
「カンボジア不動産って買えるですか?」
「カンボジア不動産投資ってどうなんですか?」
カンボジア不動産の購入、カンボジア不動産投資を検討している方もいらっしゃるかと思います。今回は、カンボジア不動産投資、カンボジア不動産の買い方・メリットデメリット・リスク・利回り・税金まで、徹底的に検証したいと思います。
そもそも、カンボジア不動産は日本在住の日本人が買えるの?
購入できます。
土地の所有権は持てません。戸建ても購入できません。
コンドミニアム(日本でいう分譲マンション)の区分権の所有は、外国人にも認められています。
カンボジアという国とは?
概要
投資先 | カンボジア不動産 |
---|---|
国名 | カンボジア王国 |
面積(k㎡) | 181,035k㎡ |
日本との比較 | 0.5倍 |
人口 | 16,770,000人 |
日本との比較 | 0.1倍 |
首都 | プノンペン |
民族 | 90%がカンボジア人(クメール人) |
言語 | クメール語 |
宗教 | 仏教(一部少数民族はイスラム教) |
通貨 | リエル(KHR) |
政策 | 立憲君主制 |
主要産業 | 農業、工業、サービス業 |
日本からの移動時間 | 8時間 |
為替 | 変動相場制 |
格付け | S&P B フィッチ B ムーディーズ B2 |
カンボジア王国(カンボジア)は、東南アジアのインドシナ半島南部に位置する立憲君主制の国です。南はタイランド湾に面し、西はタイ、北はラオス、東はベトナムと国境を接しています。
国民の90以上が、クメール語(カンボジア語)を話し、仏教(上座部仏教)を奉ずるクメール人(カンボジア人)です。
カンボジアの中心には湖と河川の複合体であるトンレサップ湖があり、その河川部分は国土の東部を縦貫する国際河川たる大河メコン川の支流となっており、水運と漁業・農業を支えています。この平野部にカンボジア人口の3分の1が居住しています。トンレサップ湖の北辺にはクメール王朝の遺跡として世界的に有名なアンコール・ワットやアンコール・トムといったアンコール遺跡(1992年、世界遺産登録)が存在します。
年間平均気温約30℃ほどで、雨季が5月~10月、乾季が11月~4月です。
政治
国家体制は、国王を元首とする立憲君主制です。ノロドム家とシソワット家のメンバーから、王室評議会が国王を選出する仕組みとなっています。王室評議会は、首相、両院の議長、両院の副議長(2名ずつ)、上座部仏教の2つの宗派の代表(1名ずつ)の合わせて9名からなり、秘密投票で国王を選出します。国王の地位は終身です。
議会は、両院制を採用しており、定数125議席からなる国民議会(下院)議員は直接選挙で選出され、定数61議席からなる元老院(上院)議員は間接選挙と国王からの任命によって選出されます。
経済
主要産業は農業、漁業、林業などの第一次産業である。近年は観光産業と縫製産業が成長し、最貧国ではあるものの外国からの投資も大きな伸びを示しています。
米ドルが流通して使えることからも、外国からの投資が増えています。銀行預金・融資の米ドル比率は、85%程度です。
カンボジア不動産が不動産投資で注目される理由・メリット
1.人口が今後も増加する予想
カンボジアの人口は、現時点では1,100万人ほどです。2050年には2,000万人を超えると予想されています。
カンボジアの総人口推移
2.人口ピラミッドがきれいな形状で、人口ボーナスも長く獲得できる
きれいな正三角形をしていて、子供の数が多く、人口ボーナスが長期的に継続されることがほぼ確実と言えます。若年層が多いことが目立つ、人口ピラミッドです。
カンボジアの人口ピラミッド
3.プノンペンの人口は、人口600万人を突破する予想
カンボジアは人口が少ない国です。
- 首都のプノンペンの人口は、現在:約200万人です。
政府は
- 首都を半径100kmに拡大する
- 人口約600万人を突破する
という計画が発表をしています。
プノンペンの大きさは、東京23区とだいたい同じ大きさで、人口600万人いれば、かなりの人口密度になります。
人口密度が高くなれば、それだけ住宅需要も増えることを意味します。
4.高いGDP成長率
カンボジアは、高いGDP成長率を実現しています。
カンボジアのGDP
直近の成長率は11%を超えています。
十分に成長が見込める国です。
5.米ドルが流通する国
カンボジアは、ドルが流通している国です。
- 銀行預金、銀行融資の米ドル比率は85%
と言われています。
米ドルで買い物ができ、事業や投資、銀行口座での預金なども米ドルで可能になります。
米ドルが流通している = 外国企業が参入しやすい土壌がある
ことを意味しています。
