「海外不動産投資のデメリットって何がありますか?」
「海外不動産投資のデメリットについて教えてください。」
「海外不動産投資のリスクって何がありますか?」
日本国内の不動産投資ではなく、あえて外国の海外の不動産に投資するメリットには、キャピタルゲイン、税金対策、高い利回り、安い価格といういろいろなメリットがありますが、当然、デメリット・リスクも少なくありません。今回は、海外不動産投資のデメリットを徹底解説します。
海外不動産投資のデメリット
1.為替リスクがある
為替リスクとは、異なる通貨間の為替レートが変動することによって、資産や収益の価値が影響を受けるリスクを指します。海外不動産を購入・保有する際に、現地通貨と投資家が使用する通貨(たとえば、日本円)との為替レートが変動することで、予想外の損失が発生する可能性があります。
海外不動産投資で得られる賃貸収入や売却益は現地通貨で受け取ることが一般的です。そのため、為替レートが変動すると、受け取る収益の円換算額が変わってしまいます。例えば、現地通貨が円に対して下落すると、同じ額の賃貸収入や売却益を得ても、実際に日本で使える円の金額が減少することになります。
また、不動産購入時や、物件の維持管理にかかる費用(管理費、修繕費、税金など)は現地通貨で支払うことが多いため、為替レートの変動により、予想以上のコストが発生する可能性があります。特に、円安の局面では、購入費用や維持費用が割高になり、当初の投資計画が狂うリスクがあります。
2.ディベロッパーの倒産リスクがある
ディベロッパー(開発会社)が倒産するリスクとは、不動産プロジェクトを手掛ける開発会社が経済的な理由で事業を継続できなくなるリスクを指します。これは、特に海外不動産投資においては大きな懸念事項となります。ディベロッパーが倒産すると、物件の完成や引き渡しに深刻な影響を与える可能性が高く、投資家が資産を失うリスクが伴います。
これが海外不動産投資の最大のデメリットであり、リスクと言えます。
未完成物件のリスク
ディベロッパーが倒産した場合、進行中のプロジェクトが中断されることがあります。未完成の物件を購入している投資家にとって、物件が完成しない、または完成が大幅に遅れるというリスクがあります。このような事態に陥ると、投資家は契約通りに物件を受け取れない可能性があり、投資した資金を取り戻すことも難しくなります。
質や管理の低下
ディベロッパーが倒産する場合、品質管理やメンテナンスのコスト削減により、物件の完成時の品質が低下するリスクもあります。また、倒産に伴い、管理業務やアフターサービスが放棄されることがあり、物件の長期的な価値に悪影響を与える可能性があります。
法的問題と資金回収の困難さ
倒産したディベロッパーとの契約解除や資金の回収には、法的な手続きが必要となり、特に外国での不動産投資においては法制度や手続きが複雑です。投資家は現地の法規制や破産法に従って訴訟を起こす必要がありますが、資金を取り戻すまでに時間がかかり、全額回収できないことも多いです。また、法的手続きや弁護士費用も大きな負担となる場合があります。
信用力や信頼性の見極めが困難
海外のディベロッパーの信用力や財務状況を正確に評価するのは難しいことが多いです。特に、投資家が現地の市場情報に詳しくない場合や、過去に取引実績がないディベロッパーに投資する場合、財務的な健全性を判断するのは困難です。ディベロッパーが十分な資本を持っているか、以前に成功したプロジェクトがあるか、信用調査を行う必要がありますが、その情報が得にくいことがあります。
3.ローンが利用できないことが多い
海外でのローン利用の困難さ
海外不動産を購入する際、日本の金融機関からの融資を受けることは非常に難しいです。多くの日本の銀行は国内不動産への融資を主としており、海外物件へのローン商品は限られています。また、海外の金融機関からローンを組む場合でも、外国人投資家に対する審査基準が厳しく、利用できないケースが多々あります。
現地金融機関からのローンも難しい
現地の金融機関でローンを組むことも一つの選択肢ですが、これも簡単ではありません。外国人投資家に対しては、現地の銀行もほとんど融資してくれないからです。移住した外国人に対しては融資があるものの、日本在住のまま海外の銀行の融資を受けるのは簡単ではないのです。
資金調達の制約
ローンが利用できないことで、物件購入のための資金を全額自己資金で賄う必要があります。これは大きな資金負担となり、投資家の資金流動性を低下させます。自己資金の大量投入は、他の投資機会を逃すリスクも伴います。
レバレッジ効果の低減
