インドネシア移住が注目される理由と基本情報
インドネシア移住がここ数年あらためて注目されている背景には、「コスト」「成長性」「日本との距離感」という3つの軸があります。東南アジアの中でも人口規模が大きく、若年層が多い国であることは、働く世代にとっては市場の広がりを意味します。一方で、リタイア層にとっては生活費を抑えながら温暖な気候で暮らせる選択肢になります。
単なるリゾート移住ではなく、「生活拠点として成立するかどうか」を基準に検討する人が増えている点が特徴です。
物価水準と生活コストの現実的な水準
日本から見ると、インドネシアの生活費は総じて低めです。ただし「何にお金を使うか」で大きく差が出ます。
ローカル中心の生活であれば、単身者で月6万〜10万円前後に抑えることも可能です。家賃は都市とエリアによって幅があり、外国人向けアパートで月2万〜8万円程度が一つの目安になります。
注意すべきは、日本と同じ品質を求めると一気にコストが上がる点です。輸入の日本食材、アルコール、ブランド家電は日本より高いケースも珍しくありません。移住前には「どこまで現地仕様に合わせられるか」を自分に問いかけることが、現実的な予算設計につながります。
年間を通じて温暖な気候と暮らしやすさ
インドネシアは基本的に常夏です。寒暖差が少なく、冬の防寒対策は不要です。衣類や暖房費のコストがかからないのは長期滞在では地味に効きます。
一方で、湿度が高く、雨季にはスコールが頻発します。住居選びでは「排水状況」「エアコンの性能」「カビ対策」を必ず確認してください。内見時に壁の角や天井付近をチェックするだけでも、後悔を減らせます。
親日的な国民性と日本人コミュニティ
インドネシアは親日的な国として知られています。日系企業も多く、日本人向けのコミュニティや日本語対応サービスも一定数存在します。
特にジャカルタやバリでは、日本食レストラン、日本人学校、日本語対応クリニックなどが整っています。ただし「日本語が通じる=トラブルがない」ではありません。契約書は英語またはインドネシア語であることが一般的です。署名前に翻訳確認を行う、重要事項はメールで記録を残すなど、実務的な姿勢が求められます。
外国人向けインフラとデジタル環境
移住先として重要なのは通信環境です。主要都市では光回線や高速モバイル通信が普及しており、リモートワークも現実的な選択肢になっています。コワーキングスペースもバリやジャカルタを中心に増加しています。
ただしエリアによって回線品質は大きく異なります。物件見学の際は「実際にその部屋で通信速度を測る」ことが重要です。不動産オーナーの説明だけで判断しないようにしましょう。
人口規模と経済成長という中長期視点
インドネシアは世界有数の人口規模を持つ国です。若い労働人口が多く、スタートアップやデジタル産業も拡大しています。将来的に現地就職やビジネス展開を視野に入れている人にとっては、市場としての魅力も無視できません。
ただし最低賃金は日本と大きく差があります。現地採用での給与水準は、日本基準で考えると想像より低いこともあります。収入源を日本や海外に持つのか、現地で得るのかによって、移住戦略は大きく変わります。
生活スタイルの選択肢が広い国
インドネシアは多島国家です。都市型生活を望むならジャカルタ、リゾート型ならバリ、よりローカル色の強い地域を選ぶことも可能です。同じ国でも生活環境はまったく異なります。
移住を本気で検討するなら、いきなり長期契約を結ぶのではなく、1〜3か月の短期滞在で複数エリアを比較する方法が現実的です。スーパーの品揃え、病院の距離、交通渋滞の時間帯など、旅行では見えない要素を確認できます。
インドネシア移住は、物価の安さだけで決めると失敗します。生活の質、収入の見通し、文化適応力。この3点を整理できた人にとっては、有力な選択肢になります。

インドネシア移住にかかる初期費用の目安
インドネシア移住を本格的に検討する場合、最初に気になるのが「いくら準備すれば足りるのか」という現実的な数字です。結論から言うと、単身であれば最低40万円前後、条件によっては100万円以上を見込んでおくと安心です。
ただし、この幅が大きいのには理由があります。ビザの種類、住む都市、バイクを買うかどうか、医療保険のプランなど、選択によって初期費用は大きく変わります。内訳ごとに具体的に見ていきます。
