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2025年10月12日(日)、マニラ市マラテ地区のプラザ・ラジャ・スライマン(Plaza Rajah Sulayman)で、複数の市民団体による大規模集会が行われました。主催はUnited People’s Initiative(ユナイテッド・ピープルズ・イニシアチブ)。デモは音楽ライブとスピーチを組み合わせた形で進行し、参加者は政府説明責任の強化、透明性の向上、公共支出の監査実施などを要求。「Resign BBM!(マルコス大統領の辞任を)」といったコールも上がりました。

当日夜には、マカティ市ダスマリニャス・ビレッジ(大統領私邸近く)に向けた行進が予定され、マニラ首都圏警察(MPD)は現場の参加者を約100人と推計。小競り合いの場面はあったものの、全体として平和的に終了したとされています。

同日、PNP(フィリピン国家警察)長官 ホセ・メレンシオ・ナルタテス Jr.中将は、サンタクルス教会での典礼行事に静かに参列。市民団体側からは、ABKDやPADER、LIPI、FDNYなどの関係者が、警察と市民の対話継続を評価する旨のコメントを発しています。

背景:汚職対策とガバナンスへの視線

フィリピンでは、公共事業や社会プログラムを巡る不正疑惑が周期的に注目され、政権の説明責任・透明性が投資家心理に影響を与えてきました。2022年以降の新政権下では、インフラ継続(道路・鉄道・空港・住宅)や投資誘致に前向きな一方、汚職や統治の質に対する国内外の評価が政策実行力のバロメーターとなっています。今回のデモは、経済・物価・雇用・公共サービスの改善を求める世論の受け皿として表面化した事象です。

地名・団体・役職などの用語解説

  • マラテ(Malate):マニラ市の湾岸エリア。観光・商業・居住が混在し、集会やイベントが行われやすい地域。
  • プラザ・ラジャ・スライマン:マニラ湾沿いの広場。デモやコンサートなどの開催地として知られる。
  • United People’s Initiative:市民・労働・学生など横断の連合体。政治・社会改革を掲げる。
  • PNP(Philippine National Police):国家警察。長官(Chief)は治安維持の最高責任者。
  • MPD(Manila Police District):マニラ市を管轄する警察組織。集会人数の推計などを公表する。
  • ダスマリニャス・ビレッジ:マカティ市の高級住宅街。外交官・企業幹部・要人邸宅が多い。治安管理が厳格。

直近の治安・行政運営への示唆

  • 短期(~3か月):政治集会・行進の再発可能性。主要ビジネス街(マカティ、BGC、オルティガス)近辺での交通規制や一時的混雑に留意。
  • 中期(3~12か月):汚職対策・監査強化の政策メッセージが増える可能性。公共事業の入札・契約手続きの見直しがあれば、インフラ関連プロジェクトの進捗(許認可・資金執行)に時間軸のブレが生じるリスク。
  • 市場心理:政治見出しに為替(PHP)と株式が反応する局面がありうる一方、需要基盤(人口動態・オフショアBPO雇用・観光回復)が底堅ければ、住宅・賃貸市場は中長期で安定推移の余地。

フィリピン不動産への具体的な波及ポイント

  • プリセール(未完成販売)案件:行政手続き・許認可の進行を物件単位で確認。開発事業者の資本力・施工実績・在庫回転率をチェック。
  • 賃貸投資(コンド・一棟):就労人口の集中が続くマカティ、BGC(タギッグ)、オルティガスは引き続き有力。短期は集会・規制に伴うアクセス影響を織り込みつつ、空室率・賃料推移・運営費(管理費・修繕積立)を定点観測。
  • 法務・コンプラ:登記・区分所有・外国人の土地所有制限(区分所有は可、土地は原則不可)に加え、反贈賄・反汚職の社内方針(仲介・管理会社との関係含む)を文書化。支払いフローの証跡管理を徹底。
  • 為替・金利:PHPのボラティリティに備え、円建てからのエントリー時期、ヘッジ手段(先物・NDF・外貨預金の組み合わせ)を検討。金利局面はキャッシュフローと出口利回りに影響。
  • 保険・BCP:政治・社会イベントによる一時的業務中断リスクを想定し、興行・暴動拡張条項(該当する場合)や賃貸不履行リスクの補償範囲を確認。

投資家のための実務チェックリスト

  1. デベロッパー与信:過去の引渡し遅延・キャンセル率、信用格付けや銀行支援の有無。
  2. プロジェクトDD:建築許可・環境認可・ユーティリティ接続の進捗、施工会社と監理体制。
  3. キャッシュフロー感応度:賃料▲10%、空室率+5pt、金利+1%のストレスでDSCR/利回りを再計算。
  4. 出口戦略:再販売(ローカル購入者向け)と賃貸保有の二面展開。海外買主向け仲介網の確保。
  5. ガバナンス体制:現地PM会社のKPI(空室期間、回収率、クレーム対応SLA)、賄賂等の禁止規程を契約書に明記。

ニュースの見解

今回のデモは「平和的・限定的規模」であり、首都圏の主要ビジネス・住宅エリアの不動産ファンダメンタルズを直ちに崩す性質ではありません。ただし、統治・透明性に関する世論の圧力は、公共投資の執行スピードや行政手続きの厳格化につながり、プロジェクト進行の時間軸に影響を与える可能性があります。

日本人投資家にとっては、①デベロッパー与信と許認可の実査、②為替・金利ストレスを織り込んだキャッシュフローモデル、③賃貸運用の現場KPI管理(空室・回収・保全)の3点を強化する好機です。政治見出しによる短期の価格ブレを逆手に取り、立地・施工品質・運営実績に優れた資産を割安に拾う戦略が有効です。中長期では、人口動態・BPO需要・観光回復という構造的需要が支えとなり、良質な物件の収益性は維持される見込みです。


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