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2025年9月10日、エジプトの「新行政首都(New Administrative Capital)」における投資総額が2025年だけで約500億エジプトポンド(約1,700億円)に達したことが発表されました。発表元は新首都開発を担う国営企業「ACUD(Administrative Capital for Urban Development)」で、総資産額は3,600億エジプトポンド、年間利益は350億エジプトポンドに上るとされています。また、国家への税収は90億エジプトポンドに達しており、国家財政にも大きく寄与している点が強調されました。
さらに注目すべきは、エジプト議会(下院・上院)や中央銀行などの主要な政府機関が、選挙後にこの新首都へ順次移転する計画が進められていることです。これにより、新首都は行政機能だけでなく経済・金融の中心地としての役割を担うことになります。
開発エリアは約40,000フェダン(1フェダン=約4,200㎡)に及び、住宅・商業施設だけでなく、150万立方メートル規模の水処理施設や新金融地区(New Financial District)などの基幹インフラも整備されています。特にACUDは自社保有地の30%を投資用に開放する計画を示しており、150〜200億エジプトポンドのリターンを見込むプロジェクトが準備中です。
加えて、2026年初頭には次の開発フェーズが始動予定で、300〜500フェダン単位の投資案件が複数進行中です。すでにエジプト国内外の不動産デベロッパーから10件近い提案が寄せられており、湾岸諸国からの資本流入も視野に入っています。
背景
新行政首都は「カイロの過密解消」と「国家機能の近代化」を目的に、中国国営建設企業CSCEC(中国建築工程総公司)をはじめとした海外資本と協力し、2015年から本格的に建設が進められてきました。中国の「一帯一路」構想の重要拠点とされ、エジプトにおける最大級の都市開発プロジェクトです。
エジプトは人口1億人を超え、都市化の加速とともに住宅・オフィス需要が急増しています。その一方で、為替変動やインフレ率の高さが投資家にとってリスク要因ともなっています。
用語解説
- フェダン(Feddan):エジプトなどで使われる面積単位。1フェダンは約4,200㎡。
- ACUD:新行政首都の計画・開発を統括する国営企業。土地管理からインフラ整備まで一括して担う。
- 一帯一路構想:中国が進める経済圏構想で、インフラ投資を通じて中東・アフリカを含む各国との経済的結びつきを強める政策。
ニュースの見解
日本人投資家にとって、新行政首都の進展は「不動産投資の新しいフロンティア」となり得ます。行政機能の移転により政府関連需要が集中するため、オフィス・商業施設・高級住宅の安定的な需要が見込まれるでしょう。特に金融地区は国際企業誘致を目指しており、長期的にはカイロ以上の経済的中心地となる可能性があります。
一方で、エジプトは通貨安やインフレに直面しているため、投資収益を日本円やドルで換算した場合のリスク管理が不可欠です。また、中国主導の開発である点から、地政学的リスクや資金調達の変動にも注意が必要です。

総じて、エジプト新首都は高リスク・高リターンの投資先と位置づけられ、日本人投資家にとってはポートフォリオ分散の観点から魅力的ですが、為替ヘッジや現地パートナー選びを含めた慎重な戦略が求められます。