生エネルギープロジェクトなどにも出資。PAGCOR 自体でも Social Responsibility プロジェクトを実施している。

つまり、フィリピンの腐敗を徹底的に排除したマルコス大統領が、政府予算の財源獲得と非合法カジノの排除を狙い、国営カジノ会社「PAGCOR」を作って、カジノ産業を管理下に置いたということになります。

現状を見ると、マルコス大統領の戦略はあたっており、フィリピンのカジノ産業は、順調に成長していることがわかります。

フィリピンの主要なカジノ

  1. ソレア・リゾート&カジノ/Solaire Resort & Casino Bloomberry Resort Corporation
  2. シティ・オブ・ドリームス・マニラ/City of Dreams Manila Melco Resorts and Entertainment
  3. オカダマニラ/Okada Manila Riger Resort, Leisure and Entertainment
  4. リゾート・ワールド・マニラ/Resort World Manila Travellers International Hotel Group

フィリピンのカジノ産業の今後

国営カジノ企業「PAGCOR」の民営化

PAGCORは、民営化の準備を進めており、2025年までに資産を売却し、カジノ運営業務を切り離し、完全な規制機関になる計画です。

これまで、PAGCORは事業運営者と規制機関としての二重の役割を持っていましたが、利益相反の可能性があるなど、2つの役割を同時に保有することへの批判もありました。結果、規制機関のみになり、民営化される計画となっています。

カジノ産業の市場拡大

フィリピンのカジノ産業は、中国人富裕層を引き寄せることで、2028年までに売上高を2倍にする見込みです。カジノ規制当局(PAGCOR)のトップであるAlejandro Tengcoは、ロイターの記事で「少なくとも約30億ドル相当の6つの新しいカジノ建設が計画中で、日本やタイとの競争に先駆けて東南アジアでのフィリピンのポジションを強化する」「毎年少なくとも10%の成長率で売上高を伸ばす可能性があり、2023年は新たな最高記録を達成し、5年後には4,500億ペソから5,000億ペソ(約79億ドルから88億ドル)に達する」としています。

今後のカジノ建設

現在、マニラで運営されている4つの巨大カジノに加えて、さらに6つの巨大カジノの計画があります。パンパンガ州には最大20億ドルのカジノとゴルフコース、カビテ州には3億ドルのBloomberry Resortsプロジェクト、ボラカイ島には3億ドルのGlobal-Estate Resortsプロジェクトなどがあります。

  • マニラ:6つの巨大カジノ
  • パンパンガ州:カジノとゴルフコース
  • カビテ州:Bloomberry Resortsプロジェクト
  • ボラカイ島:Global-Estate Resortsプロジェクト

直近で計画されているマニラのカジノ

ウェストサイド シティ プロジェクト

  • 運営会社:サントラスト・リゾート・ホールディングス(香港上場)
  • 5つ星の客室460室と「大衆市場とVIP市場の両方に対応する」カジノ施設
  • 建設費:11億ドル
  • 立地:ウェストサイド シティ

インターナショナル・エンターテインメント・コーポレーションのプロジェクト

  • 運営会社:インターナショナル・エンターテインメント・コーポレーション(香港上場)
  • 客室数800室の5つ星高級ホテル、カジノ、レストラン、レジャー施設、ショッピングアーケード
  • 総床面積少なくとも25万平方メートルの統合型リゾート
  • 立地:マニラ市内]
  • 建設費:最大12億ドル

フィリピン不動産とカジノの関係性

カジノ産業の成長は、フィリピン経済の成長の一つのエンジンであるため、不動産価格にも影響する

フィリピン経済は、BPO産業が経済の主力であることは間違えありません。2023年は、350億ドル(約2兆ペソ)の収益を上げるのがBPO産業です。カジノ産業は、ここに及ばないものの35.8億ドル(約0.4兆円)もの市場規模ですので、存在感のある産業であることは間違えありません。

フィリピン経済が成長すれば、不動産価格も上昇するのですから、カジノ産業と切っては切り離せないものと言えます。

カジノ産業が強ければ、外国企業からの投資も集まる

カジノ産業があれば、カジノやホテルリゾートへの建設に関する出資が世界各国から集まります。富裕層の観光客が増えれば、さらに周辺観光地やインフラへの投資が世界中から集まります。海外資本の流入により、一層不動産価格の上昇が見込めるのです。

「カジノの近く」という立地は不動産価格にとってプラスか?マイナスか?

フィリピンでは、現時点では、カジノの主要な利用者は、フィリピン人です。富裕層というよりは、プチリッチなフィリピン人が行くイメージです。

不動産投資として、フィリピン不動産に投資をする上で、賃貸での貸し出しを検討しているのであれば「カジノの近く」「カジノにアクセスしやすい」というのも、一つの売りにはなります。なぜならば、カジノの近くには、商業施設、ホテル、アミューズメント施設なども作られるため、そこで雇用が生まれ、そこで働く人は、アクセスしやすい住居を選ぶからです。フィリピン人でも、毎日カジノに行く人はほとんどいませんので、カジノに行くためにカジノの近くというよりは、カジノ周辺は働く場所が多いから、そこに勤務する人の住まいとしてニーズがあるということになります。

また、フィリピンでも徐々に民泊運用が広まっていますが、民泊などの観光客狙いの場合も、「カジノの近く」という立地は、売りになります。

フィリピン不動産投資とカジノ産業は、無関係ではありません。フィリピン人にとって日常生活に必要というわけではないカジノだけを意識する必要はありませんが、観光や経済とは強い関係があるため、最新状況は把握しておくと良いでしょう。

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