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2025年10月20日、UAEアブダビのレジャー開発大手ミラル(Miral)は、ヤス島とサディヤット島の2025年夏季実績が過去最高を更新したと発表した。ヤス島のテーマパークでは海外からの来場者が前年比50%増、島全体の来場者総数も15%増。国別ではロシアが+86%、GCC諸国と中国が各+31%、英国が+47%と伸長した。ホテルも堅調で、ヤス島の平均稼働率は85%、8月の「WBアブダビホテル」は平均客室単価(ADR)1,470ディルハムで稼働率90%超を記録した。サディヤット島の稼働率は66%、夏季のADRは概ね1,000ディルハム前後。ヤス・マリーナ/ヤス・ベイ・ウォーターフロントの来場は+27%、域外提携を拡大する「Yas Neighbor Hotel Partner」プログラムは+67%。家族集客策「Kids Go Free」キャンペーンは+31%拡大し、GCC・英国・インド・ロシアからの流入を後押しした。ミラルCEOモハメド・アブダラ・アル・ザアビ博士は「アブダビが世界的観光地としての地位を強化」とコメント。サディヤット島では4月開業の「teamLab Phenomena Abu Dhabi」が想定以上の集客に寄与し、文化施設・ホテル訪問者は14%増となった。

背景。アブダビの観光・文化戦略

アブダビ首長国は、石油依存からの脱却を図る成長戦略の一環として、レジャー(ヤス島)と文化観光(サディヤット島)を二本柱に据えてきた。F1アブダビGP、ウォーターフロント再開発、ルーヴル・アブダビなどのハイライトに加え、家族向けキャンペーンや広域連携プログラムで域内外の滞在需要を面で取り込む設計だ。今回のデータは、その投資回収フェーズが加速していることを示す。

数字で読む到来客の質的変化

国籍別の伸びでは、GCCと中国が二桁増で安定的なボリュームを形成し、ロシア・英国が勢いを上乗せした構図。ヤス島の「+50%」というテーマパーク入場者の海外比率拡大は、短期滞在型のレジャー需要が厚みを増し、週末・連休の稼働ピークを押し上げるシナリオを示唆する。サディヤット島の「+14%」は、文化・高級リゾート志向の来訪が底堅く、平均滞在単価(ADR)維持を支える。

用語をやさしく整理(投資判断で使う指標)

  • ADR(Average Daily Rate):一定期間の「販売した客室1室あたり平均単価」。ホテル・サービスアパートメントの収益性を見る基本指標。ADRが高く稼働率も高い場合、客室収益(RevPAR)の押し上げ効果が大きい。
  • 稼働率:販売可能客室に対して実際に販売できた割合。季節要因やイベントに左右されるため、年平均やピーク外の水準も合わせて確認する。
  • RevPAR(参考):ADR×稼働率。物件のキャッシュフローに直結する合成指標。

文化投資の波及効果。teamLab Phenomenaの意味

2025年4月に開業した「teamLab Phenomena Abu Dhabi」は、体験型・常設型のデジタルアート施設として、リピーター・ファミリー層の「もう一泊」需要を喚起しやすい。文化コンテンツは季節性が相対的に小さく、レジャー特化型よりも通期での集客平準化に寄与する点が投資家にとって重要だ。

エリア別に見る投資テーマ

  • ヤス島:テーマパーク、F1、ウォーターフロントのイベント集客で短期滞在ニーズが強い。ホテル、ホスピタリティRE、短期賃貸(運用主体が明確なストック)で需要取り込み。ピーク時のADR上振れが魅力。
  • サディヤット島:美術館・高級リゾート・ビーチ。平均単価の高い長短滞在をミックスし、プレミアム層の安定需要を獲得。ブランデッドレジデンスや高付加価値のサービスアパートメントで価格維持が期待しやすい。

政策・需要装置の継続性

「Kids Go Free」などの家族向け施策拡大(+31%)は価格訴求だけでなく、滞在日数の延伸・同伴者数の増加を狙う需要装置。ヤス・ネイバー・ホテル・パートナー(+67%)は供給側の連携を通じ、繁忙期のオーバーフロー吸収や価格最適化の余地を広げる。これらは稼働率の底上げとADRの下支えにつながる。

リスクと確認ポイント

  • 供給増のタイミング:ホテル・レジデンシャルの新規供給が一斉に立ち上がると、肩シーズンのADR圧力になり得る。開発計画と引渡し時期を把握したい。
  • マクロ・地政学:送客元(GCC・中国・ロシア・英国等)の為替・査証・航空便供給の変化は需要に直結。複数市場からのポートフォリオで分散を。
  • 規制・運用:短期賃貸はエリアごとに規制・許認可が異なる。ホテルプール運用やブランデッド運営など、スキームの透明性を優先。
  • 実需と投資のバランス:高ADRが続いても購入価格の先行上昇は利回りを圧縮する。RevPAR・運営費・空室リスクを織り込んだDCFで保守的に評価。

ニュースの見解

今回の実績は「レジャー×文化」の二層で国際需要が広がり、価格支配力(ADR)と稼働率の同時改善が起きていることを示す。日本人の海外不動産投資家にとっては、(1)ヤス島の繁忙期プレミアムを取りにいくホテル型・短期運用物件、(2)サディヤット島の価格安定性を重視した高付加価値レジデンス・サービスアパートメントという二本立てが基本戦略になり得る。実務では、物件個別の運営者(ブランド)と収支計画(ADR・稼働・運営費)の妥当性が勝敗を分ける。新規供給の立ち上がり時期を確認し、肩シーズンの稼働シナリオを保守的に置いたうえで、ブッキングデータ連動の最低保証や固定賃料型(マスターリース)など、キャッシュフローの下支えが明確なスキームを優先したい。為替と航空便供給の変化、送客元市場の分散を前提に、ヤス島は高回転・高単価、サディヤット島は高単価・安定稼働というポートフォリオ発想でリスクを分散するのが現実的だ。

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