ローンを利用することで得られるレバレッジ効果(少ない自己資金で大きな投資を行い、高い投資効率を狙うこと)が得られなくなります。これにより、投資収益率が低下し、資産形成のスピードが遅くなる可能性があります。
4.政治体制の変更により、損失を被るリスクがある
海外不動産投資では、投資先の国の政治体制が変更されることによって、投資家が予期せぬ損失を被るリスクがあります。特に、政権交代や独裁的な政府の政策変更、あるいはクーデターのような急激な政治的変化は、投資環境を大きく揺るがす要因となり得ます。不動産市場や法律が安定していない国では、このリスクが高まります。
法的規制の変更による損失
政治体制の変更により、外国人投資家に対する法律や規制が変更されることがあります。以下のようなリスクが考えられます:
外国人の不動産所有権制限
新しい政権が外国人の不動産所有を制限したり、禁止する場合があります。これにより、すでに購入した不動産を失ったり、所有権が弱体化することが考えられます。
税制の変更
新政権が外国人投資家に対する税金を増やしたり、租税優遇措置を撤廃することがあります。これにより、不動産投資の収益率が低下し、投資家に損失をもたらす可能性があります。
土地収用のリスク
政治体制が変わると、土地や不動産が国有化され、外国人投資家が強制的に土地を手放さなければならない場合もあります。これにより、投資物件が収用され、補償も不十分なまま資産を失うリスクが存在します。
経済政策の変化による影響
政権交代や政治的変化に伴い、経済政策が大きく変更されることがあります。例えば、不動産市場に対する規制や金融政策が変更されることで、不動産価値や賃貸需要に影響を及ぼします。具体的には、以下のようなリスクがあります:
金利上昇:新しい政府がインフレ対策として金利を引き上げると、住宅ローンの返済負担が増し、不動産価格が下落する可能性があります。
補助金や優遇策の撤廃:前政権が提供していた外国人投資家向けの税制優遇措置や補助金が新政権によって撤廃されると、投資の魅力が減少し、投資価値が低下するリスクがあります。
政情不安による治安悪化
政治体制の変化は、治安の悪化や社会不安を引き起こすことがあります。特に、クーデターや大規模な抗議活動、内戦が発生した場合、物件の価値が急激に下がり、賃貸需要も減少することがあります。また、不動産自体が破壊されるリスクや、管理が不可能になるリスクも増大します。
投資家保護の不足
一部の国では、外国人投資家に対する法的保護が十分でない場合が多く、新政権が投資家保護を優先しない政策を取ると、損失を被る可能性があります。例えば、土地や物件の不正占拠や契約違反が発生しても、投資家が適切な法的手段を講じることが難しいことがあります。
地政学リスク
隣国との関係悪化や戦争などの地政学リスクも、政治体制の変更と関連して考えられます。特に、不動産市場は地政学的な緊張や戦争の影響を直接受けやすいため、紛争地域近くの不動産投資は、政権交代や軍事行動によって資産が破壊されるリスクを抱えています。
5.英語ができないと利用できる業者・不動産会社の選択肢が少なく、身動きが取れなくなる可能性がある
海外不動産投資を行う際、投資先の国の言語や、国際的に広く使用される英語のスキルが欠けていると、投資家が利用できる不動産業者やサービスの選択肢が著しく制限されるリスクがあります。特に英語が話せない場合、信頼できる業者や不動産会社と円滑なコミュニケーションを取ることが難しくなり、不明確な契約や不利な条件を受け入れてしまう可能性が高まります。
英語が話せなければ「日本人、または日本語が話せる業者」を利用せざるを得ません。当然、各国に一定数の日本人の不動産会社や不動産エージェント入るものの、その国の中では、かなり少数派であり、数える程度しかありません。その中から依頼する業者を選ぶのですから、選択肢が限られてしまい、トラブルがあった際に身動きが取れなくなってしまうリスクがあります。
6.物件購入の手続きの複雑さ
海外不動産の購入は、お金さえ払えば誰でも可能ですが、購入、管理、売却に関する手続きが専門家でないと難しいのです。
契約書の確認と署名
ビザや居住許可の取得
資金送金の手続き
など、不動産エージェント、弁護士、税理士などと連携を取って進める必要が出てきます。
日本国内での不動産投資よりも、情報が少ない分、手続きの手間が大きくなるデメリットがあります。
7.海外不動産市場の流動性が低くなる可能性がある