片道航空券代と渡航準備費
日本からジャカルタやバリ島への片道航空券は、時期や航空会社によって5万〜10万円程度が目安です。直行便や預け荷物の多いプランを選ぶと高くなります。
サーフボードや大量の荷物を持っていく場合、超過料金が発生することもあります。航空券を選ぶ際は「受託手荷物の上限」を必ず確認してください。現地で生活用品を揃える前提で、スーツケースは必要最低限に抑える方が結果的に安くなるケースもあります。
また、出国前に必要なものとして以下が発生します。
- 海外医療保険料(半年で15万〜25万円が一つの目安)
- ビザ取得関連費用(数万円〜数十万円)
- 書類の翻訳・公証費用
特に医療保険は盲点になりやすい部分です。出国後に加入できないタイプも多く、準備を後回しにすると選択肢が狭まります。
住居の前払い家賃と保証金
インドネシアでは、家賃の前払いが一般的です。都市や物件によりますが、3ヶ月〜1年分をまとめて支払うケースが多く見られます。
たとえば月2万5,000円のアパートを3ヶ月契約する場合、約7万〜8万円を一括で支払う計算になります。ジャカルタの外国人向けコンドミニアムでは、月5万〜10万円以上になることも珍しくありません。
長期契約にすると割引が入ることもありますが、現地を見ずに年間契約をするのはリスクがあります。可能であれば、
- まず1〜3ヶ月の短期契約
- 実際に住んでから長期契約へ切り替え
という順番が安全です。契約前には「電気代が家賃に含まれるか」「Wi-Fiの有無」「水シャワーか温水か」を必ず確認してください。
生活立ち上げ費用と家電購入費
家具家電付き物件でも、実際には細かな出費が重なります。たとえば、
- 携帯電話本体+SIMカード 1万5,000円〜2万円前後
- キッチン用品・食器類 5,000円〜1万円
- 炊飯器・ケトルなど小型家電 5,000円〜1万円
品質を重視するなら大型量販店、コスト重視ならローカル店という選び方になります。
注意したいのは電圧です。インドネシアは220Vです。日本の100V専用家電をそのまま使うと故障します。変圧器を購入するか、最初から現地対応製品を買う前提で予算を組んでください。ここで無駄な出費をする人は少なくありません。
バイク購入費と移動手段
バリ島や郊外都市では、バイクが実質的な生活インフラです。新品で約20万円前後、中古なら10万円前後が相場です。
購入しない場合は、配車アプリのGrabやGojekを利用できます。移住初期はアプリ移動で様子を見るのも合理的です。月数千円〜1万円以内に収まるケースもあります。
バイクを買う場合は、現地免許取得費用やヘルメット、保険も加味しておきましょう。
想定外に備える予備資金
移住直後は体調を崩しやすい時期です。環境変化、食事、水、気候。どれも日本とは違います。
実際に、診察と処方のみで約3万円かかるケースもあります。保険に入っていなければ全額自己負担です。
加えて、以下の資金も確保しておくと安心です。
- 緊急帰国用の航空券代(10万円前後)
- 2〜3ヶ月分の生活費
- ビザ延長やトラブル対応費
移住は「生活の立ち上げプロジェクト」です。最低限の初期費用だけで渡航するのではなく、余裕資金を含めて計算することで、精神的な安定がまったく変わります。
合計の目安と判断基準
単身・節約型の場合
40万〜60万円程度でスタート可能なケースがあります。
ビザ費用・医療保険込み、都市部コンドミニアム、バイク購入ありの場合
80万〜120万円程度を想定すると安心です。
重要なのは「自分がどのタイプか」を先に決めることです。
- 現地就職で企業がビザを負担してくれるのか
- リモートワークで個人手配になるのか
- リタイアメントビザで長期滞在を想定するのか
条件によって初期費用は大きく変わります。数字だけを見るのではなく、ビザ・住居・医療・移動の順で優先順位を整理すると、無駄な出費を防げます。
移住は勢いも大切ですが、資金計画は冷静に。準備段階で詰めておくことが、現地での自由度を高めます。

単身・夫婦・家族別に見るインドネシア移住の1ヶ月生活費シミュレーション
インドネシア移住を具体的に検討する段階で、最も気になるのが「毎月いくらあれば現実的に暮らせるのか」という点です。ここでは、バリ・ジャカルタを中心に、実際の支出感覚に近い金額で内訳を整理します。単なる平均ではなく、生活スタイル別に判断できる形で示します。