世界の基軸通貨である米ドルが流通しているため、投資がしやすい国と言えます。
現地通貨が通貨安になる為替リスクも低く、不動産投資が可能になります。
今回おつりなどは、現地通貨のリエルが使われることが多いです。
6.高金利の米ドル建て定期預金で運用利回りを最大化できる
カンボジアの大きなメリットには
- 高金利の米ドル建て定期預金
があります。
年率7.0%を超える米ドル建て定期預金が利用できます。
不動産投資で得た賃料収入を、高金利の定期預金に回す運用をすれば、不動産収入と利息収入の二つのインカムゲインが期待できます。
7.プノンペンに新国際空港
カンボジアは、コロナ以前までは、観光客数が年々増加していました。

航空需要の増加に伴い、2016年6月、カンボジア政府は新空港を建設することを決めました。
2021年12月、カンボジア情報省より、空港名称を「タクマウ・テコ国際空港(Takhmao Techo International Airport) 」とすることが公表された。
空港建設は、中国の中国冶金科工集団が受注したました。
- 開発総費用 : 15億ドル
- 空港敷地面積 : 2,600ヘクタール(世界で9番目に広い)
- ICAO飛行場基準コード : 4F (エアバスA380、ボーイング747-8などの大型機にも対応)
- 管制塔の高さ : 108メートル
- 滑走路長 : 4,000メートル 1本(開港時)
- 開港:2025年
開港時に年間1,300万人、2030年に年間3,000万人、2050年に年間5,000万人の利用を見込んでいます。
新国際空港ができれば、観光客や外国企業の参入も活発になるため、不動産投資の機会としては、有望なものとなりまう。
カンボジア不動産の不動産投資におけるデメリット・リスク
1.人口が少ないリスク
同じ海外不動産で人気のフィリピンなどと比較すると明らかですが、人口が圧倒的に少ないのです。
人口が少ない理由は、1975~1979 に政権を担っていた、クメールルージュ(カンボジア共産党)の指導者ポル・ポトによる「国民の大虐殺」が原因です。約4年間で、当時の人口の約3分の1にあたる約150~200万人の人々が犠牲になったと言われています。
そのため、人口ピラミッドも若干いびつな形になっています。
若い世代が増えてきていて、人口は増加傾向にあるものの、現時点では人口は1,000万人強と少なく、人口が少ない点が不動産需要が大きくならない、または経済規模が大きくならない理由として、懸念されるものと言えます。
これは、カンボジア不動産に投資する大きなリスクです。
2.不動産への投資額が下がっている
下記のデータを見ると、2023年は、不動産市場への投資額が減少していることがわかります。

不動産市場への投資が下がる = 不動産価格の上昇余地がないと見なされている
ということになるため、投資先としての魅力が薄まっていることがわかります。
3.不動産価格も上昇していない
全体的にみると2019年と比較して、不動産価格は上昇しています。

しかし、BKKなどの都心部では、ほぼ横ばいとなっており、不動産価格の上昇が見られません。
ディベロッパーが開発し、外国人に販売されているのは、都心部のレジデンスであることが多く、不動産価格の上昇が見込めないリスクがあります。
4.ディベロッパーの建設がとん挫するリスク
海外不動産投資では「プレビルド」で新築物件の竣工前の5年以上前から購入することが可能です。
ディベロッパーは、プレビルドで建設前にお金を集めて、その資金で建設費を賄います。
このような仕組みになっているため、資金不足で建設ができなくなった場合には、ディベロッパーが倒産し、プレビルドで支払ったお金が戻ってこないリスクはあります。
このリスクを回避する方法は、信頼できる、実績のある(事業歴や建設実績が多い)現地のディベロッパーを選ぶことが求められます。
比較的、カンボジアでは、実際に完成しないというディベロッパーの数が少なくありません。ディベロッパー選びは、確実に建設できるところを選ぶ必要があります。
5.カントリーリスク
カンボジアは、アジアにおいて汚職の度合いがかなり高い国とされています。カンボジアは、腐敗指数が21.0で世界で5番目に腐敗していることになっています。
また、ポル・ポト政権下による大虐殺などもあり、東南アジアの中では、カントリーリスクは高めの国と言えます。
カンボジア不動産価格推移
カンボジア(プノンペン)住宅価格指数推移
高級マンションの平均価格(米ドル/㎡)
出典:Global Property Guide 2025年7月最新データ
カンボジア(プノンペン)住宅価格指数推移変動率
