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2025年5月4日、フィリピン証券取引所への開示を通じて、フィリピン・インフラデブ・ホールディングス社(PIHI)がマカティ市との地下鉄プロジェクト(Makati City Subway)からの正式撤退を発表しました。これにより、フィリピン経済の中心地マカティが、国の大規模インフラ計画「メトロマニラ地下鉄(Metro Manila Subway)」との接続を失うことが確定しました。

地下鉄計画中止の背景:司法判断と管轄権争い

この決定の最大の要因は、2022年のフィリピン最高裁による判決です。最高裁は、マカティ市とタギッグ市(Taguig City)の間で争われていたEMBOバランガイ(10の村落地域)およびボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)の管轄権をタギッグ市に帰属させる判断を下しました。2023年にはマカティ側の再審請求も棄却され、判決は確定しています。

この地域には地下鉄の車両基地や複数の主要駅が予定されていたため、プロジェクトは事実上の頓挫状態となり、2025年5月に正式中止が発表されました。

マカティ市地下鉄とはどんな計画だったのか?

  • 発表年:2018年
  • 全長:11キロメートル
  • 駅数:10駅(Ayala Ave、Circuit Makati、University of Makatiなどを含む)
  • 想定利用者数:1日70万人以上
  • 参加企業
  • 中国のグリーンランド・ホールディングス
  • 江蘇省建設集団
  • 中国港湾工程公司

このプロジェクトは市営地下鉄としては国内初で、マニラ首都圏の渋滞緩和や経済活性化の切り札として期待されていました。

なぜプロジェクトは失敗に終わったのか?

  1. 法的リスク:タギッグ市への管轄権移譲により、主要インフラ予定地がマカティ市外となった。
  2. 財務リスク:当初見込んだ事業スキームが破綻し、「経済的・運用的に非現実的」と判断。
  3. 政治的混乱:市政府と企業側の対立、代替案の提示もないまま、対応が不透明。
  4. 広域インフラとの連携崩壊:本来予定されていた国営メトロマニラ地下鉄との接続も消滅

ニュースの見解

日本人不動産投資家への影響と見解

マカティ市はこれまでフィリピンで最も安定性・収益性が高いエリアとされ、日本人投資家にも人気でした。しかしこの件を受けて、

  • 交通インフラ未整備エリアへの不安
  • 長期的な物件価値の伸び悩み
  • 政府・自治体の計画変更リスク

といった中長期リスクの再認識が求められます。一方で、今後のタギッグ市(特にBGC)への投資価値が相対的に上昇する可能性もあり、エリア分散投資や法的安定性の高いプロジェクトへの注視が必要です。

また、今回の事例は「現地法制度の変化が直接インフラ開発と不動産価値に影響する」典型であり、契約書のリーガルチェック、政府計画の信頼性精査など、事前調査の重要性を改めて浮き彫りにしています。


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