単身者の場合 月6万〜12万円が現実的レンジ
家賃 2万円〜8万円
最も差が出るのが住居です。
- バリ島のローカル向けコス(簡易アパート):月2万〜3万円
- 外国人向けアパート(家具家電付き):月4万〜6万円
- ジャカルタのコンドミニアム:月6万〜10万円以上
契約は3ヶ月〜1年の前払いが一般的で、長期契約にすると月額が割引されるケースが多いです。内見せずに契約し、到着後に「写真と違う」と後悔する例は少なくありません。可能なら現地在住者に確認してもらうか、短期滞在で実際に見てから決めるのが安全です。
光熱費 3,000円〜8,000円
電気はプリペイド式が多く、コンビニなどでチャージします。エアコンを毎日使うかどうかで大きく変動します。クーラーを24時間稼働させると電気代は一気に上がります。
ガスはボンベ交換式が主流で、交換費用は数百円程度。ただし地域によっては入手しづらいことがあります。
食費 2万円〜4万円
自炊中心なら月2万〜3万円が目安です。
- ローカル食堂(ワルン):1食150円〜400円
- カフェや外国人向けレストラン:1食800円〜2,000円
輸入食材や日本食材は価格が2〜3倍になることもあります。醤油やみりんなどを常用する場合、食費は想定より上振れしやすいです。飲料水は19Lボトルを交換式で購入するのが一般的です。
通信費 2,000円〜5,000円
インターネット回線は月3,000円前後で使い放題プランが一般的です。スマホSIMは月1,000円〜2,000円で十分なデータ量が確保できます。
移住直後は現地口座が開設できない場合があるため、日本出国前に海外送金サービスの準備をしておくと資金管理がスムーズです。
交通費 1,000円〜5,000円
バイクを所有すればガソリン代は月1,000円前後。購入費用は別途10万〜20万円程度かかります。
配車アプリGrabやGojekを使う場合、移動頻度によりますが月3,000円〜5,000円が目安です。
合計目安
ローカル寄りの生活:月6万〜8万円
外国人向け物件+外食多め:月9万〜12万円
夫婦2人の場合 月10万〜18万円
2人で住むと家賃を分担できるため、1人あたりの固定費は下がります。バリ島で家具付きアパートを借り、生活費を共有した場合、月10万〜14万円程度が現実的です。
ただし、交際費や旅行、外食が増えると18万円前後まで上がることもあります。アルコールは高額なので、お酒を日常的に飲む方は予算を多めに見積もるべきです。
家族4人の場合 月15万〜25万円
ジャカルタ近郊の一戸建てや広めのコンドミニアムを借りるケースでは、家賃が7万〜15万円程度になります。
家族生活の内訳例
- 住居 7万〜12万円
- 食費 4万〜7万円
- 光熱費 5,000円〜1万円
- 通信費 5,000円前後
- 交通費 3,000円〜1万円
お手伝いさんを雇う場合は月1万〜3万円程度が追加されます。インドネシアでは一般的な選択肢ですが、雇用条件や契約内容は慎重に確認する必要があります。
見落としがちな支出 医療費と一時出費
医療費は軽視されがちです。保険未加入で私立病院を受診すると、診察と処方だけで数万円かかることがあります。出国前に海外医療保険へ加入しておくのが原則です。
また、以下は月平均に含めにくい支出です。
- ビザ更新費用
- 家電の買い替え(電圧220V対応)
- 一時帰国航空券
- 病院代
電圧の違いで日本の家電が使えないケースも多く、変圧器や現地購入費を想定しておくと安心です。
結論 自分の生活レベルを先に決める
インドネシア移住の生活費は「安い国」という一言では整理できません。ローカル水準で暮らすのか、外国人向け環境で快適さを優先するのかで、月額は倍近く変わります。
判断のコツは、先に「住むエリア」「住居タイプ」「外食頻度」を決めることです。そこから逆算すれば、必要な月収や貯蓄額が具体化します。

インドネシア移住に必要なビザの種類と取得方法
インドネシア移住を現実的に考えるうえで、最初に整理すべきなのが「どのビザで、どれだけ滞在できるのか」という点です。観光感覚の滞在と、生活拠点を移す移住とでは選ぶべき在留資格がまったく異なります。滞在目的ごとに条件・更新回数・必要書類が変わるため、自分の立場に合わせて選択することが重要です。