高級マンションの平均価格(米ドル/㎡)
出典:Global Property Guide 2025年7月最新データ
カンボジア不動産投資で発生するコスト
※コストは、ディベロッパー、物件、時期によっても違いがあります。あくまでも参考事例として、実際の発生するコストは、その時の不動産会社にヒアリングしましょう。
カンボジア不動産投資で発生するコストには
- 物件価格
- 資産譲渡税(付加価値税:VAT)
- 登記費用
- 印紙税
- 賃貸管理費
- 共益費・修繕費
- 付帯設備費・家具家電費用
- 火災保険
- 税金(固定資産税)
- 税金(不動産収入税・所得税)
- 税金(キャピタルゲイン税)
物件価格
物件価格は、その販売物件の価格です。
カンボジア不動産では、他の海外不動産投資と同様に「プレビルド」での販売が一般的です。
- 5年間で半年ごとに10%ずつ払って、5年後に竣工
- 初回15%、物件完成85%で、5年後に竣工
というようなイメージです。
また、プレビルドの費用の一括払いによる割引もあります。
5%~20%程度の割引があります。
資産譲渡税(付加価値税:VAT)
購入時に資産譲渡税(付加価値税:VAT)が発生します。
4%の費用になります。
売買価格または評価額の高い方に対しての4%です。
登記費用
登記時に必要な契約文章の認証に関する弁護士・司法書士などの専門家費用です。
弁護士費用が100ドル程度、行政費用が1,000ドル程度発生します。
登記証書の発行も可能です。
印紙税
100リエル~2,000リエル程度の印紙税が必要になります。
賃貸管理費
賃貸管理費は、物件を賃貸に貸すときに賃貸管理を行う不動産会社に支払う費用です。家賃の1カ月分です。
共益費・修繕費(修繕管理費)
共益費・修繕費(修繕管理費)というのは日本でもある共用施設の維持・管理のための費用です。
賃貸管理費の負担は、物件規模によって、管理会社が設定しています。
㎡単価で1~2USD/月が相場です。
付帯設備費・家具家電費用
カンボジア不動産の場合は、家具・家電付きで賃貸に出すのが一般的です。
家具・家電付きの物件でなければ、オーナー側が家具・家電を用意しなければならないのです。100万円程度の初期費用が発生します。
火災保険
火災保険にも加入する必要があります。火災保険料が発生します。
税金(固定資産税)
固定資産税は、物件評価額の80%に対しての0.1%です。
税金(不動産収入税・所得税)
カンボジア非居住の外国人の場合は、賃貸収入の14%です。
税金(キャピタルゲイン税)
値上がり益に関する課税はありません。0%です。
カンボジア不動産投資後の利回りシミュレーション
- 為替 1$(米ドル) = 150円
という場合に
- 建物金額:200,0000USD(30,000,000円)
と仮定します。
初期費用
- 資産譲渡税(付加価値税:VAT):4.0% = 8,000USD(1200,000円)
- 弁護士費用 = 100USD(15,000円)
- 行政費(印紙税含) = 1,000USD(150,000円)
想定家賃
- 200,000USDで購入できる都心部の物件の場合、年12,000USD・月1,000USD(150,000円)ほど
運用時コスト
- 固定資産税:0.1% = 200USD(30,000円)
- 賃貸管理費:家賃の10% = 120USD(18,000円)/月
- 共益費・管理費: = 60USD(9,000円)/月
というコストが想定されます。
収入に関しては、所得税は「外国税額控除」で日本の所得税と相殺できるため、履いて計算します。
概算のシミュレーション
- 初期コスト合計:209,100USD(31,365,000円)
- 年間想定賃料:12,000USD(180,000円)
- 運用コスト合計:4,560USD(684,000円)
- 想定年間収益:7,440USD(1,116,000円)
- 利回り:3.56%
カンボジアの物価(給料・家賃・不動産価格・住宅ローン金利)
カンボジア不動産に投資するうえでは、カンボジアの物価を抑えておく必要があります。
カンボジア物価の中でも、水・レストラン・家賃・不動産価格などを東京と比較しています。また、物価ではありませんが、平均給料・住宅ローン金利の数値も東京と比較しました。
カンボジア(プノンペン)と日本(東京)の物価比較
都市/国 | 東京/日本 | プノンペン/カンボジア | プノンペン/カンボジア |
---|---|---|---|
通貨 | 円 | USD | USD |
データ計測日時 | 2025/9 | 2025/9 | 2025/9 |
