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2025年7月3日、キプロス政府は外国直接投資(FDI)に対する審査制度の導入を正式に承認しました。これは同国の閣議決定に基づくもので、国家安全保障・透明性・重要インフラの保護を目的としています。
ニコス・クリストドゥリデス大統領は、この取り組みを「キプロスの信頼性と国際的地位を戦略的に高める制度改革」と位置づけました。マキス・ケラブノス財務相も「国家利益の保護に直結する非常に重要な進展」と述べ、同国の安全保障体制の強化とEU基準との整合性の確保が背景にあることを強調しました。
この制度の導入により、戦略的インフラ(例:通信、エネルギー、金融機関など)への海外からの出資や買収に対して、キプロス政府はより厳密な審査と規制を行えるようになります。
関連経済指標の動き
このニュースと同時に、以下のような経済動向も報告されました:
- 中央銀行報告書では、2024年末時点のキプロスの銀行システム流動性が前年比で45億ユーロ減少し、192億ユーロに。
- 不動産業界の主導権が政府から銀行へ移行しているとEYの調査が指摘。
- 海外投資家(イスラエル、英国、中東など)による不動産需要が継続。特に居住許可、治安、生活の質を重視した購入が増加中。
ニュースの見解
この新制度の導入は、今後キプロスの不動産市場や金融市場に対する外国からのアクセスに一定の影響を与えると予想されます。特に「戦略的インフラ」と見なされる分野への投資は、審査対象となる可能性が高まります。
ただし、不動産に関しては、現時点では制度の対象外となる民間住宅や商業物件が主な投資対象であるため、日本人投資家が個人または法人として投資を行う場合、直接的な制限を受けるリスクは低いと考えられます。
むしろ、この制度によってキプロス全体の「透明性」と「規制の整備」が進むことで、法的安定性が高まり、日本人を含む海外投資家にとって長期的にはプラス材料と捉えるべきです。
ただし、今後の制度運用次第では、特定エリアや高額物件が「戦略的」と判断されるケースもあり得るため、投資前には現地の不動産弁護士や仲介業者との綿密な確認が不可欠です。
特に「住居目的」だけでなく、「移住」や「法人設立」なども絡む場合には、移民政策・税制・インフラ政策も含めた包括的なリスク分析が求められます。