短期滞在 ビザなし入国と観光系ビザ
ビザなし入国(短期滞在)
観光目的であれば、一定期間はビザなしで滞在できます。一般的には最長30日間の短期滞在です。ただし延長はできません。現地で「もう少し様子を見たい」と思っても、そのまま延長はできないため、一度出国する必要があります。
いわゆる“ビザラン”を繰り返す方法もありますが、近年は入国審査が厳しくなる傾向があり、移住前提での繰り返し入国はリスクがあります。生活拠点を置く予定なら、最初から長期ビザを検討したほうが安全です。
観光ビザ(延長型)
観光目的で入国後、延長を前提にしたビザを取得するケースもあります。延長には現地スポンサーやエージェントのサポートが必要になることが多く、更新のたびに入国管理局へ出向く必要があります。
現場でよくある失敗は「観光ビザで住居契約を先にしてしまう」ことです。長期契約を結んだ後にビザ更新が認められないと、違約金や敷金返還トラブルにつながります。住居契約はビザの安定性を確認してから行うのが原則です。
就労ビザ KITAS と永住資格 KITAP
就労ビザ KITAS
インドネシアで働く場合は、就労用のKITAS(滞在許可証)が必要です。自力申請はできず、雇用先企業がスポンサーとなって申請します。会社側が外国人雇用枠を持っているか、ポジションが外国人に開放されているかが審査のポイントです。
確認すべき実務ポイントは以下です。
- 会社が外国人雇用許可を取得しているか
- 契約期間とビザ有効期間が一致しているか
- 家族帯同が可能かどうか
現地採用の場合、ビザ費用を会社が負担するのか自己負担かで初期費用は大きく変わります。内定時に必ず書面で確認しましょう。
永住資格 KITAP
長期滞在者向けの永住資格がKITAPです。一定期間KITASで滞在した後に申請できるケースが一般的です。配偶者がインドネシア人の場合や、長期就労者などが対象になります。
永住といっても完全無期限ではなく、定期的な更新手続きは必要です。将来的にインドネシアを生活拠点にするなら、最終的にKITAPを視野に入れておくと安定します。
55歳以上向け リタイアメントビザ
55歳以上の方にはリタイアメントビザという選択肢があります。1年ごとの更新で最長5年程度の滞在が可能です。
主な条件は以下の通りです。
- 一定額以上の預貯金証明
- 指定エリアでの住居契約
- 就労しないこと
- 現地人スタッフの雇用
「働かずに暮らす」という前提のビザです。オンラインで日本企業の業務を行う場合もグレーゾーンになり得るため、収入源については事前に専門家へ確認するのが安全です。
デジタルノマド・投資関連ビザ
近年はリモートワークを前提とした滞在ニーズが増えています。一定条件を満たせば、デジタルノマド向けの制度や投資家向けの滞在許可が利用できる場合があります。
ただし制度は変更が多く、発表時点の情報と実際の運用が異なることもあります。大使館情報と現地エージェント情報を照合し、最新条件を確認することが不可欠です。
ビザ取得の流れと実務上の注意点
ビザ取得は大まかに次の流れです。
- 滞在目的を明確化
- 対象ビザの条件確認
- スポンサー確保(企業・エージェント等)
- 必要書類準備
- 申請・承認
- 現地での滞在許可証発行手続き
迷いやすいのは「スポンサーの信頼性」です。安価な代行業者の中には、更新時に連絡が取れなくなるケースもあります。口コミや実績、法人登記の有無を確認してください。
また、ビザの種類によっては現地到着後に住民登録や税務番号の取得が必要です。銀行口座開設や不動産契約に影響するため、ビザ取得後の行政手続きまでを一連で把握しておくと安心です。
インドネシア移住は、生活費の安さや気候の魅力だけで決めると後悔します。ビザの安定性が、生活の安定そのものを左右します。滞在目的と将来設計を照らし合わせ、最初の選択を間違えないことが成功の鍵です。

仕事と収入 現地採用とリモートワークの選択肢
インドネシア移住を現実的に考えたとき、最大の論点は「現地で働くか」「日本や海外の仕事を続けるか」です。生活費が日本より抑えやすいとはいえ、収入源が不安定であれば移住は長続きしません。ビザ条件、税務、通貨の違いまで含めて設計する必要があります。
現地採用で働く場合のリアル
日本人向け求人の特徴と探し方