データ計測時点の為替 | 1円 | 143.48円 | 143.48円 |
物価 | 平均 | 平均(円換算) | 比率(対東京) |
安いレストランでの食事 | 1,200円 | 717円 | 60% |
一般的なレストラン・2名・3コース | 6,600円 | 4,304円 | 65% |
マクドナルドのバリューセット | 750円 | 1,004円 | 134% |
国産生ビール(0.5リットル) | 600円 | 143円 | 24% |
水・ボトル(1.5リットル) | 129円 | 143円 | 111% |
タクシー 1km(通常料金) | 500円 | 143円 | 29% |
ガソリン(1リットル) | 178円 | 143円 | 81% |
シティセンターのアパートメント (1 ベッドルーム) | 158,384円 | 69,157円 | 44% |
アパートメント (1 ベッドルーム) センター外 | 93,938円 | 39,314円 | 42% |
市内中心部のアパート購入の平方メートルあたりの価格 | 1,618,828円 | 325,269円 | 20% |
センター外のアパート購入の平方メートルあたりの価格 | 792,363円 | 193,698円 | 24% |
平均月給(税引後) | 386,814円 | 56,101円 | 15% |
住宅ローン金利 (%)、年間、20 年間固定金利 | 1.63% | 10.30% | 644% |
カンボジア不動産の買い方
カンボジア不動産に強い日本人スタッフがいる、日本人が運営する不動産会社に依頼するのが一番確実な方法です。
カンボジア不動産は、多くの日本人の不動産会社が進出しています。だからこそ、買い手側(投資家側)のニーズをくみ取って、物件を紹介し、不安を払しょくしてくれる、信頼できる不動産会社を見つける必要があります。
多くの選択肢がある反面、カンボジアで不動産会社が儲かると思って、出てきた新しい会社も少なくありません。ネットワークが少ないと、デメリットも多いので注意が必要です。
カンボジア不動産投資のおすすめエリア
プノンペン
カンボジアの首都がプノンペンです。
現在の人口は200万人ですが、政府発表では、2035年までに、首都を半径100kmに拡大・人口600万人を突破すると予想されています。
カンボジアは人口が少ない国のため、投資先としてはプノンペンが唯一の候補と言えます。
プノンペンの中では
- ボンケンコン(BKK1、BKK2、BKK3)
- チャムカモン
- 7マカラ
などの3都市が比較的治安が良く、大使館などがあり、暮らしやすい都心部となっています。
ボンケンコン(BKK1、BKK2、BKK3)
も外国人駐在員や、カンボジアの富裕層が多く住むエリアです。日系ショッピングセンターのイオンモールからも近く、高級レストランやスターバックスカフェなどが多く集まるエリアで、プノンペン随一の繁華街といえます。
チャムカモン
カンボジアイオンモール1号店があり、日本の大使館もあるエリアです。カジノ「ナガワールド」や「ロシアンマーケット」など商業施設が多く集まっているエリアです。
7マカラ
オリンピックスタジアムやオリンピアモールなどがあるエリアです。プノンペンタワーというランドマーク的なオフィスビルがあり、オフィス街と言えます。
おすすめのカンボジア不動産物件情報
Le Conde BKK1 (ル・コンデ・ビーケーケーワン)
カンボジア不動産最新動向
マクロ環境・金利
- インフレと為替・金融環境
2025年上期の平均インフレは+3.5%、足元は下期にかけて鈍化見通しです(年後半は+1〜2%台レンジの見方が台頭)。ドル化経済のため政策金利の直接的運用は限定的で、与信・預金金利が実務上の指標になります。 - 住宅ローン金利の実務感
都市銀行の住宅ローンは固定6.5〜7.5%台(初年度)→2年目以降8%前後の提示が目立ち、ローカル大手ではUSD建て9〜10%台の商品も一般的です。LTVは90〜95%まで認める商品もあります(案件・保険条件による)。
住宅(分譲・賃貸)
- 供給・販売
プノンペンのコンド完成戸数はH1で約4,000〜5,000戸増加。オフプラン→完成在庫への移行が進み、都心/準都心の中上位価格帯は消化が相対的に良好です。一方、周辺Bクラスは在庫圧力が残ります。 - 価格・利回り
CBDコンドの平均価格は約US$2,700/㎡、賃貸利回りは5〜6%が目安。サービスアパートは2028年までに約10,500戸規模へ拡大見込みで、賃貸競争はエリア選別が進みます。 - 賃貸市況
新規貸しはフリーレント・内装支援を含む条件交渉が一般化。更新より新規契約の方が高い賃料になりやすく、ビル管理品質・立地で二極化が鮮明です。
