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2025年7月、エジプト国家トンネル公団(National Authority for Tunnels)は、カイロと新行政首都を結ぶ無人モノレールの第一フェーズの試運転を7月中に開始すると発表しました。今回の試運転は乗客なしで行われ、まず「キャピタル駅」から「エル・モシール駅」までの区間が対象となります。年末には「ナスルシティのカイロ・スタジアム駅」まで延伸予定で、2026年初頭には全22駅での本格運行が予定されています。
この「イースト・ナイル・モノレール」は、全長56.5kmに及び、完全自動運転(無人運行)システムを導入。新行政首都内に設置された中央制御センターによりリアルタイムで運行管理されます。また将来的には車両数を現行の4両から8両へ増強し、周辺地域の人口増加に対応する計画も示されています。
このモノレールは、将来的に西側の「ウエスト・ナイル・モノレール」と接続し、全長100km・35駅に及ぶ広域ネットワークを構築する見通しです。
プロジェクトの背景
エジプトでは2015年以降、「カイロの過密問題」や「老朽化した都市インフラ」を解決するため、新行政首都の建設が国家プロジェクトとして進行中です。この新首都は約700km²の面積に政府機関、大使館、商業施設、住宅区などを整備予定で、交通インフラの目玉の一つがこのモノレール計画です。
この都市開発には、中国国有企業のCSCEC(中国建築工程総公司)が深く関与しており、「一帯一路」構想の一環としても注目されています。エジプトは地政学的にアフリカ・中東・欧州を結ぶ要所であり、中国にとって戦略的な拠点となっています。
モノレールの特長と用語解説
- 無人運行:運転士が搭乗せず、中央制御センターから遠隔操作で走行する最新型の都市交通方式。
- 制御センター:モノレール全体のスケジュール、速度、緊急停止などを一括管理する施設。
- モノレール:通常の鉄道と異なり、一本のビームの上を車両が走行する形式。地上にスペースを取らず、騒音や振動が少ないのが特徴です。
ニュースの見解
今回のモノレール試運転開始は、エジプト新首都のインフラ整備が実際に稼働段階へ移行していることを象徴する重要な節目です。日本人投資家にとっては、次の3つの点で大きな注目材料となります。
- 都市交通の整備は不動産価値を押し上げる
モノレール駅周辺の不動産価格は、利便性向上に伴い上昇傾向となる可能性が高く、早期投資の価値があります。 - 開発進捗の「見える化」
インフラの進行状況がニュースとして報道されることで、プロジェクトの実体を把握しやすくなり、投資判断材料として信頼性が増しています。 - リスクとチャンスのバランス
新興開発地域ゆえの流動性リスクや制度面の不透明さもありますが、今回のような実行フェーズ突入ニュースは、リスク低減の材料になります。
特に新行政首都の鉄道インフラが機能し始めるということは、「ただの計画都市」から「実用都市」へと変貌していく過程にあり、住宅や商業施設への需要も現実味を帯びてきます。今後の住宅需要や地価の動向を見越した長期視点の不動産投資が有望といえるでしょう。