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2025年11月27日、アブダビの住宅市場について、現地不動産アドバイザリーのCavendish Maxwell(カベンディッシュ・マクスウェル)の分析として「2026年末までに合計2万800戸の新規住宅が供給される見通し」が報じられました。内訳は、2025年末までに8,000戸2026年に12,800戸の引き渡し(完成・引き渡し)が予定されています。

加えて、将来の供給計画として、

  • 2027年:12,400戸
  • 2028年:21,400戸
    が「パイプライン(計画・建設予定)」として示されています。ただし、過去の引き渡し傾向から、実際の引き渡しは当初予測を下回る可能性も指摘されています。

供給が増えても「一気に増えない」可能性

今回のニュースで重要なのは、供給が増える一方で、アブダビでは歴史的に引き渡しが段階的(staggered)になりやすい点です。Cavendish Maxwellアブダビのアソシエイト・ディレクターであるアンドリュー・レイヴァー氏(Andrew Laver)は、短期的には「計画より少ない引き渡し」になり得ること、そして段階的な供給は市場が新規在庫を吸収しやすくし、急激な在庫増を避ける狙いがあると述べています。

あわせて、2025年の供給状況として、2025年の最初の9か月で約2,700戸(アパート、タウンハウス、ヴィラ)が引き渡しされたことも報じられています。

需要面:Q3の取引が強い

供給の話と並んで、投資判断に直結するのが需要(取引・価格・賃料)です。2025年Q3(7〜9月)について、以下の具体的データが示されています。

  • 住宅取引件数:6,400件超(アパート、ヴィラ、タウンハウス合計)
  • うちアパート取引:約5,100件(投資家需要、若年プロフェッショナルや小規模世帯の需要が背景)
  • 売買総額:2,050億AED(AEDはUAEディルハム)
  • オフプラン購入が1,630億AEDと大部分を占めた

ここでいうオフプラン(off-plan)は、「完成前(建設中、または着工前)に販売される物件を予約・分割払いで購入する形態」です。完成後の転売や賃貸を狙う投資家が参加しやすい一方、引き渡し時期がずれたり、途中で資金計画が崩れるとリスクになります。

価格と賃料:上昇が鮮明

2025年Q3のデータでは、価格と賃料の上昇がはっきり出ています。

  • アパート価格:前年同期比で平均約+15%
  • 上昇が大きいエリア:ヤス島(Yas Island)アル・リーム島(Al Reem Island)
  • ヴィラ価格:前年同期比で平均約+12%弱
  • 牽引エリア:ヤス島サディヤット島(Saadiyat Island)
  • アパート賃料:平均+14.2%、ヤス島では最大+25%
  • ヴィラ賃料:平均+5.1%

背景:なぜアブダビの住宅需要が強いのか

今回の報道では、需要を支える要因として、

  • 経済の基礎体力
  • 産業多角化(diversification)
  • 人口増
  • マスタープラン型コミュニティの人気
    が挙げられています。

マスタープラン型コミュニティは、住宅だけでなく商業施設、学校、病院、公園、マリーナなどを一体で設計する大規模開発のことです。エリアとしての完成度が高く、賃貸需要が読みやすい一方、管理費やルール(短期賃貸の可否など)が物件ごとに異なる点は要確認です。

日本人投資家が押さえたい制度のポイント

アブダビは居住制度面でも投資家に注目されやすく、アブダビ政府サイトでは不動産投資家向けのゴールデンビザ(10年)の要件が整理されています。たとえば、

  • 物件価値(合計)200万AED以上が基準
  • オフプランの場合、現時点までの支払いが200万AED以上必要
    といった条件が明記されています。

ニュースの見解

このニュースが示しているのは、「アブダビは供給を増やしつつも、需要が強いため価格・賃料が上がりやすい局面が続いている」という現状です。特にQ3で取引総額が2,050億AED、うちオフプランが1,630億AEDを占めた点は、投資資金が市場に入り続けているサインです。

日本人の海外不動産投資家目線では、影響は主に3つです。

  • 利回り見通し:賃料上昇が続くエリア(ヤス島など)は収益機会がある一方、購入価格も上昇しているため、利回りは「賃料上昇が価格上昇を上回れるか」で差が出ます。
  • オフプランの注意:需要が強いほどオフプラン比率が高まりやすいですが、引き渡し遅延や資金計画のズレが最大のリスクになります。ニュースでも「引き渡しが計画より少なくなる可能性」が示されているため、支払いスケジュールに余裕を持たせることが重要です。
  • 中期の供給増リスク:2026年末までに2万800戸、さらに2027年以降もパイプラインがあるため、将来的にエリア別で需給が緩む可能性があります。立地(島・地区)、物件グレード、管理費、賃貸規制の確認を前提に、出口(売却・賃貸)の戦略を先に作る投資が堅実です。

結論として、アブダビは「強い需要×段階的供給」で短期は底堅さが見えますが、投資ではエリア選別とオフプランのリスク管理が収益を左右します。ゴールデンビザ要件(200万AED基準、オフプラン支払い条件など)も含め、制度面と資金計画をセットで設計するのが現実的です。

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