ジャカルタやスラバヤには日系企業が多く、営業、工場管理、会計、通訳、カスタマーサポートなどのポジションで日本人求人があります。探し方は主に以下の3つです。
- 日系人材エージェント経由での紹介
- LinkedInなどでの直接応募
- 現地コミュニティや紹介
エージェント経由が主流ですが、ここで確認すべきは「給与の通貨」と「税引後手取り」です。提示年収がルピア建てか米ドル建てかで実質価値が変わります。インドネシアはインフレと為替変動の影響を受けやすいため、契約書に昇給条件や為替条項があるかまで見てください。
給与水準と生活バランス
現地採用の日本人給与はポジションや都市で大きく異なりますが、一般的には日本より低めです。一方、単身で月6万〜12万円程度で生活できるケースもあるため、生活水準を調整すれば十分暮らせる水準とも言えます。
注意点は「日本基準の生活」をそのまま持ち込まないことです。輸入食品、アルコール、私立病院、日本人向けコンドミニアムを選ぶと支出は急増します。給与と支出のバランスを事前に試算し、家賃は手取りの3割以内に抑えるなど具体的な基準を持つと失敗しにくくなります。
就労ビザと会社スポンサー
就労する場合はKITASなどの就労ビザが必要です。原則としてスポンサー企業が手続きを行います。面接段階で必ず確認したいのは以下の点です。
- ビザ費用は会社負担か
- 医療保険はローカル保険か国際保険か
- 解雇時のビザ失効と猶予期間
ビザが会社に紐づくため、転職の自由度は日本より低いのが実情です。キャリアアップを前提に移住する場合、次の転職ルートまで視野に入れておく必要があります。
リモートワークで移住する場合の実務
IT・Web系との相性
ITエンジニア、デザイナー、マーケター、動画編集など、場所に依存しない職種はインドネシア移住と相性が良いです。日本企業に所属したままフルリモート勤務を続けるケースも増えています。
この場合の最大の強みは「日本水準の収入 × インドネシアの生活コスト」です。生活費を抑えながら貯蓄や投資に回せる余力が生まれます。
ただし、会社規定で海外居住が認められているかは必ず確認してください。就業規則違反になると契約解除リスクがあります。
フリーランスと海外送金
フリーランスの場合、報酬受取方法の設計が重要です。日本の銀行口座を維持するのか、マルチカレンシー口座を利用するのかで手数料と為替コストが変わります。
送金サービスを利用すればオンラインで資金移動が可能ですが、現地ATM引き出し手数料や為替レートの差も含めて年間コストを計算しておくと安心です。月数千円の差でも、長期滞在では無視できません。
税務と居住判定
見落とされがちなのが税務です。日本の住民票を抜くかどうか、183日ルールに該当するかで課税関係が変わります。現地での納税義務が発生する可能性もあるため、税理士への事前相談は実務上ほぼ必須です。
特に日本法人と業務委託契約を結ぶ場合、「どの国で所得税を払うのか」は契約前に整理してください。後から修正するのは非常に手間がかかります。
どちらを選ぶべきか 判断の軸
選択基準は感覚ではなく、条件で整理すると明確になります。
- 安定性を重視するなら現地採用
- 収入最大化を狙うなら日本ベースのリモート
- キャリア構築を優先するなら業界と将来性で判断
現地採用は現地ネットワークが広がりやすく、東南アジア市場での経験を積める利点があります。一方、リモートワークは生活の自由度が高く、都市を柔軟に変えられます。
短期で試すなら、観光滞在中に現地視察しつつリモートで働き、環境を確認してから本格移住する方法もあります。いきなり全てを切り替える必要はありません。
仕事と収入の設計は、インドネシア移住の成否を分ける核心部分です。生活費の安さだけに目を向けず、契約内容、ビザ条件、税務、通貨まで含めて「数字で判断」してください。

バリ・ジャカルタ・スラバヤを徹底比較。目的別に選ぶインドネシア移住の最適都市
インドネシア移住を具体的に考え始めると、多くの方が最初に迷うのが「どの都市を拠点にするか」です。バリは憧れ、ジャカルタは仕事、スラバヤは穴場と言われますが、実際に生活するとなると判断基準はもっと細かくなります。
ここでは生活費、仕事環境、住環境、医療、治安、将来設計という観点から、移住後に後悔しにくい都市選びの視点を整理します。
バリ島。リゾート型ライフスタイルと外国人コミュニティの強み