流動性が低いとは、不動産を購入後、迅速に売却して現金化するのが難しい状況を指します。不動産市場の流動性が低いと、物件を売却したい時にすぐに買い手が見つからず、希望価格で売却できないリスクがあります。特に、海外の不動産市場では、国内市場と異なる要因が影響し、市場の流動性が制約されることがよくあります。
「売りたいときにすぐに売れない」ということです。
日本国内の市場であれば、ある程度、不動産売買のプラットフォームが整っており、市場価格に合わせれば、まったく売れないということは起こりにくいです。
しかし、海外不動産の場合は、以下の理由で売却がしにくくなるリスクがあります。
投資家層の限界
海外不動産市場には、外国人投資家がアクセスしにくい地域や国が多くあります。これは、法律的な制約や税制、言語の問題、取引慣行の違いが影響しているためです。投資家層が限定されると、売却時に買い手の選択肢が狭まり、流動性が低下します。
需要の変動
市場全体の需要が安定していない国や地域では、経済状況や政治情勢の変化により、物件の需要が急激に減少する可能性があります。例えば、新興国では、不動産市場の成長が急激に停滞することがあり、売却が困難になる場合があります。
市場の不透明性
現地の不動産市場の情報が十分に公開されていない場合、物件の適正価格や市場動向を正確に把握することが難しく、流動性が低下します。特に、公式なデータが不足している新興国市場では、売却プロセスが長期化する傾向があります。
法律や規制の影響
国によっては、外国人が不動産を所有するための制約があり、物件売却時にも法律や税制の影響を受けます。売却時に必要な法的手続きが複雑で時間がかかる場合、売却が遅延し、流動性が低下します。また、外国人に対する不動産購入の制約が強い国では、購入希望者の数自体が少なく、売却が難しくなります。
現地通貨の為替リスク
海外不動産投資では、為替リスクも流動性に影響を与えます。例えば、現地通貨が急激に下落した場合、買い手は不動産購入を躊躇することが多くなり、売却が遅れることがあります。さらに、投資家自身が為替レートの変動を懸念し、急いで売却したい場合に、買い手が現れにくくなることもあります。
8.購入後の客付け、管理や維持が難しい
海外不動産投資において、購入後に物件を賃貸として運用する際、現地での「客付け」(賃貸希望者を見つけること)が困難な場合があります。これは、現地の賃貸市場の理解が不十分だったり、信頼できる不動産管理会社が見つからなかったりするためです。また、文化や商慣習の違い、言語の壁が障害となることもあります。
物件を購入した後、その物件を適切に管理することも難しい課題の一つです。現地に不動産がある場合、物理的な距離が障害となり、投資家自身が物件を直接管理できないことがほとんどです。そのため、信頼できる管理会社や業者を選ぶことが重要になります。
さらに、物件の維持や修繕も課題となります。海外不動産は気候や現地の建築規制の違いなどにより、維持や修繕にかかるコストが高くなることがあり、トラブルが発生しやすいです。
9.予期せぬ税金や手数料などのコストが発生する可能性がある
海外不動産投資では、購入前に考慮していなかった税金や手数料などのコストが後から発生することがよくあります。これは、各国の税制や規制が異なり、外国人投資家に特有の税や手数料が課されることが多いためです。事前に現地の税制や費用構造を十分に理解していないと、投資計画に狂いが生じ、最終的なリターンが大幅に減少するリスクがあります。
これは、購入時にある程度、不動産エージェントから情報を入手できるものですが、日本よりも海外の方がルール変更が頻繁で、想定していなかった手数料や税金が発生することも少なくありません。
また、不動産エージェントも、数十年その国で不動産運用の実績があるというわけではないため、想定するコストに抜けがあることも少なくありません。
10.詐欺や悪徳業者の存在への懸念がある
海外不動産投資では、現地の法制度や市場情報に不慣れな外国人投資家を狙った詐欺や悪徳業者が存在することがあります。投資家は、信頼できないエージェント、不正確な物件情報、不透明な契約条件などによって、詐欺やトラブルに巻き込まれるリスクがあります。特に、新興国や不動産市場が未成熟な地域では、このリスクが高まります。
架空物件の販売
実際には存在しない物件や、法的に問題がある物件を販売する手口です。投資家は写真や説明を信じて購入を進めますが、後で物件が存在しないことや、購入が違法であることに気づくケースがあります。
物件の過大評価
物件の価値を不当に高く見積もり、投資家に過剰な価格で販売する手口です。投資家は信頼できる市場データにアクセスできないため、相場よりも高い価格で購入してしまい、将来的に売却時に損失を被ることがあります。
