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アジア太平洋(APAC)の不動産市場に、世界の投資マネーが再び集まり始めています。Colliers(コリアーズ)が2025年11月19日に公表した「2026 Global Investor Outlook(アジア太平洋インサイト)」では、米国・欧州に偏っていた資金配分が、成長期待の高いAPACへ“はっきり回帰”していると整理されています。

特に象徴的なのが「資金調達(ファンドレイズ)」の増加です。PERE(Private Equity Real Estate)データとして、APAC特化の資金調達が2025年Q1〜Q3に前年同期比で130%超増、世界全体の調達に占める比率も6%→11%へ上昇したと示されました。

何が起きているか(ポイント)

  • コア資産(Core)への回帰:オフィス、物流・産業(Industrial & Logistics)など、賃料収入が見込みやすい分野への投資が再加速
  • オルタナ(Alternatives)拡大:データセンターが牽引し、ヘルスケア、アフォーダブル住宅(低価格帯住宅)、シニア住宅にも関心が波及
  • 投資先の序列:日本・豪州・シンガポールが引き続き有力。加えてインドが高リターン狙いで急浮上

用語解説

  • コア資産(Core):立地・テナント・稼働が安定し、利回りは控えめでも下振れしにくい不動産。
  • オルタナ(代替アセット):従来のオフィス・物流・住宅・商業以外(例:データセンター、医療施設、学生寮など)。

「お金の出し手」と「買い方」が変化

レポートでは、年金などの巨大投資家だけでなく、ファミリーオフィス富裕層(HNWI)などの「プライベート資本」が、香港や豪州を中心に存在感を増している点も強調されています。彼らは相場が弱い局面で買いに向かう逆張り(カウンター・サイクリカル)を取りやすく、大型機関が手を出しにくい案件に入る傾向がある、という整理です。

さらに投資手法も多様化しています。代表例が次の2つです。

  • セール&リースバック:企業が保有不動産を売却して資金化し、同じ建物を賃借して使い続ける取引。投資家側は賃料収入を取りやすい。
  • プライベートクレジット:銀行融資以外の「民間の貸付」。不動産向けの貸付投資で、担保・金利条件を組みやすい。

オフィス回復と、データセンターが主役化

停滞していたオフィスは、価格が底打ちし始めたとの見方や、ソウル・東京・シドニーなどでの需要の粘りを背景に、資金流入の恩恵を受けるとされています。日本は空室率の低さと賃料上昇が評価され、米国や日本から豪州へ越境投資が入っている点も言及されています。

一方で、成長セクターとして際立つのがデータセンターです。APACでデータセンター投資に資金を振り向ける意向は、調査回答者の11%で、米国(14%)に次ぐ水準とされました。日本については、データセンター拡大の前提となる電力確保がボトルネックになり得る点も触れられています。

ニュースの見解

日本人の海外不動産投資家にとって、このニュースは「APACが再び“資金の向かう先”になっている」ことを示すシグナルです。とくに次の影響が現実的です。

1) 価格と競争の上昇圧力が強まる

APAC向け資金調達が増える局面では、良い物件(立地・稼働が強いコア)ほど入札が増え、利回りは低下しやすいです。買う側は「価格が上がる前に」ではなく、賃料成長・稼働・出口(売却)まで含めた採算で精査する必要があります。

2) 個人投資家は「テーマ型」で間接投資が増える可能性

データセンター、医療・シニア住宅などは、個人で現物を買うよりも、ファンド/REIT/運用会社(プラットフォーム)への出資の方が現実的なケースが多い分野です(運営ノウハウが収益を左右しやすいため)。ニュースが示す“オルタナ拡大”は、今後こうした商品が増えやすい土壌でもあります。

3) インドは魅力が増える一方「制度・出口設計」が重要

インドが注目される背景は、人口・経済成長による長期需要です。一方で国ごとの規制、税制、外資制限、為替、資金回収(売却・送金)の難易度は投資成果に直結します。高リターンを狙うなら、最初から「出口」を設計し、現地パートナーの実績確認が必須です。

実務的な結論(投資判断の型)

  • 安定重視:日本・豪州・シンガポールのコア(稼働・賃料が強い物件)中心
  • 成長取り:データセンター等は運営力がある事業者/ファンド経由で検討
  • 高リターン狙い:インド等は規制・税・出口・為替ヘッジをセットで評価
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