生活コストと住環境
バリは外国人向け物件が豊富で、プール付きアパートやヴィラも珍しくありません。家賃はエリア差が大きく、クタやチャングーなど人気エリアでは月5万〜10万円台が中心です。一方、ローカル寄りの地域なら2万〜4万円台も見つかります。
注意したいのは契約形態です。3か月〜1年分の前払いが一般的で、値引き交渉は長期契約が前提になります。内見せずに即決すると、水回りや電圧トラブルで後悔するケースもあります。必ずシャワーの水圧、エアコンの稼働、Wi-Fi速度をその場で確認してください。
仕事と収入の現実
現地採用の求人は観光・飲食・ダイビング関連が多い傾向です。IT系やWeb制作、デザインなどはリモートワークとの相性が良く、日本円収入を維持しながら暮らす人もいます。
ただし、観光需要に左右されやすく、景気変動の影響を受けやすい点は見落とせません。安定収入を前提にするなら、日本側に収益源を持つ設計が安心です。
医療とインフラ
私立病院はありますが、高度医療はシンガポールやジャカルタに移送されるケースもあります。海外医療保険は出国前加入が原則です。短期滞在の延長を繰り返すより、滞在目的に合ったビザを早めに整えるほうが結果的にコストは抑えられます。
バリは「生活の質を重視する人」「デジタルノマド」「自然志向の単身・夫婦世帯」に向いています。
ジャカルタ。経済中心地でキャリアを築くなら最有力
生活費と物価感
首都ジャカルタはインドネシアで最も物価が高い都市です。外国人向けコンドミニアムは月7万〜20万円超まで幅があります。家賃にジム・プール・セキュリティが含まれることが多く、都市型生活を求める人には快適です。
一方で渋滞は日常的です。通勤時間が読めないため、住居選びでは「職場からの距離」よりも「渋滞ルートを避けられるか」が重要です。内見時には平日夕方の交通状況を確認しておくと判断しやすくなります。
仕事の選択肢
日系企業の進出が多く、日本人向け求人は国内最多です。製造業、商社、IT、金融、コンサルなど業種も多様です。就労ビザは企業スポンサーが必須で、個人手続きは基本的にできません。採用前に「ビザ取得費用は会社負担か」「更新時の条件」を必ず確認してください。
英語は必須レベル、インドネシア語ができると職場での評価は大きく変わります。
医療・教育・生活利便性
国際病院や日本人向け医療機関もあり、医療水準は国内トップです。日本食スーパーやインターナショナルスクールも充実しています。家族帯同の移住なら選択肢の第一候補になります。
ジャカルタは「キャリア形成」「家族移住」「安定志向」の人に向いています。
スラバヤ。コストとビジネス環境のバランス型都市
生活費の優位性
スラバヤはインドネシア第二の都市ですが、家賃・物価はジャカルタより低めです。外国人向けコンドミニアムは月4万〜10万円程度が中心です。渋滞も比較的軽く、都市規模と生活のしやすさのバランスが取れています。
日常の食費や交通費も首都より抑えられます。長期滞在を前提に生活コストを抑えたい人には現実的な選択肢です。
仕事とビジネス
製造業や物流関連企業が多く、日系企業の拠点もあります。求人数はジャカルタほど多くありませんが、競争も緩やかです。中華系企業が多く、中国語ができると強みになるケースもあります。
生活の特徴
観光都市ではないため外国人コミュニティは小規模です。その分、ローカル文化への適応力が求められます。刺激よりも落ち着きを重視する人に向いています。
スラバヤは「コスト重視」「ビジネス目的」「地方都市でも問題ない人」に適しています。
迷ったときの判断フロー
- 日本円収入がある → バリも選択肢
- 現地就職が前提 → ジャカルタ優位
- 家族帯同 → 医療と教育でジャカルタ有利
- 生活費を抑えたい → スラバヤ
- 自然重視 → バリ
都市選びは、憧れではなく「収入源」「ビザ」「家族構成」「医療アクセス」の4要素で決めると失敗しにくくなります。
インドネシア移住は都市ごとに性格がまったく異なります。同じ国でも生活の質は大きく変わります。実際に下見をする場合は、観光ではなく「スーパーで買い物」「平日の通勤時間帯を体験」「病院を見学」という視点で動くと、生活のリアルが見えてきます。

インドネシア移住のメリットとデメリット
