そもそも、ドバイってカジノあるの?
ドバイには、執筆時点(2023年12月)にはカジノは存在していません。
ドバイは、イスラム教徒の国です。
イスラム教では、賭け事が禁止されています。
イスラム教成立以前の中東では、マイスィルと呼ばれる賭けが一般的でしたが、「利益より害が大きい」という理由で禁止されました。イスラム教でいうギャンブルとは、主に金銭をめぐって勝負するという概念があり、例えば福引きのような一定確率で商品を得られるものは許可される傾向にあるようです。
そのため、ドバイでも
ギャンブル禁止
なのです。
ギャンブルは禁止とされているドバイですが、 競馬と宝くじだけはオーケーとなっています。
ドバイには競馬場があるものの「馬券の販売、購入は禁止」ですので、優勝馬を当てるゲームが行われていて、当たった人には賞金や豪華賞品が贈呈されます。「100万ドル」「ランボルギーニやベントレーなどの高級車」「BMWなどの高級バイク」が当たる豪華な宝くじも販売されています。
執筆時点では
ギャンブル禁止 = カジノも許可されない = ドバイにカジノは存在しない
という状況だったのです。
ドバイでカジノが認められる可能性が出てきた
UAE(アラブ首長国連邦)は、地域の貿易、観光、金融の中心地としての優位性を維持しようとして、多数の自由法改正を導入しています。
イスラム教の国であっても、外国人はお酒も飲めて、クラブもある、自由化することで富裕層を集め、観光を強化してきた背景があります。
2023年9月4日、UAE(アラブ首長国連邦)はゲーミング(日本でいう「カジノ」)を規制する連邦機関「一般商業ゲーム規制局(GCGRA)」を設立し、その指導者として米国ギャンブル業界の退役軍人を雇用したと国営通信社WAMが報じました。
米国ゲーム協会の元会長でMGMリゾーツ・インターナショナルの元CEOであるジム・ムーレン氏が長官を務めることで、国内でのゲーム(カジノ)合法化に向けて決定的な一歩を踏みだしたととらえられています。
「一般商業ゲーム規制局(GCGRA)は、社会的責任があり、十分に規制されたゲーム環境を構築し、すべての参加者が厳格なガイドラインを順守し、最高の基準に準拠することを保証します。規制活動を調整し、国内でのライセンスを管理し、責任を持って商業ゲームの経済的可能性の解放を促進します。 」
と規制局の方針を伝えています。
最高責任者ケビン・ムラーリー氏
「経験豊富な同僚たちとともに、UAEの宝くじとゲーム業界のための強固な規制機関と枠組みを確立することを楽しみにしている」
その後、2023年11月8日、MGM決算報告で「The Island」プロジェクトで何が期待できるかについてのさらなる詳細が、MGMリゾーツのCEOのビル ホーンバックルによって明らかにされました。同氏は、高級開発が「建設中」であることを確認し、さらに「The Island」にはMGMグランド、ベラージオ、アリアの各ブランドの1,400室のホテルが建設される予定だと付け加えました。
MGMの決算発表によると、ホーンバックル氏は同ブランドが「ゲームが最初にUAEで、最終的にはドバイで合法化されれば大きなチャンスになる」「私たちは、彼らがドバイの最高のロケーションにある世界最高のゲームホスピタリティブランドを持っていると信じています。そして、承認されれば、私たちの既存のプロジェクトには世界クラスのゲームコンポーネントが含まれる可能性があります。」と話しています。
MGMは、他の国際管轄区域でもカジノを運営しており、規制枠組みが整備されつつあることから、UAEがギャンブルを合法化する法案を通過させれば「The Island」に商業ゲーミング施設が設置される可能性があるということです。
MGMとは?
MGMとは
正式名称は、MGMリゾーツ・インターナショナル(MGM Resorts International、NYSE: MGM)で、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスに本社を置く統合型リゾート運営会社です。ベラージオ、MGMグランド、マンダレイ・ベイ、ザ・ミラージュといったリゾートブランドを運営し、ホスピタリティとエンターテインメント業界で世界を代表する企業です。
最高クラスのホテルやカジノ、最先端のMICE施設、素晴らしいライブや演劇が楽しめる劇場・アリーナ、 レストラン、ナイトライフ、小売店を含む統合型リゾート(IR)を世界で開発・運営し、31のユニークなリゾートブランドを展開しています。
日本の大阪・夢洲地区特定複合観光施設(IR)事業にも参入し、オリックスとの合弁会社として「日本MGMリゾーツ」を設立しています。
S&P500構成銘柄のグローバル・エンターテイメント企業ということからも、世界的なカジノ企業だということがわかります。
「The Island」プロジェクト
「The Island」とは、ウム・スケイムの海岸沖に設定され、ジュメイラ・ビーチ・ホテルとマルサ・アル・アラブに隣接する立地に建てられるプロジェクトです。
北京に本拠を置く中国国家建設工程総公司がドバイのザ・アイランド・プロジェクトの契約を獲得したと言われています。推定額は44億ディルハムで、開発会社Waslはこの契約を締結しました。
「The Island」の立地
現時点では
- 10.5haの敷地面積の島
- MGM傘下のMGMグランド、ベラージオ、アリアなどの有名ホテルブランドのホテル1,400室が入る
ということまでしか発表されていません。
UAE(アラブ首長国連邦)が、カジノを合法化させれば、当然のように「The Island」にカジノ施設ができるということです。UAE(アラブ首長国連邦)も、そのために「一般商業ゲーム規制局(GCGRA)」を設立したとも言えるため、ドバイ初のカジノリゾートができるのも、時間の問題と考えられています。
当然、ドバイ不動産投資という観点では、カジノの近くの立地は、大きな狙い目になると思われます。