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インドネシアの物流・工業系不動産に追い風?米国関税政策がもたらす中長期的な成長機会

2025年5月20日、国際不動産大手ナイトフランク(Knight Frank)は、米国の新たな関税政策がインドネシアとベトナムの工業・物流系不動産市場に大きな成長をもたらすとの最新レポートを発表しました。報告によれば、今後3年間でインドネシアの製造・物流系不動産需要は15〜20%増加すると予測されています。

今回の背景にあるのは、「トランプ政権2.0」による関税の再強化です。関税は57カ国、約2.3兆ドル相当の輸入品にまで拡大されており、米中貿易摩擦の再燃を受けて、中国製品に対する実効関税率は約124%に達しました。これはトランプ氏の第1期時代の約19%から大きく跳ね上がっています。

この貿易環境の激変を受け、多くの多国籍企業(MNC)はサプライチェーンの再編を進めています。従来の「チャイナ・プラス・ワン(China+1)」からさらに発展し、複数国に分散投資する「チャイナ・プラス・エヌ(China+N)」という新戦略が主流となってきました。

この新たな戦略モデルのなかで注目を集めているのがインドネシアです。自動車、電子機器、ロジスティクスといった分野を中心に、現地生産や拠点設置の動きが活発化しており、特に「専用設計型」の物流施設(※テナントの業種やニーズに応じて設計された不動産)に対する需要が増えています。

ナイトフランクによると、インドネシアは比較的関税の影響が小さく、かつ豊富な労働力、インフラ整備の進展、そして東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国という地政学的強みも備えており、企業にとって長期的なサプライチェーン構築の拠点として魅力が高まっています。

また、インドネシアの物流倉庫の賃料は、2020〜2024年の間に平均17.2%上昇。これは需要の高まりと供給不足が重なった結果であり、今後も継続的な上昇が期待されています。

さらに、アジア市場向けにアジア内で生産・流通を完結させる「アジア・フォー・アジア」型の投資判断も増加しており、インドネシアがその流れの中心地の一つとなっているのです。

一方で、シンガポールやマレーシアなど、サービス・貿易に依存する国々では、米国関税の副次的な影響により、サプライチェーンの混乱や景気後退リスクが警戒されています。

ニュースの見解

日本人投資家への影響と見解

今回のナイトフランクのレポートは、インドネシア不動産市場、特に工業団地・物流倉庫・倉庫付き土地開発といったカテゴリにおける中長期的な成長性を裏付けるものです。

これまで、インドネシアへの不動産投資は「リゾート」や「住宅」分野が注目されてきましたが、今後は法人向けの収益物件、つまり「インカムゲインを狙える賃貸型の物流施設や工業用地」への注目が高まると見られます。

また、インドネシアは今後ASEAN全体のハブとしての役割をさらに強めていくと予測され、為替や物価の安定化、外国人所有に対する法整備も進んでいます。これは、日本人投資家にとっても、より透明性のある投資環境が形成されつつあることを意味します。

今後の注目ポイントは、以下の通りです。

  • 関税再編による「チャイナ+エヌ」型の需要移転先としての地位確立
  • 特定業種(自動車・電子機器・物流)による工業不動産の引き合い増
  • 賃料上昇トレンドの継続と安定収益の確保
  • 投資対象としての法人向け倉庫・工業団地への注目拡大

短期的な投機ではなく、中長期的な構造変化を見据えた投資先として、インドネシアは今後の有力選択肢のひとつになるでしょう。

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