「海外不動産投資に、為替が関係あるのはわかるんだけど、金利ってどんな関係があるの?」

海外不動産投資では、投資をする国の金利、為替、物価は非常に重要なポイントとなります。何が、どう、重要なのか?を丁寧に解説していきます。

海外不動産投資は、物件価格の上昇によるキャピタルゲインが一番の目的

海外不動産投資をする目的は、人によって異なりますが、多くの投資家が主軸にしているのが「物件価格の上昇によるキャピタルゲインの獲得」ではないでしょうか。

物件価格の上昇は「インフレ」に大きな関係があります。

インフレとは

「インフレーション(Inflation)」の略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段(物価)が上がることを言います。モノの値段が全体的に上がり、お金の価値が相対的に下がることを意味します。

インフレにも、いろいろな理由があり

景気が良くなることで、需要が増えることによるインフレ「良いインフレ」

  1. 需要が供給を上回り、通貨の流通量が増える
  2. 商品の値段が上がる
  3. 企業の収益が増える
  4. 企業が従業員に対し、賃金の形で収益を還元する
  5. 社会全体の経済力が上がり、消費が活発化する

仕入れコストが高くなることによるインフレ「悪いインフレ」

  1. 何らかの要因(戦争など)で、原材料費などが値上がりする
  2. 商品の値段が上がる
  3. 収入は変わらないので、消費が抑制される
  4. 需要が低いため、企業が従業員に対し、給料の削減や解雇を行う
  5. 社会全体の経済力が下がり、消費が停滞する

不況下における悪いインフレのことを、「スタグフレーション(Stagflation)」と呼びます。

「良いインフレ」でも、「悪いインフレ」でも、物価が上がるのは同じであり、不動産価格も上昇します。しかしながら、「悪いインフレ」の場合は、消費が停滞するため、不動産を借りる資金がなくなるため、家賃が下がり、その分、不動産価格も下がってしまうのです。

中央銀行は、金利を上げて、インフレ対策をする

世界各国の中央銀行は、金利を上げることによって、インフレを抑えようとします。

  • 中央銀行が金利を引き上げる → 通貨の流通量が減る(金利が高いとお金を借りずに、預金で銀行に預けるから、市場に流通するお金の量が減る)
  • 通貨の流通量が減る → お金の価値が上がる → 相対的に物価が下がる

という仕組みです。

だからこそ

インフレが進んでいる国は、中央銀行の設定する金利が高くなる

のです。

とくに悪いインフレの場合は、国民の生活が苦しくなってしまうため、中央銀行が金利を上がることで、なんとかインフレを抑えようと躍起になるのです。

例えば、アメリカでは、物価上昇率は

  1. 2018年:2.4%
  2. 2019年:1.8%
  3. 2020年:1.2%
  4. 2021年:4.7%
  5. 2022年:8.0%
  6. 2023年:4.1%

と、2020年から物価上昇がはじまりました。

インフレを抑えるために、FRBは

  • 2022年2月:0.25%

だった金利を

  • 2023年7月:5.50%

まで、引き上げているのです。

金利が上がると、通貨高になる?

基本的には、中央銀行が金利を引き上げると、通貨高になるのが一般的です。

その通貨を持っていれば、高い利息が受けられるため、多くの投資資金などが流入するためです。

  • 米ドルも、政策金利が5.0%程度まで引き上げられたことで、世界的にドル高になっている
  • 日本円は、政策金利が-0.1%程度で抑えられていることで、世界的に円安になっている

ことからもわかります。

通貨は、一般的には、政策金利が高い国の通貨は買われやすくなり、政策金利が低い国の通貨が売られやすくなるものです。

エジプトなどは、インフレ対策と同時に、外貨を得るための手段として、中央銀行が金利を引き上げているのです。金利を上げれば、外国の通貨と自国通貨を交換してくれる人が増えるため、外貨が獲得できるということです。

海外不動産投資で見るべきポイント

  • インフレが起こると、不動産価格も上昇する
  • 悪いインフレの場合は、不動産価格は上がるが、家賃は上昇しにくく、利回りも低くなる
  • インフレが起こると、中央銀行は金利を引き上げる
  • 金利を引き上げると、通貨高になるため、為替差益も狙える

つまり、

インフレが起きやすい国、インフレが起こることが予想される国の海外不動産投資を安い段階で買うのであれば、非常に良い投資(キャピタルゲインを得やすい)

と考えられます。

ただし、注意しなければならないのは、一部の国は、上記のルールから外れてしまうケースがあるという点です。

トルコの場合

トルコは、インフレ率が高いため、本来は、中央銀行が金利を引き上げなければならなかったのですが、エルドアン大統領は「金利が下がれば物価も下がる」と、逆の主張を続け、中央銀行に金利引き下げを強要してきたため、インフレ率がどんどん高くなってしまい、ひいては、通貨の信用自体がなくなることで、トルコリラ安が止まらなくなってしまう状態になりました。

トルコ不動産を購入していた場合

  • 不動産価格は、インフレによる上昇
  • 為替レートは、通貨安による下落

エジプトの場合

エジプトは、ロシア・ウクライナからの輸入に頼っていた国で、ロシア・ウクライナ戦争により、穀物が輸入できなくなり、供給不足による大きなインフレ状態になっています。本来は、中央銀行が金利を引き上げれば済むことだったのですが、エジプトの中央銀行も、為替介入により、自国通貨の価値を守る政策を取っていたため、市場の適切な為替レートにならず、IMFから通貨切り下げ・市場に応じた為替レートにすることを求められるようになっています。結局、通貨切り下げを段階的に実施することになり、通貨安に陥っています。

エジプト不動産を購入していた場合

  • 不動産価格は、インフレによる上昇
  • 為替レートは、通貨安による下落

つまり、投資する国の政府や中央銀行の方針が、あるべきものになっていないと、インフレによる物件価格の上昇が起きたのにも関わらず、通貨安になってしまい、そのキャピタルゲイン分が、為替差損で吸収されてしまうことになってしまうのです。

海外不動産投資・海外不動産購入を検討するうえでは

  • 通貨の強さ
  • 通貨の安定性
  • 中央銀行の方針

なども、考慮しておく必要があるということです。

そのうえで、インフレが起きやすいタイミングを見極められれば、大きなキャピタルゲインが狙えることになります。

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