契約書の不正確さ
契約書が不透明で、不利な条項が含まれていることもあります。たとえば、投資家に不利な修繕義務や、買い戻しの条件が厳しい内容が含まれている場合があります。契約書を十分に理解しないままサインすると、後でトラブルが発生する可能性があります。
賃貸保証詐欺
賃貸収入を保証するとして物件を販売するケースでは、実際には賃貸需要が少なく、保証された収入が得られない詐欺的な手法が使われることがあります。投資家は安定した収入を期待して投資を行いますが、実際には賃貸が成立せず、期待した収益が得られないことがあります。
突然の追加費用請求
物件購入後に、突然追加の税金や管理費、修繕費が請求されるケースもあります。特に、契約書や説明が不明確な場合、悪徳業者は投資家に不当な請求を行い、利益を得ることがあります。
11.賃貸収益が不安定。情報が少なく、見極めるのが日本市場よりも難しい
海外不動産投資において、賃貸収益が不安定になりやすい理由は、現地の賃貸市場が日本市場よりも複雑で変動しやすいからです。投資家が十分な情報を入手しにくく、賃貸需要の見極めが難しい場合、安定した賃貸収益を得ることが困難になります。特に、新興国や不動産市場が発展途上の地域では、賃貸市場の透明性が低く、予期せぬリスクが発生することがあります。
海外の賃貸市場は、政治的、経済的な要因によって大きく左右されます。たとえば、観光地や経済成長が進む地域では、外国人投資家の関心が高まる一方で、政治的な不安定さや経済危機が発生すると賃貸需要が急落することがあります。
12.資産の凍結、送金や資金移動の制約リスクがある
海外不動産投資では、政治的・経済的な変動や現地の法制度の変更により、資産が凍結されるリスクがあります。特定の国や地域では、外国人投資家の資産を一時的、もしくは永久に凍結する政策が取られることがあります。資産の凍結が行われると、物件を売却したり賃貸収入を得たりすることができなくなるため、投資家にとって深刻なリスクです。
多くの国では、資金移動に関して厳しい規制があり、外国人が不動産投資によって得た収益や売却代金を母国に送金する際に、さまざまな制約を受けることがあります。このような送金や資金移動の制約は、投資の流動性を低下させ、キャッシュフローに大きな影響を及ぼします。
13.何か問題が起きても、すぐに現地に行けない
海外不動産投資では、物件が外国にあるため、何か問題が発生した際にすぐに現地に赴いて対処するのが難しいというリスクがあります。物件の状態確認やトラブル対応が遅れると、問題が拡大したり、損失が増える可能性が高まります。国内の不動産と比べて、物理的な距離が大きいため、迅速な対応が難しく、管理や修繕が滞ることがデメリットとなります。
遠隔地にある物件では、賃貸トラブルや物件の損壊、法律問題が発生した際に迅速な対応が難しくなります。たとえば、自然災害や事故が発生した場合でも、現地にすぐに行けないため、修理やトラブル処理が遅れ、結果として損失が大きくなる可能性があります。
14.保険などの整備がされていない。または保険料が非常に高い
海外不動産投資では、国によって不動産に関連する保険制度が整っていない場合があります。特に新興国や不動産市場が未成熟な地域では、保険商品が十分に発展しておらず、投資家が物件を保護するための適切な保険に加入できないリスクがあります。保険制度が未整備であると、自然災害や事故、賃借人による物件破損など、予期せぬ損害が発生した場合に投資家が直接損失を被ることになります。
保険制度が整っている国でも、保険料が非常に高額になることが多く、特に外国人投資家にとっては大きな負担となります。保険料の高さは、現地のリスク要因や外国人向けの特別な保険商品によって左右されます。
15.将来の移住前提で購入しても、自身の移住の目的がなくなる可能性もある
更などによって、移住の目的がなくなってしまうリスクがあります。特に、リタイアメントや子供の教育、セカンドライフを想定して移住を考える投資家にとって、予期せぬ要因により移住計画が頓挫することがデメリットとなります。
まとめ
上記のように
海外不動産投資にはメリットもあるものの、デメリットも少なくありません。
とくに
- ディベロッパーの倒産リスク
- 政治体制の変更
などが大きなリスクであり、海外不動産ならではのものと言えます。
上記の海外不動産投資のデメリット・リスクを回避するためには、信頼できる不動産エージェントを探すことが非常に重要なポイントとなります。
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