「日本の銀行のローンで海外不動産を購入することはできますか?」
海外不動産を購入する場合には、プレビルドの物件であっても、ある程度の自己資金が必要になるケースがあります。また、プレビルドであっても、分割払いよりは、一括払いの方が割引率が大きく、一括払いを検討したい投資家の方も少なくありません。
今回は、日本の銀行のローンで海外不動産を購入する方法について解説します。
日本の銀行のローンで海外不動産を購入することはできるの?
できます。
正確に言うと
直接的に、新興国(例:フィリピン、ドバイ、エジプト)の海外不動産に融資をしてくれる日本の銀行はほとんどない
のが現状です。
一部の日本の銀行やノンバンクは、米国不動産・オーストラリア不動産など、市場が成熟している国の不動産への融資を行うケースはあります。
しかしながら、ここから不動産価格が大きく上昇するであろう、発展途上国(例:フィリピン、ドバイ、エジプト)のへの融資というのは、リスクを取りたがらない日本の銀行には融資対象にはならないのです。
じゃあ、どうやって日本の銀行のローンで海外不動産を購入するの?
日本の不動産を担保にする不動産担保ローンで資金を借りる
ことで、海外不動産の購入資金にも利用することが可能です。
一般的に
- 不動産担保ローン → 不動産を担保にして、その評価額の範囲内で使途自由で使ってよいローンのこと
を言います。
不動産担保ローンには、資金使途が限定される
- 住宅ローン → マイホームの購入資金にだけ使ってよい不動産担保ローンのこと
- アパートローン → 不動産投資にだけ使ってよい不動産担保ローンのこと
もありますが、基本的には「資金使途:自由」の不動産担保ローンも、日本の銀行は提供しているのです。
海外不動産購入のために、日本の銀行の不動産担保ローンを利用するためには
- 日本の不動産をお持ちであること
- 日本でお持ちの不動産の担保評価額よりも、借入額が低いこと(融資の余地があること)
が必須条件となります。
簡単に言えば
日本でお持ちの不動産を担保にして、日本の銀行からお金を借りて、その資金で海外不動産を購入する
ということになります。
ケース1
- 保有している投資物件Aの不動産担保評価額:4,000万円
- 投資物件Aのローン残高:2,000万円
- 銀行からの融資枠 = 不動産担保評価額:4,000万円 - ローン残高:2,000万円 = 2,000万円
- 海外不動産購入に利用できる金額:2,000万円
借り入れ条件
- 借入金額:2,000万円
- 借入金利:2.5%
- 借入期間:30年
- 毎月の返済額:79,024円
となります。
2,000万円の予算で、エジプト不動産を購入
エジプト不動産の投資利回り:10.0%
エジプト不動産のインフレ率:10.0%
結果として
- 賃貸収入で十分にローン返済が可能で、同時にエジプト不動産価格も上昇していき、キャピタルゲインを狙える
ケース2
- 保有している自宅の不動産担保評価額:5,000万円
- 自宅の住宅ローン残高:1,500万円
- 銀行からの融資枠 = 不動産担保評価額:5,000万円 - ローン残高:1,500万円 = 3,500万円
- 海外不動産購入に利用できる金額:3,500万円
借り入れ条件
- 借入金額:3,500万円
- 借入金利:2.0%
- 借入期間:30年
- 毎月の返済額:92,404円
となります。
3,500万円の予算で、フィリピン不動産のプレビルド物件を購入
5年後に完成するプレビルド物件は、完成時に1.3倍程度の価格で売却できる
結果として
- 5年間で、4,550万円で売却して、1,050万円分のキャピタルゲインがほぼ見えている状態
- 5年で返済した場合に支払う利息は、約320万円なので、それだけで730万円分のキャピタルゲインが狙える
- ※諸費用は計算に入れていません。
上記の通りで、うまく、低金利の日本の銀行のローンを活用できれば、海外不動産投資による収支で十分なインカムゲイン、キャピタルゲインが狙えるのです。
日本の銀行のローンで海外不動産を購入する手順
1.事前の状況を確認する
日本の銀行の不動産担保ローンで海外不動産を購入するためには
- ご自身が日本の不動産を持っていること
- ローンの返済がある程度進んでいて「不動産担保評価 > 借入額」になっていること
が最低条件となります。
不動産担保評価額は、わからなければ銀行に聞くこともできますし、不動産価格の検索サイトなどでもある程度の目安をつけることができます。一般的に銀行の不動産担保評価額は、市場価格の70%程度となります。
お近くの物件で同じ平米数や間取りの物件の売買価格の7割が担保評価額だと考えて、だいたいの金額はつかめます。
2.購入したい海外不動産の情報を集める
銀行に融資の依頼をする段階で、購入したい海外不動産の内容を聞かれます。
- パンフレット
- 物件資料
- 収支シミュレーション
など用意するものを集めておきましょう。
3.融資可能な銀行・ノンバンクを探す
不動産担保ローンを提供している銀行は、それなりにあります。複数の銀行・ノンバンクに問い合わせたうえで、条件が良い銀行の不動産担保ローンを利用するために、利用した場合の融資条件を引き出しましょう。
ご自身がすでに付き合いがある銀行、借入中の銀行に相談してみるのも一つの方法です。
4.条件の良い銀行・ノンバンクで借りる
複数の銀行・ノンバンクで
- 借り入れが可能
- 低金利
の条件の良いローンを利用します。
実際に融資契約をする段階では、いろいろな書類が求められますが、これは海外不動産の不動産会社・不動産エージェントに相談しながら、資料を集めてもらいましょう。
日本の銀行のローンで海外不動産を購入する注意点
海外不動産と言えども、確実性の高い立地やディベロッパーの物件を選びましょう。
日本の銀行のローンで借り入れをして海外不動産に投資して怖いのは・・・
プレビルド物件で不動産が完成せずに、日本の銀行のローンだけ残ってしまう
状況です。
そうならないためには
- 確実性の高い国の不動産
- 大手で実績のあるディベロッパー
- 賃貸募集に苦戦しない一等地の物件
というような条件の海外不動産を選ぶことが重要です。