インドネシア移住を検討する際に重要なのは、「憧れ」ではなく「自分に合うかどうか」で判断することです。物価の安さや南国の暮らしに目が向きがちですが、実際の生活では細かな制度や慣習、医療や治安など、冷静に見ておくべき点が数多くあります。
ここでは、生活者目線で具体的にメリットとデメリットを整理します。
インドネシア移住の主なメリット
生活コストを抑えやすい
ジャカルタやバリ島など主要都市でも、住まいと食費を中心に日本より支出を抑えやすいのが特徴です。たとえば、外国人向けアパートでも月2万〜7万円台の選択肢があり、ローカル市場を活用すれば食費も大幅に下げられます。
さらに、家事代行やベビーシッター、ドライバーを月1万〜3万円程度で雇用できる環境は、日本では現実的ではありません。時間をお金で買い、自分のビジネスやスキルアップに集中するという選択がしやすい国です。
親日的で日系企業が多い
インドネシアは東南アジアでも日系企業の進出が多く、日本語人材向け求人が一定数あります。現地採用でも営業・製造管理・IT関連などポジションは幅広く、英語力と専門スキルがあれば選択肢は広がります。
加えて、親日的な国民性は精神的なハードルを下げます。役所や銀行で手続きする際も、日本人だと分かると丁寧に対応してくれるケースが多いのは実感しやすいポイントです。
温暖な気候とリゾート型ライフスタイル
年間を通じて温暖な気候は体調面にも影響します。バリ島では朝にサーフィンをしてから仕事をする、という生活も現実的です。日本の通勤ラッシュや寒暖差のストレスから解放されると、生活の満足度は大きく変わります。
ただし、都市部では常時エアコンが必要になるため電気代は想像以上にかかることがあります。快適さを求めるほど光熱費は増える、という前提で試算しておくことが重要です。
東南アジアのハブとしての利便性
シンガポール、マレーシア、タイなどへは数時間圏内。LCCを利用すれば往復1万円台で移動可能です。ビジネス拠点としても、ノマド的な働き方にも適しています。
将来的に他国へ移ることを視野に入れた「ステップ型移住」にも向いている国です。
インドネシア移住のデメリットと現実
医療水準と保険の問題
軽度の診察でも数万円かかるケースがあり、海外医療保険は必須です。出国後に加入できないプランもあるため、渡航前に契約しておく必要があります。
高度医療や大きな手術は、シンガポールやマレーシアへ移動するケースもあります。慢性疾患を持っている方や家族連れは、最寄りの国際病院の場所を事前に確認し、救急時の搬送ルートまで把握しておくと安心です。
渋滞とインフラの制約
ジャカルタは慢性的な渋滞都市です。通勤時間が読めないため、職場からの距離より「渋滞ルートかどうか」で住居を選ぶ必要があります。
水道は飲料不可が基本。飲み水はボトル交換制です。停電や通信トラブルもゼロではありません。日本基準の安定性を求めるとストレスになります。
文化・慣習の違い
時間感覚は日本と大きく異なります。役所手続きは予定通り進まないことがあり、書類が一度で揃わないのは珍しくありません。
ビザ更新時に追加書類を求められる、担当者によって説明が変わる、といったケースもあります。移住初年度はビザエージェントを利用し、書類チェックリストを自分でも管理するのが現実的です。
治安と「外国人価格」
日本と同じ感覚での夜間単独行動は避けるべきです。スリや詐欺は日常的に発生しています。
また、日本人は経済的に余裕があると見られやすく、家賃やサービス料金が上乗せされる場合もあります。契約前にローカル相場を複数確認し、可能なら現地在住者に相場感を聞くことが防衛策になります。
日本製品とアルコールは高い
日本の調味料や食品は輸入品扱いとなり、価格は2〜3倍になることもあります。アルコールも高額です。日本食中心の生活を前提にすると、生活費は想定より上がります。
ローカル食材に順応できるかどうかで、支出は大きく変わります。
メリットを活かせる人と、向かない人
インドネシア移住が向いているのは、次のようなタイプです。
- リモートワークや専門スキルを持ち、収入源を確保できる人
- 多少の不便さを許容できる人
- 東南アジア文化への興味が強い人
一方で、日本と同じインフラ水準や時間厳守文化を求める方にはストレスが蓄積しやすい環境です。
移住前は、1〜3ヶ月の中期滞在で「日常生活」を体験することが最も有効な判断材料になります。観光では見えない現実が、そこでははっきり見えてきます。

