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2025年10月18日、キプロス中央銀行が2025年4〜6月期(Q2)の住宅価格指数を公表し、総合指数は前期比+1.5%と、Q1の+1.9%から伸びが鈍化したと発表しました。上昇をけん引したのはマンション価格で前期比+3.1%となり、戸建ては前期比▲0.1%とわずかに弱含みでした。年ベースでは総合で上昇基調を維持しており、物件タイプ間の強弱が明確になっています。
何が起きているのか(数字で把握)
総合の上昇率が鈍化する一方で、マンション価格の伸びが目立ちます。戸建ては横ばい圏で推移しており、投資マネーや賃貸需要が集まりやすい都市部のマンションが相対的に優位な局面です。
地区別の動き
地区別では、リマソールが年率で最も強く、上昇ペースが加速しています。ニコシアは総合の伸びが鈍化し、とくに戸建てで弱さが続きます。ラルナカ、パフォス、ファマグスタは上昇を維持しつつも、勢いはやや落ち着いています。
背景(需給・建設・資金調達)
海外投資家の取得が年初来で増加し、リマソールやパフォスに需要が集中しています。国内金利の高止まりが住宅ローン需要を抑える一方、海外からの現金買いが相場を下支えしています。建築許可件数は前年同期比で増加し、今後の供給増が見込まれます。建設資材価格は前年比で小幅上昇にとどまるものの、高水準が続いており、販売価格や工期に影響を与えています。
用語解説
住宅価格指数は、マンションと戸建ての価格動向を四半期ごとに集計・推計した指標です。ヘドニック手法と呼ばれる、立地や広さ、築年数といった属性の違いを調整する統計手法を用いて、実勢価格に近い変化を把握します。マンションと戸建てを別に見ることで、需要の質や投資資金の流れを読み解きやすくなります。
ニュースの見解
日本人の海外不動産投資家にとって重要なのは、第一に「上昇は継続しつつも勢いは鈍化」、第二に「上昇の主役はマンション」という二点です。短期賃貸や駐在員需要の強い都市部では、築浅・好立地のマンションが依然として有利です。一方で、供給拡大の兆しがあるため、完成タイミングが重なるエリアでは賃料や売却益の伸びが均される可能性があります。購入前には、地区別の賃貸需要の質、進行中プロジェクトの引き渡し時期、短期賃貸の規制動向、借入金利とユーロ/円の為替シナリオを同時に検証することが大切です。結論として、当面はリマソール・ラルナカのマンションが中心軸になりやすく、ニコシアの戸建ては価格調整後の回復局面を慎重に見極める余地があります。分散投資の観点から、完成在庫が出やすい地区では取得価格の交渉余地とキャッシュフロー試算の安全率を高める戦略が有効です。