オフィス
- 空室・賃料
2025年H1の市況空室率は約64%、プライム賃料は約US$24/㎡/月。供給遅延で一部の新規供給が後ろズレする一方、需要の回復力は限定的で価格調整が継続しています。 - テナント行動
BCP・アクセス・アメニティに優れたAグレードへの選好が強く、フロア分割・共用部改装でのリポジショニングが主流です。
リテール・商業
- 稼働と賃料
プノンペンの小売賃料はUS$20.9/㎡/月、稼働58〜59%と、オフィス同様に調整基調。一方、体験型テナント・F&Bの導入やイベント運営で、プライムモールは横ばい〜微増のケースがみられます。
ホテル・観光
- 稼働・需要ドライバー
2024年の国際観光収入US$36億、ホテル稼働77.8%まで回復。2025年9月にはプノンペン新空港(Techo International Airport)が開業し、初年度年1,300万人→将来5,000万人までの拡張計画で国際線の受け入れ能力が大幅増、中期的なADRの上振れが期待されます。
物流・工業
- SEZ・ロジの需要
プノンペン圏のSEZ(特区)はH1時点でほぼ満室。RGPPSEZ/Sihanoukville SEZは輸出の中核で、24年の輸出額は各US$10〜15億規模。港湾・空港アクセスの強化とシアヌークビル物流センターの整備で、高規格倉庫への需要が底堅いです。 - パイプライン
2025〜28年にかけてシアヌークビルを多目的モデル特区へ段階整備、物流・観光の統合と民間投資の呼び込みが進みます。
REIT・資本市場
- 枠組みの整備進展
2019年トラスト法と2022年以降のプラカスで不動産信託(REIT相当)のスキームが整備進展。2025年3月にはトラスト課税の詳細規定が公布され、運用・課税の予見性が向上しました。上場REITの普及はこれからですが、私募型・不動産信託を通じた資金調達の土台が整っています。
制度・規制トピック
- 外国人の取得枠
土地の直接所有は不可。ただし区分所有(ストラータ)で上層階のユニット取得が可能、かつ棟内の外国人持分は最大70%まで。地上階は取得不可が原則です。 - 長期賃借(パーペチュアルリース)
外国人は15〜50年(更新可、最長50年/回)の長期賃借で土地利用が可能。実務ではLHC(ランドホールディング会社)×長期賃借や信託スキームが併用されます。
投資家への示唆(セグメント別)
- 住宅(分譲・賃貸)
供給増×選別化の局面です。中心〜準中心は価格・吸収とも堅調、周辺Bクラスは在庫圧力。利回り5〜6%を目安に、管理品質・賃貸需要の厚み(学校・オフィス近接)を重視、オフプランは完成・引渡しリスクと支払計画の精査が前提です。 - オフィス
空室高止まり(約64%)のため、テナント付けは条件設計(面積分割・内装支援・段階賃料)が鍵。投資はAグレード、交通結節・BCP優位への集中が合理的です。 - リテール
プライムロケーションはイベント×体験型テナントで底堅い一方、セカンダリーは歩合賃料や内装補助を前提に回転率管理を重視します。 - ホテル
新空港稼働でMICE・国際線の取り込み余地が拡大。ADR上振れを見込みつつ、平日需要の底上げ(企業・政府需要)と人員確保がテーマです。 - 物流・工業
SEZ満床×港湾・物流ハブ整備で、高天井・ドック付の汎用型倉庫が安定収益源。電力安定・港/空港距離・トラック導線のチェックリストで物件選別を徹底します。 - ストラクチャー
長期賃借・信託(REIT相当含む)の選択肢が拡充。税制・手数料の総コストと受益権の流動性を比較検討します。
リスク・留意点
- 供給過多・在庫圧力:コンド新規供給が多く、周辺Bクラスで値引き・販売長期化の可能性。
- 賃貸・商業の調整:オフィス空室64%/小売稼働5割後半で賃料調整・インセンティブが継続。
- 金利・資金調達:初年度6〜7%台→2年目以降8%前後の金利上昇カーブに注意(固定・保険付帯の条件差に留意)。
- 施工・引渡し:建設遅延・仕様差が顕在化しやすい局面。マイルストーン・遅延賠償条項の確認は必須です。
- 制度運用:外資持分70%/地上階不可、長期賃借の上限・更新要件など、登記手続と実務運用を専門家で再確認。
まとめ
2025年のカンボジア不動産は、住宅の供給増×選別、商業の調整継続、工業・物流の底堅さという三層構造です。新空港開業による観光・ビジネス需要の増勢がホテル・リテールに中期的な追い風となる一方、オフィス・周辺住宅の在庫圧力には引き続き注意が必要です。投資は、立地・運営品質・リーシング力を軸に、固定金利用・キャッシュフロー重視・長期賃借/信託の適切なストラクチャリングで臨むのが有効です。