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2025年7月23日、IMARCグループが発表した最新の市場調査レポートによると、フィリピンの不動産市場規模は2024年時点で905.1億ドルに達し、2033年までに1,314.1億ドルへと拡大する見通しです。これは2025年から2033年の予測期間中、年平均成長率(CAGR)4.34%を維持するというもので、東南アジアの中でも安定的な拡大が期待されています。
この成長を支える背景には、以下の要素があります。
- 首都圏(メトロ・マニラ)やセブ、ダバオといった都市部の急速な都市化
- 「Build, Build, Build」などの政府主導インフラプロジェクト
- 海外フィリピン労働者(OFW)からの送金による住宅需要の増加
- 外国投資家向けの制度整備と金融の近代化(例:2024年3月のルソン経済回廊発表)
また、2025年7月2日にバンコクで開催された「アジア不動産サミット(ARES)」では、フィリピン市場は年間5%以上の成長が見込まれると業界専門家が予測。中央ルソンやビサヤ、ミンダナオ地域での需要拡大も強調されました。
地価・価格の上昇傾向
2025年6月27日、フィリピン中央銀行(BSP)は住宅価格指数(RPPI)が前年同期比で7.6%上昇したと発表。メトロ・マニラでは13.9%の上昇率を記録し、特にコンドミニアム価格が10.6%上昇するなど、都市部を中心に価格が上昇傾向にあります。
市場の成長をけん引するセグメント
- 垂直型住宅(高層住宅)、ゲーテッドコミュニティ(閉鎖型住宅団地)
- ミックスユース開発(住宅・商業・オフィス・娯楽の複合施設)
- ESG重視のグリーン建築・再開発案件
- オンライン化による海外投資家への物件アクセス(バーチャル内覧・ブロックチェーン決済など)
抱える課題と投資家にとっての注意点
一方で、ミドルレンジの分譲コンドミニアムでは供給過多が続き、販売済みに至るまで5~8年かかるとの指摘もあります。また、PESO高、金利上昇、オフショアゲーミング業者の撤退によって、オフィス・賃貸需要にやや陰りも見られます。
ニュースの見解
今回のレポートで注目すべきは、フィリピン不動産市場が依然として強い成長ポテンシャルを維持している点です。住宅価格が上昇している一方で、政府支援のインフラ計画やデジタル不動産取引の拡大により、海外からの資金流入が促進されています。
特に、メトロ・マニラやセブ、ダバオといった主要都市はもちろん、イロイロ、クラーク、パンパンガなどの新興都市でも注目度が高まっています。中長期的には、価格調整局面を迎える可能性もあるため、投資家にとっては「価格交渉力のある今こそチャンス」とも言えます。
日本人投資家にとっても、比較的低コストで成長性の高いアジア市場への参入機会と捉えるべきです。とくに、ESG投資やリモート購入など、日本からの投資しやすい仕組みが整いつつある今、事前調査と現地専門家との連携を前提にした「堅実な投資戦略」が求められます。