移住前に必ず確認すべきチェックポイント
インドネシア移住を具体的に検討し始めた段階で、多くの人が生活費やビザの種類に目を向けます。しかし、実際にトラブルになりやすいのは「細かい前提条件の確認不足」です。ここでは、現地到着後に慌てないための実務的なチェックポイントを整理します。
電圧220Vと家電トラブルを防ぐ準備
インドネシアの電圧は220V、日本は100Vです。プラグ形状の変換だけでは不十分なケースが多く、電圧非対応のドライヤーや電気ケトルは故障します。
出発前に必ず確認すべき項目は次の通りです。
- 家電の対応電圧表示が「100-240V」かどうか
- 変圧器が必要な機器の洗い出し
- 消費電力(W数)と変圧器容量の適合
特に美容家電やキッチン家電は壊れやすい分野です。現地購入が前提なら、ACE Hardwareなどの大型店で購入するか、品質を妥協するかを事前に決めておくと無駄な出費を防げます。
医療保険は出国前に契約する
インドネシアでは海外医療保険は「出国後に加入できない」商品が一般的です。現地で体調を崩してからでは遅いという事例は少なくありません。
確認すべきポイントは以下です。
- 入院・手術の補償上限額
- キャッシュレス対応病院の有無
- 緊急搬送や第三国搬送の補償(シンガポールやマレーシアへの搬送)
軽い診察でも数万円請求されることがあります。保険料を節約しても、1回の通院で逆転する可能性があります。保険は「使わない前提」で考えず、「万が一の移動費まで含めて守れるか」で選ぶのが現実的です。
住居契約は必ず現地確認または信頼できる紹介経由
バリやジャカルタでは、オンラインで部屋を探すことができます。しかし写真と実物が大きく違うケースもあります。
契約前に確認すべき具体項目は次の通りです。
- 電気代が家賃込みか別払いか
- 水シャワーか温水シャワーか
- インターネット速度の実測値
- 周辺の騒音(モスクのスピーカーや道路騒音)
可能であれば、現地在住者に内見を依頼するか、短期滞在で実際に住んでから長期契約に切り替える方法が安全です。年間契約は割安になりますが、最初から長期契約を結ぶのはリスクも伴います。
銀行口座と資金管理の準備
インドネシアでは銀行口座開設にKITASが必要になることが一般的です。移住直後は口座を持てない期間が発生する可能性があります。
そのため、以下の準備を日本出発前に済ませておくと安心です。
- Wiseなどの海外送金サービスの口座開設
- デビットカードの発行
- クレジットカードの利用限度額確認
WiseカードがあればATMからルピアを引き出せます。現金を大量に持ち込むより安全です。為替レートの変動もあるため、数ヶ月分の生活費をどの通貨で持つかも検討材料になります。
緊急帰国資金を別枠で確保する
多くの移住者が見落としがちなのが「帰国費用」です。ビザ問題、家族の事情、体調不良などで急に帰国するケースは現実に起こります。
最低でも以下を別枠で確保しておくと安心です。
- 片道航空券代
- 1〜2ヶ月分の日本滞在費
- 医療費や突発支出
この資金を生活費と同じ口座に入れてしまうと、気づかないうちに使ってしまいます。用途を分けて管理するのが実務的です。
治安と移動手段のリアルな確認
インドネシアはエリア差が非常に大きい国です。同じ都市でも区画によって安全性が変わります。
確認のコツは、昼と夜の両方を歩いてみることです。周囲にコンビニや警備員付き住宅があるか、夜間の人通りはどうかを自分の目で確かめます。
移動手段も重要です。GrabやGojekは便利ですが、ピーク時は配車がつかまらないことがあります。バイクを購入する場合は、免許取得方法や保険の加入条件も事前に確認しておきましょう。
文化と常識の違いを具体的に理解する
時間感覚、役所の対応、宗教行事による営業時間変更。日本基準で考えるとストレスが溜まりやすい場面が多くあります。
例えばラマダン期間中は営業時間や交通事情が変わります。祝祭日も多く、役所手続きが想定より長引くことがあります。重要書類の手続きは余裕を持ったスケジュールで進めることが必要です。
移住は旅行の延長ではありません。生活インフラの確認、資金管理、医療、文化適応。この4つを具体的にチェックできれば、インドネシア移住の成功確率は大きく上がります。

